茶臼山(美ヶ原)へ東から登る


 五月晴れ、どこか登らなくては、と考え、美ヶ原の茶臼山(2006m)を思いつく。東側のビーナスラインからの2万5千図の破線が以前から気になっていたので出かけることにした。ビーナスラインができる以前の登山地図には、茶臼山に真東から登る道が書かれている。以前下の方を歩いてみたことがあったが、何だか分からなく、そうだビーナスラインで切られていて、当然荒廃していると納得。その後ビーナスラインの上は確かめなかった。丁度、時間も時期も適当と思い出発。
 登り口と思われるあたりに、バス停があり、道路が広くなっていたのでそこに駐車する。ビーナスラインは無料化されているせいか、オートバイライダーが多く走っていた。工事中立ち入り禁止の札と工事の車道が上に伸びていたのでそこから登りだす。
 それは、砂防堰堤の工事現場だとすぐ分かる。沢の左岸にある道を登りだす。道はよく踏まれていたが、それは工事のためだった。工事現場の上部は索道?を固定するワイヤーが木に固定されている地帯に入り、道は無くなってしまう。
その工事のための地帯をすぎ、しばらく苔むした沢状の場所を登ると、何となく細い山道の跡が現れた。それも消えそうになったりして、シカの糞?だらけのけもの道の交錯する地帯を、ティッシュの目印をつけながら、慎重に道形をひろっていくと、しだいに上の雰囲気が出てきて間もなく尾根に出た。
尾根に出る手前にほんの少し残雪が残っていた。東側への道の降り口は、道形がかすかに残っているかな?程度で、道標も無く、バス停へ向かってここを降りる一般登山者はいないだろうと思われた。美ヶ原の尾根に出たとき、人もほとんどいなく、樹林帯から広大な台上に出て気分が開放されるようだった。
 「水色の天に霞むや穂高岳」
茶臼山頂上には3等三角点があった。もちろん、八ヶ岳方面から御岳の方まで、展望が広がっていた。登山者が一人挨拶をして下りていった。山頂から少し離れた西側に中高年登山者の大グループが昼食中だったので、そそくさと休憩して下山する。
茶臼山の標高が今年の年号と同じということには気づかなかった。
帰り道、ふと気づいたら「熊鈴」を落としてしまったのに気づく。道もはっきりしないので、また登るずくが出ず、そのまま下ってしまった。熊鈴を落としたのはこれで2回目だ。砂防堰堤付近まで下りてきたら、間近で鹿の鳴き声がした。しばらくしてまた一声。それに続いて、犬のような「ワウ」というような声が聞こえ、また何声か鹿が鳴いていた。狩猟シーズンでは無いし、犬?と思う。熊はあんな声かな?この山中は鹿のフン?だらけだったのでそうとう鹿が住んでいることは確かだ。
 標高差が400m程度の軽い登山だったが、道が荒廃していて適度に不安感があり、面白かった。頂上付近は早春、中腹から麓は春の盛り、下界は晩春の明るい一日でした。
 「熊鈴を落として今日もぶじ下山」(2006,5,21)