| 平成15年 宅地建物取引主任者 本試験 【問 1】 意思無能力者又は制限能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 1 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合、その親族が当該意思表示を取り消せば、取消しの時点から将来に向かって無効となる。 2 未成年者が土地を売却する意思表示を行った場合、その未成年者が婚姻をしていても、親権者が当該意思表示を取り消せば、意思表示の時点に遡って無効となる。 3 成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、成年後見人は、当該意思表示を取り消すことができる。 4 被保佐人が保佐人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、保佐人は、当該意思表示を取り消すことができる。 【解答及び解説】 【問 1】 正解 3 1 誤り。意思能力を欠いている者の行為は無効である。したがって、その意思表示を取り消すまでもなく最初から契約の効力は生じていない。 2 誤り。未成年者であっても婚姻すれば成年者とみなされる(成年擬制)。したがって、本肢の土地売買契約は取り消しうるものではなく、完全に有効な契約である。 *民法753条 3 正しい。成年後見人は、代理権・取消権は有しているが、同意権は有しない。したがって、成年後見人が成年被後見人に対して事前に同意を与えても、その同意に意味はなく、成年被後見人が単独で行った意思表示を取り消すことができる。これは、成年被後見人は制限能力者の中では最も能力が低く、同意の意味を理解できない場合があるからである *民法9条、859条 4 誤り。保佐人には、被保佐人の行う一定の重要な行為について同意権がある。その一定の重要な行為の中に「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をなすこと」というのがあるので、本肢の土地の売却の意思表示には保佐人の同意が必要であり、逆に同意があれば、意思表示は有効なものとなる。したがって、被保佐人が保佐人の事前の同意を得て当該意思表示を行ったのであれば、その意思表示を取り消すことはできない。 *民法13条1項3号 【解法のポイント】制限能力者制度については、近年大きな改正があったところですが、本問はそのような改正があった部分ではなく、改正がない部分からの出題になっています。 【問 2】 Aは、Bとの間で、B所有の不動産を購入する売買契約を締結した。ただし、AがA所有の不動産を平成15年12月末日までに売却でき、その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく、その他特段の合意もない。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1 平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は、契約の効力が生じていないので、Aは、この売買契約を解約できる。 2 平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は、契約の効力が生じていないので、Bは、この売買契約を解約できる。 3 平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間に、Aが死亡して相続が開始された場合、契約の効力が生じていないので、Aの相続人は、この売買契約の買主たる地位を相続することができない。 4 Aが、A所有の不動産の売買代金の受領を拒否して、故意に停止条件の成就を妨げた場合、Bは、その停止条件が成就したものとみなすことができる。 【解答及び解説】 【問 2】 正解 4 1 誤り。「平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は,契約の効力が生じていない」という点は正しいが、停止条件付の契約も当事者の意思表示の合致があれば成立しているので、一旦成立した契約を、当事者の一方が、債務不履行等の事由もないのに一方的に解除することはできない。 *民法127条1項 2 誤り。肢1の解説参照。 *民法127条1項 3 誤り。この売買契約が成立している以上、Aとしては条件が成就すれば、不動産を購入できるという地位を有する。そして、この地位は相続の対象となる。 *民法129条 4 正しい。条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。条件が成就すれば、契約の効力が生じるという相手方の期待を裏切ることはできないからである。 *民法130条 【解法のポイント】この停止条件に関する問題は、実は平成11年にも出題されています。したがって、意外に正解率も高かったのではないかと思います。やっぱり過去問は重要ですよね。 【問 3】 Aは、自己所有の甲地をBに売却し引き渡したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 1 Cが、AB間の売買の事実を知らずにAから甲地を買い受け、所有権移転登記を得た場合、CはBに対して甲地の所有権を主張することができる。 2 Dが、Bを欺き著しく高く売りつける目的で、Bが所有権移転登記を行っていないことに乗じて、Aから甲地を買い受け所有権移転登記を得た場合、DはBに対して甲地の所有権を主張することができない。 3 Eが、甲地に抵当権を設定して登記を得た場合であっても、その後Bが所有権移転登記を得てしまえば、以後、EはBに対して甲地に抵当権を設定したことを主張することができない。 