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アシュケナージの録音 


○1995年5月5日、6日

ショスタコービッチ:交響曲第7番「レニングラード」

サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
(サンクト・ペテルブルク、英デッカ・スタジオ録音)

第2次世界大戦(対ドイツ戦)戦勝50周年記念日に合わせて録音されたものですが、そのモニュメンタルな意味を改めて考えさせます。「恩讐の彼方に」とい感じで、深い祈りと鎮魂の気持ちを強く感じさせる演奏になっています。特に弱音の部分において際立った表現で、旋律が静かに息深く、しかし沈痛な気分で深い哀しみを込めて唄われます。この印象が第2楽章・第3楽章と曲が進むにつれて、だんだん深くなっていきます。全奏部分においても鋭角的な刺々しい表現にはならず、どこか角が取れたマイルドな印象になっているのは、アシュケナージの意図だろうと思います。サンクト・ペテルブルク・フィルは、ムラヴィンスキー・レニングラードフィルの時代の硬質で引き締まった力強い高弦、輝かしく炸裂する金管など依然健在で、素晴らしい出来です。


○1997年8月13日〜18日

ショパン:ピアノ協奏曲第1番

ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ独奏)
ベルリン・ドイツ交響楽団
(ベルリン、イエス・キリスト教会、英デッカ・スタジオ録音)

アシュケナージの弾き振りによる演奏ですが、ピアニストとしての彼の・これがこの曲の初録音だというのは意外なことでした。「ショパンらしくない曲」だというので・弾くのをずっと嫌がっていたそうですが、何か心変わりすることがあったのでしょう。アシュケナー時のピアノはタッチが透明で美しく、第3楽章のリズムなど民族色も豊かで実に素晴らしいと思います。しかし、第1楽章では音楽がやや走り気味で・タッチが十分に粒立たない感じがあるのは、やはり弾き振りで・オケのコントロールに神経が行っているせいでしょうか。しかし、それでも十分に良い出来ですが。オケはドイツのオケらしい重厚は響きで、アシュケナージをよくサポートしています。


○2011年5月28日ライヴ

R.シュトラウス:23の独奏楽器のための変容(メタモルフォーゼン)

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

リズムを早めに明確に取って・旋律の線をスッキリと聴かせた演奏で、そこに古典的に引き締まった趣きがあって、聴きやすい演奏に仕上がりました。テンポ設計もなかなかのもので、中間部の高まりではテンポをかなり早くして盛り上げていきます。それも良いと思います。N響のメンバーの弦もよく歌わせています。リズムの打ちが明確でスッキリした造型であるので、世紀末的なロマンティックな響きの感覚が乏しいことは仕方ないところですが、祈りの感覚は十分に出ていたと思います。


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