完登をめざす信州百名山(最も最近登った信州百名山)


「清水栄一の信州百名山」を知ったのは40才くらいの時、それは改訂版でした。こちらも現在61座ですが、やはり信州ですから、日帰りが可能な山も多く、日本百名山より早く実現するかな?でも、技術的に難しい山もあるので、どうでしょうか?日本百名山よりは更新がひんぱんに出来ればいいなと思っています。(2003,11)
 上の文を最近書いたような気がしていたら、もう60才、定年退職となってしまいました。早めにがんばってせめて信州百名山だけでも完登しないといけなくなった気分です。登り次第順次ご報告します。(2010、4、7)


          97座目  西岳(にしだけ)2053m  2010年9月26日 
     (なお、2011年9月現在、赤石岳も登ったので、信州百名山は98座、98座目の赤石岳は日本百名山のコーナーにのせてあります。)

 信州百名山、残りは光岳、赤石岳、鋸岳、西岳の4つとなった。この中の鋸岳と西岳が私には手強そうだ。特に西岳はネットで色々見てみると (面白い〜山慣れた人なら問題ない〜いやらしい〜とても怖く冷や汗が出る〜墜落の死者が何人か出ているので注意) までプラスからマイナスの情報の度合いが様々だ。私はいつもマイナスに反応してしまう。とにかく一人では無理なので、いつも難しい山に一緒に行っていただいている根橋さんに今回もお願いした。根橋さんはP1尾根から登って奥社へ下るコースを勧めたが私はP1尾根が怖そうなので奥社からのピストンで、と強くお願いした。「そちらからの方が時間がかかりますよ。」と言われたが「とにかくP1尾根は怖そうで私には無理です。」と強引に奥社ピストン案を押し付けてしまった。奥社駐車場で根橋さんと待ち合わせ、まだ暗い4時台にヘッドランプをつけて出発、奥社についた頃は明かり無しでも登れるくらいになってきた。お参りをして登山道に入る。
 登りだしてしばらくブナ林の急斜面を登っていくと日の出となる。天気予報だとかなり良い天気なのだが、飯縄山や黒姫山の山頂には雲がまつわりついていてちょっと心配になる。
 五十間長屋を過ぎ、百間長屋になり少し休んでいると、ガイド登山らしい一行が到着して、ハーネスやヘルメットを付け準備をし出した。ハーネスにカラビナ着きのスリングをつけて危険な鎖になったらカラビナを鎖につけて安全を確保する方法だろうか。私たちは先に出発する。 
 そこからは鎖場の連続だが、それほどの傾斜でなかったり、足場もしっかりしていたり、根橋さんが何かと注意してくれるので安心してどんどん登っていける。
 朝もやの中に蟻戸渡りらしい場所が浮かび上がってきた。ここでは今年の夏、墜死者が一人出ている。
 これは帰りに、八方睨の方から撮った蟻の戸渡り。写真に写っているグループは忠実に尾根上を下っているが、後から三番目の人位から写真の左下へ斜め下に降り、岩尾根の基部を行く巻き道がついている。(白く踏み跡が見える。鎖もついていて怖くない道である。)もちろん私は巻き道でお願いします、とそちらを通って登ったのだが写真後の三番目の人から最後の人がいる所、そのさらに4,5m手前までが、両側が崩れて尾根も細くなっていて足場も脆そうで、鎖も無く、危険な場所になっていて怖い。
 これが、上の写真で後から二番目の人が立っているあたりから行く手を見たところ。ここを越えた所から尾根が急に細まり最後の人がいる辺りを通過していくのが怖い。足がすくんでいると、根橋さんが足場を指示しながら渡ってみせてくれたので、そのように進み何とかそれほど手こずらなく通過することができた。
 八方睨に到着。今年の6月に単独で一不動の方から八方睨ピストンをした時は、ここにたどり着くまでにとても疲れてしまったのだが、今日はほとんど疲れを感じなくホッとする。これからの行く手を見ると、中央にポコッとやや低く出ている尖がったあたりが西岳で、その手前の左側あたりが本院岳らしい。(もしかしたら、中央のが本院岳かも)ここから右下の尾根へ急斜面をグングンと下っていく。道はわりとよく踏まれた道だがどんどん下るので登り返しが大変だろうな、と思いながら下る。右後ろ遠くに見えるのは白馬岳のようだ。
