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2025年令和7年試験 

【問 1】 所有者AがBに甲土地を売却し、その後にBがCに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、Cは背信的悪意者ではないものとする。

1 甲土地の所有権登記がAの名義のままであったとしても、Bは、Cに甲土地を売却した後は、Aに対して自己に甲土地の所有権移転登記をするよう請求することはできない。

2 Cは、甲土地の所有権移転登記を備えなければ、Aに対して自己が所有者であることを主張することができない。

3 AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結よりも前にAにより解除されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にAにより解除された場合のいずれの場合であっても、Cは、甲土地の所有権移転登記を備えれば、Aに対して自己の所有権を主張することができる。

4 AB間の売買契約が、BC間の売買契約よりも前にBの強迫を理由として取り消されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にBの強迫を理由として取り消された場合のいずれの場合であっても、Cは、Bの強迫につき善意でかつ過失がなければ、Aに対して自己の所有権を主張することができる。

 

解答解説

1× ABに甲土地を売却したのだから、Aは甲土地の所有権登記をBに移転する義務があり、Bはその旨請求できる。560条 

2× Aは甲土地をBに売ったことにより甲土地の利害関係を失っているので、Bから甲土地を取得したCは、所有権移転登記を備えなくても、Aに対して自己が所有者であることを主張できる。177条反対解釈 登記は、物件につき正当な利害関係を有する者に権利を主張する要件であり、利害関係を失ったものについては権利主張の要件ではない。

3〇 AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結よりも前にAにより解除されていた場合、BからAへの権利の復帰とBからへの権利の移転が二重譲渡類似となるので、Cが登記を備えれば、Aに対して自己の所有権を主張することができる。1776-4  AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結後にAにより解除された場合は、Aは、登記まで備えた利害関係者の権利を害することはできない。5451項 5—15よって、記述は正しい。

4× AB間の売買契約が、BC間の売買契約よりも前にBの強迫を理由として取り消されていた場合、BからAへの権利の復帰とBからへの権利の移転が二重譲渡類似となるので、Cが登記を備えれば、Aに対して自己の所有権を主張することができる。1776—4

AB間の売買契約が、BC間の売買契約の後にBの強迫を理由として取り消された場合、

Cは、Bの強迫につき善意悪意を問わず、その権利を対抗できない。9632 よって、Cは、Bの強迫につき全員無過失であればAに所有権を主張できるとするのは誤り。

正解3

ワンポイント 12は、177条の解釈問題、3は、解除と利害関係を持った第三者との関係、4は、強迫取消と利害関係を持った第三者との関係。基本的な論点です。

 

【問 2】 個人であるAが、賃貸人Bと賃借人Cとの間の期間を2年とする居住用甲建物の賃貸借契約に基づくCの一切の債務の連帯保証契約をBと締結した場合、売主Dと買主Eとの間の居住用乙建物の売買契約に基づく代金支払債務の保証契約をDと締結した場合、に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 ①の連帯保証契約は書面によってしなければ無効であるのに対し、②の保証契約は書面によらず、口頭で契約を締結しても有効である。

2 ①のBがAに対して連帯保証債務の履行を請求してきた場合には、AはまずCに請求するように主張できるのに対し、②のDがAに対して保証債務の履行を請求してきた場合には、AはまずEに請求するように主張することはできない。

3 ①の連帯保証契約は保証の限度額である極度額を定めなければ無効であるのに対し、②の保証契約は極度額を定める必要はない。

4 ①も②もAが主たる債務者C及びEの委託を受けて保証した場合において、Aが債権者B及びDに対して主たる債務の履行状況に関する情報を提供するよう請求したときは、①のBは、これらの情報を、遅滞なく、Aに提供しなければならないのに対し、②のDは、守秘義務を理由にこれらの情報の提供を拒否することができる。

 

解答解説

1× 保証契約は、連帯保証でも個人根保証でも、書面でしなければ効力を有しない。4462項 よって、記述は誤り。

2× 保証人に対する履行の請求に対し、連帯保証人は、まず主債務者に請求するよう主張できるが、保証人に対する履行の請求に対し、保証人は、まず主債務者に請求するよう主張できない。452454条 よって、記述は逆のことを言っており、誤り。

3〇 ①の保証契約は、賃貸借契約に基づく一切の債務と、一定の範囲に属する不特定の債務を、個人が保証しているので、個人根保証であるが、個人根保証は極度額を定めなければ無効である。465条の2 これに対し、②のように特定の債務を保証する普通保証では極度額を定める必要はない。

4× 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。458条の2 これは、①も②も同様である。よって、記述は誤り

正解

ワンポイント 保証は、2020年の改正で規定が整理されたが、従来規定がなかった根保証も、明文化された。根保証については、過去問題もないので、解きにくかったと思う。

 

【問 3】 意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 表意者が真意でないことを知ってした意思表示は無効であるが、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知らなければ、知らないことにつき過失があっても、当該意思表示は有効となる。

イ 相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であり、第三者がその虚偽表示につき善意であっても、過失があれば、当該第三者にその無効を対抗することができる。

ウ 意思表示は、当該意思表示に対応する意思を欠く錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、無効であるが、その錯誤につき善意でかつ過失がない第三者には、その無効を対抗することができない。

エ 詐欺による意思表示は取り消すことができるが、その詐欺につき善意でかつ過失がない取消し前の第三者には、その取消しを対抗することができない。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア× 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が、その意思表示が表意者の真意ではないことを知り(悪意)、又は知ることができたとき(善意だが過失あり)は、その意思表示は、無効とする。931項 よって、表意者が真意でないことを知ってした意思表示は、相手方が、表意者が真意でないことにつき善意で過失あるときは、無効である。

イ× 相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であるが、第三者が善意であれば、過失があっても、無効を対抗できない。94条 3-3

ウ× 意思を欠く錯誤は、重要であれば取り消せるのである。953-5

エ〇 記述のとおり、詐欺による取消は、取り消し前の善意無過失の第三者には、対抗することができない。963-1

誤っているのは3つで、正解は3。

正解3

ワンポイント 意思表示に関する基本問題です。

 

【問 4】 AがBから弁済の期限の定めなく金1,000万円を借り入れる金銭消費貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、本件契約におけるAの債務を担保するために、Aが所有する不動産に対し、Bのために、抵当権を設定することはできるが、質権を設定することはできない。

2 Aが本件契約に基づく債務の弁済を怠ったときに、BがAから預かっている動産を占有している場合には、Bは当該動産の返還時期が到来しても弁済を受けるまでその動産に関して留置権を行使することができる。

3 Aが本件契約に基づく債務の弁済を怠った場合には、BはAの総財産に対して先取特権を行使することができる。4 Aが、期限が到来しているBの悪意による不法行為に基づく金1,000万円の損害賠償請求債権をBに対して有している場合、Aは本件契約に基づく返還債務をBに対する当該損害賠償請求債権で相殺することができる。

4 Aが、期限が到来しているBの悪意による不法行為に基づく金1,000万円の損害賠償請求債権をBに対して有している場合、Aは本件契約に基づく返還債務をBに対する当該損害賠償請求債権で相殺することができる。

 

解答解説

1× 金銭消費貸借上の債務を担保するため、不動産について抵当権を設定することも、質権を設定することもできる。369条、356

2× 留置権が成立するためには、占有している他人の物に関する債権を有することが必要だが、当該金銭消費貸借契約上のBの債権は、BAから預かり、占有している動産に関して生じたものではないので、留置権は成立せず、Aが本件契約に基づく弁済を怠っても、当該動産を留置することはできない。295

3× 債務者の総財産について先取特権が成立するためには、法が定めた、一 共益の費用、二 雇用関係、三 葬式の費用、四 日用品の供給等の原因から生じた債権を有すことが必要であり(306条)、金銭消費貸借上の債権については、先取特権は成立しない。

4〇 Aが期限の定めない金銭消費貸借上の債務を負い、Bが期限が到来している悪意による不法行為に基づく損害賠償債務を負うとき、互いに債務を負い、両者弁済期にあるのだから、悪意の不法行為にもとづく損害賠償債務者であるBからは相殺できない(511条)が、Aからは相殺できる505

正解4

ワンポイント 留置権、質権、先取特権とマイナーな担保物権と相殺の基本概念を問うものです。難しいことは聞いていないのですが、あまり勉強しないところなので、解きにくかったかもしれません。

 

【問 5 Aの子がBであり、Bの子がCであり、CがAの直系卑属である場合において、民法の規定によれば、次のアからエまでの記述のうち、Aが死亡した際にCがBを代襲してAの相続人となるときを全て掲げたものはどれか。

ア Aが死亡する以前にBが死亡したとき

イ Bが相続に関するAの遺言書を偽造して相続権を失ったとき

ウ BがAによって相続人から廃除されて相続権を失ったとき

エ Bが相続放棄をしたとき

1 ア、エ

2 イ、ウ

3 ア、ウ、エ

4 ア、イ、ウ

 

代襲原因は、相続人となるべきもの(推定相続人)の

     相続開始以前の死亡又は ②相続欠格もしくは相続から廃除されたことである。887

ア〇 推定相続人の相続開始以前の死亡で、CBを代襲してAを相続できる。

イ〇 推定相続人が相続欠格にあたる場合で、CBを代襲してAを相続できる。

ウ〇 推定相続人が相続から廃除された場合で、CBを代襲してAを相続できる。

エ× 推定相続人の相続放棄は、代襲原因となっていないので、ⅭはBを代襲できない。

以上代襲できるのは、アイウで、正解は4。

正解4

ワンポイント 代襲原因(相続開始以前の死亡、相続欠格・相続廃除)、と、相続放棄は代襲原因でないことをキッチリおさえておけば簡単な問題でした。

 

【問 6】 Aが所有している甲土地についての物権変動に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bが甲土地をAに無断でCに売却し、その後、BがAから甲土地を購入した場合、Cは、Bから甲土地を購入した時点に遡って甲土地の所有権を取得する。

2 Dが甲土地につき、Aに無断でDへの虚偽の所有権の移転の登記をした上で、甲土地をEに売却してその旨の登記をした場合において、その後、AがFに甲土地を売却したときは、Fは、Eに対し、甲土地の所有権を主張することができる。

3 Gが甲土地の所有権を時効取得した場合、Gはその後にAを単独相続したHに対して、登記を備えていなくても、甲土地の所有権を主張することができる。

4 Aが甲土地上の立木の所有権を留保して甲土地をJに売却し、その後、JがKに甲土地及びその上の立木を売却した場合には、Aは、Kに対し、立木の所有権の留保につき登記又は明認方法を備えない限り、立木の所有権を主張することができない。

 

