虚空蔵山(菖蒲平コース)


うえだトレッキングナビで見ると,坂城町の林道太郎山線を谷川の方から行き,天神平分岐点から直登するコースが載っていたが,先週の日曜日の午後来た時も登り口がはっきりせず,分岐点から南西に伸びる未舗装の道を行くと,何と虚空蔵山の西へ伸びる尾根上のほんの間近まで車で行けてしまった。 尾根上には,よく整備された登山道があったが,時間もなく,帰ってきてしまった。 今日は,天神平分岐点から,直登してみようと思い,分岐点近くの水飲場の一つ東にある沢状の地形の踏み跡を登ることにする。出発2,20。
間もなく,踏み跡はほとんど消え,ヤブになってしまったが,登りきる尾根が近くに見えるので,そのまま行く事にする。バラのつるが腿を刺してくる。何十年も前の春先,弟達とここを下った事があったが,その時はここは,石ごろごろのガレ場だったような気がする。やっと,尾根に出ると,先週もっと西の部分で見たように,よい登山道が尾根上を走っている。青いテープも所々ついている。急な最後の登りで,一番西のピークに3時頃ついた。
すると,そこに,カマを振るって登山道を整備されている方がいた。先週,今週と,最近は本当のヤブだった虚空蔵山の西に伸びる尾根上に刈り払いがなされ,よい登山道と言ってよい状態になっているので,どこかの山岳会か,地域でやっているのかな,と思って,聞いてみるとその方が1人でされているとの事。坂城町網掛にお住いの「鳴海さん」という方でした。鳴海さんは,退職されて2年目(62歳)になるが,退職されてから,身近なこの道を整備(というより作る)ことを思い立って1人でされているとの事。先週見た西の尾根付近からこの山頂までのコースを整備されたとの事。驚くとともにいいことをされているなあと感心して,私もHPを作っている事を話して,ぜひと写真を撮らせていただきました。リュックにはのこぎりやなた等がさしてあるのも見えました。(ストックは私の物が写ってしまっています。)
鳴海さんと別れ,三角点峰まで行く。遠く,煙を吐く浅間山が見え,太郎山までの尾根が見えます。右には上田市,左には西尾根を長く伸ばした大峰山が見えます。3時20分になっていました。日も傾いて日陰が増えてきました。いそいで下る事にしました。また暗い北斜面でバラに刺されるのはいやなので,西尾根を回って下る事にする。
西尾根は少し登り返しもあるが,下っているのでどんどん行くと,先に下った鳴海さんに追いついた。さらに質問しながら下ると,鳴海さんは在職中(学校事務職員)50歳頃入院し,仕事を休むような病気をされ,その時「日本百名山」の完登を思い立ち,(すでに50山位は登っていた)退職前に完登もされたとの事,その話をお聞きして,「そういえば,以前職場でそういう方の話を聞いたな。」と思い出しました。学校という職場が同じなので,共通の知人もいて,意外と身近に存在されていた方と分かりました。 鳴海さんによると,尾根まで車で行け,途中この写真の場所は北側の展望に優れ,朝などアルプスも入った景色がすばらしい。また6月には藤を前景に虚空蔵山がすばらしい。雪も少ないし,快適な尾根道,もっと多く人に利用される登山道になってほしいとの事。坂城町の入横尾から林道が伸びているので「入横尾コース」と名つけようかと思っているとの事でした。このHPをごらんの皆様もぜひいつか利用してみて下さい。尾根から林道に出て,私の車の場所まで乗せていただきました。ありがとうございました。(林道から尾根を歩き出し,山頂まで尾根上をゆっくり歩いて1時間半くらいのコースでしょうか。?)(2004,11,6)
上記の文を書いた時から,一ヶ月後の12月19日の事,独鈷山の東の富士嶽山へ登った時,頂上の冨士嶽神社で鳴海さんに偶然お会いしました。「上田西部公民館で,太郎山から虚空蔵山までの登山道も含めて,全縦走路を大勢で整備する計画がたてられていて,あれから私も参加を呼びかけられて,いっしょに作業をし,頂上西側にロープをつけてきた。」との事でした。色々な地域の人達が自分達の里山を快適に歩ける場所にしようと動きだしているんだなと知りました。後日「週刊上田」にもその記事が大きく出ていました。同じ日、太郎山にバイオトイレが建設された記事も出ていました.(12,25)。太郎山から虚空蔵山を経て坂城に下山するコースもしっかりした登山道になってきたんですね。
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 『虚空蔵山(1076m)西側ルート開通のお知らせ』 という通知が、虚空蔵山山頂で登山道の整備をされていた「鳴海友俊」さんから届きました。
 通知には、三年前の定年退職と同時に着手した、このルートが開通したことと,ぜひ1度登って下さいということが書かれていました。
 この虚空蔵山の西側尾根は、ほとんどヤブで,相当な覚悟で登らないと、一人でのんびり登れるという尾根ではありませんでしたが、鳴海さんが三年かけてちゃんとした登山道に整備されました。文には『岩場があり、カヤトの草原があり、適度なアップダウンがあり、とても変化に富んでいる。又、北アルプスの眺望は筆舌に尽くしがたく、幾度登ってもいい山というのが実感だ。 不人気の事由は一にも二にも登山道の未整備にある。在職中から退職後の人生では、何とかしてここを整備したいと考えていた。 この山域は、名にしおうバラづる・藤づるのジャングルで想像をはるかに超える樹勢にたじろぎ、何度断念しようとしたことか。 周りの人にもはげまされ、三年間で延べ100日余の山行整備でようやく完成にこぎつけることができた。』とあります。
