その21  俺は偉い人間だ!!


人間は「俺が 俺が」といって生きています。思うようになりたい、思うようにしたいと考えて生きています。よいものを見たら、あれが欲しいこれが欲しい、あのようになりたいと思います。そして、悪いものを見たら俺のほうがましだと思います。そして、ものごとの競争をします。負けたら腹がたち、勝った人を憎みます。
また「俺が偉い」と思う慢心が煩悩となります。俺が偉いと思っているので、他人が自分と違うことを言うと気に入りません。俺に向かって何を言うか!俺に向かって失礼な奴だ!「俺が 俺が」というものがあります。いわゆる人間は自分中心でものごとを考えがちです。自分が一番かわいいからそのような気持ちが出てくるのです。
そこで、この世の中で良い人間とほめられるためには辛抱することも大切です。無理をせずに「俺が 俺が」と考えずに、気ままを言わずに行儀よくする努力が必要です。庭の松の木も
「ええ松ですなあ」
とほめてもらうためには、時間をかけてはさみを入れて手入れするから良くなるのです。悪い枝は切り落として、行儀よくみせるように手を入れるのです。人間も不自由なところは辛抱して、出すぎたところは切り落とさなければだめですね。
たとえば、小さな穴に太いものを通そうとしても無理があります。たとえば、小さな穴の針に太い糸は無理ですが、大きな穴の針に細い糸ならば通りやすいです。また、どうすれば通りやすくなるかというと、糸の先を湿らせて真っ直ぐにすれば通りやすくなります。糸の先がゆがんでいては通りません。人間の心も同じで、真っ直ぐだと通りますが、ゆがんでいるから通らないのです。通らないからといって無理をするとますます通らなくなります。無理をするから人間の心がますますゆがんでくるのです。真っ直ぐになれば一発で通る。そこで悟らなければいけません。これが仏教の教えです。
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