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ジェフリー・テイトの録音 


○1985年10月5日〜7日−1

モーツアルト:ピアノ協奏曲第21番

内田光子(ピアノ)
イギリス室内管弦楽団
(ロンドン、蘭フリップス・スタジオ録音)

まずリズム感があって、しかしスケールが大き過ぎずに、出過ぎたところのないテイトの指揮ぶりが素敵です。いかにもモーツアルトらしい、小粋でしゃれた雰囲気を醸し出しています。それに乗った内田光子のピアノがまた良い。キラキラと珠をころがすようなタッチはまさにモーツアルトにぴったりです が、タッチのひとつひとつを大事にして、ちょっと内省的な感じもあります。オケとの一体感がある第1楽章の出来が素晴らしいと思いますが、有名な第2楽章もテンポをゆったり取って 、歌った演奏はため息をつかせるほどに美しいと思います。ムーディに陥ることなく、深みを感じさせる演奏なのです。


○1985年10月5日〜7日−2

モーツアルト:ピアノ協奏曲第20番

内田光子(ピアノ)
イギリス室内管弦楽団
(ロンドン、蘭フリップス・スタジオ録音)

この協奏曲はロマンティックなもの憂い雰囲気を持つイメージがありますが、この演奏はある種の不安と深刻さを内に秘めたもので、聴き手に問いを突きつけるような厳しさがあります。テイトの伴奏は弦の響きが鋭く 、リズムが明確で、情感でふんわりと聴き手を甘く包むのではなく、モーツアルトのピリピリした感性の震えが聴こえてくるようです。特に両端楽章ではベートーヴェン的な厳しささえ感じられます。第2楽章も決してムーディではなく 、淡々とした感触が生きています。内田光子のピアノは派手さを抑えた渋い表現が素晴らしいと思います。リズムをしっかりと踏んで、音楽が深く、折り目正しい印象です。特に第2楽章の内省的な表現が光ります。




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