人生 楽しく生きる方法

むかし、むかしのことです。ある村にモハメッドという人が住んでいました。モハメッドは神通力がつかえるということで有名な人でした。ある日、モハメッドは村の人たちに向かって宣言しました。
「明日の朝、あそこにそびえ立つあの山を動かしてみせましょう」
たちまちに、その噂は村中に広まりました。
翌朝、モハメッドの神通力をひと目見ようと大勢の人々が集まってきました。時を見計らいモハメッドは山を指さしながら集まってきた人々に向かって言いました。
「今からあの山を動かして見せましょう」
「山よ動け!」    ・・・・・
山はびくりとも動きませんでした。
今度はもっと気合を入れて大きな声で
「山よ動け!」
しかし、山はまったく動く気配がありません。
人々がざわつき始めました。
「モハメッドは嘘をついたのか?」
「はったり野郎だ!」
ざわつき始めた人々を気にすることもなく、モハメッドはもう一度気合をいれました。
「山よ動け!」
しかし、結局山はびくりとも動かなかったのです。
モハメッドは人々の方にむきなおり言いました。
「皆さん、ご覧のように山はびくりとも動きませんでした。それでは私が山に向かって歩いていくしかありません」
そう言って、モハメッドは山に向かってスタスタと歩き出しました。

というお話ですが、モハメッドのとった行動について皆さんはどう思われますか??
実はこれでいいのです。
モハメッドは大勢の人々に嘘を言ったではないかと思われる人も大勢おられることでしょう。確かに嘘をついたようにも思われますが、結局山は動かなかったのです。だからモハメッドは自分から山に向かって近づいていった。それだけのことなのです。

何の意味もないお話のように思うかもしれませんが、実はこれは大切な意味のあるお話なのです。皆さんも永い人生を生きているうちに、ひとりやふたり、顔も見たくないような嫌いな人がいるでしょう。しかし、心のどこかでその人ともう一度うまくやっていけたらいいのにな・・・と思う心が少しは残っていませんか?
実は、その人と仲直りすることができる方法があります。相手が折れてくるのをいつまで待っても解決はしません。そうです。自分から折れていくことが解決策なのです。

モハメッドは山を動かそうとしました。しかし、山は動いてくれなかった。そして、自分が動いて山に近づいていった。結論として、モハメッドは山に近づくことができたし、山に登ることもできたのです。

相手が折れなかったら、自分から折れていく。そのくらい大きな心がなければいけないよ というお話でした。