四国霊場巡拝に参加して


この度、鷲林寺筆頭総代をお世話していただいております、鷲林寺町在住の甲斐富男さまからご投稿をいただきましたので皆さまにご紹介させていただきます。甲斐さまは、長きに渡り、当山の筆頭総代として寺の運営・寺の事業促進などにご尽力いただいている方です。また、JA西宮の組合長としてご活躍された、当山にとりましても農業界にとりましても大切なご人体であります。
昨年、病気を患われ、少々歩行に不自由されているお身体でありましたが、この度の四国八十八ケ所霊場巡拝を挙行するにあたり、是非参加していただきたいとご無理を申し上げ、参加していただきました。
そんな甲斐さまから、四国霊場で体験された不思議なおはなしをご紹介していだきました。


        

鷲林寺 筆頭総代
甲斐 富男

平成14年3月25日から27日にかけて、住職に誘われて四国八十八ケ所霊場巡拝に同行させていただきました。
昨年に病気を患い、少々歩行に難を伴うため、現在もリハビリに通っております関係上、住職に勧められたものの参加できるかどうか思案しておりました。しかし、住職の強い勧めと、家内が同行してくれるということもあり思い切って参加することにしました。
住職からお聞きしていましたことは、
「四国霊場のお寺は、昔と違って整備されていて、ほとんど歩く場所はありませんから大丈夫ですよ。お大師さまが必ず導いてくださいます」
という内容でした。しかし、四国霊場は整備されたというものの、難所といわれる場所も多く、なかなか大変なところがあると聞きます。私も、四国の地には何度も足を運んでおり、単発ではありますが、札所のお寺も数ケ寺お参りしたことがあります。住職が言うような、そんな甘いものではないとは思っておりました。
実際にお参りいたしますと、整備されたというものの坂道もあれば階段もある。すべてが楽にお参りできる環境にはありませんでした。少々歩行に難があります関係上、足に器具をつけて杖をついての参拝です。皆に遅れてはならないと思い、常に先頭グループで歩行しました。
私にとりましては、初めての巡礼です。納札をおさめて、ろうそく・線香をお供えして、お経を読んで・・・一日目は何が何だかわかりませんでした。
2日目は様子もわかってきて、マイペースで巡拝することができました。不思議なことに、スムーズにとはいきませんが、坂道も階段も難なくこなせました。参拝の皆とも仲良くなり、楽しい雰囲気のもと巡礼を続けることができました。
2泊目は23番札所・日和佐の薬王寺というお寺でした。最終日の朝、午前6時から本堂にて朝のお勤めがあるということでしたがその日は朝から大雨でした。おまけに薬王寺の本堂までは長い石段があります。石段は雨水が流れ、川のようになっていました。本来ならばお勤めの間、本堂まで行かずに下で待っていたと思いますが、本堂まで上がりお勤めに参加することができました。そして、最終日も元気に巡礼を続けておりました。昼頃には雨もあがり、雲の切れ目から青空が見え始めたころ、昼食場所の19番札所・立江寺に到着しました。
その時です。足につけていた歩行器具を装着していないことに気がつきました。昨晩宿泊した薬王寺に忘れてきたのです。今までは器具を装着しなければ歩行が困難でしたが、器具を着けていないことすら忘れてしまっておりました。そして、阿波の国(徳島県)一国、23ケ寺を巡拝することができました。
巡礼を無事終えて1ヶ月を経過した今も器具を着けずに歩行しております。
住職が言ったように、お大師さまのお加護をいただいたと喜んでおります。ありがたいことです。
来年もぜひ参加させていただきたいと思っております。      合 掌
甲斐 富男・貞子ご夫妻


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