(戻る)



フェルディナント・ライトナー


○1984年12月1日ライヴ-2

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」〜エリザベートのアリア「この厳かな殿堂には」

ギネス・ジョーンズ(エリザベート)
チューリッヒ歌劇場管弦楽団
(チューリッヒ、チューリッヒ歌劇場、再開場記念ガラ・コンサート)

ジョーンズはさすがに声が張りがあって素晴らしく、ワーグナー・ソプラノの貫禄を見せ付けてくれます。



ファビオ・ルイージ


○2009年8月27日ライヴー1

ショパン:ピアノ協奏曲第2番

ラン・ラン(ピアノ独奏)
ドレスデン国立管弦楽団
(ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール、プロムス)

ラン・ランのピアノは響きがふくよかで・ロマンティックな香りがほのかに漂うようで、なかなか聴かせます。特に第2楽章がふっくらした感触で良い出来です。ルイージの指揮は実に手堅いというか・リズムをしっかり取ったサポートで、音楽がしっかり取れているのでソロは乗り易いと思います。


○2009年8月27日ライヴー2

R.シュトラウス:アルプス交響曲

ドレスデン国立管弦楽団
(ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール、プロムス)

前曲のショパンにも言えることですが、リズムをしっかり正確に取って・しっかりした音楽作りが好ましく、曲の構造がよく分かるのは良い点だと思いますが、真面目一方という感じが若干あり、勘所ではもう少し表現に余裕を持たせても良いのではないかと不満に思うところがあります。特にアルプス交響曲のような描写音楽であると、旋律をスケール大きく・朗々と鳴り響かせて欲しいと思う場面ではそのようにしてくれないと、音楽が堅苦しく・こじんまりした感じになります。ドレスデンのオケはR.シュトラウスは得意ですが、その良さを十分に引き出せていないように思われます。



ヨゼフ・カイルベルト


○1962年ライヴ

チャイコフスキー:歌劇「エウゲニ・オネーギン」(ドイツ語歌唱)

インゲボルク・ブレメルト(タチアナ)、ブリギッテ・ファスベンダー(オルガ)
ヘルマン・プライ(オネーギン)、フリッツ・ヴンダーリッヒ(レンスキー)
ヘルタ・テッパー(ラニーナ)、ミノ・ヤーイア(グレーミン)
バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
(ミュンヘン、プリンツレゲンテン劇場)

まずロシア語とドイツ語はやっぱり語感が違うのだなあということを改めて感じさせられますが、子音が強く聞こえて・歌唱がゴツゴツした感じが特に女性陣の歌唱に強いように思われ、ブレメルトの歌唱もなかなかのものですが・いまひとつ没入しきらないのはそのせいかと思われます。しかし、男性陣の歌唱にはあまりそういう不満を感じないのもまた不思議です。プライのオネーギン、ヴンダーリッヒのレンスキーは珍しく・かつ実に魅力的な配役ですが、どちらも声が若々しく、青春の迷いと苦おしさを表現して申し分なく期待に違わない素晴らしい出来です。このふたりの歌唱を聞くだけでこの録音は価値があります。カイルベルトの指揮はテンポをしっかりとって手堅い出来ですが、押さえるべきツボはしっかり押さえてさすがです。


 

キリル・コンドラシン


○1963年9月17日ライヴ

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ独奏)
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
(ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール)

曲自体がムード音楽的な甘さを多く含んでいるだけに努めて客観性を保とうとしているようで、テンポをイン・テンポに早めにとって思い入れを入れず・過剰な甘さを避けています。こうなるとサラリとしずぎて・情感的に若干取りこぼす場面があって、もう少し歌って欲しいと思うところもありますが、そのバランスが難しいところです。全体としてはクラシック音楽の協奏曲としての品格と厳しさを持った演奏だと言えます。アシュケナージのソロはコンドラシンのコンセプトによく沿ったもので、テクニックが見事なのはもちろんですが・しっかりと制御された厳しさの感じられる造型で聴かせます。


 

アルトゥール・ローター


○1935年頃

モーツアルト:ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」

ゲオルグ・クーレンカンプ(ヴァイオリン)
ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団
(ベルリン、テレフンケン・SP録音)