解答解説

1× 土地の無権利者が権利者に無断で売却した後、当該土地を権利者から取得した場合、無断売却は追完されて有効となるが、有効となるのは追完があった時点である。無断売却時点までさかのぼって有効となるのではない。判例

2〇 虚偽登記をした甲土地の無権利者から、甲土地を買受け登記をしたEも無権利であり、権利者Aから甲土地を買受けたFは、Eに対し甲土地の所有権を主張することができる。

3〇 時効取得者と時効完成当時の原権利者は、物権変動の当事者関係になるから、時効取得者は登記なくして時効取得した権利を主張でき、原権利者を単独相続した者も原権利者の地位を引き継ぐ(896条)から、時効取得者は登記なくして時効取得した権利を主張できる。

177条反対解釈

4〇 土地上の立木所有権を留保して当該土地を売却し、当該土地の買主が、当該土地と立木を第三者に売却した場合、立木所有権を留保して土地を売却した者は、立木所有権の留保につき登記又は明認方法を備えない限り、立木所有権を主張することができない。判例

立木は、土地の一部であるのが原則であり、立木だけを取引の対象とするためには、立木だけの公示方法が必要とされる。その公示方法が立木登記又は明認方法である。明認方法の具体的な方法としては、所有者を明示する標札を立てる、立木を削って焼印をおす、墨書きをする、などがある。

立木の物権変動の明認方法の裁判例をわかりやすく解説(最高裁昭和3654日判決) - 民法判例わかりやすく総則物権編 https://orange.suzukikenji.com/2015/09/11/post-2872/

正解 1

ワンポイント 立木留保売買の公示方法としての明認方法は、宅建では学習しないが、正解肢1は明らかであろう。

 

【問 7 Aは自己の所有する甲建物を事務所としてBに賃貸し(以下この問において「本件契約」という。)、その後、本件契約の期間中に甲建物の屋根に雨漏りが生じたため、CがBから甲建物の屋根の修理を請け負い、Cによる修理が完了した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 BがCに修理代金を支払わないまま無資力となり、賃料を滞納して本件契約が解除されたことにより甲建物はAに明け渡された。この場合、CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払を求めることはできない。

2 BがCに修理代金を支払ったとしても、本件契約において、Aの負担に属するとされる甲建物の屋根の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければ、BはAに対して償還を求めることはできない。

3 BがCに修理代金を支払わない場合、Cは、Bが占有する甲建物につき、当然に不動産工事の先取特権を行使することができる。

4 BがCに修理代金を支払わないまま無資力となり、賃料を滞納して本件契約が解除されたことにより甲建物はAに明け渡された。本件契約において、BがAに権利金を支払わないことの代償として、甲建物の修理費用をBの負担とする旨の特約が存し、当該屋根の修理費用と権利金が相応していたときであっても、CはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払を求めることができる。

 

解答解説

1〇 事務管理が成立するためには、「義務なく他人のために事務の管理を始めた」697条ことが必要だが、は、Bとの屋根修理請負規約の履行として屋根の修理を行っているので、屋根修理につき事務管理は成立しない。よって、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払いを求めることはできない。

2× 甲建物の屋根の修理費用は、賃貸人の負担に属する必要費にあたり、賃借人Bは、修理費支払い済みであれば、賃貸人Aに直ちに償還を請求できる。6089-2

3× 不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。338条 よって、当然に同先取特権を行使できるというのは誤り。

4× にAに対する、不当利得返還請求権が成立するためには、Aが法律上の原因がなく利益を受けたとみられる関係がなければならない(703条)が、修理による利益は、BがAに権利金を支払ないことの代償として得られているので、法律上の原因があり、不当利得返還請求権は成立しない。判例

正解 1

ワンポイント 2・3は明白な条文問題だが、1は事務管理、4は不当利得返還請求という宅建ではやらないところからの出題で、難しい。常識感覚で解くほかないだろう。

 

【問 8 A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、甲土地を分割しない旨の契約は存在しないものとする。

1 甲土地につき無権利のDが、自己への虚偽の所有権移転登記をした場合には、Aは、単独で、Dに対し、その所有権移転登記の抹消を求めることができる。

2 Aが甲土地についての自己の持分を放棄した場合には、その持分は国庫に帰属する。

3 Aが死亡し、E及びFが相続した場合には、B及びCは、Aの遺産についての遺産分割がされる前であっても、E及びFに対して共有物分割の訴えを提起することができる。

4 AがB及びCに無断で甲土地を占有している場合であっても、Bは、Aに対し、当然には自己に甲土地を明け渡すように求めることができない。

 

解答解説

1〇 無権利者がした虚偽の所有権移転登記の抹消は、保存行為として各共有者が単独で行使できる。2525

2× 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。255

3〇 共有物について,遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(遺産共有持分)と他の共有持分とが併存する場合,共有者(遺産共有持分権者を含む。)が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり、共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり、この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきものと解するのが相当である(最判平25.11.29)。要するに、共有物分割訴訟遺産分割の順に行うことになる。したがって、Aの遺産についての遺産分割前であっても、共有物分割の訴えを提起することができる。258条、907

4〇 共有者の一人が他の共有者に無断で共有土地を占有している場合でも、当該共有者も共有持分を有しており、持分に応じて使用する権利があるので、他の共有者の一人は当然には共有地を自己に明け渡すよう請求することはできない。判例

正解2

ワンポイント 共有は大改正があったが、出題は、従来からの定番論点でした。

 

問 9】 連帯債務者の一人について生じた次の事由のうち、民法の規定によれば、他の連帯債務者に対して効力が生じないものとして正しいものはどれか。なお、この問において、連帯債務者の一人について生じた事由が他の連帯債務者に対して効力が生じる旨の別段の意思表示はないものとする。

1 債権者がした連帯債務者の一人に対する履行の請求

2 連帯債務者の一人と債権者との間の混同

3 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者がした相殺の援用

4 連帯債務者の一人と債権者との間の更改

 

解答解説

 更改(438条)、相殺(4391項)、混同(440条)の場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。441

2020年の改正で、連帯債務の絶対的効力(一人に生じた事由が他に効力を及ぼす)が前記三事項に限られた。

よって、絶対的効力が生じないのは、1の、債権者がした連帯債務者一人に対する履行の請求である。

正解1

ワンポイント 2020年改正で、連帯債務の絶対的効力事由が簡素化されたが、そこからの出題。

 

問 10】 Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約による甲土地の引渡し後に、目的物の品質に関して契約の内容に適合しない土壌汚染が見つかった場合の売主の担保の責任(以下この問において「契約不適合責任」という。)に基づく損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定、宅地建物取引業法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bは、甲土地の引渡しの日から11年が経過した時点で甲土地の土壌汚染を発見し、発見した時点から1年以内にAに通知した。Aが当該土壌汚染があることを重大な過失なく知らなかった場合、Aが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、Bは損害賠償を請求することはできない。

2 甲土地の引渡しの日から3年以内に契約不適合の通知をしなければ売主は契約不適合責任を負わない旨の特約があり、Bが引渡しの日から4年が経過した時点で土壌汚染を発見して直ちにAに通知した。Aが当該土壌汚染があることを重大な過失なく知らなかった場合、Aが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、Bは損害賠償を請求することはできない。

3 甲土地の引渡しの日から1年以内に契約不適合の通知をしなければ売主は契約不適合責任を負わない旨の特約があり、Aは甲土地に土壌汚染があることを売買契約締結時点で知っていて告げていなかった。Bが引渡しの日から3年が経過した時点で当該土壌汚染を発見して直ちにAに通知した場合、Aが宅地建物取引業者であるか否かによって、Bが損害賠償を請求できるか否かの結論が異なる。

4 売主は契約不適合責任を一切負わない旨の特約があり、Bは引渡しの日から1年が経過した時点で土壌汚染を発見して直ちにAに通知した。Aが当該土壌汚染があることを重大な過失なく知らなかった場合、Aが宅地建物取引業者であるか否かによって、Bが損害賠償を請求できるか否かの結論が異なる。

 

解答解説

1〇 契約不適合責任は、契約不適合を知ってから1年以内に売主に通知しないときは、担保責任(履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除)を追及する権利が失権する。566条 

これとは別に通常の債権同様消滅時効にもかかり、その期間は①権利者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき、②権利者が権利を行使できるときから10年間行使しないとき、である。166条 権利を行使できるときからとは、権利行使に法律上の障害がないときとされ、売買契約では、物件が引き渡された時とされる。これを本問についてみると、Bは甲土地の引き渡しの日から11年を経過した時点で土壌汚染を発見したのだから、すでにこの時点で契約不適合責任は消滅時効にかかっている。

よって、Aが宅地建物取引業者であるかどうかにかかわらず、Bは損害賠償を請求することはできない。

2〇 契約不適合責任の規定は特約で変更することができる。ただし、宅建業者である売主は、買主が契約不適合を通知すべき期間を、その目的物の引き渡しから2年以上とする特約を除き、民法566条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。宅建業法40

これを本問についてみると、甲土地の引き渡しの日から3年以内に契約不適合の通知をしなければ売主は契約不適合責任を負わない旨の特約は、仮にAが宅地建物取引業者であっても有効である。

そして、設問では、Bは引渡しの日から4年経過した時点で土壌汚染を発見し、通知したというのであるから、特約による通知期限は過ぎており、担保責任追及権は失権している。よって、Aが宅地建物取引業者であるかどうかにかかわらず、Bは損害賠償を請求することはできない。

3× Aは甲土地に土壌汚染があることを知りながら告げなかったのであるから、契約不適合責任を免れることはできない。5661項 これは、買主が宅建業者であるかどうかには関係ない。

なお、設問では、甲土地の引き渡しの日から1年以内に契約不適合の通知をしなければ売主は契約不適合責任を負わない旨の特約をしているが、宅建業法40条に「宅建業者である売主は、買主が契約不適合を通知すべき期間を、その目的物の引き渡しから2年以上とする特約を除き、民法566条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない」とする規定があるので、同特約は無効である。しかし、いずれにせよ、知っていて告げなかった事実については責任を免れることはできないから、Aが宅建業者であるか否かにかかわらず、Bは損害賠償を請求できる。

4〇 宅建業法40条「宅建業者である売主は、買主が契約不適合を通知すべき期間を、その目的物の引き渡しから2年以上とする特約を除き、民法566条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない」ので、売主が宅建業者である場合、売主は契約不適合責任を一切負わない旨の特約は、無効となり、民法が定めたとおりの責任を負う。売主が宅建業者でない場合は、同特約は有効である。そして、引き渡し日から1年経過後に土壌汚染を発見し、ただちに通知したのだから、売主Aが宅建業者である場合は、免責特約は無効なので、民法が定めたとおり、Bは損害賠償を請求できるが、Aが宅建業者でない場合は、免責特約は有効なので、Bは損害賠償を請求できない。

