お盆のはじまり


目連尊者のものがたり
お盆のはじまりは『仏説盂蘭盆経』というお経をもとにしています。
このお経は、お釈迦さまのお弟子さまのひとりである神通力の一番の使い手である目連尊者の物語です。
ある日もくれん尊者は、亡き母が“あの世”で幸せに暮らしているかどうかを神通力を使って見てみました。しかし、どこを探しても母の姿が見つかりません。どうしたことかと思いすべての世界を探しました。するとなんということでしょう。母は餓鬼の世界で苦しんでいるではありませんか。
餓鬼の世界は食べることも水を飲むこともできない苦しみの世界です。母はやせこけて、骨と皮とだけになって見るも無残な姿となっていたのです。
どのようにしたら母を救うことができるのでしょうか。目連尊者はお釈迦さまに問われます。お釈迦さまは静かに目連尊者に言われました。
「目連よ。あなたの母は人を施すことをせず、自分勝手な人間であった。だから餓鬼の世界に落ちたのです」
とさとされたのです。
「では、どのようにすれば餓鬼の世界に落ちてしまった母を救うことができるのでしょうか・・・」
目連尊者の問いにお釈迦さまは
「ウランバナという期間に十方の衆僧に供養して母の追善供養をしなさい」
と言われました。
お釈迦さまの言われるとおり、目連尊者は十方の衆僧 すなわちすべての修行僧に施しをして母の供養をしてもらいました。十方の衆僧に施しをするという意味は、自分の母だけに供養するだけではなく、すべてのものに施しをすることが大切であるということです。
その結果、母は餓鬼の世界から救われました。
このお話がお盆のはじまりとされています。

Q 目連尊者の母は
餓鬼の世界に落ちるほどの悪人だったのでしょうか
目連尊者の母は決して悪人ではありませんでした。
実は、家がとても貧しく子供もたくさんいたのです。自分の生活がとても苦しく、他人のことまで考える余裕がなかったのです。
そういうわけで他人に施しをすることができず、餓鬼の世界に落とされてしまうのです。
少し可愛そうな気がしますね。

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