 どんどん下って振り返ると八方睨がかなり遠くになっていた。
 最低鞍部からしばらく登って行く手を見ると、本院岳らしい岩峰が見えたが、これはまだまだその手前だった。根橋さんが余分に持ってきた水(いつも私が水をガブガブ飲むので)をデポしておくというので、私も少し余分に持ってきていた水を置く。結果的に今日は涼しさもあり私もいつもの夏山などに比べ、それほど水を使わずにすんだ。道はしばらく登って右手にトラバースしていくが、そこにはロープ(ザイル)がはってあったり、鎖場もあった。道はしだいに切り開いたばかりの登山道のようにネマガリダケが切られて出ていたり、ちょっと踏み跡的雰囲気の道に変わってきた。笹に朝露というより雨の後のようにたっぷりと水分がついていてズボンがびっしょになってきたり、霧が出てきて尾根に出ても何となく寒々しくなってきた。雨具を出してズボンだけはく。左側が切り立った気の抜けない尾根状に出たり、西側の林と岩の間を抜けたり、真っ直ぐ南西に向かって尾根を登っていく感覚が薄れてくる。細かい上り下りがあり滑りそうな鎖場も出てきて気が抜けない。疲労感が出てきた。私が一人で登っていたとすると、もうめげてあきらめてしまいそうな道だ。根橋さんも今まで三回の登山はP1の方からの縦走だったので、今回は今ひとつ現在位置がはっきりしないようだ。
 これは帰りにその辺りを行きと逆に向かって撮ったものだが、(本院岳を撮っているのかな?)本院岳の標識が無いまま、まだかまだかと思いながらただただ根橋さんの後をついて登っていく。東側の下には鏡池やP1尾根の取り付きの牧草地も時々見えていて、牧草地の位置からしてもそろそろ、と思うのだが、いつまでも本院岳という標識は現れない。すると霧がまいたピークの岩に草つきの急斜面の鎖場を降りてくる年配の単独行者に出会う。P1尾根から登ってきた人だった。聞いてみると頂上はすぐそこらしい。もしかしたらそこがネットで見た西岳の八方睨側のいわゆる、「いやらしい鎖場」のように思えた。もう余裕の無い足には、その鎖場は濡れっぽくて急で、苦しかったが、必死で登る。
 鎖場を越えてちょっと登るとそこは西岳山頂であった。ガイド登山らしい一行が下りてくるのに出会う。根橋さんは、「あれ、ここが西岳山頂かな?以前木に掛かってあった山頂の表示が無いぞ。」と少し先を見に行った。私はリュックをおろして写真を撮る。ストックは下に置いてきたので、手袋を脱いで記念写真。丁度ヘルメットをかぶった中年の単独行者が来てシャッターを頼まれたので押しあったりする。根橋さんも「やはり昔の標識は無かった。」と戻って来た。さらにP1尾根を登ってきた3人パーティーが到着、皆P1尾根を無事通過して登ってきて登頂した喜びで声がはずんでいた。根橋さんが出発時間を聞くと、やはりP1尾根からの方がかなり早い。八方睨への鎖場の登りがあまり疲れなかった事を考えてみても、やはり多少怖いのを我慢してP1尾根を登るべきだったか、と一瞬後悔したが、兎に角、登頂は嬉しい。登れたという満足感につつまれ、折りしも日が出て暖かくなってきたのでゆっくりして少し腹ごしらえをする。P1から登ってきた人達は前途の長さが見当つかないせいか、休憩もそこそこに早めに八方睨への縦走に向かって下りて行った。十分休んでから腰を上げる。
 
 今度は先に下ってくださいと言われ、さて戻りにかかったが、先ほどの鎖場にかかり、下りの方が足元を確認して踏み出す時、下を見るせいか、登りより怖いことがわかった。しかし鎖にしっかりつかまれば残りの三点の足元や手元は何とかあるので、そのうちに段々慣れてきた。この場所ではまだ慣れないし急だったり足元が湿っていて怖かった。上二つの写真は私が本院岳側の尾根に着いてから、ふりかえって下ってくる根橋さんを撮ったもの。
 
