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二コラ・レッシーニョの録音


○1958年9月24日、25日

マリア・カラス:「狂乱の場」
ドニゼッティ:歌劇「アンナ・ボレーナ」第2幕〜「あの方は泣いているの、私の生まれたあのお城」、トーマ:歌劇「ハムレット」第4幕〜「皆様のお楽しみに、さあ私の花を分けて差し上げましょう、それでは私の歌をお聴きくださいまし」、ベルリー二:歌劇「海賊」第2幕〜「ああ目の前にかかる雲を、そ の無心の微笑で」

マリア・カラス(ソプラノ独唱)
フィルハーモニア管弦楽団
(ロンドン、キングスウェイ・ホール、英EMIスタジオ・録音)

レッシーニョのサポートは手堅くまとめて、オペラのツボを押さえた職人芸的な上手さを聴かせます。装飾的な技巧が際立つベルカント・オペラでは、どうしても歌唱の表面的な美しさの方に耳が行ってしまい勝ちですが、その華美な装飾のなかに、実は主人公の引き裂かれた心情が秘められていることを明らかにしたのは、マリア・カラスです。カラスの技巧の見事さは云うまでもないですが、むしろカラスに特徴的なのは、この声の音色にあるのではないでしょうか。カラスの声色は全音程において均質なわけではなく、むしろ高音はちょっと喉を絞ったような感じがしますが、カラスは声の色合いの変化で、音符の裏側に秘められた心情の裂け目に、鮮烈に印象付けてくれるのです。そのようなカラスの本領がはっきり分かるのが、この「狂乱の場」のアルバムです。どの曲でも、カラスの卓越した表現力に耳を奪われるばかりです。


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