正解3

ワンポイント 一般的な債権の消滅時効も問題とする1が初見なので、わかりにくかったと思う。しかし、次回からは、簡単だろう。【改正民法対応】契約不適合責任の期間と特約による制限方法とは? | 契約書の達人 https://xn--wtsq13a09q.jp/period-of-non-conformity-liability/

 

【問 11】 AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 甲土地にBが賃借権の登記をしなくても、Bの配偶者であるCを所有者として登記されている建物が甲土地上に存在する場合には、甲土地がAからDに売却されても、BはDに対して甲土地に賃借権を有していることを主張できる。

2 本件契約の存続期間が50年であり、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨を定める場合、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求ができない旨の特約を有効に定めることができる。

3 本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。

4 本件契約が公正証書によって行われていれば、専らBの居住の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間を20年と定めていても、Aは正当事由があれば、20年が経過した時点で遅滞なく異議を述べて更新を拒絶することができる。

 

解答解説

1× Bの甲土地賃借権は、甲土地に賃借権の登記をするか、甲土地上の建物にB名義の登記をしておけば、甲土地がAからDに売却されても、BDに対して甲土地に賃借権を有していることを主張できる(民法605条、借地借家法10条)。設問では、甲土地上の建物にはBの配偶者であるⅭ名義の登記をしていたのだから、BはⅮに対して甲地の賃借権を対抗できない。

2× 定期借地契約において、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求できない旨の特約は無効である。借地借家法111項但書き反対解釈

3〇 事業用定期借地権は、50年以上であれば、一般の定期借地権として、書面で定めることができる。公正証書は必要ない。22

4× 借地権は30年以下の期間を定めた場合、期間30年となるので、設問では、20年経過した時点で異議を述べても更新を拒絶することはできない。3

正解3

ワンポイント すべて過去既出の定番問題です。事業用定期借地権は、50年以上であれば書面で有効に定められるということも、過去複数回出ています。

 

【問 12

 Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。以下この問において「本件契約」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 本件契約が期間の定めがないものである場合において、A又はBから相手方に対して解約の申入れをしたときは、当該申入れの日から6か月を経過することによって、本件契約は終了する。

2 本件契約が期間を2年とするものである場合において、A及びBのいずれも期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知をしなかったときは、本件契約は、期間を2年として、従前の契約と同一の条件で更新されたものとみなされる。

3 AB間において、造作買取請求権は行使しない旨の特約があった場合、この特約は有効である。

 

4 本件契約が借地借家法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借であり、甲建物を取り壊すこととなる時に本件契約が終了する旨の特約を定める場合、本件契約は、公正証書によってしなければならない。

 

解答解説

1× 期間の定めのない建物賃貸借において、賃貸人から解約申し入れをした場合には、解約申し入れ日から6月経過することによって終了する。271項 賃借人から解約申し入れした場合には、解約申し入れ日から3月経過することによって終了する。よって、記述は誤り。617

2× 期間の定めのある建物賃貸借は、当事者が期間満了1年前から6か月前までの間に、更新拒絶通知をしなかった場合は、期間の定めのない建物賃貸借として更新されたものとみなされる。よって、記述は誤り。26

3〇 造作買い取り請求しない旨の特約(33条)は有効である。37条参照

4× 取り壊し予定の建物の取り壊しまでの期間限定借家権は、公正証書でなくても、書面であれば定めるkとができる。399-28

正解3

ワンポイント 定番問題です。

 

問 13】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 共用部分は、原則として区分所有者全員の共有に属するが、規約で別段の定めをすることを妨げず、管理者であっても、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。

2 共用部分の持分の割合について、各共有者の共用部分の持分は、規約で別段の定めをしない限り、その有する専有部分の床面積の割合による。

3 集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならず、当該議事録には議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならないとされているが、当該議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者全員がこれに署名しなければならない。

4 区分所有者が、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

 

解答解説

1〇 共用部分は、原則として区分所有者全員の共有に属するが、規約で別段の定めをすることを妨げず、特定の区分所有者又は管理者の所有とすることもできる。1127

2〇 各共有者の持分は、規約に定めがない限り、専用部分の床面積(壁の内側線で囲まれた部分の水平投影面積= いわゆる内法(うちのり)計算)の割合による。14

3× 集会の議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の2人がこれに署名しなければならない(423項)。

4〇 区分所有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。57

正解3

ワンポイント 定番問題です。

 

問 14】 不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 登記官は、一筆の土地の一部が別の地目となったときであっても、職権でその土地の分筆の登記をすることができない。

2 登記事項証明書の交付の請求は、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。

3 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

4 建物の合併の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

 

解答解説

1× 分筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人が、申請しなければならないが、登記官は、この申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。392

2〇 登記事項証明書の交付の請求は、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。不動産登記規則194

3〇 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者と登記義務者が共同してしなければならない。60

4〇 建物の合併の登記(表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう。)は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。54

正解1

ワンポイント 表示の登記、登記事項証明書の交付請求、権利登記の申請等、横断的な問です。各記述とも過去既出です。

 

問 15 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 風致地区は、都市の風致を維持するため定める地区であり、当該地区内における建築物の建築について、政令の定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。

2 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区である。

3 近隣商業地域は、近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域である。

4 生産緑地地区は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地区である。

 

解答解説

1〇 風致地区は、都市の風致を維持するため定める地区とする。922項 風致地区内では、地方公共団体の条例で、建築、宅地の造成、木竹の伐採等について規制する。581

2〇 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。920

3〇 近隣商業地域は、近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域とする。99

4× 記述は、田園住居地域の定義である。98項 生産緑地地区とは、都市計画上、農林漁業との調和を図ることを主目的とした地域地区のひとつであり、その要件等は生産緑地法によって定められる。生産緑地法31

正解4

ワンポイント 地域地区にかんする基本問題です。

 

【問 16 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域において行う、学校教育法に規定する学校の新築については、都道府県知事の許可が不要である。

2 開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいい、ゴルフコースの建設は開発行為にはあたらない。

3 区域区分が定められていない都市計画区域において、商業施設の建築の用に供する目的で行う4,000㎡の開発行為は都道府県知事の許可が不要である。

4 自己の居住の用に供する住宅の建築を目的として行う開発行為以外の開発行為にあっては、原則として開発区域内に建築基準法に規定する災害危険区域内の土地を含んではならない。

 

解答解説

1× 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域において行う、学校教育法に規定する学校の新築については、都道府県知事の許可が必要である。43

2× 開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更である。そして、特定工作物とは、①コンクリートプラント等周辺の環境の悪化をもたらすおそれがある一定の工作物(第一種特定工作物)と、②ゴルフコースその他規模が1ヘクタール以上の運動・レジャー施設(野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園等)及び墓園(第二種特定工作物)である。412

3× 区域区分が定められていない都市計画区域において、商業施設の建築の用に供する目的で行う4,000㎡の開発行為は都道府県知事の許可が必要である。29条、

4〇 自己の居住の用に供する住宅の建築を目的として行う開発行為以外の開発行為にあっては、原則として開発区域内に建築基準法に規定する災害危険区域内の土地を含んではならない。33

正解4

ワンポイント 開発許可を受けた開発区域以外の区域の建築制限、開発行為の定義、開発許可の要否、開発許可の基準、と開発許可制度全般を問う問題です。

 

【問 17 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 建築主は、建築確認が必要な建築物を建築しようとする場合は、当該建築物の計画を建築基準法令の規定に適合させるだけでなく、建築基準法令の規定以外の宅地造成及び特定盛土等規制法などの建築基準関係規定にも適合するものであることについて確認を受ける必要がある。

2 建築主は、2階建ての木造住宅を新築しようとする場合は、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認を受け、確認済証の交付を受ける措置が必要となるが、当該住宅の大規模の修繕をしようとする場合には、当該措置は不要である。

3 延べ面積が1,000㎡を超える木造建築物は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造としなければならない。

4 高さ1m以下の階段の部分には、手すりを設けなくてもよい。

 

解答解説

1〇 建築主は、建築確認が必要な建築物を建築しようとする場合は、当該建築物の計画を建築基準法令の規定に適合させるだけでなく、建築基準法令以外の建築基準関係規定にも適合するものであることについて確認を受ける必要がある。61

2× 2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超える建築物は、建築行為のほか、大規模修繕模様替えでも建築確認を要する。6

3〇 延べ面積1,000㎡を超える木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、その屋根の構造を22条1項に規定する構造としなければならない。25

4〇 高さ1m以下の階段の部分には、手すりを設けなくてもよい。施行令25

正解2

ワンポイント 建築確認の要否の基準が改正されましたが、ズバリそこが出題されています。

 

【問 18 次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 都市再生特別地区内においては、建築物の容積率、建蔽率及び建築面積は当該地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならないが、その高さは法第56条の高さの制限に関する規定に適合させる必要がある。

2 2階建てかつ床面積1,000㎡の飲食店は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、工業専用地域及び田園住居地域に建築することができない。

3 特定行政庁による認可を受けて公告された建築協定は、その後、当該協定の土地の所有者等の全員で合意したときに限り、その公告のあった日以後において当該建築協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても効力が及ぶこととなる。

4 建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な外壁等に関する工事を行う場合、公益性が高いことから特定行政庁の許可を受けることなく、法第52条の規定による容積率の限度を超えることができる。

 

解答解説

1× 都市再生特別地区内においては、建築物の容積率及び建蔽率、建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)並びに建築物の高さは、都市再生特別地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。60条の21項 しかし、都市再生特別地区内の建築物については、第56条、第57条の4、第58条及び第60条の32項の規定は、適用しない。同条第5

都市再生特別地区内においては、建築物の容積率及び建蔽率、建築物の建築面積並びに建築物の高さは、都市再生特別地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。しかし、都市再生特別地区内の建築物については、第56条(建築物の各部分の高さ)の規定は、適用しない、とされている。

2〇 記述のとおり、2階建てかつ床面積1,000㎡の飲食店は、12低専、1中高専、高専及び田園住居で建築できる。48

3× 建築協定の認可等の公告のあつた建築協定は、その公告のあつた日以後において当該建築協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力があるものとする。75

4× 建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な外壁に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で、「特定行政庁」が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて「許可」したものの容積率は、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。したがって、法第52条の規定による容積率の限度を超えるには、特定行政庁の許可が必要である。52143

正解3

ワンポイント 建築協定の3が誤りであることはわかるが、あとはよくわからない。常識判断をするほかない。

 

 

【問 19 宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとし、地方自治法に基づく施行時特例市に係る経過措置については考盧しないものとする。

