その29  “間”の大切さ


最近、街を歩いている人たちの格好が変わってきました。おしゃれとも流行とも言いますが、むかしと変わってきたことは確かです。髪も金髪やカラフルな色に染めています。私が学生の頃、といってもそれ程むかしではありませんが、髪を染めるとかパーマをあてるとか、それが見つかれば退学か丸坊主でした。もっとも、私は中学時代も高校時代も大学時代も丸坊主でしたが・・・
自由という言葉が往行する昨今、少しばかり「何でもあり」という兆しが強いとも思います。また、“権利” “義務”という言葉をさかんに言うようになりました。親は子供を生んだ以上は親が教育し育てる“義務”があり、子供はおこづかいをもらう“権利”があると・・・
宗教では、ありがたいということを説きます。たとえお金があっても食べ物がなければ買うことができません。食べ物がなければ生きてはいけません。作ってくれる人がいるから食べることができる。作ってくれる人がありがたく、その人たちに感謝しなければならない。さとれば皆がありがたくなってくるのです。ありがたいと感謝することができるようになれば、無理を言わなくなり行儀がよくなります。それが人間というものの智恵です。
人間の“間”とは隔たりのことを言います。間がなければ衝突をします。間があれば衝突しません。この間をとって、衝突しないように考えて生きていかなければなりません。夫婦でも、あまり間がひっつきすぎるとしんどくなるし、逆に間があきすぎると水臭くなります。この間をどのくらいあけるかということも大切ですね。
この間が抜ければ“間抜け”になり、間が違ったら“間違い”になります。人間は「人の間」です。これは親子の間、夫婦の間、友達の間、兄弟の間、上司との間などなど、その間をお互いに仲良くして助け合って生きていくこと。これを“間”というのです。

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