4 AとFが、通謀して甲地をAからFに仮装譲渡し、所有権移転登記を得た場合、Bは登記がなくとも、Fに対して甲地の所有権を主張することができる。 【解答及び解説】 【問 3】 正解 3 1 正しい。本問は典型的な二重譲渡の事例で、しかも登記を先に備えた第二譲受人は善意であり、問題なくCはBに対して土地の所有権を主張することができる。 *民法177条 2 正しい。二重譲渡において、登記を先に備えた第二譲受人は、悪意でも保護されるが、自由競争の範囲を逸脱するような背信的悪意者は、登記を備えても保護されない。本肢のDは、Bを害する目的で不動産を取得しており、典型的な背信的悪意者であり、登記を備えていても保護されない。 *民法177条 3 誤り。本肢においては、Eが先に抵当権の登記を得ており、後に所有権の登記を得たBに対して優先する。したがって、Bは抵当権のついた不動産を取得したにすぎず、EはBに対して抵当権を設定したことをBに対して主張することができる。 *民法177条 4 正しい。AF間の譲渡は、虚偽表示であり、その意思表示は無効である(民法94条)。したがって、Fは無権利者であり、BはFに対して登記なく、甲地の所有権を主張することができる。 *民法94条、177条 【解法のポイント】この二重譲渡等の対抗要件の問題は、ホントよく出題されますね。いろいろな問題にあたって的確に判断できるようにしておいて下さい。 共有 【問 4】 A、B及びCが、建物を共有している場合(持分を各3分の1とする。)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に関するAの共有持分権を売却することはできない。 2 Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。 3 Aが、その共有持分を放棄した場合、この建物は、BとCの共有となり、共有持分は各2分の1となる。 4 各共有者は何時でも共有物の分割を請求できるのが原則であるが、5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができる。 【解答及び解説】 【問 4】 正解 1 1 誤り。共有持分も所有権である以上、共有持分を処分するには他の共有者の同意は不要である。共有物全体の処分に、共有者全員の同意が必要であることと区別すること。 2 正しい。共有物の変更は、共有者全員の同意が必要である。 *民法251条 3 正しい。共有者の一人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属する。したがって、Aの持分は、BとCがその持分の割合に応じて取得し、その持分はそれぞれ2分の1となる。 *民法255条 4 正しい。各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる(不分割特約)。 *民法256条 【解法のポイント】共有に関する基本的な問題です。特にコメントはありません。 【問 5】 Aは、B所有の建物に抵当権を設定し、その旨の登記をした。Bは、その抵当権設定登記後に、この建物をCに賃貸した。Cは、この契約時に、賃料の6カ月分相当額の300万円の敷金を預託した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1 Bが、BのCに対する将来にわたる賃料債権を第三者に譲渡し、対抗要件を備えた後は、Cが当該第三者に弁済する前であっても、Aは、物上代位権を行使して当該賃料債権を差し押さえることはできない。 2 Bの一般債権者であるDが、BのCに対する賃料債権を差し押さえ、その命令がCに送達された後は、Cが弁済する前であっても、Aは、物上代位権を行使して当該賃料債椎を差し押さえることはできない。 3 Aが物上代位権を行使して、BのCに対する賃料債権を差し押さえた後は、Cは、Aの抵当権設定登記前からBに対して有している弁済期の到来している貸付金債権と当該賃料債権とを相殺することはできない。 4 Aが物上代位権を行使して、BのCに対する賃料債権を差し押さえた後、賃貸借契約が終了し建物を明け渡した場合、Aは、当該賃料債権について敷金が充当される限度において物上代位権を行使することはできない。 【解答及び解説】 【問 5】 正解 4 1 誤り。Aは、Bの有する賃料債権に対して物上代位権に基づいて抵当権の効力を及ぼすことができる。ただ、賃料に対して物上代位権を行使するには、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。本肢では、Bは第三者に対して賃料債権を譲渡しているが、そういう場合でも、Aは物上代位権を行使するために、Cが賃料を払い渡す前に賃料を差し押さえることができる(判例)。 *民法372条 2 誤り。本肢では、Bの一般債権者Dが、BのCに対する賃料債権を差し押さえ、その命令がCに送達されているが、その送達以前にAは抵当権設定登記を備えているので、Aは物上代位権行使のために当該賃料債権を差し押さえることができる *民法372条 3 誤り。支払の差止めを受けた第三債務者(C)は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者(A)に対抗することができないが、抵当権設定登記前からBに対して有している債権でならば、相殺をもって差押債権者に対抗することができる。 *民法511条 4 正しい。本肢では、Aは物上代位権に基づいて、BのCに対する賃料債権を差し押さえていますが、その賃料債権は敷金が充当されることによって消滅しています。