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初代吉右衛門の名舞台


初代吉右衛門は三代目歌六の長男として明治19年に浅草に生まれました。子供芝居の座頭として早くから頭角を現し、市村座においては六代目菊五郎とともに「菊吉時代」を作り上げ、現在に至っても大きな影響を与えているのは周知の事実です。

左の写真は、吉右衛門の「馬盥の光秀」(「時今也桔梗旗揚」)です。吉右衛門の母親は夫・歌六の芸風を嫌って、息子には九代目団十郎を見習え、と常々教えていました。したがって、吉右衛門の光秀はその大筋においては九代目写しなのですが、しかし、最後の花道の引っ込みだけは吉右衛門は九代目の型を頑として採らなかったのです。(その理由は 別稿「吉右衛門の馬盥の光秀」をご参照ください。)

 

 

 

 

 

 

 

吉右衛門は世話物でもいくつも当たり役がありますけれど、やはりその本領は時代物であったでしょう。上の写真は、吉右衛門の「寺子屋」の松王。千代は三代目時蔵。

吉右衛門からひと役だけ挙げるならば、やはり「陣屋」の熊谷直実ということになりましょうか。相模は三代目時蔵、藤の方は六代目歌右衛門、義経は七代目宗十郎。 吉右衛門の時代物の特徴は「型」のなかに近代的感性から見た人間の「こころ」を盛り込んだということにあるでしょう。

小宮豊降: 中村吉右衛門 (岩波現代文庫―文芸)

 

 

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