今時はめったに聴けない素朴な温もりを感じさせるモーツアルトで、何か失われた大切なものを思い起こさせるような感じがします。クーレンカンプは朴訥な感じがするほどに・丁寧に音符を追っています。特に第1楽章の素朴な味わいを感じさせる演奏には、その真摯な態度に心が打たれる思いがします。オケはアンサンブルがやや粗いようです。



ミゲル・ゴメス・マルティネス


○1979年9月1日ライヴ−

ロッシーニ:歌劇「シンデレラ」〜チェネレントラのアリア「悲しみと涙のうちに生まれ」
(アグネス・バルツァ)
ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」〜フィガロのアリア「中傷とはそよ風です」
(ニコライ・ギャウロフ)
ドニゼッティ:歌劇「ルチア」〜狂乱の場
(エディタ・グルヴェローヴァ)
ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェニエ」〜シェニエのアリア「ある日青空を眺めて」
(ブラシド・ドミンゴ)
ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェニエ」〜ジェラールのアリア「国を裏切る者」
(ピエロ・カップッチルリ)
プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」〜間奏曲
ヴェルディ:歌劇「アイーダ」第2幕フィナーレ

(モンセラット・カヴァリエ、ルーツァ・バルダーニ、ジャンフランコ・チェッケーレ、
ペーター・ウィンベルガー、クルト・リドル)

ウイーン国立歌劇場合唱団
ウイーン国立歌劇場管弦楽団
(ウイーン、ウイーン国立歌劇場、サマーフェスト・ガラ・コンサート1979)

名歌手揃いだけにそれぞれ個性ある見事な歌唱を聞かせてくれます。「アンドレア・シェニエ」でのドミンゴとカップチルリの歌唱は力強く会場を沸かせます。しかし、やはり圧巻はグルヴェローヴァのルチアの狂乱の場であろうと思います。声の伸びと言い ・技巧の斬れといい見事なものですが、特にこれは若い時期の歌唱だけにその若々しさは魅力です。マルチネスのサポートは手堅いもので、歌手たちの名唱をよく引き立てています。



インゴ・メッツマッハ―


〇2012年9月8日ライヴ

ガ―シュイン:キューバ序曲、バーンスタイン:ウェストサイド物語〜シンフォニック・ダンス

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール)

メッツマッハ―らしいプログラムで、いつもとは違うベルリン・フィルの一面が聴けるところが興味あるところです。まあ音色暗めでリズムが重めに仕上がることは容易に想像が付きますが、それだからどうのと云うことではありません。ガ―シュインは、ベルリン・フィルもなかなか頑張るなあと思って聞きました。リズムが重めであることで、アメリカのオケとはまた違う濃い演奏に仕上がりました。ウェストサイド物語の方も、ベルリン・フィルは如何にも真面目な不良ぶりで、一生懸命やっています。 マンボやクールでは、ベルリン・フィルの重めのリズムがまた違った趣きを聴かせてくれます。


 

フランチェスコ・モリナーリ=プラデルリ


○1965年6月〜7月

プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」

ビルギット・ニルソン(トゥーランドット)、レナータ・スコット(リュー)
フランコ・コレルリ(カラフ)、ボナルド・ジャイオッティ(ティムール)
アンジェロ・メルクリアーリ(皇帝)
ローマ国立歌劇場管弦楽団・合唱団
(ローマ、EMIスタジオ録音)

モリナーリ=プラデルリはテンポを快速に取り、リズムをきびきびと刻んで旋律をダイナミックに切り込んで活気に満ちています。色彩感も申し分なく、エキゾチックな世界をパノラマ的に展開し、めくるめく音楽絵巻に仕上けています。その手腕は見事なものです。歌手陣はこれ以上を望めないほどの配役。コレルリはストレート一本ですがとても力強い歌唱で、カラフのヒロイックな性格をよく表現しています。ニルソンも氷のように冷たいトゥーランドット姫を見事に描いています。スコットのリューは透明で抒情的な歌唱が美しい。この曲のスタンダードな名演として第1に推せる録音と言えると思います。


○1972年4月22日ライヴ

ヴェルディ:歌劇「運命の力」〜第3幕のアルヴァーロとカルロの二重唱「最後の願い」

リチャード・タッカー(アルヴァーロ)、ロバート・メリル(ドン・カルロ)
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
(ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場、支配人ルドルフ・ビング引退記念ガラ・コンサート)

タッカー・メリルともに息の合った力強い歌唱で・ヴェルディの旋律を堪能させてくれます。モリナーリ=プラデルリの指揮も力強くて見事です。


 

