塔婆(とうば)とは何か?
待ちに待った親しい友人からの手紙。私たちはそれがどんなにかうれしく、心が躍ることでしょう。
亡くなった方々も、私たちのお便りを心待ちにしておられます。お塔婆は亡くなった方々へお出しするお手紙なのです。
お塔婆をみますと、見慣れない文字が書いてあります。これはインドの文字で梵字(ぼんじ)といいます。わたしたちが幸せに毎日を送り、仲良く暮らしていることを亡くなった方々にお知らせすることで、あの世とこの世に生きるものを結ぶ手紙の役割を果たしているのです。わたしたちが、この世で精一杯世のため人のために生きているということを報告することが、亡くなった方々への何よりの供養になるのです。ご先祖は、わたしたちが真心込めて出した手紙を受け取って、まわりの仏さま、菩薩さまや仲間の方々にお見せになってニコニコと喜ばれるのです。お塔婆に施主(せしゅ)供養をされる人の名前が書いてあるのは、差出人の名前ということになります。志すところのご先祖のお名前を書いて、最後に切手をはらなければなりません。それがお寺での供養となるのです。
ところがこの世の中には一度の供養も一本のお塔婆もあげてもらったことのない無縁仏(むえんぶつ)がはかり知れないほどおられます。この無縁仏にみなさんが一本のお塔婆を供養することは、その慈悲の心により、その心がけにより、自分はもちろん家族中が幸せに暮らすことができるようになるといわれております。
塔婆とはインドのことばでストゥーパといい、形の大小や材料の違いはありますが、だいたい上から空(くう)・風(ふう)・火(か)・水(すい)・地(ち)の五大(ごだい)をあらわした円や四角に刻まれています。これは大きな意味では大宇宙、小さな意味ではお釈迦さまをふくめて私たち人間のからだを、さらには、そのわれわれと宇宙とがひとつであるということの現れであることを表現したものです。