その28  “うんこちゃん”ありがとう


私の尊敬する先生はあちらこちらに講演に行かれます。その講演内容は素晴らしく、いつも会場は満席状態で毎回立ち見が出ます。
ある日、先生のお宅にお邪魔させていただき色々とお話を伺っていました。その中で、
「私は年間を通してたくさんの講演に行くが、一番困るのが幼稚園児くらいの年令の子供を対象に話をしてほしいと依頼された時です」
と言われました。小学生になれば、ある程度の教育を受けていますから、人の話を聞くという姿勢を知っています。ところが、幼稚園児くらいの年令は人の話を聞きません。隣の子供とお喋りをしたり、時間が少したつとウロウロしたり、泣き出したり・・・お話にならないそうです。そこで長年の経験において、そんな場合は“うんこ”の話をされるそうです。
小さな子供は“うんこ”や“おしっこ”というものに、そして言葉に大きな反応を示します。“うんこ”や“おしっこ”と言えば必ず
「きたない」とか「くさい」とか言って喜びます。そこに注目されたというのです。
「みんな朝起きたらおしっことかうんことかするよね」
そう語りかけると、子供達は何らかの反応を示して話しに食い入ります。そこで
「みんな食事をするよね。その食事は口から入って体の中を通って栄養を吸収して体のエネルギーとか血とか肉とかになっていくんだよ。そのカスがうんことして体から出ていくんだよ。そして、そのうんこの形とか、色でその日の調子もわかるんだ。だからトイレでうんこを流すとき、“うんこちゃん”ありがとうと言ってごらん。きっとうんこちゃんが手を振ってくれますよ」
とか言って、食生活の大切さなどの話をすると言われました。それが、ひとつのテクニックであり、その年齢層にあわせたお話の仕方であるということです。
子供を叱るときでも、立ったまま叱りますと子供に威圧感を先に与えてしまいますから、座って子供の目線で叱れと言います。大変参考になるお話でした。
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