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フルトヴェングラーの録音(1948年)


○1948年3月22日〜25日

ブラームス:交響曲第2番

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
(ロンドン、キングスウェイ・ホール、英デッカ・スタジオ録音)

フルトヴェングラーのスタジオ録音のなかでも評判はあまり良くない方の演奏かと思います。確かにオケの音色に魅力が乏しく、特に響きに分厚いドイツ的な重低音が聴けないことの物足りなさはありますが、テンポはしっかりしていて・ブラームスのフォルムは取れています。テンポの揺れが少なく、インテンポに近い感じなので・ファンには物足りないところがあるかも知れません。第2楽章は若干リズムが重めでもたれる感じがしますが、全体的には造型は端正で・決して出来は悪くないと思います。


○1948年10月24日ライヴ

ブラームス:交響曲第4番

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ティタニア・バラスト)

テンポが揺れて・遅くなったり早くなったりするのがどうも理解ができません。エキサイティングに速い場面と・一転して粘るように遅くなる場面が交錯しますが・確かにその表現は効果的にも思えますが、聴き終わると・その変化に明確な論理性がなく・ただ聴き手を煽るだけのように感じられます。焦点が曖昧になって・求心力がない散漫な演奏に聴こえます。特に第1楽章と第4楽章にそれが顕著です。ベルリン・フィルはぶ厚い音色でリズムを深く斬り込んで見事な演奏を展開しています。特に弦セクションは緊張感を持続してフルトヴェングラーの棒によく付いています。それだけにテンポの フラフラが余計に気になります。


○1948年12月7日・8日

モーツアルト:交響曲第40番

ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウイーン、ウイーン楽友協会大ホール、英EMIスタジオ録音)

全曲を通じてテンポが早く、キビキビした造形で甘さを殺した、どちらかと云えば、トスカニーニに近いような、直線的で即物的な厳しい表現です。涙を拒否したような禁欲的な悲しみを聴く感じもしますが、それは曲自体から出たもののようです。これは特に両端楽章に云えることですが、第4楽章はややセカセカした感じがします。第1楽章は追い立てられる悲しみを古典的な形式のなかに凝縮させようとしていると見ることもできると思いますが、やはり曲自体の魅力を十分表現できていると思えない気がします。表現が硬くて、もう少し自在の表現を求めたい気がします。どちらかと云えば、フルトヴェングラーの方が曲に対して身構えているという印象がします。両端楽章の間にあるふたつの楽章、特に第2楽章は表情が硬くて、魅力に乏しいと感じられます。


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