ミッシェル・プラッソン


○2000年ライヴ

オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」

アンジェリカ・キルヒシュラーガー(ニクラウス)、ナタリー・デッセイ(オランピア)
ベアトリーチェ・ウリア・マンソン(ジュリエッタ)、レオンティナ・ヴァドゥヴァ(アントニア)
マーカス・ハドック(ホフマン)、カサリーン・デューン(ミューズ)
ジョゼ・ファン・ダム(リンドルフ・コッペリウス・ダペルトゥット・ミラクル博士)
トゥールーズ市管弦楽団・合唱団
(オランジェ、ローマ劇場、オランジェ音楽祭)

歌手の粒が揃っており、プラッソンの指揮と併せてとても魅力的な演奏に仕上がりました。特に素晴らしいのはデッセイのオランピアで、声の技巧の斬れが抜群に素晴らしく聴かせます。またキルヒシュラーガーの二クラウス、マンソンのジュリエッタも優れています。八ドックのホフマンも声に張りがあって、感受性の高いホフマン像を見事に表現しています。トゥールーズ市管のサポートはリズムが斬れていて・活気があって、重くならず・軽すぎることなく・オッフェンバックの音楽の魅力を余すことなく表現しています。


 

ハンス・シュミット=イッセルシュテット


○1935年4月4日

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

ゲオルグ・クーレンカンプ(ヴァイオリン独奏)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、テレフンケン・SP録音)

クーレンカンプの音楽に対する真摯な姿勢がよく現われています。テクニックで聴かせる派手なところはなく・決してスケールは大きくはないですが、この愛すべき協奏曲ではむしろ自己を押し出そうとするよりも・曲の美しさを無心に表現しようとする態度こそ望ましいと思います。朴訥な感じがするほどに・丁寧に音符を折っていくクーレンカンプの音楽は、この曲の持つ幸福感を自然な形で味わせてくれます。特に第3楽章はそうしたクーレンカンプの個性がよく出た表現だと思います。シュミット=イッセルシュテットの指揮は、クーレンカンプにつかず・離れずサポートして・とても好感が持てます。


○1937年12月20日

シューマン:ヴァイオリン協奏曲

ゲオルグ・クーレンカンプ(ヴァイオリン独奏)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、テレフンケン・SP録音)

もともとヨゼフ・ヨアヒムのために作曲された作品ですが・何かの事情で演奏されないまま、1937年11月26日にクーレンカンプの手で初演された作品です。したがって、これは初演後・一ヶ月ほどで録音されたものです。ロマン性がほとばしるような激しい表現ではなく、情熱を内に秘めた・端正で古典的なたたずまいを感じさせます。表現としてはちょっとおとなしい感じもしますが、実に落ち着いた味わいがあります。


 

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー


○1963年4月ライヴー1

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ベルリン国立管弦楽団
(ベルリン、ベルリン国立歌劇場、フェスト・ターゲ1963)

これは好演。冒頭から風格を感じさせるオイストラフのヴァイオリンが実に音楽的で素晴らしい聴きものです。余計な装飾をほどこさず・派手な技巧をひけらかすことなく、旋律の語り口が簡素でいて・線が太く・情実を余すことなく描き切っていて・それだけで確かにその通りであると感じさせます。これはリズムがしっかり取れて 息が深いからでしょう。この曲のソロとして模範的なものだと思います。じっくりして・決してはやることのないテンポも説得力があります。ロジェストヴェンスキーの指揮するベルリン・シュターツカペレも引き締まった造型で・甘い感じがなく、オイストラフのソロをよく引き立てています。


○1963年4月ライヴー2

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番〜第2楽章

ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ベルリン国立管弦楽団
(ベルリン、ベルリン国立歌劇場、フェスト・ターゲ1963)

アンコールのバッハの協奏曲でもオイストラフのヴァイオリンは実に簡素・かつ深い語り口を聴かせます。そこから厳粛な悲壮感が湧き上がります。音楽の造型がしっかりしていて・安定感が抜群です。


 

アルトゥール・ロジンスキー


○1947年

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」〜愛の死

シカゴ交響楽団
(シカゴ、スタジオ録音)

ロジンスキーはポーランド出身の指揮者で、1947年の一期だけシカゴ響の音楽監督を務めました。透明感のある響きで・テンポを早めにとったスッキリしら造型で、近代的な感触があります。ただし、ワーグナー的なドロドロした毒気は足らない気がしますが、オケの出来は見事です。



