その20  人間にとっての毒 ベスト3


人間にとって毒になるものはたくさんあります。その中でも3つの毒は、心の中に起り平常心を無くさせます。仏教ではこれを“三毒(さんどく)”といいます。それは、貧・瞋・癡(とん・じん・ち)といい、三つの煩悩です。
貧(とん)とは好きのものがあれば欲しがるという欲が深いという毒。瞋(じん)とは気に入らないことがあれば腹をたてるという毒。癡(ち)とは自分の思い通りにならないことに愚痴を言うという毒。これら三つの毒が一番いけないものとされています。
人間は、鳥を見たら焼き鳥や、牛を見たらステーキや、豚を見たらトンカツや、獣をみたら毛皮のコートやとか言って、欲にかかったらものの生命をとるくらいへっちゃらです。
また人間の感情に喜びと怒りがありますが、どちらかといえば怒っている方が多いですね。生まれたての赤ちゃんでも、喜ぶという感情を持っているのかどうかはわかりませんが、気に入らないことがあると青筋立てて泣いています。気に入っているときに眠っています。赤ちゃんを見ると、人間は生れてからすぐに怒る感情をもっていることがわかります。それが、年をとると余計に怒るようになります。何十年も人間をやってきて、世間のこともよくわかっているような人でもよく怒っています。人によれば年から年中怒っている人もいます。
ものの道理がわからずに愚痴ばかり言う人があります。これは自分に自信がないから、不平不満が怒り愚痴になるのです。あの人がどうだとか、こうだとかよく耳にしますよね。
これらの貧・瞋・癡という毒を教えによって分解し、調節すれば世の中の悪を退治することができます。
肩がこって困っている人がいます。これは、悪いものが血の中に混じって一ヶ所にたまって“こり”になるのです。この“こり”は、さすったりもんだりすれば、その悪いものが散って楽になります。人間の心の毒も“こり”と一緒であり、その毒を散らすものが仏法なのです。仏法を聞いて、いつもさわやかな心で、きれいな心で生活をすることが大切なのです。
静かなところに行けばその静かさを味わい、難儀なことがあればその難儀を味わう。良いことがあればその良いことを味わう。その心が仏教です。
花が咲けばきれいだなあと言って喜び、青葉を見てすがすがしいと言って喜び、月がでたら情緒があると言って喜び、雪が降れば子供の頃を思い出して喜ぶ。その場その場に順応して何事にも感謝して生きることが大切です。楽しかったら笑えばよいし、悲しかったら泣けばよい。心に障りがなければ家庭内が安全になるのです。それで家内安全というのです。
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