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ロジャー・ノリントン


○1999年4月18日ライヴ

ニコライ:歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲

ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウイーン、ウイーン楽友協会大ホール)

テンポ軽快で、ノリの良い演奏です。オケ編成も小振りにして、大仰な表現がなく、好感が持てる仕上がりです。


○2005年7月15日ライヴ

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

ジャ二ーヌ・ヤンセン(ヴァイオリン独奏)
BBC交響楽団
(ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール、プロムス)

ヤンセンがとても表情豊かに・活き活きとした音楽を作っています。中高音の伸びの良さが魅力です。旋律の息 を取って音楽の構えが大きいのが、何と言っても素晴らしいと思います。第1楽章前半など第3楽章などちょっと勢いが良過ぎて・もう少し押さえても良いかなと思うところもなくはないですが、この生きの良さはやはり若さの魅力と言うべきで、今はこれで良いと思います。ノリントンのサポートは心持ち早めでしっかりしたリズムを取って古典的な手堅い伴奏です 。ヤンセンはこれに乗って心地良く動いており、彼女の長所がよく生かされていると思います。


○2011年4月16日ー1

エルガー:エレジー

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

コンサートに先立ち同年3月11日の東日本大震災の追悼の念を込めてエルガーのエレジーが演奏されました。N響の弦セクションの旋律に対する息の持ち方に問題あるように思われます。個々の奏者が正しい音程を取ろうという意識が強過ぎるようで、もっと隣りの仲間の響きに耳澄ませるべきじゃないかと思います。折り目正しくは弾かれていいても、心に響く演奏とはちょっと言いかねます。


○2011年4月16日ー2

ベートーヴェン:交響曲第1番

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

ノリントン節全開と言ったところでテンポ颯爽として・アクセント歯切れ良く、威勢の良いベートーヴェンという感じは確かにします。N響もベートーヴェンであると、何となく元気が出てくる感じではあります。それにしてもアクセントが少々うるさ く、最初はちょっと新鮮な印象もありますが、 この調子が最後まで続くと手の内見えた感じで、あまりに一本調子でとても持ちません。ピョンピョン跳ねている運動感覚だけが残って、後半2楽章は聴いていて疲れました。まあ勢いがあって良いと褒める向きもあるかも知れませんが。


○2011年4月16日ー3

エルガー:交響曲第1番

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

テンポ早めに 威勢の良い演奏ですが、四角四面の機能的な音の律動を聴く感じがします。響きが妙にギスギスしてやせた感じでフレーズが連続せず、分裂症的な音楽に聴こえます。NHK響の響きに柔らか味というか・湿り気が欲しいと思います 。これはエルガーの響きにはとても思えません。ノリントンのアクセントの強い・テンポ急き立てるような行き方であると、機能主義的なこのオケの悪い面が出るような気がします。


○2011年4月22日ライヴ−1

マーラー:花の章

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

早めのテンポで淡々と演奏したという感じ。悪くはないが、表現がやや乾燥気味で・そっけないように思われます。


○2011年4月22日ライヴ−2

マーラー:歌曲集「さすらう若人の歌」

河野克典(バリトン独唱)
NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

河野克典は声は柔らかく・なかなかの美声ですが、どちらかと言えば表現がリート向きで小振りであり・もう少し声量が欲しいと思います。歌唱は繊細で、第2曲「朝の野を歩けば」や第4曲「恋人の青い目」などはその美声が生きて、ピアノ相手ならばそれなり の表現だと思いますが、管弦楽相手の場合には表現にもっと太く押すところが必要です。オケに押され気味で印象が弱い。逆に言えば、ノリントンはそこのところ考慮してオケを抑え ないといけないと思いますが、その辺の気遣いが少々足りないようです。


○2011年4月22日ライヴー3

マーラー:交響曲第1番「巨人」

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

第1楽章は中間部辺りからテンポ快速にして威勢良く、スポーツ的快感は確かにあるようです。朝靄のかかったドイツの森の湿り気のある暗いロマン性などは眼中にないようです。その意味で 鋭角的なリズムが前面に出る第2楽章スケルツオなどはノリントンに合っているかも知れません。第3楽章もマーラーの音楽からロマン性を剥ぎ取って・リズムの律動だけ聴かせればこんな感じかなと思います。これがノリントンの意図なのでしょう。第4楽章フィナーレもテンポ早めに颯爽として輝かしくて結構なことですが、マーラーの音楽にはほど遠いと思います。


○2011年4月27日ライヴー1

ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

テンポは猛烈に速く・アクセントはバーンとドギツイ・相変わらずのノリントン調ですが、N響はベートーヴェンだとそれなりに響く感じが面白くはあります。


○2011年4月27日ライヴー2

ベートーヴェン:交響曲第2番

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

ノリントン調であることは変わりないですが、16日の第1番よりは退屈しないで聴けましたが、多分曲想に変化があるからだろうと思います。それと第3楽章をあまりテンポを前面に出さず・意外(?)に抑えた表現にしていたので、全体が一本調子の印象にならなかったのが幸いしたのかなと思います。しかし、両端楽章は相変わらずテンポ早く・切るような強いアクセントで、まあこういう解釈を新鮮と感じる方もいるのは理解しますが、それよりももっとしっかりリズムを打つことを第一義に考えてもらいたい気がします。リズムが前のめりで・聴くより先にどんどん音楽が前に行ってしまう感じです。


○2011年4月27日ライヴー3

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

マルティン・ヘルムヒェン(ピアノ独奏)
NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

4月N響のノリントンの演奏会では、このピアノ協奏曲第5番が一番出来が良い・というか、まともでありました。まずは82年生まれのドイツのピアノスト・ヘルムヒェンの独奏に拍手を贈りたいと思います。 ヘルムヒェンの解釈はリズムを明確に・アクセントを強めに切る置き方で、これはノリントンの解釈にも沿うものでしょう。その良い点はリズムをしっかり打ち込んで・音楽がちゃんと鳴っていることです。そのおかげでベートーヴェンの骨太い骨格が確かに描けています。アクの強い指揮者に遅れを取ることなく、自分の表現を互角に主張できています。特に第2楽章以降はピアノがリードした感じが強くなりました。ノリントンも手堅くソロをサポートする方向に行っているようであり、 ここでは比較的穏当な解釈に思われました


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