ペーター・ルツィカ


○2007年3月9日ライヴ

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

イーヴォ・ポゴレリッチ(ピアノ独奏)
ベルリン・ドイツ交響楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール)

同曲の演奏のなかでもひときわ特異な演奏だと思います。テンポは早くなったり・遅くなったり・ゆっくりとうねりながら曲が進行するが如くで、メランコリックな雰囲気が濃厚に立ち込めますが、決して甘ったるくならないのです。むしろほろ苦い味がします。旋律の息がとても長く、想念が心のなかにゆっくりと沈んでいきます。ポゴレリッチのピアノの打鍵は強く硬質で・聴き手の耳に突き刺さるように聴こえます。その響きは時に割れて・決して美しいとは言えないことがあり・これを嫌う方もいると思いますが、ポゴレリッチは音が汚れることを決して恐れないのです。とにかくテンポ変化が絶妙で、それがラフマニノフの物憂げな性格を見事に表現しています。ゆっくりとした旋律のなかに、ふっと早いパッセージが出てくると一瞬涼しい風が吹く感じがします。特に第1楽章が素晴らしい出来だと思います が、ゆらゆらと揺れながらゆったりと流れる濃厚なロマンティシズムを感じさせる第2楽章も実にポゴレリッチらしいと思います。演奏はポゴレリッチの主導のもとに進みますが、指揮のルツィカは旋律を息長く持ってポゴレリッチのソロを立派に立てています。 またベルリン・ドイツ響のちょっと暗めの重い粘った響きも、ポゴレリッチのメランコリックな解釈にとても似合っています。



クルト・ザンデルリンクの録音


○1999年3月17日ライヴ

シューマン:ピアノ協奏曲

アルフレート・ブレンデル(ピアノ独奏)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール)

好演です。まずブレンデルのピアノ独奏がとても良い。ブレンデルの得意曲ですが、音の粒が揃っていて、ひとつひとつのタッチに香り立つようなニュアンスが感じられます。旋律のすべてが生きており、流れが正確に捉えられていて安定感があります。第1楽章など表現の振幅をさほど大きくは取っていないように聴こえますが、聴く者の心にじっくり語り掛けてきます。ザンデルリンクの伴奏も、ブレンデルの行き方にぴったり寄り添う手堅い出来です。全体のテンポは心持ち早めに思われますが、旋律が実に心地良く流れて行きます。第3楽章でもリズムに任せて走るところがなく、気品と落ち着きがあります。



トゥガン・ソキエフ


○2010年11月17日ライヴ

ショパン:ピアノ協奏曲第2番

イーヴォ・ポゴレリッチ(ピアノ独奏)
フィルハーモニア管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルナーモニー・ホール、フィルハーモニア管欧州ツアー)

ポゴレリッチは同年4月28日に東京でデュトワ指揮フィラデルフィア管との共演でこの曲を演奏しました。この時の演奏は情緒的に不安定でのめりこみが強く・オケと張り合う印象が強かったですが、それと比べるとこの演奏はかなり平静状態を取り戻したような感じです。ひとつにはテンポがそれほど大きく伸縮せず、極端に長い旋律の息の詰めが見られないことなどです。その分、全体の演奏時間も短くなっているようです。だからバランスが取れて聴き易くなっており・演奏としてのまとまりも良いと感じますが、それでもユニークなポゴレリッチ節が聴けることに変わりありません。ショパンの旋律の息を実に大切にした演奏で、ひとつひとつの音が確信を以って鳴り響く感じです。時にサラリと早いテンポで弾きあげるパッセー時が煌めくように感じられます。ユニークなのはやはり第2楽章で、ここでのポゴレリッチはとても息を長く旋律を歌い、旋律が心に染み入るが如きです。ソキエフ指揮のフィルハーモニア管もポゴレリッチの息をよく取って・良いサポートを聴かせます。



ホルスト・シュタイン


○1979年9月1日ライヴ

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」よりエリザベートのアリア「厳かなこの広間よ」
(レオ二ー・リザネック)
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より「聖杯語り」
(ルネ・コロ)
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」より「冬の嵐は過ぎ去って」
(ジークフリート・イェルザレム)
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
(ビルギット・ニルソン)

