お葬式について


平成14年1月21日の毎日新聞に、全国最大手の五助会系冠婚葬祭会社が、葬儀紹介をめぐり、特定寺院からリベートを受け取ってきた問題で、葬儀社が営業所業務を受託する下請け会社らに対して、リベート受け取りを禁止する通達をしたことを報道しています。
毎日新聞がリベート問題を報道したことがきっかけであると報じていますが、今後の寺院紹介システムの見直しが大きな課題となるであろうと結んでいます。

続けて、平成14年2月11日の同新聞に、葬儀の際、お布施などの一部が特定寺院から冠婚葬祭業者へリベートとして流れている問題を取り上げ、新たに大手葬儀社がリベート廃止を決めたことを報道しています。これによると、葬儀を紹介された寺院がお布施の平均一割分を還流し、「電話代」などという名目で受け取っていたとのこと。
また、ある営業所では、お布施の二割から五割のリベートを寺院から受け取っており、その見返りとして葬儀を紹介してもらっていることが発覚したことを報道しています。

このような業者や寺院があることはうすうす知っていましたし、寺院同士でも話題にのぼっていました。お葬式でリベートのやり取りがあること自体、残念なことであると思います。
葬儀とは、人生を一生懸命生きてきたひとりの人間が、その一生を終わり、家族 友人 知人などがあい寄って、故人の徳を偲び、感謝して成仏されるように心をひとつにしてあの世に送る儀式であります。
もちろんそれに関わる僧侶は誠心誠意拝むものです。それを、葬儀紹介料としてリベートのやり取りがあるということは、葬儀を商売としか考えていないようにとれるし、個人のご遺体を商品として扱っている行為であり、極めて遺憾なことであります。人がひとり亡くなるということが、どのようなことなのか。またそのご家族が、どのようなお気持ちでおられるのかということを一緒になって考えるというくらいの配慮があって当然であると思うのです。

また、葬儀の際に「戒名」をおつけしますが、「戒名」には、故人の性格 人柄 仕事 功績など様々なことを託してお授けするものです。それが、その人とはじめて出会うのが亡くなられてからでは、いくら僧侶とはいえ、その人の性格 人柄などはわかるはずもありません。普段から親しくお付き合いをしていて、はじめてその人の性格 人柄というものがわかってくるものです。僧侶とてスーパーマンではないということです。

私は僧侶ですが、もし自分が亡くなったとき、自分が尊敬する方に拝んでもらいたい。せめて、知っている方に拝んでもらいたい。“はじめておめにかかります”はご遠慮申し上げたいものです。

葬儀のことは申し上げにくいことであり、亡くなる準備という意味だけではありませんが、突然のご不幸が起こったときにあわてないように、普段から寺院等と仲良くなっておくことが肝要であると思います。

業者 寺院にも大きな問題がありますが、皆さまも寺院の敷居を低く感じていただき、気軽に声をかけてみてください。恐らくニコニコとした笑顔でお寺の方が迎えてくれると思いますよ。

それと寺院は葬儀 法事だけをする場所ではありません。地域の方の憩いの場であり、心のふるさとであるということを付け加えておきます。

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