1 工事主は、特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する政令で定める規模の工事の許可の申請をするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。

2 宅地造成等工事規制区域内の土地の工事主又は工事施行者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。

3 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のために必要があると認める場合においては、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対して、擁壁等の設置等の必要な措置をとることを勧告することができる。

4 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた工事主は、当該許可に係る土地の見やすい場所に、主務省令で定めるところにより、氏名又は名称その他の主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。

 

解答解説

1〇 工事主は、特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する政令で定める規模の工事の許可の申請をするときは、あらかじめ、周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。29

2× 宅地造成等工事規制区域内の土地の「所有者、管理者又は占有者」は、宅地造成等(宅地造成等工事規制区域の指定前に行われたものを含む)に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。22

3〇 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、必要があると認める場合においては、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対し、擁壁等の設置又は改造その他宅地造成等に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。22

4〇 第121項若しくは第301項の許可を受けた工事主又は第271項の規定による届出をした工事主は、当該許可又は届出に係る土地の見やすい場所に、主務省令で定めるところにより、氏名又は名称その他の主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。491

正解2

ワンポイント 2回目になる盛土規制法。細かいところはつつかず、基本的な出題となった。

 

【問 20 土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 個人施行者は、その者以外に換地計画に係る区域内の宅地を所有する者(当該宅地の所有権について施行者に対抗することができない者を除く。)がある場合においては、換地計画について認可を申請しようとするときは、これらの者の同意を得なければならない。

2 国又は地方公共団体の所有する土地以外であって道路の用に供している土地については、土地区画整理事業の施行により当該道路に代わるべき道路が設置され、その結果、当該道路が廃止される場合等においては、換地計画において、当該土地について換地を定めないことができる。

3 従前の宅地の所有者及びその宅地について使用収益権を有する者が、仮換地について使用又は収益を開始することができる日を別に定められたため、従前の宅地について使用し、又は収益することができなくなったことにより損失を受けた場合においては、施行者は、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

4 仮換地の指定があった日後、土地区画整理事業の施行による施行地区内の土地及び建物の変動に係る登記がされるまでの間は、登記の申請人が確定日付のある書類によりその指定前に登記原因が生じたことを証明した場合を除き、施行地区内の土地及び建物に関しては他の登記をすることができない。

 

解答解説

1〇 個人施行者で換地計画について認可を申請しようとする者は、その者以外に施行地区となるべき区域内の宅地について権利を有する者がある場合においては、事業計画についてこれらの者の同意を得なければならない。但し、その権利をもって認可を申請しようとする者に対抗することができない者については、この限りでない。81

2〇 第1項6号に掲げる宅地については、土地区画整理事業の施行により当該宅地に存する公共施設に代わるべき公共施設が設置され、その結果、当該公共施設が廃止される場合その他特別の事情のある場合においては、換地計画において、当該宅地について換地を定めないことができる。95条6項

3〇 仮換地の指定等に伴う補償 従前の宅地の所有者及びその宅地について地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有する者が、第992項の規定によりその仮換地について使用又は収益を開始することができる日を別に定められたため、従前の宅地について使用し、又は収益することができなくなったことにより損失を受けた場合においては、施行者は、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。101

4× 施行地区内の土地及び建物に関して他の登記ができなくなるのは、換地処分の公告があったのち換地処分にともなう登記があるまでである。107

正解4

ワンポイント 正解肢は、頻出の定番論点です。

 

【問 21 農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 市街化区域外にある農地の転用の申請に係る事業が住宅の用に供される土地の造成だけを目的としている場合、申請に係る農地の全てを住宅の用に供することが確実と認められないときには、法第4条第1項又は法第5条第1項の許可を受けることができない。

2 仮設工作物を設置するため、市街化区域外にある農地の所有権を取得しようとする場合には、法第5条第1項の許可を受けることができない。

3 農地の賃貸借は、その登記がなくても、農地の引渡しがあったときは、これをもってその後その農地について所有権を取得した第三者に対抗することができる。

4 法人の代表者が、その法人の業務に関し、法第4条第1項又は法第5条第1項の規定に違反して農地の転用をした場合には、その代表者が罰せられるほか、その法人も300万円以下の罰金刑が科せられる。

 

解答解説

1〇 法第4条第1項又は法第5条第1項の許可について、申請に係る事業が工場、住宅その他の施設の用に供される土地の造成(その処分を含む。)のみを目的とするものであり、申請に係る農地の全てを住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の当該申請に係る用途に供することが確実と認められない場合には、許可をすることはできない。

463号・523号、同法施行規則475号・575

2〇 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため所有権を取得しようとする場合には、法第5条第1項の許可をすることができない。526

3〇 農地又は採草放牧地の賃貸借は、その登記がなくても、農地又は採草放牧地の引渡があつたときは、これをもつてその後その農地又は採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。16

× 法人に対しては、1億円以下の罰金刑である。671

正解 4

ワンポイント 1・2は細かい初見問題。2・3は、過去既出。定番の345条以外を正解肢にするのは珍しい。

 

【問 22 国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 市街化区域内においてAが所有する面積3,500㎡の土地について、Bが2,000㎡,Cが1,500㎡とそれぞれ分割して購入した場合、B及びCはともに事後届出を行わなければならない。

2 都市計画区域外においてDが所有する面積12,000㎡の土地について、Eが担保権の実行による競売を通じて所有権を取得した場合、Eは事後届出を行わなければならない。

3 Fが、自ら所有する市街化調整区域内の7,000㎡の土地について、宅地建物取引業者Gと売買契約を締結した場合には、Gは契約を締結した日から1か月以内に事後届出を行う必要がある。

4 市街化区域内に所在する一団の土地である甲土地(面積1,200㎡)と乙土地(面積1,300㎡)について、甲土地については売買によって所有権を取得し、乙土地については対価の授受を伴わず賃借権の設定を受けたHは、事後届出を行う必要はない。

 

解答解説

1× 市街化区域内で事後届出が必要な規模の基準は、2,000㎡以上だから、2,000㎡の土地を取得したBは、事後届出が必要だが1,500㎡の土地を取得したは、事後届出は必要ない。法23

2× 担保権の実行による競売を通じて所有権を取得した場合は、事後届け出は必要ない。23条施行令171

3× Gは契約を締結した日から2週間以内に事後届け出を行う必要がある。23

4〇 届け出を要する土地取引は、所有権・地上権・賃借権又はこれらの権利を取得できる権利の移転又は設定を目的とする、対価のある契約である。これを本問についてみると甲土地を売買によって、所有権を取得したことは、届出を要する土地取引だが、乙土地を対価の授受を伴わず賃借権の設定を受けたことは届出を要する土地取引でない。そして、市街化区域内で事後届出が必要な規模の基準は、2,000㎡以上だから、届出を要する土地取引によって、1,200㎡の甲土地を取得したHは、届出を要する規模の基準に満たず、事後届け出は必要ない。

正解4

ワンポイント 23条の届出についての標準的な問題です。

 

【問 23】 土地の売買による所有権の移転登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 この税率の軽減措置は、地目が雑種地となっている土地の売買による所有権の移転登記についても適用される。

2 この税率の軽減措置の適用対象となる土地は、その価額が1,000万円未満のものに限られる。

3 この税率の軽減措置は、法人が土地の売買による所有権の移転登記を受ける場合には適用されない。

4 この税率の軽減措置の適用対象となる土地は、その面積が1,000㎡未満のものに限られる。

 

解答解説

1〇 個人又は法人が、「土地」に関する登記で、売買による所有権の移転の登記を受ける場合には、一定の税率の軽減がなされる。この点について、土地の地目については、特に限定されておらず、地目が雑種地となっていても、税率の軽減措置が適用される。

租税特別措置法721

 

2× 個人又は法人が、土地に関する登記で、売買による所有権の移転の登記を受ける場合には、一定の税率の軽減がなされる。そして、適用対象となる土地について、特に価格要件は定められておらず、その価額が1,000万円未満のものに限られない。

租税特別措置法721

3× 個人又は「法人」が、土地に関する登記で、売買による所有権の移転の登記を受ける場合には、一定の税率の軽減がなされる。したがって、法人にも税率の軽減措置が適用される。租税特別措置法721

4× 個人又は法人が、土地に関する登記で、売買による所有権の移転の登記を受ける場合には、一定の税率の軽減がなされる。そして、適用対象となる土地について、特に面積要件は定められておらず、その面積が1,000㎡未満のものに限られない。租税特別措置法721

正解1

ワンポイント 登録免許税は、「住宅用家屋」の税率の軽減措置が定番だが、「土地」の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減措置については、初出題である。司法書士試験ではないのだから、このような出題には疑問を禁じ得ない。

0020003-124_01.pdf https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0020003-124_01.pdf 登録免許税の税率の軽減措置

 

【問 24 固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 住宅用地のうち小規模住宅用地(200㎡以下)に対して課する固定資産税の課税標準は、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1の額である。

2 市町村長は、納税義務者等の求めに応じ、法令で定めるところにより固定資産課税台帳を閲覧に供しなければならない。ただし、当該部分に記載されている住所が明らかにされることにより人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがある場合、当該住所を削除する等の措置を講じたもの又はその写しを閲覧に供することができる。

3 市町村は、土地、家屋又は償却資産に対して課する固定資産税額が、土地にあっては30万円、家屋にあっては20万円、償却資産にあっては150万円に満たない場合においては、原則として固定資産税を課することができない。

4 固定資産税は、固定資産の所有者として、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者に対して課されるため、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡している場合、固定資産課税台帳に新たな所有者が登録されていなければ何人に対しても固定資産税を課することはできない。

 

解答解説

1× 住宅用地のうち、200㎡以下の小規模住宅用地に対して課する固定資産税の課税標準は、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の「6分の1」の額である。地方税法349条の322

2〇 市町村長は、納税義務者その他の政令で定める者の求めに応じ、固定資産課税台帳のうちこれらの者に係る固定資産として政令で定めるものに関する事項が記載をされている部分又はその写しをこれらの者の閲覧に供しなければならない。ただし、当該部分に記載をされている住所が明らかにされることにより人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがあると認められる場合等には、当該部分に総務省令で定める措置を講じたもの又はその写しを閲覧に供することができる。382条の21

3× 市町村は、同一の者について当該市町村の区域内におけるその者の所有に係る土地、家屋又は償却資産に対して課する固定資産税の「課税標準」となるべき額が土地にあっては30万円、家屋にあっては20万円、償却資産にあっては150万円に満たない場合においては、固定資産税を課することができない。免税点に該当するかどうかは、「課税標準」で判断するのであって、「税額」で判断するのではない。351