したがって、賃料債権をいくら差し押さえても、その賃料は消滅してなくなっていますので、Aは物上代位権を行使することはできない。 【解法のポイント】この問題は難問ですね。肢1と肢2は、抵当権設定登記が先なので、優先すると考えればいいでしょう。肢3は条文どおり考えても答えが出ます。正解肢の肢4は、解説に書いた通りですが、非常に難しいですね。全体として、宅建試験の範囲を超える問題だと思いますので、あまり気にしない方がいいと思います。このレベルの問題が解けないからと言って、試験に不合格になるということはありません。 【問 6】 普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 1 普通抵当権でも、根抵当権でも、設定契約を締結するためには、被担保債権を特定することが必要である。 2 普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。 3 普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権を譲り受けた者は、担保となっている普通抵当権又は根抵当権を被担保債権とともに取得する。 4 普通抵当権でも、根抵当権でも、遅延損害金については、最後の2年分を超えない利息の範囲内で担保される。 【解答及び解説】 【問 6】 正解 2 1 誤り。普通抵当権においては、設定契約を締結するためには、被担保債権を特定する必要がある。しかし、根抵当権の設定契約を締結するためには、被担保債権を特定する必要はない。もともと根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためのものであるからである。 *民法398条の2第1項 2 正しい。普通抵当権においては、それが特定できるものであれば、将来発生する債権を被担保債権としてもよい。また、根抵当権は、もともと一定の範囲に属する不特定の債権を担保するために設定するものであり、一定の範囲に属する債権であれば、将来発生する債権であっても、被担保債権とすることができる。 *民法398条の2第1項 3 誤り。普通抵当権においては、随伴性があるので、被担保債権を譲り受けた者は、抵当権も取得する。しかし、根抵当権においては、個々の債権との随伴性が認められておらず、被担保債権を譲り受けても根抵当権を取得することはできない。 *民法398条の7第1項 4 誤り。普通抵当権においては、遅延損害金は最後の2年分に限定されるが、根抵当権においては、極度額の範囲内であれば、遅延損害金は最後の2年分に限定されない。 【解法のポイント】普通抵当権と根抵当権の相違に関する問題です。根抵当権というのは、何年かに1回の割合で出題される範囲ですが、苦手にしている人もいるのではないかと思います。本問を、キッカケに、普通抵当権と根抵当権の違いをまとめてみれば、苦手の克服になるかもしれません。 連帯保証の特色 【問 7】 Aは、Aの所有する土地をBに売却し、Bの売買代金の支払債務についてCがAとの間で保証契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 1 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、CはAに対して、まずBに請求するよう主張できる。 2 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、Cは、Bに弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、Aの請求を拒むことができる。 3 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、Cに対する履行の請求による時効の中断は、Bに対してもその効力を生ずる。 4 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、Bに対する履行の請求その他時効の中断は、Cに対してもその効力を生ずる。 【解答及び解説】 【問 7】 正解 1 1 誤り。連帯保証人は催告の抗弁権はないので、Cは、まずBに請求するよう主張することはできない。 *民法454条 2 正しい。通常の保証債務には、検索の抗弁権があるので、CはBに弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明すれば、Aの請求を拒むことができる。 *民法453条 3 正しい。通常の保証債務の場合、保証人に生じた事由は、原則として主たる債務者に影響を及ぼさないが、連帯保証の場合は、連帯保証人について生じた事由について、連帯債務の規定が準用されており、保証人に対する請求による時効の中断は、主たる債務者に対しても、その効力を生ずる。 *民法458条、434条 4 正しい。保証債務には附従性があるから、主たる債務者に対して生じた事由は保証人に対しても効力を生ずる。したがって、主たる債務者に対する時効の中断は、保証人に対しても効力を生ずる。なお、この場合、問題文に「Bに対する履行の請求その他時効の中断」という表現がとられていることに注意。すなわち、この場合の時効の中断は、請求による場合だけでなく、債務の承認による時効の中断の場合にも適用がある。 【解法のポイント】この問題も、前問と同じく、通常保証と連帯保証と比較して覚えておくといいでしょう。 債権譲渡 【問 8】 Aは、Bに対して貸付金債権を有しており、Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 1 貸付金債権に譲渡禁止特約が付いている場合で、Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らないとき、BはCに対して債権譲渡が無効であると主張することができない。 