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ライナーの録音 


○1951年5月8〜10日

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番

ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ独奏)
RCAビクター交響楽団
(ニューヨーク?、RCAスタジオ録音)

録音のせいか・ソロが前面に出すぎで、オケの印象が弱いようです。そのためにホロヴィッツの技巧的な面が強く耳に残る感じです。オケがピアノを大きく包み込まないと、この曲の場合にはピアノの技巧が勝ち過ぎる気がします。ホロヴィッツのピアノは打鍵の強さと言い・硬質でクリスタルな響きと言い、ピアノが本質的に打楽器であることを実感させてエキサイティングです。ピアノは感嘆極まりないですが、オケが弱いので・協奏曲としての印象はいまひとつ。そのなかではテンポ速めの第3楽章はなかなか良いと思います。


○1952年4月26日

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ独奏)
RCAビクター交響楽団
(ニューヨーク?、RCAスタジオ録音)

快速テンポでリズムの斬れがとても良い演奏で、そのキビキビした語り口が実に小気味良く感じられます。オケの弦は細身ですが・引き締まった音で・シャープな造型を作ります。ドイツ的な重厚さではなく・スタイリッシュな感覚に満ちているのもホロヴィッツのソロによく似合っています。ホロヴィッツはテクニック抜群で、その力強い硬質でクリスタルな響きで、目が覚めるような出来です。ライナーとがっぷり四つに組んで・両者の技量が火花を散らすような第1楽章が聴き物ですが、 清冽な第2楽章も印象に残ります。


○1954年

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

シカゴ交響楽団
(シカゴ、米RCA・スタジオ録音)

R.シュトラウスはライナー・シカゴ響の十八番で、音楽に勢いがあって・さすがに密度の高い見事な演奏です。特にテンポの早い部分においては・疾走するようなダイナミックなオケの動きが生きています。しかし、全体的にテンポが早めで・テンポの遅い部分の寂寥感との対照はいまひとつ際立ってこない。若干スマート過ぎる感じがしなくもありません。


○1960年3月12日ライヴ

ブラームス:交響曲第2番

ニューヨーク・フィルハーモニック
(ニューヨーク、カーネギー・ホール)

ライナーとニューヨーク・フィルという珍しい組み合わせですが、ニューヨーク・フィルから重厚な響きを引き足しています。ブラームスらしい暗めでしっとりしたヨーロッパ・サウンドで、まことにオーソドックスな演奏に仕上がっています。第4楽章に斬れ味鋭いリズム処理が聴こえますが、全体的にはリズムは重めで、意外なほど手堅い印象です。テンポ設定がしっかりして、四つの楽章が緊密に構成されていること。旋律は流麗というよりは、行く深く歌われて、第3楽章などむしろ地味で渋い印象すらします。ライナーのヨーロッパに根ざした伝統みたいなものを想わせます。


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