 ・登山口までのアプローチ(上田方面から)
  国道18号線を北上し、信号「谷川」を右折。900m先で右折し『黄金橋」を渡ってすぐ左折。老人ホーム「美山園」前を通り、約1,8km先のY字路を右折、約800m先の右側にP3台分。左側に「登山道入口」の標識があります。
・所要時間上り1時間20分から30分 との事  地図がついていました。
 そこで、さっそく登ってみることにしました。写真は行きに車から虚空蔵山を南側から撮ったもので左端の方から右の山頂への尾根が登山コースです。私はもう少し歩きたかったので、写真のほぼ中央左よりの下の上塩尻のお寺の横から登り出し、鉄塔巡視路を通って、登山道入口である菖蒲平付近まで登り、そこからこのコースをあるいてみようと思い出かけました。(2005,11,19)
  鳴海さんからいただいたコースは、坂城の菖蒲平まで林道で車で行けるコースですが、私は上塩尻から登り出しました。
 送電線の鉄塔24〜25〜26とたどって、菖蒲平のちょっと上の登山道まで50分ほどで到着しました。尾根上に標識が取り付けられています。
 帰りにここからちょっと下り、菖蒲平の登山道入口を確認しましたが、車も三台ゆっくり止まれるくらいのスペースがあります。
 ここから、尾根上の登山道を東に向かって登り出しました。
 登山道は道の左右もヤブが刈り払われ、2〜3m位の巾の広さが確保されています。
 道をじゃましている木も切られています。これだけの労力はものすごいものだなあズクや根気のない私ならとうてい出来ない事,と感心しながら登っていきました。
 すると、人の声がしたので見てみると、なんと鳴海さんと、奥さんが下山してくるところに出会いました。道幅以上によく刈りましたね,と言うと、はじめは登山道なんだから、人一人通れればいいのだから,その巾だけ刈ればいいと思っていたが、それでは全然だめで、すぐ草が伸びてきてだめだったそうです。しかもつるバラみたいなものが多く、やはりこれだけの巾を刈らなければならなかったと聞き、なるほどなあと思いました。
 今日は、奥さんが、鳥小屋山に設置したお地蔵さんの所まで行ってみたいというので、一緒に登ってきたのだ,とのお話。
 今後もこの登山道の状態が維持されればいいですね,と言うと、登山者がある程度いれば、登山道の整備それほどしなくてもいいので、ぜひここを歩く人が増えてほしい。整備をしている時,県外から登りにきた人もいたとの事。
 
しばらく登ると高度感のある陣場鳥越山(924m)へ着く。ここは南北の展望が開け、すばらしい場所です。
 南の眼下には上田市街の西部が見えます。
 北には、晴れていれば、北アの後立山連峰や戸隠などの山々が見えるはずと思いますが、今日は弱い冬型、北の方は曇っていて遠くは見えない。
 長野県のこのあたりでこの標高では、弱い冬型くらいの場合、晴れ間ものぞくくらいな天気となります。でも風は冷たく、今日も手袋を持ってきてよかったな,という感じでした。
高津屋山の標識を過ぎ、明るい尾根道を歩くと、鳥小屋山へ着いた。ここには鳴海さんの通知にメモしてあった(11・3に山仲間が交代でお地蔵様を背負って設置してくれて感激しました。)お地蔵様が設置されていた。
 この明るいミニ縦走路にふさわしいかわいいお地蔵様でした。
いよいよ虚空蔵山,本峰です。北斜面に霧氷が付いていて,白くなっていました。登山道には,雪や霜は全然ありません。本峰への登りは急ですが,ロープなどが設置されていて登りやすくなっています。
すぐに山頂部に着きます。山頂付近の木々には霧氷が付いていました。風でそれがとれてパラパラと落ちてきます。
三角点のある虚空蔵山山頂(1076m)に着きました。上塩尻を10時10分頃上りだして。ここに12時頃到着しました。菖蒲平からなら一時間少しで着くことでしょう。
太郎山へと続く尾根道の北側に霧氷が付き,こんな風景になっていました。遠く烏帽子岳が冠雪しています。お昼も持ってきてなかったので,そそくさと折り返して下山しましたが,登山道が整備されているので,けっこうスタスタと歩いて下りて来れました。
 清水栄一の「信州百名山」の太郎山{付 虚空蔵山}の項には,『太郎山の最高点は,神社の裏を少し進んだ所にあって,その頂上からは,足下の上田の市街が手に取るように見え,また菅平や烏帽子の上信の山々や,美ヶ原や蓼科の山々を望む事ができる。しかし登山としての楽しみを味わえるのは,これから虚空蔵山までの尾根筋の漫歩であろう。〜西上田あたりの車窓から見上げると,鋸の歯のように,凸凹を連ねている虚空蔵山の尾根筋だけあって,小さな登り降りを繰り返して行くと,針金を渡した岩場などもあり,ちょっとした登山気分も味わえる。こんな楽しい故郷の山を持っている上田の人達は幸福である。それなのに,ここまで訪れる人が稀なのは,どうしたことなのだろうか。』
 と述べている。きっと清水栄一さんも,いい道が出来てよかったですね。と思っている事でしょう。
 太郎山から縦走してくると,車が二台ないと元に戻れませんが,この菖蒲平からのピストンなら単独でもよく,明るい尾根道は山慣れた人には気軽に登れて,また初心者には,アルプスなどの縦走路へのトレーニングにも向いているという印象でした。 
 地元の方,他の土地の方,ぜひこの菖蒲平からの虚空蔵山コース歩いてみて下さい。私も,これから気分転換に,トレーニングにと独鈷山や夫神岳同様に利用しようと思います。  鳴海さんどうもありがとうございました。(2005,11,19)