法要と法会
その2

当HPの「仏事の豆知識」中の「法要と法会の違い」で簡単な説明をさせていただきましたが、もう少し詳しく書いて欲しいとの要望があったので手を加えて掲載します。

○○寺の落慶法要とか施餓鬼大法要とか彼岸法要とか“法要”ということばを使われる方が多くなってきた。宗教新聞においても、“法要”ということばを使われている記事をよく見かける。顕教においては“法要”ということばを使用するのかもしれないが、我が密家では多く“法要”と呼ばれているものは“法会”と呼ばなければならないと思う。

法 会
法会とは落慶法会とか施餓鬼法会とか彼岸法会とか、いわゆる法会全体のことをさすことばである。
法会には大きく分けて顕立と密立がある。顕立は顕教流の法会であり、密立は密教独自の法会である。

顕立法会
講式中心の法会・・・常楽会など
経中心の法会  ・・・大般若会・仁王会など

密立法会
講式中心の法会・・・弘法大師降誕会・不動講・明神講など
経立法会     ・・・理趣三昧会・経立曼荼羅供など
呪立法会     ・・・呪立曼荼羅供・各種洛叉会・光明三昧会など

これらの他に講讃の法会があり、顕立と密立とともに使用する。

以上のほかにも我が宗には様々な法会があり、真言僧としての勤めとなっている。

法 要
法要とは法会を荘厳する部分のことをいう。仏陀教法の枢要を選出して法味を捧げるゆえに法要というのである。

これに大きく分けて三種ある。

一箇の法要
三禮 如来唄を使うもので顕立法会・密立法会に通用する。

二箇の法要
唄と散華・対揚とをいう。
唄には如来唄と云何唄とがあり密立法会には云何唄と決まっている。
散華・対揚はひとつのもの(散華より対揚を開くという意味)であり、唄と散華・対揚のふたつの法要で二箇の法要という。
なお、散華にも密立と顕立によって中段が変わってくるがここでは略す。
  
二箇の法要が使われる法会として土砂加持法会・曼荼羅供・理趣三昧法会などがあり、いずれも密立の法会である。
なお、仏生会などのように如来唄に釈迦散華を加えて顕立法会に使用する場合もある。

四箇の法要
唄・散華・梵音・錫杖をいう。この四箇の法要を使うものは顕立法会に限る。唄は如来唄、散華は中段を釈迦やそれぞれの本尊讃を使用する。
四箇の法要が使われる代表的なものに常楽会がある。


まとめ
法会・法要の内容はここでは略すが、法会とは土砂加持や大般若や理趣三昧などといった法会全体をさすものであり、法要とは法会の中で、法会を荘厳する部分(パーツ)のことである。
よって、くどいようだが、落慶法会とか施餓鬼法会とか彼岸法会といわなければならないのであって、落慶法要ということばなどをここでは使ってはならない。

実例をあげれば
「法要付理趣三昧」ということばをとればわかることだが、理趣三昧法会のなかに云何唄と散華・対揚という法要を付けるという意味になる。法会を法要と呼ぶのならば
「法要付理趣三昧法要」
と実に妙なものになる。

また、高野山真言宗宗務所内の法会部も、法要部とはいわないところにもご理解いただけることと思う。