4× 固定資産税の納税義務者は、固定資産の所有者であるが、この所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている者をいう。そして、所有者として登記又は登録がされている個人が賦課期日前に死亡しているときは、同日において当該土地又は家屋を「現に所有」している者をいうものとする。3432

正解2

ワンポイント 正解肢は、最近の改正点だが、ⅮⅤやストカー抑止の個人情報保護の風潮から常識的に正しいと判断できたろう。

 

【問 25 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。

1 価格形成要因のうち個別的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいい、自然的要因、社会的要因、経済的要因及び行政的要因に大別される。

2 収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効な手段であり、自用の不動産であっても賃貸を想定することにより適用される。

3 原価法における減価修正の方法としては、耐用年数に基づく方法と、観察減価法の2つの方法があり、これらは併用するものとする。

4 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。

 

解答解説

1× 個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。問題文は、一般的要因についての記述である。不動産鑑定評価基準33

2〇 収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。そして、この手法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外のものには基本的にすべて適用すべきものであり、自用の不動産といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。不動産鑑定評価基準71Ⅳ1

3〇 原価法において、減価額を求めるには、耐用年数に基づく方法と観察減価法の二つの方法があり、これらを併用するものとする。不動産鑑定評価基準71Ⅱ3(2)

4〇 対象不動産の確定に当たって必要となる対象確定条件は、依頼目的に応じて、建築に係る工事が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすること、などがある。不動産鑑定評価基準51Ⅰ1(5)

正解1

ワンポイント 正解氏の価格形成要因は、個別的要因と言いながら、自然的、社会的、経済的、行政的要因というのは、おかしいと誤りが判断できると思います。

 

問 26】 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)及び宅地建物取引業者B(消費税課税事業者)が受領した報酬に関するアからウの記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものを全て掲げたものは1から4のうちどれか。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。

ア Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃24万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金1,400万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、依頼者の双方からそれぞれ528,000円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反する。

イ 現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、かつ将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地(1か月の借賃5万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から代理を依頼され、賃貸借契約が成立したので、Aは貸主から4万円を、Bは、代理の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の1.1か月分を超えることについて借主から承諾を得たうえで、借主から7万円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反しない。

ウ Aは売主から媒介の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金200万円(消費税等相当額を含み、土地代金は90万円である。)の土地付建物の売買契約を成立させた場合に、依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、売主はAに対して少なくとも104,500円、買主はBに対して少なくとも104,500円を支払わなければならない。

 

1 ア、イ

2 イ、ウ

3 ア、ウ

4 ア、イ、ウ

 

解答解説

ア× 貸借の媒介だが権利金の授受があるので、権利金計算ができる。

それによると媒介依頼者一方から、

1400×3%+6)×1.152.8 依頼者の送付から、52.8万円を受領したというのだから、記述は違反していない。違反するとするのは、誤りである。

イ× 長期の空き家等が問題となっているが、長期の空家等の貸借の代理の特例の報酬計算ができるのは、原則を超えて報酬を受けることを合意した貸主からの代理依頼者に限られる。が、設問では、これに該当する者はいないので、原則通り報酬計算をすることになる。

それによると、貸主から代理依頼を受けたAと借主から代理依頼を受けたBは、合計して借賃1.1月分に相当する金額=5.5万円以内で報酬を受けられる。しかるに設問では、Aは4万円、Bは7万円、両者合計して11万円と限度額の5.5万円を超えており、違反である。

ウ× 800万円以下の低廉な空家等の売買の媒介に関して依頼者から受ける報酬の額については、宅地建物取引業者は、当該媒介に要する費用を勘案して、当該依頼者から受ける報酬の額は30万円の1.1倍に相当する金額を「上限」として受領することができる。これは、受けられる限度額であって、支払わなければならない額ではない。よって、記述は誤り。

以上、アイウすべて誤りで、正解は4。

正解4

ワンポイント 報酬額告示の改正(報酬告示第102号)があったが、そこは直接、出題されず、やさしかった。

 

 

【問 27 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明及び重要事項説明書の交付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 宅地建物取引業者は、区分所有建物の売買の媒介を行う場合に、当該一棟の建物及びその敷地の管理が法人に委託されているときは、その委託を受けている法人の商号又は名称及び主たる事務所の所在地を説明しなければならない。

2 宅地建物取引業者は、自身が売主となる場合に、重要事項説明書の交付に当たり、専任の宅地建物取引士をして当該書面に記名させなければならず、また、買主にも当該書面に記名させなければならない。

3 宅地建物取引業者は、重要事項を説明する際には、宅地建物取引業者の事務所において行わなければならない。

4 宅地建物取引業者は、自身が売主となる場合であっても、買主に対して、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。

 

解答解説

1〇 区分所有建物売買での重要事項説明では、管理が委託されているときは、その委託先の氏名・住所(法人の場合は、その商号・名称、主たる事務所の所在地)は、説明事項である。3516号、規則16条の2

2× 重要事項説明書面に記名する宅地建物取引士は、専任でなくともよい。また、買主の記名は必要ない。35

3× 重要事項説明は、どこでやってもよい。35

4× 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めは、重要事項説明の対象ではない。35条参照

正解1

ワンポイント 重説に関する定番問題です。

 

【問 28 宅地建物取引業者の業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 自ら売主として販売する宅地又は建物の広告に取引態様の別を明示しなかった場合は、罰則の対象とはならないが監督処分の対象となり、宅地又は建物の規模について著しく事実に相違する表示をした場合は、罰則の対象にも監督処分の対象にもなる。

イ 自ら売主として土地付建物の売買契約を締結しようとする場合、当該土地上に建てようとする建物が建築確認申請前であっても、広告することはできるが、建築確認を受けるまで、契約を締結することはできない。

ウ 宅地建物取引業者は、自ら売主として、宅地建物取引業者である買主との間で、自ら所有しない造成前の宅地の売買契約を締結するためには、法第41条の規定による手付金等の保全措置を講じ、かつ、売主である宅地建物取引業者が当該宅地を取得する契約を締結しなければならない。

エ 宅地建物取引業者は、宅地の売買の専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結の日から5日以内(休業日を除く。)に、当該宅地について指定流通機構に所定の事項を登録しなければならない。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 なし

 

 

解答解説

ア〇 取引態様明示義務違反は、監督処分の対象となるが、罰則までは受けない。一方、宅地又は建物の規模につき著しく事実に相違する表示をした場合は、罰則の対象にも監督処分の対象にもなる。65条、81

イ× 確認申請前の建物は、広告も売却もできない。33条、36

ウ× 宅地建物取引業者が、自ら売主として宅地建物取引業者である買主との間で、自ら所有しない造成前の売買契約を締結することには何らの制限はないから、法41条の手付金等保全措置を講じることも、当該宅地を取得する契約をすることも必要ない。33条の2

エ〇 記述のとおり、宅地建物取引業者が、宅地の売買の専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結から5日以内に、当該宅地について指定流通機構に所定の事項を登録しなければならない。34条の25項施行規則15条の10

以上正しいのは二つで、正解は2。

正解2

ワンポイント 各種規制の基本的な問題です。

 

【問 29 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Aが媒介により事業用宅地の賃貸借契約を成立させた場合、37条書面を交付しなければならないが、契約の当事者Bが宅地建物取引業者であるときは、交付する必要はない。

2 Aが自ら売主としてCと既存の建物の売買契約を締結した場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を37条書面に記載しなければならない。

3 AがDを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがないときは、定めがない旨を37条書面に記載しなければならない。

4 Aが自ら売主としてFと建物の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載する必要はない。

 

解答解説

1× 37条書面は、媒介にかかる契約の両当事者に交付しなければならない。そのものが宅地建物取引業者であるかどうかは関係ない。371

2〇 既存建物の売買契約の37条書面には、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。3712号の2

3× 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがないときは、37条書面には何も記載しなくともよい。37110

4× 代金についての金銭の貸借(ローン)のあっせんに関する定めがある場合においては、当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置は、定めがある場合には、37条書面に記載しなければならない。3719

正解2

ワンポイント 37条書面の基本的な問題です。

 

 

 

【問 30 いずれも宅地建物取引業者であるA社、B社及びC社(以下この問において「売主ら」という。)が、分讓マンションを共同で建築、販売することとなり、建築確認を受けた後、工事完了前にその一室を5,000万円で宅地建物取引業者ではない個人である買主に売却しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に違反するものはいくつあるか。

ア 売主らは、共同する全社が各個に重要事項説明を実施すると、かえって買主を混乱させると考え、買主の了解を得た上で、A社1社を幹事社とし、A社の宅地建物取引士が単独で重要事項説明書に記名のうえ、買主に交付し説明を行った。

イ 売主らは、A社の事務所において買主から買受けの申込みを受け、売買契約を締結したが、売主らは当該売買契約には法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフの適用はないと判断し、クーリング・オフについて買主に告げる書面の交付は行わなかった。

ウ 売主らは、当該物件については、重要事項説明の時点では共用部分に関する規約が案であるので、買主の了解を得た上で、契約締結後に決定した規約を交付することとし、重要事項説明書への記載は省略した。

エ 売主らは買主から手付金500万円を受領することとしたが、手付金の保全措置を講じる必要はないと判断し、手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載は省略した。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア 違反する。重要事項の記名及び説明は、「売主」である宅地建物取引業者が行う必要があるが、売主が複数いる場合、実際の説明は、1社が代表して行うことは差し支えないが、重要事項の説明書には、それぞれの売主の宅地建物取引士が記名する必要がある。

351

イ 違反しない。売主の「事務所」において、買主から買受けの申込みを受け、売買契約を締結した場合は、クーリング・オフすることはできないので、クーリング・オフについて買主に告げる書面の交付をする必要はない。施行規則16条の6

ウ 違反する。区分建物の売買において、「共用部分に関する規約の定めがあるときは、その内容」は、重要事項説明書の記載事項であるが、この規約は「その案を含む」とされているので、その案を重要事項説明書に記載する必要がある。

施行規則16条の22

エ 違反する。本問では、未完成物件の区分建物の売買であるから、手付金の額が売買代金の5%(250万円)を超えるときは、手付金等の保全措置を講じる必要がある。したがって、手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載をする必要がある。411

以上より、宅建業法に違反するのは、ア、ウ、エの3つ。

正解3

ワンポイント 重説の基本問題です。

 

【問 31 次の記述のうち、宅地建物取引業法により禁止されている行為が含まれているものはいくつあるか。

ア 宅地建物取引士が、マンション販売の勧誘を電話で行うにあたり、まず、契約締結について勧誘する目的である旨を告げたうえで、自分の名前は名乗らず、自身の勤務する宅地建物取引業者の名称及び免許番号を伝えたうえで勧誘を行った。

