枕経・通夜・葬儀

枕　経(まくらきょう)
人が亡くなられますと、まずお坊さんが家に来て枕経をあげられます。枕経とは普段寝ていた布団にご遺体を寝かせて、お経をあげます。これは悪魔をしりぞける一つの方法といわれます。亡くなって精神的に非常に不安定な状態にあるため、いろいろな悪魔にまどわされる可能性があるといわれます。
｢あなたは亡くなったんですよ。いいところに成仏してください｣
となくなった方にお坊さんが伝えるのです。
また、枕もとにカミソリの刃や金物をおいたりする習慣も残っています。これも悪魔に襲われないようにするものとしての意味です

末期の水(まつごのみず)
ご遺体に末期の水をさしあげます。これは、死んで間もなくの人が、のどが渇いたまま次の世界にいくのはつらく、かわいそうであるということから行われるようになりました。コップにくんだ新鮮な水を脱脂綿やガーゼにしみこませて亡くなった人のくちびるをうるおしてあげます。また、しきみの葉でする場合もあります。

湯　灌(ゆかん)
むかしは沐浴(もくよく)させたようですが、現在はアルコールをふくませたガーゼなどできれいに拭き清めます。これは現在の汚れを拭い取り、きれいな体で仏さまの世界にいけるように願う意味があります。遺体を棺に納めるまえに拭き清めて、きれいな着物に着せかえます。

通　夜(つや)
通夜は亡くなった人が、人として最後の夜です。亡くなった人をしのび、その徳をたたえます。近親者が亡くなった人を取り囲み、寂しくないように、また悪いものにとりつかれないように見張りをする時間・空間であるのです。静かな心で亡くなった人を思い出し、しのぶものです。

葬　儀(そうぎ)
葬儀は葬式ともいいます。亡くなった人が仏さまの世界に無事にいけるように仏さまにお願いいたします。仏さまをお招きして、その前に遺体を安置します。祭壇を組んでお供えものをしたりお花をかざったりします。このお供えものは亡くなった方に対してのものと考えられがちですが、本当は本尊さまにお供えしている意味があります。仏さまの世界に成仏(じょうぶつ)するために仏さまの世界に必要な法をお坊さんが授けます。この作法を授戒(じゅかい)といいます。この法をもって、仏さまの世界への修行の旅がはじまるのです。

一本線香(いっぽんせんこう)
なお、亡くなられてから４９日間､満中陰までは一本の線香をおまつりします。普段は三本線香が通例ですが、亡くなられた方に対して、線香の煙がこの世からあの世への道しるべと考え、迷わずに成仏してほしいという私たちの願いから一本の線香をお供えします。線香については｢線香｣の項にて詳しくふれます。

葬儀の棚一例

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