輪 廻
輪廻の原語はサンスクリット語のサンサーラである。「流れること」という意味である。古代インド人は、生あるものがさまざまな形態の生を繰り返すことをサンサーラと呼んだ。良いおこないをすれば、来世ではすぐれた人間などに生まれ変わり、悪いおこないをすれば、より下等なものに生まれ変わる。よって、この世の中では良いおこないをしなければならないというのが、業思想や輪廻思想といわれる考えであった。
しかし、この生き死にの繰り返しをすることによって、永久に生・労・病・死の苦しみを繰り返さなければならない。この苦しみから逃れ出ることがインドの宗教家の最大の課題であった。そして、この輪廻から脱出できる思想である解脱(げだつ)が考えられるのである。


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