 帰りもまた登り返しが多くて大変だろうか、と思って心配だったが、やはり基本的には下り気味で登りよりはずっと楽に感じた。しばらく行くと朝、百間長屋で用意をしていたガイド登山の一行が登ってくるのに出会った。P1尾根の方に下っていくようだ。しばらく下っても八方睨はまだまだ遠くに見える。
 尾根にたくさん生えていたオヤマリンドウ。
 ブナに生えていたきのこ。ヌメリツバタケモドキのようです。
 
 ゆっくり休憩したり花やきのこを撮ったり、話をしたりしながら行くこともでき、知らぬ間にという感じで八方睨に戻ってきた。八方睨ではゆっくり休み、多少食べたり、周囲の風景を撮ったりした。北の方、高妻山。
 
 南の方、手前にP1尾根への取り付きにある牧草地が下に見える。その後の山、荒倉山、その後、虫倉山。さらにずっと後ろは聖山あたりだろうか?
 
 東には飯縄山と麓の戸隠スキー場。
 
 高妻山の方をスケッチされている根橋さん。
 
 蟻戸渡りの危険な場所を、また根橋さんの先導で無事に通過し、後は岩も乾いてきたし、慣れてもきて快適に下って無事、奥社に到着した。写真は根橋さんに撮っていただいた蟻戸渡りからさらに下の鎖場を下る私の写真。「○子さん安らかに眠れ」というようなプレートも置かれていた。こういう所でも死者も出ているようなので、もちろん調子にのらず慎重に下った。
 
 奥社まで降りついて喜んで奥社にお礼参りでもと思っていると、神社の様子が変だ。何と奥社への参拝客がこのように延々と列になっていた。大分前にしか奥社に来た事はないが、いつも参拝者はチラホラくらいの記憶しかない。根橋さんもこんなに人がいたことは見たことが無いそうです。「パワースポット」ブームなのだそうだ。奥社の駐車場に戻るまで人の流れは絶えることがなく登山の余韻を味わって参道を歩く、なんていう気分にはとうていなれなかった。駐車場に帰り着き、根橋さんにお礼を言って分かれた。73歳のお年であるにもかかわらず、60歳の私をガイドして信州百名山の難しい山に登らせてくれる力に驚くとともに、いつまでもお元気で連れて行っていただきたいと思った次第です。本当にありがとうございました。残りの信州百名山は来年までおあずけにします。(2010、9、26)
(登頂済みの98座) 戸隠山、高妻山、飯綱山、黒姫山、虫倉山、雨飾山、大渚山、聖山、冠着山、子檀嶺山、独鈷山、美ヶ原、鉢伏山、霧ケ峰、八ヶ岳、蓼科山、天狗岳、横岳、鍋倉山、高社山,鳥甲山、苗場山、岩菅山、志賀山、笠岳、横手山、四阿山、烏帽子岳、太郎山、篭ノ登山、浅間山、鼻曲山、荒船山、茂来山、御座山、天狗山、甲武信岳、金峰山、白馬岳、唐松岳、五龍岳、鹿島槍ヶ岳、爺ケ岳、針ノ木岳、蓮華岳、鷲羽岳、燕岳、常念岳、蝶ケ岳、槍ヶ岳、穂高岳、焼岳、乗鞍岳、御岳、木曽駒ケ岳、空木岳、南駒ケ岳、恵那山、守屋山、戸倉山、入笠山、甲斐駒ケ岳、仙丈岳、塩見岳、荒倉山,斑尾山,白砂山,聖岳,経ヶ岳、熊伏山,堂津岳、有明山、大滝山、三俣蓮華岳、大川入山、茶臼山、小川山 東山 烏帽子岳、野口五郎岳、御飯岳、鬼面山、天狗原山、餓鬼岳、国師岳、鉢盛山、大天井岳、佐武流山、風越山、富士見台 南木曽岳 小秀山、池口岳、霞沢岳、茶臼岳、安平路山、西岳、赤石岳
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