2 Bが債権譲渡を承諾しない場合、CがBに対して債権譲渡を通知するだけでは、CはBに対して自分が債権者であることを主張することができない。 3 Aが貸付金債権をDに対しても譲渡し、Cへは確定日付のない証書、Dへは確定日付のある証書によってBに通知した場合で、いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき、Bへの通知の到達の先後にかかわらず、DがCに優先して権利を行使することができる。 4 Aが貸付金債権をEに対しても譲渡し、Cへは平成15年10月10日付、Eへは同月9日付のそれぞれ確定日付のある証書によってBに通知した場合で、いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき、Bへの通知の到達の先後にかかわらず、EがCに優先して権利を行使することができる。 【解答及び解説】 【問 8】 正解 4 1 正しい。譲渡禁止特約のついた債権を譲渡しても、その譲渡は無効であるのが原則である。しかし、その譲渡禁止特約の存在を知らない第三者に対しては、債務者は譲渡の無効を主張することはできない *民法466条2項 2 正しい。債権譲渡を債務者に対抗するには、譲渡人から債務者に対する通知か債務者の承諾が必要である。債務者の承諾がない場合、譲受人Cからの通知だけでは、債権譲渡を債務者に対抗することはできない。 *民法467条1項 3 正しい。債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付ある通知・承諾が必要となる。したがって、Cへの通知は確定日付がないので、DがCに優先して権利を行使することができる。 *民法467条2項 4 誤り。債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付ある通知・承諾が必要となるが、債権の二重譲渡で、双方の譲渡が確定日付ある通知によってなされている場合には、確定日付の先後ではなく、通知の到達の先後で優劣を決する。したがって、本肢の場合Eへの譲渡の通知の確定日付の方が早いが、Cへの譲渡の通知が先にBに到達すれば、Cが優先する。「到達の先後にかかわらず」というのは誤り。 *民法467条2項、判例 【解法のポイント】債権の二重譲渡の場合、確定日付ある通知の方が優先→両方確定日付があれば、先に到達した(×確定日付)方が優先、という流れを覚えておいて下さい。 同時履行の関係 【問 9】 同時履行の関係に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 1 動産売買契約における目的物引渡債務と代金支払債務とは、同時履行の関係に立つ。 2 目的物の引渡しを要する請負契約における目的物引渡債務と報酬支払債務とは、同時履行の関係に立つ。 3 貸金債務の弁済と当該債務の担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、同時履行の関係に立つ。 4 売買契約が詐欺を理由として有効に取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。 【解答及び解説】 【問 9】 正解 3 1 正しい。同時履行の抗弁権は当事者の公平の観点から認められる場合で、本肢は典型的な同時履行の抗弁権が成立する場合である。 *民法533条 2 正しい。請負契約の場合、仕事の完成義務と報酬支払債務とは、仕事の完成義務が先履行の関係に立つが、注文者の報酬の確保のため、目的物引渡債務と目的物引渡債務は同時履行の関係に立つ。 *民法633条 3 誤り。抵当権には附従性が認められており、被担保債権が消滅すると抵当権も消滅する。したがって、被担保債権が消滅してはじめて、抵当権の消滅が認められるため、貸金債務の弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続は、貸金債務の弁済が先履行の関係にある。 *民法369条 4 正しい。売買契約が取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、解除の場合の原状回復義務と同様、同時履行の関係が認められている。 *判例、民法546条参照 【解法のポイント】この年の問題は、まとめをするのに適している問題が多いですね。本問の事例に付け加える形で、同時履行が認められる場合、認められない場合をまとめてみるといいでしょう。 瑕疵担保責任 【問 10】 Aが、BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが、建物の主要な構造部分に欠陥があった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、瑕疵担保責任(以下この問において「担保責任」という。)については、特約はない。 1 Aが、この欠陥の存在を知って契約を締締した場合、AはBの担保責任を追及して契約を解除することはできないが、この場合の建物の欠陥は重大な瑕疵なのでBに対して担保責任に基づき損害賠償請求を行うことができる。 2 Aが、この欠陥の存在を知らないまま契約を締締した場合、Bの担保責任を追及して契約の解除を行うことができるのは、欠陥が存在するために契約を行った目的を達成することができない場合に限られる。 3 Aが、この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合、契約締結から1年以内に担保責任の追及を行わなければ、AはBに対して担保責任を追及することができなくなる。 