その12  自然の法則に逆らわない生き方



お寺にはたくさんの人が来られます。檀家さん、信者さん、法衣屋さん、仏壇屋さん、電気屋さん、ガス屋さん、水道屋さんなどなど・・・うちはハイキングコースにもなっていますから、たまに道巡を聞かれる人もおられます。
先日、友人と約束があって出かけようとしたところに、遠方からの信者さんが急に訪ねてこられました。これから出かけようというのに、えらいことやと思いました。しかし、せっかく遠方から来られたのにほっていくわけにもいかず、少しだけ話をしていると、約束していた友人から電話がかかってきて、もう20分も待っていると言います。せっかく遠方から訪ねてきていただいたのに、追い返すわけにも行かず、大変困りました。しかし、友人との約束がなければそのお客さんは大変懐かしい人であり、まあ、久しぶりですね。お元気でしたかということになります。
そこでよくよく考えてみますと、そのお客さんには問題はないのです。私方の勝手でそのお客さんが良くなったり邪魔になったりするものです。皆さんもこんな経験がありませんか?
この難儀は自分の意識の上での難儀であります。自分の勝手で良くなったり悪くなったりするものです。この世の中には約束ごと、法則があります。たとえば、自然がそうです。春は春の色があり、夏は夏の色がある。砂糖は甘く塩はからい。すべて法則に基づいています。人間は人間、犬は犬、魚は魚、鳥は鳥で、それぞれにその姿が違って生活をしているのが自然の法則です。
人間は、その法則を勝手気ままに解釈をして、自分の中で法を作って無理をします。無理をすれば争いになって戦争になります。この戦争は、人間の心が戦争をおこすのです。
仏教はさとりを開くというのが仏法であり、助けられる救われるというのが宗教でありますが、助けられる救われるということが中心ではありません。自分が精神的にも肉体的にも修行をして、自信をおこして、自然の姿をみきわめて、それに調和を保持して生きていくことが大切なのです。自然に逆らわずに生きることが大切だと思います。

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