本尊 十一面観世音菩薩
じゅういちめんかんぜおんぼさつ

ごく一般的な観音さまの頭の上に十一の顔がある仏さまです。
人間にもいろいろな心があるように、そのかたちを表したものが十一の顔なのです。
十一面の構成にもいくつかのパターンがあります。大きく別けると本面のお顔と十方を示す十面を合わせるものと、本面と別に十一面を加える例が日本には残っています。
なお十面の意味は、左の三面が怒りのお顔、前の三面が菩薩の静かなお顔、右の三面が菩薩の表情をしながら牙をむき出すお顔、そして裏側にある一面が大笑いをするお顔となっているのが一般的なものです。
右手には蓮の花をもち、左手には数珠をもっているかたちが一般的な十一面観音のお姿です。因みに、数珠のかわりに錫杖(しゃくじょう)をもち、岩座に立つものを「長谷寺式十一面観音」(はせでらしき)と呼ばれております。
寺伝によりますと、弘法大師の御作と伝え、大変古い仏像です。昭和初期に鑑定に来られるという噂が出て、文化財などになれば地元の観音さんではなくなるということから、村人が金箔をはって新しいものに偽装したとの伝説があり、胸から下にそのなごりが残っております。 

鷲林寺本尊 十一面観世音菩薩(4月21日のみ開帳)

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