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カラヤンの録音(1956年)

1956年3月:ザルツブルク音楽祭の芸術監督に就任。
1956年6月12日:ウイーンでミラノ・スカラ座を率いて公演。タイトルロールにマリア・カラスを迎えてドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」を指揮。
1956年6月16日:ウイーン国立歌劇場の芸術監督に就任。


○1956年1月28日ライヴ-1

モーツアルト:ピアノ協奏曲第20番

クララ・ハスキル(ピアノ独奏)
フィルハーモニア管弦楽団
(ザルツブルク、モーツアルテウム音楽院大ホール、ザルツブルク・モーツアルト週間)

1956年にモーツアルト生誕200年を記念して始まった第1回・ザルツブルク・モーツアルト週間での演奏です。ハスキルのピアノはミス・タッチは散見されるものの・飾り気のない朴訥とした語り口に引き付けられます。特に第2楽章の弱音のタッチに素朴さのなかにはかない美しさが表現されています。カラヤンはハスキルを手堅くサポートしています。フィルハーモニア管はドイツのオケのような音色で、やや暗めの色調でどこか厳しさを湛えた雰囲気があります。第1楽章冒頭で暗めで厳しい表情に心引かれます。心持ち早めのテンポで引き締まった無駄のない表情がハスキルのピアノとピッタリ合っています。


○1956年1月28日ライヴー2

モーツアルト:交響曲第39番

フィルハーモニア管弦楽団
(ザルツブルク、モーツアルテウム音楽院大ホール、ザルツブルク・モーツアルト週間)

フィルハーモニア管の音色は暗く渋めで、名前を伏せて聞かせればドイツのオケと間違えそうなくらいです。この時期のカラヤンらしくテンポをいくぶん早めに取って旋律を直線的に簡潔に歌った力強いモーツアルトです。後年のカラヤンのモーツアルトと比べると渋めで、リズムの刻みを前面に出すのをいくぶん抑えた感じがします。したがって、第4楽章でもオケの能力全開という感じにはなっておらず、その分・スケール感が抑えられて厳しい雰囲気が出ているようです。


○1956年6月20日ライヴ

R.シュトラウス:四つの最後の歌

エリザーベート・シュワルツコップ(ソプラノ独唱)
フィルハーモニア管弦楽団
(ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール)

曲が春・眠る時・夕映えのなかに・9月の順に演奏されています。シュワルツコップの歌唱の特徴である言葉を大事にする良さがよく生きており、感情表現が実に細やかで・響きの美しさだけに耽溺させないものがあります。どちらかと言えば諦観を感じさせる曲ですが、ここではそれが後ろ向きになることなく・そのはるか向こうに明るい光・希望が差しているように感じられるのは、やはり若きシュワルツコップとカラヤンの持っているものでしょう。フィルハーモニア管も透明な弦の響きが魅力的で、カラヤンの描きあげる音楽は造型が明確で・すっきりした理性的なものを感じます。


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