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アバドの録音 (1975年以前)


○1967年ライヴ

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ独奏)
RAI・ローマ交響楽団
(ローマ、RAI・オーディトリアム))

アバド・ポリー二ともに後年ウイーンやベルリンのオケでの共演と基本的な解釈は変わることなく、この時期からしっかりとした表現力と構成感を持っていることに感心させられます。RAIローマ響の明るめで・高弦に芯のある響きが細身ながらも引き締まった造型を生み出しており、そこにこの時代のアバドの若々しさが感じられます。同じことがポリー二にも言えます。打鍵は強く・質実剛健なベートーヴェンであり、リズムをしっかりと踏んでこの曲の魅力をしっかりと描き出しています。


○1970年10月10日ライヴ

ヴェルデイ:レクイエム

レナータ・スコット(ソプラノ)、マリリン・ホーン(メゾソプラノ)
ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)、ニコライ・ギャウロフ(バス)
ミラノ&ローマ・RAI合唱団
RAI・ ローマ交響楽団
(ローマ、聖マリア・ソプラ・ミネルバ教会)

テンポの早めに旋律を直線的にシャープに描いて、勢いがあって・聴き応えのある演奏に仕上がりました。勢い付きすぎた箇所もなくはないですが、若々しさのある良い出来だと思います。管弦楽も弦が力強くしなやかで、金管も輝かしく聴かせます。独唱も名歌手揃いで素晴らしいのですが、特に若き日のパヴァロッティの澄み切った唄声は心に染み入るようです。


○1971年9月−1

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

ロンドン響の響きが、明るく爽やかなイタリアの太陽を感じさせて、生き生きとした軽やかなリズムがまさにロッシーニと云う感じで、とても見事な演奏です。旋律のすみずみまで生気に満ちており、トスカニ―二の演奏と並ぶ名演だと思います。


○1971年9月−2

ロッシーニ:歌劇「シンデレラ」序曲

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

特に終結部の快速リズムがオケの重さを感じさせず、例えて云えば羽根のように軽やかです。沸き立つようなロッシーニの音楽の歓びを感じさせる見事なロッシーニです。


○1972年11月

ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

響きが透明で・木管の抜けがよく、実に爽やかな印象です。スマートで洒落っ気のある演奏に仕上がっています。オケの反応が鋭敏で・リズムの斬れが良くて、「火の鳥の踊り」など音楽が色彩的かつ軽やかです。「子守唄」は叙情的かつ透明な美しさを湛えています。「魔王カスチェィの兇悪な踊り」や「終曲」はスケール感という点ではやや小振りですが、その代わりシャープで身体の重さを感じさせないのが素晴らしいと思います。


○1974年10月

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「カルタ遊び」

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

テンポ早めに、リズム処理が見事でシャープな造形が楽しめます。オケの動きは重さを感じさせず、ダイナミックで斬れが良いので、聴いていて気持ちが良い演奏です。


○1975年2月−1

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

まず聴いて感じるのは響きが透明で、軽やかなこと。低音不足で薄っぺらということではなく、確かに重低音が強い印象はないですが、木管の抜けが良く、響きが明るく透明で、音楽が実に爽やかに感じられるのです。リズムの打ち込みを前面に押し出すのではなく、リズムの斬れ 、リズムの立ち上がりの鋭さが印象に残ります。テンポは総じて早めで、音楽全体に活気と勢いを感じます。特に前半・第1部はショッキングと言ってもよいほどの目覚しい出来です。「春の祭典」は普通は荒々しいリズムの打ち込みで聞かせる曲というイメージなのですが、こういうしなやかで細身の「春の祭典」はこれまでとは別感覚の名演という気がします。「重くない」ということがこの演奏の特徴なのです。第2部もリズムの斬れと色彩感の絡み合いが鮮烈な印象を残します。


○1975年2月ー2

ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲、歌劇「泥棒かささぎ」序曲

ロンドン交響楽団
(ロンドン、独グラモフォン・スタジオ録音)

ロンドン響きの軽やかで、リズムが斬れており、表情が生き生きとしてロッシーニの音楽を楽しませてくれます。アバドとロンドン響の一連のロッシーニの序曲の録音は、ほどの良い大きさと軽さを持って、それだけでロッシーニと云えるような楽しさに満ちています。


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