イ 宅地建物取引業者が、賃貸マンションの媒介で入居申込者から申込みを受け付けたところ、当該マンションのオーナーからの審査回答待ちとなった。その後、入居申込者が、申込みを撤回したい旨電話で伝えたところ、当該宅地建物取引業者の従業員から声を荒げ「撤回をするなら、とりあえず事務所まで来てくれないと困る」と怒鳴られ、面会を強要された。申込者はその言動に不安を覚えたため、事務所に赴いて、申込みの撤回を申し出たところ、申込みの撤回が了承された。

ウ 宅地建物取引業者が、一時的にアルバイトを雇って、マンション販売の広告チラシの配布を行わせることとしたほか、契約書の作成業務も補助的に行わせるため、従業者証明書をその者に発行し、それらの業務を行わせた。ただし、そのアルバイトはマンション販売の広告チラシの配布の際には、従業者証明書を携帯していなかった。

エ マンションの販売の勧誘における説明において、宅地建物取引士は、日当たりのよいマンションの購入希望者に対して、「マンション南側の月極駐車場は出来たばかりであり、将来にわたりそこにマンションなどの高層の建物が建つ予定は全くない」と説明し、購入希望者から購入申込みを受け付けた。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア× 禁止されている。勧誘に先立つて宅地建物取引業者の商号又は名称及び勧誘者の氏名並びに契約の締結について規則16条の111号ハ勧誘をする目的である旨を告げずに、 勧誘を行うことは、禁止されている。47条の2 規則16条の111号ハ

イ× 禁止されている。申し込みの撤回・契約の解除を妨害するためおどす(威迫)ことは、禁止されている。47条の22

ウ× 禁止されている。従業者証明書を携帯しない従業者を、業務に従事させることは禁止されている。481

エ× 禁止されている。物件の将来の環境又は交通その他の利便について誤解される断定的判断の提供は、禁止されている。47条の2、規則16条の111号イ

以上禁止されている行為が含まれているのは4つであり、正解は4

正解4

ワンポイント 常識的に判断できると思う。

 

【問 32 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間でマンション(代金4,000万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。

1 Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金200万円を受領し、さらに建築工事中に200万円を中間金として受領した後、当該手付金と中間金について法第41条に定める保全措置を講じた。

2 Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、法第41条の2に定める保全措置を講じることなくBから手付金400万円を受領した。

3 Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金500万円を受領したが、Bに債務不履行がないにもかかわらず当該手付金500万円を返還して、契約を一方的に解除した。

4 Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めた。

 

解答解説

1× 未完成物件は、引渡しも登記もしないで、代金額5%又は1,000万円超の代金充当金金を受け取ろうとするならその前に、手付金等保全措置を講じなければならない。41

設問では、工事完了前マンションの代金額5%に当たる200万円の手付金を受領後、合計で5%を超えることになる中間金200万円を受領する前に保全措置を講じなければならなかったが、中間金を受領した後に保全措置を講じているので、違反である。

2〇 完成物件は、引渡しも登記もしないで、代金額5%又は1,000万円超の代金充当金金を受け取ろうとするならその前に、手付金等保全措置を講じなければならない。41条の2 設問では、工事完了後マンションの代金額10%に当たる400万円の手付金を保全措置を講ぜず受け取っているので、違反ではない。

3× 債務不履行がなくても一方的に解除できる手付解除を手付受領者からするには受領した手付の2倍返しをしなければならないのに、手付を返しただけで解除したのは違反である。39

4× 業者自ら売主で買主が非業者のときに、債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定は、代金額2割を超えるさま絵をしてはならない。38条 設問では、同特約につき代金額の25分となる定めをしているので、違反である。

正解2

ワンポイント 自ら売り主規制の定番問題です。

 

【問 33 宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。なお、この問において「37条書面」とは、同法第37条の規定により交付すべき書面をいうものとする。

ア 建物の賃貸借の媒介をするAは、当該建物の引渡しの時期について、重要事項説明書に記載して説明する必要はないが、37条書面には記載しなければならない。

イ Aは、自ら売主として建物を売却する場合、重要事項説明書に記載しなければならない契約の解除に関する事項については、契約に定めがなくても37条書面に全て記載しなければならない。

ウ Aは、売主を代理して、抵当権が登記されている建物を売却する場合、買主に交付する37条書面だけでなく、売主に交付する37条書面についても、当該抵当権の内容を記載しなければならない。

エ 建物の賃貸借の媒介をするAは、37条書面を交付するに当たり、宅地建物取引士をして、その内容を説明させなければならない。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

 

解答解説

ア〇 記述のとおり、建物賃貸借の媒介において、当該建物の引き渡し時期については重要事項説明書には記載、説明する必要はないが、37条書面には、記載しなければならない。35条、37

イ× 契約解除に関する事項は、定めがなければ37条書面には記載する必要はない。37

ウ× 抵当権が登記されている建物を売却するさいの37条書面には、当該抵当権の内容を記載する必要はない。

エ× 37条書面を交付するにあたり、その内容を説明する必要はない。

以上誤っているのは3つで正解は、3

正解3

ワンポイント 37条書面の定番問題です。

 

【問 34 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア A社の政令で定める使用人Bは、刑法第234条(威力業務妨害)の罪により、懲役2年、執行猶予2年の刑に処せられた後、A社を退任し、新たにC社の政令で定める使用人に就任した。Bの執行猶予期間が満了していない場合に、C社が免許を申請しても、免許を受けることができない。

イ D社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、宅地建物取引業法第11条の規定による廃業の届出をした。その廃業に相当の理由がなかった場合、当該公示の日の40日前にD社の取締役を退任したEは、当該届出から5年経過しなければ、免許を申請しても免許を受けることができない。

ウ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第206条(現場助勢)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなくても、Fは免許を申請すれば免許を受けることができる。

エ H社の政令で定める使用人Jは、裁判所へJ自身の破産申し立てを行った後、H社を退任し、裁判所から破産手続の開始決定を受けるまでの間に、新たにK社の政令で定める使用人に就任した。その後、Jが復権を得た場合、その日から5年を経過しなくても、K社が免許を申請すれば、免許を受けることができる。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア〇 懲役刑に処せられているBを政令で定める使用人とするⅭ社は、免許欠格であり、免許を申請しても免許を受けることができない。5112

イ〇 免許取り消し処分逃れの廃業の届け出をしたD社も、免許取り消し処分の聴聞の期日60日以内に役員であったEも、廃業の届け出から5年経過するまでは、免許欠格である。514

ウ× 暴力的犯罪である刑法206条の罪により罰金刑に処せられている者は、執行が終了してから5年経過するまで免許欠格であるが、その者を法定代理人とする営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるYも免許欠格である。5111号・6

エ〇 破産手続き開始の決定を受けた者は免許欠格だが、復権を得れば免許を受けられる。その者を政令使用人とする法人も免許を受けられる。よって、記述は正しいい。511

正解3

ワンポイント 免許基準に関する標準的問題。落ち着いて考えよう。

 

【問 35】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。

1 免許の有効期間満了の際、Aが営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。

2 Aが営業保証金を供託する場合において、金銭と有価証券を併用して供託することができるが、従たる事務所を設置したときの営業保証金については、金銭のみをもって供託しなければならない。

3 Aは、事業の開始後新たに乙県に従たる事務所を設置したときは、従たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託し、その供託物受入の記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

4 Aの設置した支店においてAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、500万円を限度としてその債権の弁済を受ける権利を有する。

 

解答解説

1〇 記述のとおり、免許有効期間満了の際、Aが営業保証金を取りもどそうとする場合は、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告しなければならない。30

2× 従たる事務所を設置した時の営業保証金についても、有価証券で供託できる。25条、規則15

3× 従たる事務所を設置した時も、主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、その旨を甲県知事に届け出なければならない。25

4× 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者は除く)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。27条 500万円を限度として債権の弁済を受けられるのではなく、Aが供託した全額を限度として、弁済を受けられる。

正解1

ワンポイント 営業保証金に関する標準的問題。

 

【問 36】 宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、禁止されているものはいくつあるか。

ア Aの従業者は、電話によりBに投資用マンションの購入の勧誘を行った際、Bから「Aから購入する意思は一切無いので、今後電話を含め勧誘はしないでほしい。」と告げられたが、その翌日、Bに対し、再度の勧誘を行った。

イ 建物の購入希望者から「契約の締結についてしばらく考えさせてほしい。」という申し出があったので、Aの従業者は、他に買い手がいないにもかかわらず、「他に買い手がいるので、今日中しか契約の締結はできない。」と当該購入希望者に告げた。

ウ Aの従業者は、建物の購入希望者に対して、長時間にわたり契約の締結をするための勧誘を行い、当該購入希望者を困惑させた。

エ 建物の売買を媒介しているAの従業者は、手持ち資金がない購入希望者に対して「手付金は当社が貸し付けるので後から返してくれれば構わない。」と告げて、契約の締結を誘引したが、契約には至らなかった。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア 禁止されている。宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続してはならない。規則16条の111号ニ

イ 禁止されている。宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んではならない。規則16条の111号ロ

ウ 禁止されている。宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させてはならない。規則16条の111号ヘ

エ 禁止されている。宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し手付について「貸付け」その他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない。これは誘引する行為自体を禁止しており、契約には至らなかったとしても同じである。473

以上、禁止されているものは、ア~エのすべて。

正解4

ワンポイント 禁じ手に関する標準的問題です。

 

【問 37 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第61条第1項に基づく建物の構造に係る制限があるときは、その概要を説明しなければならない。

2 マンションの分譲を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専用部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めが案の段階であるときは、説明する必要はない。

3 建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の額、授受の目的及び保管方法を説明しなければならない。

4 鉄筋コンクリート造の既存の共同住宅の販売を行う場合、宅地建物取引業法第34条の21項第4号に規定する建物状況調査を16か月前に実施したときは、建物状況調査を実施したこと、その結果の概要について説明しなくてはならない。

 

解答解説

1× 建物貸借の媒介の重要事項説明において、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建基法611項に基づく建物の構造にかかる制限があるときは、その概要は説明対象ではない。3512号参照

2× マンション分譲において、専有部分の利用の制限に関する規約の定めが案の段階であるときも、説明する必要がある。3516号、規則16号の2

3× 建物貸借媒介の重説において、借賃以外に授受される金銭の額と授受の目的は、説明しなければならないが、その保管の方法は、説明しなくてよい。351

4〇 当該建物が既存の建物であるときは、建物を取得しようとする者には、下記の事項を、説明しなければならない。

 建物状況調査(実施後1年〔鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等にあつては、2年〕を経過していないもの)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要 3516号の2イ、規則16条の22

正解4

ワンポイント 重説説明事項に関する標準的な問です。

 

