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アバドの録音 (1984年)


○1984年2月

メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

テンポは若干早めにして、表現がきびきびと活きが良い。ロンドン響は響きが軽めで透明ですが、寒い風が吹きすさぶような荒涼としたスコットランドの風景を思わせます。両端楽章は若干あっさりした仕上がりで、濃厚なロマン性とはスケール感が不足するのは否めないところですが、アバドとロンドン響のコンビの良さは、中間2楽章に良く出ています。リズム感の軽やかさと、響きの軽い味わいで、小振りながらフレッシュな感覚を見せて、なかなか魅力的な純音楽的表現です。この2楽章のおかげで、小振りながら交響曲としての構成をきっちり決めているところが、アバドのセンスです。


○1984年3月11日ライヴ−1

マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌曲

ジェシー・ノーマン(ソプラノ独唱)
ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウイーン、ウイーン楽友協会大ホール、ニコライ・コンサート)

ノーマンの声は豊かで深みがあり、スケールの大きい歌唱です。特に第3曲「真夜中に」は名唱だと思います。アバドは弱音を大事にして、ノーマンの歌唱の忠実なサポートに徹しています。ウイーン・フィルの弦と木管の弱音と香気は見事です。


○1984年3月11日ライヴー2

ベートーヴェン:交響曲第8番

ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウイーン、ウイーン楽友協会大ホール、ニコライ・コンサート)

リズムが重めの感じがあるのと・ところどころアクセントが強めの箇所があり、全体に武骨でゴツゴツした印象があります。ウイーン・フィルの低音が効いているのでそういう印象になるのかも知れませんが、この曲にはもう少し快活な生気と軽みが欲しい気がしますが。スケールが大きくて・ベートーヴェンらしいと言えないこともありませんが、これではリズム主体のこの交響曲の良さが生きない感じがします。


○1984年8月1日ライヴ

モーツアルト:ピアノ協奏曲第25番

ゾルタン・コチシュ(ピアノ独奏)
ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ザルツブルク、ザルツブルク祝祭大劇場)

コチシュのピアノは音色が渋くて、ちょっと重い感じです。もう少し軽いタッチを求めたい気がします。悪いと言うのでもないですが、表情に冴えがなくて・もう少し旋律にニュアンスを込めて欲しい感じがします。アバドの伴奏は聴き物です。特に第1楽章はリズムの斬れが良く、表情が生き生きしていて素晴らしい出来です。第2楽章は落ち着いた表情が美しくと思います。第3楽章もリズムに活気があって良い出来です。構えの大きさを持ちながらも・響きが重くなることなく、表情に優雅さを失わない理想的な伴奏だと思います。


○1984年10月

メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」序曲

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

劇付随音楽という感じではなく、速いテンポで、思いの外にスッキリとした純音楽的な演奏です。オケの生き生きとした表情とリズムが楽しめますが、若干機能面が表面に出たような感じもします。


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