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ショルティの録音(1987年)


○1987年9月

チャイコフスキー:交響曲第5番

シカゴ交響楽団
(シカゴ、シカゴ・オーケストラ・ホール、英デッカ・スタジオ録音)

ロマンティックな印象を排しあっさりした感触に仕上げて・甘い感傷に溺れることがないのは、いつものショルティらしいところです。しかし、決して無機的でメカニカルな印象を与えないところがシカゴ響のうまさです。特に滑らかな高い弦は、旋律を細部まで念入りに磨き上げ・最高級車の極上のサスペンションという感じです。第4楽章でも難しいパッセージでも息ひとつ乱さない巧さで、オケの出来は申し分ありません。しかし、その巧さが際立つほど・その冷静さが上滑りしていく感覚は否めません。やはりこうした曲にはある種の熱さが必要なのかも知れません。全体を早めのテンポで一貫させたせいがあると思いますが、四つの楽章がどれも同じような感じに聴こえて、ショルティにしては全体の構成が見えてこない感じがします。


○1987年10月

チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」ハイライト

ルーベン・ゴンザレス(ヴァイオリン独奏)
ジョン・シャープ(チェロ独奏)
シカゴ交響楽団
(シカゴ、シカゴ・オーケストラ・ホール、英デッカ・スタジオ録音)

全体を早めのテンポで通して・コンサート・スタイルの演奏ですが、曲がバレエ音楽でもあり・ここでのショルティは自分のスタイルをあまり強く押し出さず・むしろ若干手綱を緩めたようなところがあります。「情景」の感情を込めたソロ場面において・テンポを落とすのも、いつものショルティとはちょっと違う感じです。もちろん甘ったるい感じはなく、淡い叙情性を感じさせる程度ではあります。しかし、聞き物ははやりリズミカルで色彩的なハンガリーの踊り・スペインの踊り・ナポリの踊りなど第2幕からの舞曲で、オケのダイナミックな動きが楽しめます。シカゴ響の透明な響きの美しさと、特に高弦の滑らかさが印象的です。


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