4 AB間の売買契約が、宅地建物取引業者Cの媒介により契約締結に至ったものである場合、Bに対して担保責任が追及できるのであれば、AはCに対しても担保責任を追及することができる。 【解答及び解説】 【問 10】 正解 2 1 誤り。瑕疵担保責任において、悪意の買主は、解除も損害賠償請求もできない。 *民法570条 2 正しい。瑕疵担保責任おいて、善意の買主が、契約を解除することができるのは、「契約をした目的を達することができないとき」に限られている。 *民法570条 3 誤り。瑕疵担保責任において、善意の買主は、解除・損害賠償をすることができるが、それは瑕疵の存在を知ってから1年以内に限られる。契約締結の時から起算するのではない。 *民法570条 4 誤り。瑕疵担保責任は、あくまで売買契約の売主に対する責任であり、売買契約の媒介業者に対しては瑕疵担保責任を追及することはできない。 *民法570条 【解法のポイント】本問は、瑕疵担保責任に関する基本的な問題で、特にコメントはありません。 敷金 良問 【問 11】 借主Aは、B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し、敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが、当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1 賃貸借契約が終了した場合、建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず、Aの建物引渡しはBから敷金の返還された後に行えばよい。 2 賃貸借契約期間中にBが建物をCに譲渡した場合で、Cが賃貸人の地位を承継したとき、敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。 3 賃貸借契約期間中にAがDに対して賃借権を譲渡した場合で、Bがこの賃借権譲渡を承諾したとき、敷金に関する権利義務は当然にDに承継される。 4 賃貸借契約が終了した後、Aが建物を明け渡す前に、Bが建物をEに譲渡した場合で、BE間でEに敷金を承継させる旨を合意したとき、敷金に関する権利義務は当然にEに承継される。 【解答及び解説】 【問 11】 正解 2 1 誤り。敷金は、明渡し時までの賃借人の一切の債務を担保するためのものであり、建物明渡しと敷金返還は、建物の明渡しが先履行である(判例)。 2 正しい。敷金は、担保の目的で授受されるものであり、Bが建物をCに譲渡し賃貸人の地位の変更があった場合、担保の随伴性により、敷金に関する権利義務はCに当然に承継される(判例)。 3 誤り。賃借権の譲渡があった場合は、旧賃借人が新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなどの特段の事情がない限り、敷金に関する権利義務は、新賃借人に承継されない(判例)。 4 誤り。賃貸借終了後、明渡し前に建物の譲渡が行われた場合、新旧所有者の合意のみでは、敷金に関する権利義務は、新所有者に承継されない(判例)。肢2は賃貸借期間中の譲渡であり、その違いに注意する必要がある。 【解法のポイント】肢4はほとんどの人が知らなかったと思いますが、肢2はバッチリできないといけません。 【問 12】 Aが死亡し、それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B、C及びD(他に相続人はいない。)が、全員、単純承認し、これを共同相続した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 1 相続財産である土地につき、遺産分割協議前に、Bが、CとDの同意なくB名義への所有権移転登記をし、これを第三者に譲渡し、所有権移転登記をしても、CとDは、自己の持分を登記なくして、その第三者に対抗できる。 2 相続財産である土地につき、B、C及びDが持分各3分の1の共有相続登記をした後、遺産分割協議によりBが単独所有権を取得した場合、その後にCが登記上の持分3分の1を第三者に譲渡し、所有権移転登記をしても、Bは、単独所有権を登記なくして、その第三者に対抗できる。 3 相続財産である預金返還請求権などの金銭債権は、遺産分割協議が成立するまでは、相続人3人の共有に属し、3人全員の同意がなければ、その債務者に弁済請求できない。 4 Bが相続開始時に金銭を相続財産として保管している場合、CとDは、遺産分割協議の成立前でも、自己の相続分に相当する金銭を支払うよう請求できる。 【解答及び解説】 【問 12】 正解 1 1 正しい。Bの単独所有名義の登記は、CとDの持分に関しては無権利の登記であり、CとDは、Bからの譲受人に対して登記なく、自己の持分を主張することができる(判例)。 *民法177条 2 誤り。本肢の場合、一旦相続財産として共有になった土地が、遺産分割協議により、C及びDの持分がBに移転したことになる。その後Cがその持分を第三者に譲渡すれば、Cの持分に関しては二重譲渡があったことになり、BとCからの譲受人は対抗問題になり、登記を先に備えた方が優先する(判例)。したがって、Bは登記なくCからの譲受人に対抗することはできない。 *民法177条 3 誤り。金銭債権は可分債権であり、相続開始と同時に,各共同相続人の相続分に応じて分割された分割債権になる(判例)。したがって、各自が債務者に弁済請求することができる。 *民法427条 4 誤り。