問 38 宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア Aは、宅地又は建物の売買に関する広告をする際に取引態様の別を明示した場合、当該広告を見た者から売買に関する注文を受けたときは、改めて取引態様の別を明示する必要はない。

イ Aは、宅地の売買に関する広告をするに当たり、当該宅地の形質について、実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させる表示をした場合、当該宅地に関する注文がなく、売買が成立しなかったときであっても、監督処分及び罰則の対象となる。

ウ Aは、複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする予定でいる場合、最初に行う広告に取引態様の別を明示すれば足り、それ以降は明示する必要はない。

エ Aは、建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない広告をした場合、国土交通大臣の定める報酬限度額となる媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領できる。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア× 取引態様の別は、広告をする際に明示し、その広告を見た者から注文を受けたときも改めて明示しなければならない。34

イ〇 著しく優良であると誤認させる表示をしたこと自体が、誇大広告禁止の違反だから、注文がなく、売買が成立しなくても、監督処分及び罰則の対象となる。32条、65条、81

ウ× 取引態様の別は、広告をするときは、その都度明示しなければならない。34

エ× 報酬とは別に、依頼者の依頼によらない広告料金相当額を受け取ることはできない。462

以上誤っているものは3つ。

正解3

ワンポイント 広告に関する横断的問題。やさしいでしょう。

 

【問 39 宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却について媒介の依頼を受けた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 AがBとの間で専属専任媒介契約を締結し、Bから「売り出し中であることを秘密にしておきたいので指定流通機構への登録はしないでほしい」旨の申出があった場合、Aは、そのことを理由に登録をしなかったとしても法に違反しない。

2 Aは、Bとの間で有効期間を1か月とする専属専任媒介契約を締結する際、「Bが媒介契約を更新する旨を申し出ない場合は、有効期間満了により自動更新するものとする」旨の特約は有効である。

3 AがBと一般媒介契約を締結したときは、法第34条の21項の規定に基づき交付すべき書面に、宅地建物取引士をして記名させなければならない。

4 AがBとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、Aは、当該中古住宅の取引の申込みの受付に関する状況を指定流通機構に登録しなければならない。

 

 

解答解説

1× 専属専任媒介契約を締結したら、媒介契約をしたのち5日以内に物件にかかる情報を指定流通機構に登録しなければならない。34条の2

2× 専属専任契約において、有効期間満了により、自動更新する旨の特約は、依頼者の申し出がある場合にのみ更新できる(34条の24項)という規制に反し、無効である。34条の210

3× 媒介契約を締結したとき、依頼者に交付すべき契約内容記載書面に記名するのは、宅地建物取引業者であって、宅地建物取引士ではない。34条の21

4〇 記述のとおり。専任媒介契約を締結したときには、一定の事項を指定流通機構に登録しなければならないが、その登録事項の中に「当該宅地又は建物の取引の申込みの受付に関する状況」がある。34条の2第5項、規則15条の11

正解4

ワンポイント 定番の媒介契約規制。肢4は、近年の改正点です。

 

【問 40】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者Bの媒介により、宅地建物取引業者ではない買主Cとの間で宅地の売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア Cは、Bの事務所で買受けの申込みを行い、その3日後に、Cの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

イ AとCの間で、クーリング・オフによる契約の解除に関し、Cは契約の解除の書面をクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに到達させなければ契約を解除することができない旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。

ウ Cは、Bからの提案によりCの自宅で買受けの申込みを行ったが、クーリング・オフについては告げられず、その10日後に、Aの事務所で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

エ クーリング・オフについてCに告げる書面には、Aの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならないが、Bの商号又は名称及び住所並びに免許証番号の記載は必要ない。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 なし

 

解答解説

ア〇 事務所で買受の申し込みを行った場合、クオフによる契約解除はできない。37条の2

イ〇 クオフは、書面告知をしてから8日以内に書面ですることができ、書面発信によりクオフの効力が発生する。これに反する特約で買主に不利なものは無効となる。設問の書面到達で効力が所生ずるとするのは、書面発信でクオフの効力が生ずるとする法の規定より買主に不利なので、無効となる。37条の2

ウ× 媒介業者Bからの提案により買主Cの自宅で申し込み、クオフについて書面告知もないまま、その10日後契約を締結した場合は、クオフによる契約解除ができる。37条の2

エ〇 クオフにつき買主に告知する書面には、媒介業者に関する情報は記載する必要はない。法37条の21項第1号、規則16条の6

以上正しいのは3つで、正解は3。

正解3

ワンポイント クーリング・オフの総合問題です。

 

【問 41 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、甲県知事は免許を取り消さなければならない。

2 宅地建物取引業者B(甲県知事免許)が株主総会の決議により解散した場合、Bを代表する役員であった者は、その旨を当該解散の日から60日以内に甲県知事に届け出なければならない。

3 宅地建物取引業者ではないCが甲県に本店を、乙県に支店をそれぞれ有する場合で、乙県の支店のみで新たに宅地建物取引業を営もうとするときは、Cは乙県知事の免許を受けなければならない。

4 宅地建物取引業者D(甲県知事免許)は、甲県の事務所を廃止し、乙県内で新たに事務所を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、甲県知事へ廃業の届出を行うとともに、乙県知事への免許換えの申請を行わなければならない。

 

解答解説

1〇 免許を受けてから1年以内の事業不開始は、必ず免許を取り消すべき事由です。6616

2× 解散決議により解散した場合は、その日から30日以内に清算人が甲県知事に届け出る。1114

3× 乙県の支店で宅建業を営むとき、甲県の本店は宅建業を直接営まなくとも、支店の事務を統括することにより間接的に宅建業を営むことになるので、Cは、複数県にまたがり宅建業を営む事務所を有することになるので、国土交通大臣免許を受けなければならない。31

4× 甲県知事から乙県知事の免許換えをすればよく、甲県知事に廃業の届け出をする必要はない。712

正解1

ワンポイント 免許に関する基本問題です。

 

【問 42 宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において、宅地建物取引士は、事務の禁止の処分を受けていないものとする。

ア 二つ以上の都道府県において宅地建物取引士資格試験に合格した者は、当該試験を行った都道府県のうち試験日が遅い都道府県知事の登録以外を受けることができない。

イ 宅地建物取引士は、その登録している勤務先の名称に変更があった場合、登録を受けている都道府県知事に、変更の登録の申請とあわせて、宅地建物取引士証の書換え交付を申請しなければならない。

ウ 宅地建物取引士は、宅地建物取引士証が効力を失ったときは、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。

エ 宅地建物取引士は、登録を受けている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しているときは、登録の移転の申請をすることができる。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア× 2以上の都道府県において宅地建物取引士資格試験に合格した者は、試験日の前後に関係なくいずれか一つの都道府県の登録を受けられる。法181

イ× 宅地建物取引士が登録している勤務先の名称に変更があったときは、変更の登録の申請はしなければならないが、宅建士証の書き換え交付申請は必要ない。20条、施行規則14条の2215号、14条の111

ウ〇 記述のとおり。宅地建物取引士証が失効⇒速やかに交付受けた知事に返納の義務。22条の26

エ〇 登録を受けている者が、登録都道府県以外の都道府県の事務所に従事しているときは、登録知事経由で、その事務所を管轄する知事に対して、登録の移転と宅地建物取引士証の交付を申請することができる。19条の2

以上より、正しいものはウとエの2つ。

正解2

ワンポイント 宅建士関係の各種手続きの問題です。

 

【問 43 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

ア 自らを委託者とする宅地又は建物に係る信託の受益権の売主となる場合、相手方に金融商品取引法第2条第10項に規定する目論見書を交付し、宅地建物取引業法第35条第3項の規定に基づき説明すべき事項のすべてが当該目論見書に記載されているときは、重要事項説明書の交付及び説明を省略することができる。

イ 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が建築工事の完了前のものであるときは、その完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造について説明しなければならない。

ウ 建物の貸借の媒介を行う場合、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項を説明しなければならない。

エ 宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が津波防災地域づくりに関する法律第21条第1項により指定された津波防護施設区域内にあるときは、同法第23条第1項の規定による制限の概要について説明しなければならない。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

 

解答解説

ア〇 宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、重要事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。ただし、売買の相手方に対し金融商品取引法第2条第10項に規定する目論見書(書面を交付して説明すべき事項のすべてが記載されているものに限る。)を交付している場合には、重要事項説明書の交付及び説明を省略することができる。353項、施行規則16条の4413

イ〇 「当該建物が建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造」は、重要事項の説明対象である。3515号、施行規則16

ウ〇 建物の貸借にあっては、「敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項」は、重要事項の説明対象である。施行規則16条の4311

エ〇 当該宅地が津波防災地域づくりに関する法律第21条第1項により指定された津波防護施設区域内にあるときは、同法第23条第1項の規定による制限の概要は、重説の説明対象である。施行令3141

以上より、正しいものは、ア~エのすべて。

正解4

ワンポイント 

個数問題で難易度が高まっているが、個々の記述はアを除き、定番問題。

 

問 44】 宅地建物取引業者は、犯罪による収益の移転防止に関する法律第2条第2項の特定事業者に該当するが、宅地建物取引業者Aの行為に関する次の記述のうち、同法に違反するものはどれか。

1 Aは、土地付建物の売買を行うに際して、当該売買契約の相手方である買主が自然人であったので、氏名、住居、生年月日、取引を行う目的及び職業について、確認した。

2 Aは、価額が5,000万円の土地付建物の売買を行ったとき、直ちに、一定の方法により、当該売買契約の相手方である買主の確認記録を検索するための事項、当該取引の期日及び内容その他の事項に関する記録を作成して保存していたが、当該取引の行われた日から5年経過したので、当年度末に当該記録を廃棄した。

3 Aは、土地付建物の売買契約の相手方である買主から収受した代金について犯罪により得た収益であるとの疑いがあったので、速やかに、所定の事項を行政庁に届け出た。

4 Aは、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を的確に行うため、顧客と実際に接する営業担当者に対する教育訓練を実施した。

 

解答解説

1 違反しない。特定事業者は、顧客等との間で取引を行うに際しては、自然人にあっては、本人特定事項(氏名、住居及び生年月日)、取引を行う目的及び職業の確認を行わなければならない。犯罪収益移転防止法41

2 違反する。特定事業者は、特定業務に係る取引を行った場合には、少額の取引その他の政令で定める取引を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、当該取引の期日及び内容その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。そして、この取引記録等を、当該取引の代理等の行われた日から「7年間」保存しなければならない。犯罪収益移転防止法73

3 違反しない。特定事業者は、特定業務に係る取引について、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあると認められる場合においては、速やかに、政令で定めるところにより、政令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。犯罪収益移転防止法81

