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カラヤンの録音(1970年7月〜12月)

1970年9月16日:ボンのベートーヴェン生誕200年祭でベルリン・フィルと第9交響曲を演奏。


○1970年11月24〜30日、12月1〜4日

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

テオ・アダム(ハンス・ザックス)、カール・リーダーブッシュ(ポーグナー)、
ジェレイント・エヴァンス(ベックメッサー)、ルネ・コロ(ワルター・フォン・シュトルッチング)、
ペーター・シュライヤー(ダーヴィット)、ヘレン・ドナート(エヴァ)、
ルート・ヘッセ(マグダレーネ)他
ドレスデン国立歌劇場合唱団
ライプチッヒ放送合唱団
ドレスデン国立管弦楽団
(ドレスデン、聖ルカ教会、EMIスタジオ録音)

第1幕への前奏曲はテンポを早めに取り、キビキビとした造型で聴かせます。スケール感は大きいのですが・過度に重苦しくなく、透明さと爽やかさを持つ見事な表現です。ドレスデンのオケは引き締まったなかにも独特の渋さを感じさせ、格調ある響きです。第3幕への前奏曲は荘重な弦の絡み合いが実に美しいと思います。オケの響きが透明で木目細かく、宗教的な敬虔な雰囲気が見事に出ています。歌手陣も充実していますが、特にテオ・アダムはザックスの貫禄と人間的な幅を十二分に表現しています。第2幕第3場でのザックスの「にわとこの独白」から第4場での「エヴァとサックス」の対話などは音楽的にも複雑だと思いますが、登場人物の生き生きとした感情をよく表現していると思います。ドレスデンの合唱も素晴らしく、第2幕フィナーレのニュルンベルクの町での騒ぎでの群集処理のうまさ、第3幕フィナーレの荘重な感動の盛り上がりも重厚で素晴らしいと思います。


○1970年12月28日、29日-1

ビゼー:「カルメン」組曲

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会、独グラモフォン・スタジオ録音)

前奏曲は第1・第4・第3・第2の順に演奏されます。この時代のカラヤンらしく直線的な力強い旋律の歌い方で、ベルリン・フィルの暗めの音色にはちょっととまどいますが、表現が引き締まって・リズムもキビキビとしていて、スタイルとして徹底していると思います。ある意味で四つの前奏曲を交響曲に見立てたとも言えましょうか。特に第3幕の間奏曲は旋律を息長くオペラティックな感興を呼び起こします。


○1970年12月28日、29日ー2

ビゼー:劇音楽「アルルの女」・第1組曲・第2組曲

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会、独グラモフォン・スタジオ録音)

ベルリン・フィルなのでフランス的な明るい色彩感があるはずもなく、いかにもドイツ風の暗めで重い表現なのですが、それがまたいいのです。テンポを速めにとって、直線的に旋律を歌い上げ・表情が引き締まっています。メヌエットは旋律を息長く歌って実に美しいと思います。アダージェットやカリヨン・パストラルにおけるリズムの討ち方はトスカニーニを思わせるような簡素な表現です。メヌエットや間奏曲における悲劇性をこめた緊張感のある表現にこそカラヤンの手腕が生きています。もちろんファランドールにおけるリズム処理も実に見事です。


○1970年12月29日・30日ー1

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」〜だったん人の娘たちの踊り、だったん人の踊り

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会、独グラモフォン・スタジオ録音)

リズム処理が鋭敏で、ベルリン・フィルの響きがとても色彩的です。だったん人の娘たちの踊りの郷愁を誘う懐かしい旋律の美しさと、荒々しい男たちの粗野なリズムが交錯して、表現の幅が実に広くて、ダイナミックな演奏が堪能できます。


○1970年12月29日・30日ー2

ポンキエルリ:歌劇「ラ・ジョコンダ」〜時の踊り

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会、独グラモフォン・スタジオ録音)

オケの色彩感とリズム処理の見事さ、ベルリン・フィルの機能性と、前半の繊細な表現と、フィナーレでのリズムの饗宴など、カラヤンの設計の巧さが相まって、幻想美が万華鏡のように展開していきます。トスカニー二の名演と並ぶ出来です。


 

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