相続人の一人が金銭を相続財産として保管している場合、相続人は、遺産分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできない(判例)。 【解法のポイント】この問題は非常に難しかったと思います。ただ、正解肢である肢1については過去に出題されていると思いますので、正解は出せます。宅建試験ではこのパターンは非常に多いので、知っている肢で勝負するというのが大切です。 【問 13】 Aが、Bに、A所有の甲地を建物の所有を目的として賃貸し、Bがその土地上に乙建物を新築し、所有している場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 Bが、乙建物につき自己名義の所有権の保存登記をしている場合は、甲地につき賃借権の登記をしていないときでも、甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたCに対し、甲地の賃借権を対抗できる。 2 乙建物が滅失した場合でも、Bが借地借家法に規定する事項を甲地の上の見やすい場所に掲示したときは、Bは、甲地に賃借権の登記をしていなくても、滅失のあった日から2年間は、甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたDに対し、甲地の賃借権を対抗できる。 3 Bが、乙建物をEに譲渡しようとする場合において、Eが甲地の賃借権を取得してもAに不利となるおそれがないにもかかわらず、Aがその賃借権の譲渡を承諾しないときは、Bは、裁判所にAの承諾に代わる許可をするよう申し立てることができる。 4 Bが、乙建物を1年以上自己使用しておらず、かつ、他人に譲渡しようとすることもない場合、Aは、裁判所に、相当の対価の提供を条件として、自ら乙建物の譲渡及び甲地の賃借権の譲渡を受ける旨を申し立てることができる。 【解答及び解説】 【問 13】 正解 4 1 正しい。借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。この建物登記には、所有権の保存登記も含まれる。 *借地借家法10条1項 2 正しい。建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項などを土地の上の見やすい場所に掲示するときは、滅失があった日から2年間は、借地権は、第三者に対抗することができる。 *借地借家法10条2項 3 正しい。借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。 *借地借家法19条1項 4 誤り。借地権者から借地権の譲渡・転貸の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。本肢のように「1年以上自己使用しておらず、かつ、他人に譲渡しようとすることもない場合」というような要件のもとに、建物及び借地権の譲渡を受ける旨の申し立てをすることができるのではない。 *借地借家法19条3項 【解法のポイント】肢4は、めったなことでは問われるような問題ではありませんが、肢1~肢3が「正しい」ことから、消去法で正解を出せると思います。 【問 14】 平成21年10月に新規に締結しようとしている、契約期間が2年で、更新がないこととする旨を定める建物賃貸借契約(以下この問において「定期借家契約」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 事業用ではなく居住の用に供する建物の賃貸借においては、定期借家契約とすることはできない。 2 定期借家契約は、公正証書によってしなければ、効力を生じない。 3 定期借家契約を締結しようとするときは、賃貸人は、あらかじめ賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。 4 定期借家契約を適法に締結した場合、賃貸人は、期間満了日1ヵ月前までに期間満了により契約が終了する旨通知すれば、その終了を賃借人に対抗できる。 【解答及び解説】 【問 14】 正解 3 1 誤り。定期建物賃貸借は、「建物」が事業用か居住用かは区別しておらず、どちらにおいても定期建物賃貸借を締結することができる。 *借地借家法38条1項 2 誤り。定期建物賃貸借は、公正証書による等書面によって契約をするときに限り認められる。したがって、公正証書でなくても書面によって契約すればよい。 *借地借家法38条1項 3 正しい。定期建物賃貸借を締結しようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。 *借地借家法38条2項 4 誤り。定期建物賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。 *借地借家法38条4項 【解法のポイント】肢3は、宅地建物取引業法を勉強されている皆さんには、重要事項の説明と比較すればすぐに理解できますよね。ちなみに、この定期建物賃貸借の説明は、重要事項の説明書と同様に、契約書とは別に要求されるものです。 【問 15】 不動産登記に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 不動産の登記申請において、申請に必要な申請情報が提供されていない場合には、申請人が相当の期間内にこれを補正したときでも、登記官は、理由を付した決定をもって、当該申請を却下しなければならない。 2 抹消登記を申請する場合において、当該抹消される登記について登記上の利害関係を有する第三者があるときは、申請情報に併せて、当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を添付情報として提供しなければならない。 