ウイーン国立歌劇場管弦楽団
(ウイーン、ウイーン国立歌劇場、ガラ・コンサート)

いつもはオケ・ピットに入っているオケが舞台に上がって慣れないせいか、最初のエリザベートのアリアはリザネックの歌唱をかき消すほどオケが大きくバランスが非常に悪いのが残念です。ただし、それ以後は持ち直しますが。コロもイェルザレムの歌唱も見事なものです。ワーグナーを得意とするシュタインの指揮は手馴れたものですが、やはりニルソンとの「トリスタン」の前奏曲と愛の死が圧巻です。言うまでもなくニルソンの歌唱は威厳たっぷりで、イゾルデの死を荘厳なものにまで高めて比類ありません。シュタインの指揮はしっかりとテンポを取って造型が引き締まっており、まったく小細工をしないで・ワーグナーの音楽の純粋なところだけ表現してくれるようで実に見事です。


〇1982年10月7日ライヴ

ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲、リスト:ポロネーズ第2番(カール・ミュラー・ベルクハウス編曲)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール、1882年ベルリン・フィル第1回演奏会のプログラムを再現)

「ウィリアム・テル」序曲は、特に冒頭部・朝におけるチェロ独奏が実に伸びやかで美しい。四つの条件がくっきりと描き分けられて、オペラを得意とするシュタインらしい手堅い出来栄えです。リストのポロネーズは、リズムがよく斬れて、スケールが大きく、華やかで華麗なポロネーズとなっています。



エフゲニ・スヴェトラーノフ


○1964年1月14日ライヴ

チェイコフスキー:ロココの主題にとる変奏曲

ムスティラフ・ロストロポービッチ(チェロ独奏)
ソヴィエト国立交響楽団
(モスクワ、モスクワ音楽院大ホール)

ロストロポービッチの独奏が素晴らしく、繊細かつ大胆。旋律の細部までニュアンス豊かで聴かせます。オケは手練手管を聴かせるではなく、ちょっと朴訥な感じもしますが、音楽を素朴に奏でて 、ロストロポービッチをしっかりサポートしています。



ラルフ・ヴァイカルト


○1984年12月1日ライヴ

ビゼー:歌劇「カルメン」第4幕フィナーレ
ドリス・ゾッフェル(カルメン)、ホセ・カレラス(ホセ)、ペーター・ハレ(エスカミリオ)
ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」〜「月に寄せる歌」
ルチア・ポップ(ルサルカ)
チャイコフスキー:歌劇「エウゲニ・オネーギン」〜手紙の歌
ミレルラ・フレー二(タチアーナ)
オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」〜クラインザックの伝説
アルフレート・クラウス(ホフマン)
グノー:歌劇「ファウスト」〜宝石の歌
ソーニャ・ガツァリアン(マルガリータ)

チューリッヒ歌劇場管弦楽団
(チューリッヒ、チューリッヒ歌劇場、再開場記念ガラ・コンサート)

チューリッヒ歌劇場の再開場記念ガラ・コンサートで、何と言っても豪華な顔触れが魅力ですが、当然ながら歌唱も素晴らしい。まず特筆すべきはアルフレート・クラウスのホフマン。気品があって・分別あり過ぎにも聞こえそうなホフマンですが、とにかく声に暖かみがあって包み込まれるように素晴らしく、中間部の狂おしさは絶品です。フレー二のタチアーナは、レパートリーとして貴重なものですが、とてもしっかりした歌唱です。ホップのルサルカも実にチャーミングな歌唱です。
 



アントニー・ヴィット


○2010年2月27日ライヴ

ショパン:ピアノ協奏曲第2番

エフゲニー・キーシン(ピアノ)
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団
(ワルシャワ、フィルハーモニー・ホール、ショパン生誕200年記念ガラ・コンサート)

キーシンのピアノがクリスタルな輝きを持つ響きで素晴らしいと思います。旋律の歌い方がとても素直で、聴き手が期待するところのショパンの魅力を十二分に味あわせてくれます。第1楽章は力強い響きで線の太い音楽造りですが、一転して第2楽章の繊細かつ落ち着いた味わいも見事。特に素晴らしいのは第3楽章で、キーシンのピアノがリズムがキラキラと煌めくように感じられます。ヴィットのサポートは出過ぎたところがなく、キーシンのピアノを良く立てて好演です。


(戻る)