4 違反しない。特定事業者は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を的確に行うため、当該取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるものとするほか、使用人に対する教育訓練の実施等を講ずるように努めなければならない。犯罪収益移転防止法111

犯罪収益移転防止法 同施行令 同施行規則など|JAFIC 警察庁

正解2

ワンポイント この問題は、特殊な法律からの出題なので、間違えても仕方がない。

必要ない。

 

【問 45 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金(以下この問において「保証金」という。)の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約(以下この問において「保険契約」という。)の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前15年間に自ら売主となる売買契約に基づき宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した新築住宅(保険契約に係る新築住宅を除く。)について、保証金の供託をしていなければならない。

2 宅地建物取引業者は、自ら売主となる売買契約に基づき新築住宅を引き渡す場合だけでなく、新築住宅の売買の媒介をする場合においても、保証金の供託又は保険契約の締結をしなければならない。

3 保険契約を締結している宅地建物取引業者は、新築住宅を引き渡した時から10年間、構造耐力上主要な部分の瑕疵によって生じた損害についてのみ当該保険契約に係る保険金を請求することができる。

4 保険契約を締結している宅地建物取引業者及び当該業者が売主となっている新築住宅の買主は、指定住宅紛争処理機関に特別住宅紛争処理の申請をすることにより、当該新築住宅の売買契約に関する宅地建物取引業者と買主との間の紛争について、あっせん、調停又は仲裁を受けることができる。

 

 

解答解説

1× 宅地建物取引業者は、毎年、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前「10年間」に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。111

2 誤り。保証金の供託又は保険契約の締結は、自ら売主となる売買契約に基づき新築住宅を引き渡す場合に要求され、新築住宅の売買の媒介をする場合には要求されていない。111

3× 宅地建物取引業者が保険金を請求できるのは、住宅のうち構造耐力上主要な部分の瑕疵によって生じた損害だけでなく、「雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの」の瑕疵によって生じた損害も含まれる。272号イ

4〇 指定住宅紛争処理機関は、住宅瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅の売買契約に関する紛争の当事者の双方又は一方からの申請により、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁の業務を行うことができる。331

正解4

ワンポイント 定番問題です

解答解説

1× 自ら売主となって新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、当該基準日から3週間以内までの間において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅の戸数(保険の方法による資力確保措置をとった新築住宅を除く)に応じた額以上の住宅販売瑕疵担保保証金を、当該宅地建物取引業者の主たる事務所の最寄りの供託所に、供託していなければならない。11

2× 資力確保措置は、買主も業者の業者間取引の場合には必要ない。もちろん、業者が代理媒介で関与した場合も必要ない。11条、2

3× 構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の瑕疵があった場合に、業者が当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときは業者の請求に基づき、業者が同責任を履行しないときは買主の請求に基づき、損害を填補するものであること。26項 つまり、構造耐力上主要な部分の瑕疵のほか雨水の浸入を防止する部分の瑕疵によって生じた損害についても保険金を請求できる。272号イ

4○ 記述のとおり、第五章 住宅瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅等に関する紛争の処理 33条 住宅品質確保法第662項に規定する指定住宅紛争処理機関は、住宅品質確保法第671項に規定する業務のほか、住宅瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅又は第192号に規定する保険契約に係る住宅の建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争の当事者の双方又は一方からの申請により、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁の業務を行うことができる。

 

【問 46】 独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 機構は、災害により住宅が滅失した場合におけるその住宅に代わるべき住宅の建設又は購入に係る貸付金について、一定の元金返済の据置期間を設けることができる。

2 機構は、証券化支援事業(買取型)において、債務者又は債務者の親族が居住する住宅のみならず、賃貸住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権についても譲受けの対象としている。

3 機構は、高齢者が自ら居住する住宅に対して行うバリアフリー工事に係る貸付けについて、貸付金の償還を高齢者の死亡時に一括して行うという制度を設けている。

4 機構は、市街地の土地の合理的な利用に寄与する一定の建築物の建設に必要な資金の貸付けを業務として行っている。

 

解答解説

1〇 災害復興建築物の建設又は購入に係る貸付金については、機構が主務大臣と協議して定めるところにより据置期間を設けることができる。業務方法書2421

2× 証券化支援事業(買取型)において、金融機関の貸付債権についての譲受けの対象となるのは、自ら居住する住宅又は自ら居住する住宅以外の親族の居住の用に供する住宅を建設し、又は購入する者に対する貸付けに係るものであり、賃貸住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係るものは含まれない。業務方法書311

3〇 機構は、高齢者が自ら居住する住宅に対して行う改良(居住性能又は居住環境の確保又は向上を主たる目的として行うものに限る。)に係る貸付けについて、貸付金の償還を高齢者の死亡時に一括して行うという制度を設けている。業務方法書321号ハ

4〇 合理的土地利用建築物(市街地の土地の合理的な利用に寄与するものとして政令で定める建築物で相当の住宅部分を有するもの又はその部分をいう。)の建設に必要な資金の貸付けを行うことは、機構の業務である。住宅金融支援機構法1317

正解2

ワンポイント 定番問題です。

 

【問 47】 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 団地(一団の宅地又は建物をいう。)と駅との間の道路距離は、取引する区画のうち駅から最も近い区画(マンション及びアパートにあっては、駅から最も近い建物の出入口)を起点として算出した数値又は駅から最も遠い区画(マンション及びアパートにあっては、駅から最も遠い建物の出入口)を起点として算出した数値のいずれかを表示しなければならない。

2 新築分譲マンションを販売するに当たり、住戸により管理費の額が異なる場合であって、その全ての住宅の管理費を表示することが困難であるときは、最高額のみで表示することができる。

3 物件の近くに新設される予定の駅等又はバスの停留所については、当該路線の運行主体が公表していれば、現に利用できるものではなくても新設予定時期を明示して表示することができる。

4 道路距離80mにつき1分間を要するものとして、賃貸物件から最寄りの駅までの徒歩による所要時間を算出したところ1550秒であった。この場合、当該所要時間を15分と表示してよい。

 

解答解説

1× 団地(一団の宅地又は建物をいう。)と駅その他の施設との間の道路距離又は所要時間は、取引する区画のうちそれぞれの施設ごとにその施設から最も近い区画(マンション及びアパートにあっては、その施設から最も近い建物の出入口)を起点として算出した数値「とともに」、その施設から最も遠い区画(マンション及びアパートにあっては、その施設から最も遠い建物の出入口)を起点として算出した数値も表示しなければならない。最も近い区画と最も遠い区画の両方を表示する必要があり、「いずれか」を表示すればよいということではない。公正競争規約施行規則9(8)

2× 管理費については、1戸当たりの月額(予定額であるときは、その旨)を表示すること。ただし、住戸により管理費の額が異なる場合において、その全ての住宅の管理費を示すことが困難であるときは、「最低額及び最高額」のみで表示することができる。公正競争規約施行規則9(41)

3〇 新設予定の駅等又はバスの停留所は、当該路線の運行主体が公表したものに限り、その新設予定時期を明示して表示することができる。公正競争規約施行規則9(6)

4× 徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、「1分」として算出すること。したがって、問題文の事例では、16分と表示しなければならない。

公正競争規約施行規則9(9)

正解3

ワンポイント

1は、改正点です。その他は、過去既出です。

 

【問 48】 次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 年次別法人企業統計調査(令和5年度。令和69月公表)によれば、令和5年度における不動産業の営業利益は7兆円を超えているが、前年度に比べ減少した。

2 建築着工統計調査報告(令和6年計。令和71月公表)によれば、令和6年の新設住宅着工戸数は、持家、分譲住宅のいずれにおいても前年に比べ減少した。

3 令和7年地価公示(令和73月公表)によれば、令和61月以降の1年間の地価変動率は、三大都市圏平均では住宅地、商業地ともに上昇となったものの、地方圏平均では住宅地、商業地ともに下落となった。

4 令和7年版土地白書(令和75月公表)によれば、土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でその動向を見ると、令和6年の全国の土地取引件数は200万件を超えており、前年に比べ大きく増加した。

 

解答解説

1× 令和5年度における不動産業の営業利益は、前年度に比べ増加である。

2〇 記述のとおりである。

3× 地方圏平均でも、住宅地、商業地は上昇である。

4× 令和6年における土地取引件数は、約132万件で、横ばいである。

ワンポイント 定番統計で、簡単でした。

 

【問 49】 土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 川沿いの低地に堆積している川が運んだ土砂は、重い構造物を支持できる。

2 砂州や砂丘には、粒径のそろった砂が堆積しており、地下水位が浅い箇所では、液状化しやすくなる。

3 丘陵地は、山地ほど斜面の勾配がきつくなく、山地に比べ斜面崩壊は生じ難いといえる。

4 台地は低地より古い時代に形成された地盤であり、一般に構造物を支持できる強度を有している。

 

解答解説

1× 川沿いの低地に堆積している川が運んだ土砂は、軟弱であり、土砂は、思い構造物を支持できない。

2〇 液状化現象は、地震が発生した場合、土地に含まれている水分が表面に湧き出て、地盤が泥沼のような状態になることである。したがって、粒径のそろった砂が堆積し、地下水位が浅い箇所では、液状化しやすくなる。

3〇 丘陵地は、なだらかな起伏の続く地形であり、山地ほど斜面の勾配がきつくなく、山地に比べ斜面崩壊は生じ難い。

4〇 台地は低地より古い時代に形成された地盤であり、水はけがよく地盤が安定しているため、一般に構造物を支持できる強度を有している。

ワンポイント 常識的に判断できたと思います。

 

【問 50 建物の構造と材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 鋼材の素材の鋼は、鉄や炭素などの成分を含んでおり、炭素量が多いものほど、軟質で強度が小さい。

2 鋼材は、熱に弱く、さびやすいので、耐火や防錆の処理を施す必要がある。

3 鋼材は、強度が高く、粘りがあり、比較的小さな断面部材で荷重に耐えることができる。

4 鋼材の素材の鋼の密度は、木材やコンクリートに比べて大きい。

 

解答解説

1× 鋼材の素材の鋼は、鉄や炭素などの成分を含んでいるという点は正しいが、炭素量が多いものほど、硬質で強度が「大きい」。炭素量が多いものほど、硬質で強度が大きい。

2〇 記述のとおりである。鋼材は、不燃材料ではあるが、熱に弱く、さびやすいので、耐火や防錆の処理を施す必要がある。

3〇 記述のとおりである。鋼材は、強度が高く、粘り(靭性)があり、比較的小さな断面部材で荷重に耐えることができる。

4〇 記述のとおりである。密度は、単位体積あたりの質量であり、鋼材の素材の鋼の密度は、木材やコンクリートに比べて大きくなる。

正解1