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ショルティの録音(1966年−1970年)


○1970年2月

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

シカゴ交響楽団
(シカゴ、イリノイ大学クラナート・センター、英デッカ・スタジオ録音)

楽譜の音符をそのまま音化したような明晰な演奏です。シカゴ響の合奏能力の高さは言うまでもありませんが、管楽器・特に木管の響きが抜けてよく聴こえることで、この交響曲の虚無的な感じがよく出ているようです。また全体にちょっと乾いた感触ですが、これもウェットで熱いロマン的な捉え方をするよりも、この曲本来の感触にふさわしいものと思います。曲全体は早めのテンポで処理されていて、旋律はそっけないほどに直線的に歌われます。第3楽章のワルツのテンポもあっさりしていますが、それも十分納得がいきます。一方で、曲のダイナミクスは大きく、音とリズムがぶつかり・砕け散るような迫力があります。


○1970年4月

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

シカゴ交響楽団
(シカゴ、メディナ・テンプル、英デッカ・スタジオ録音)

マーラーの音楽のなかの聖と俗をまったく等分に、余計なものは付け加えず・何も取り去らず、スコアにあるものをそのまま音にしたかのようです。一見バラバラに見える音楽の要素をパズルのように組み合わせて・ひとつに音楽が組みあがっていくのを眼前に見るような感じがします。シカゴ響の素晴らしさは言うまでもありませんが、難しいパッセージを息を乱さず・汗もかかず弾きこなしてしまうので、一見すると音楽から距離を置いたような感じにも見えますが、音楽の密度は非常に高いものでうならされます。どの楽章も素晴らしいと思いますが、特に第1楽章や第4楽章の激しいリズムの交錯する複雑な構造物を見るようです。


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