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べームの録音 (1973年)


○1973年ライヴ

モーツアルト:交響曲第41番「ジュピター」

ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウイーン、ウイーン楽友協会大ホール、ユニテル・ビデオによるライヴ収録)

ウイーン・フィルの弦の柔らかで艶のある響き、木管のふくよかな響きが魅力的です。ベームの指揮はウイーン・フィルの個性をよく生かして、ゆったりとスケールの大きい音楽を作っています。テンポはちょっと遅めにとっていますが、どこか表現に厳しさを秘めているようで もあります。特に両端楽章は「ジュビター」の名にふさわしい壮麗な演奏であると思います。しかし、中間楽章はちょっと問題があるようです。第2楽章はテンポの揺れが大きくて、中間部が早くなります。第3楽章はリズムが鈍くて表現に締まりがない感じがします。そういう点があるとしても 、ベームの特性がよく出ている演奏だと思います。


○1973年3月30日ライヴー1

モーツアルト:交響曲第28番

ケルン放送交響楽団
(ケルン、ケルン放送大ホール)

ケルン放送響の玄は細身で引き締まって、造形はシャープで味わいがすっきりしています。ベームの取るテンポは遅いというほどでもないですが、リズムの打ちがしっかりしているので、音楽が落ち着いて聴こえるのは、とても良いと思います。特にリズミカルな両端楽章において聴かせる端正で素朴な味わいには、ベームの持ち味がよく出ていると思います。


○1973年3月30日ライヴ-2

ブルックナー:交響曲第7番

ケルン放送交響楽団
(ケルン、ケルン放送大ホール)

全体のテンポを早めにとって、ケルン放送響の硬質で透明な響きを生かして・さわやかな印象の好演に仕上がりました。この時期のベームの特徴がよく出ていると思います。旋律線を明確にとった演奏であるので・味わいはあっさりしていて・理性的に音楽を進めているような感じはあって、これがウイーン・フィルだったらと思うところも確かにありますが、逆にベームの新古典主義的なスコアの読みははっきり分かるのです。これは意外でしたが・第1楽章でのベームはテンポを結構頻繁に動かしていて・時にスケール感を壊しているようなところが見えます。しかし、第2楽章以後はテンポの変化はあまり見えません。


○1973年9月15日ライヴ

ベートーヴェン:交響曲第4番

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール)

全体に太い藤が一本通っているような安定感のある演奏で、ベルリン・フィルの低重心の骨太の響きも素晴らしいと思います。優美さ・しなやかさよりも、堅実かつ男性的な印象を感じさせて、無骨な感じすらします。芝居っ気がなくて・テンポをしっかり取った足取りで、両端楽章は納得できる出来です。第2楽章は心持ちテンポを早めにしながらも・サラサラと流れることなく、淡々とした足取りです。旋律が息深く歌われて・心に残る演奏に仕上がっています。


○1973年11月

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」

ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウイーン、ゾフィエン・ザール、英デッカ・スタジオ録音)

ウイーン・フィルが素晴らしく、スッキリとした造型・テンポ良く流れる響きは澄み切って、音楽の展開に従って色彩が微妙に変化していくところに・細部まで心遣いが行き届いており、いかにもブルックナーらしい味わいがあります。テンポをしっかりと守りながら・音楽が決して急くことがなく、旋律をシャープに歌いながらも・自然にブルックナーの音楽のスケール感を表出しています。さすがにベームらしい・聴き応えのある名演であると思います。感心するのは四つの楽章のバランスが非常に良いことです。この交響曲はともすれば第1楽章が重くなり勝ちですが、バランスを良く締めて・緊密な構成感を保っています。その点でも中間2楽章をダレずに締めているベームの手腕は確かなものです。


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