3 法改正により削除 4 登記原因を証する情報として執行力のある判決が添付されている場合でも、法律の規定により第三者の許可がなければ権利変動の効力を生じないとされているときは、別に当該第三者の許可を証する情報を提供しなければならない。 【解答及び解説】 【問 15】 正解 2 1 誤り。申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないときは、原則として登記官は、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。 *不動産登記法25条 2 正しい。権利に関する登記の抹消を申請する場合には、登記上の利害関係を有する第三者があるときは、当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を添付情報として提供しなければならない。 *不動産登記法令別表26項ヘ 3 法改正により削除 4 誤り。登記原因について第三者の許可を要するときは、原則として当該第三者が許可したことを証する情報を提供しなければならない。しかし、確定判決による登記を申請するときは、執行力のある確定判決の判決書の正本をその申請情報と併せて登記所に提供すれば、第三者の許可を証する情報を提供しなくてもよい。 *不動産登記法令7条1項5号ロ(1) 【解法のポイント】肢4は難しいかもしれませんが、肢2は基本的な問題です。 【問 16】 国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 Aが所有する都市計画区域に所在する面積6,000㎡の土地をBに売却する契約を、Aと、Bの売買契約の代理人であるCが締結した場合、CはC名義により、事後届出を行う必要がある。 2 Dが所有する市街化調整区域に所在する面積4,000㎡の農地をEに売却する契約を、農地法第5条の許可を停止条件としてDとEが締結した場合、Eは事後届出を行う必要がある。 3 Fが所有する市街化区域に所在する面積5,000㎡の一団の土地を分割して、1,500㎡をGに、3,500㎡をHに売却する契約をFがそれぞれG及びHと締結した場合、Gは事後届出を行う必要はないが、Hは事後届出を行う必要がある。 4 甲市が所有する市街化区域に所在する面績3,000㎡の土地をIに売却する契約を、甲市とIが締結した場合、Iは事後届出を行う必要がある。 【解答及び解説】 【問 16】 正解 3 1 誤り。土地売買等の契約を締結した場合には、権利取得者は、その契約を締結した日から起算して2週間以内に、都道府県知事に届け出なければならない。代理人名義で事後届出を行うわけではない。 *国土利用計画法23条1項 2 誤り。市街化調整区域内に所在する土地について、土地売買等の契約を締結した場合、5,000㎡以上の土地について事後届出が必要となる。本肢は、4,000㎡なので事後届出は不要である。 *国土利用計画法23条2項1号ロ 3 正しい。本肢のように、一団の土地を分割して土地売買等の契約を締結した場合を「売りの一団」といい、全体を一団の土地取引として届出対象面積かどうかを判断するのではなく、個々の取引が届出対象面積かどうかを判断する。そこで、本肢は市街化区域内であるから、FG間の売買契約は2,000㎡未満であり、事後届出は不要であるが、FH間の売買契約は2,000㎡以上であり、事後届出が必要である。 *国土利用計画法23条2項1号イ 4 誤り。当事者の一方又は双方が国、地方公共団体等である場合には、事後届出は不要である。 *国土利用計画法23条2項3号 【解法のポイント】本問は、国土利用計画法の問題としては、基本的なものだと思います。肢3の「売りの一団」と「買いの一団」については、しっかり区別して下さい。 【問 17】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため定める地区である。 2 第一種住居地域は、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域であり、第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域である。 3 高度利用地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。 4 地区計画は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その地区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める計画である。 【解答及び解説】 【問 17】 正解 1 1 正しい。高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するために定める地区とする。 *都市計画法9条16項 2 誤り。第一種住居地域は、住居の環境を保護するため定める地域であり、第二種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域である。 *都市計画法9条5項6項 3 誤り。高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区である。問題文は、高度地区に関する説明である。 *都市計画法9条18項 4 誤り。地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画である。問題文は、特定街区に関する説明である。 *都市計画法12条の5第1項 【解法のポイント】肢1の高層住居誘導地区は、文字通り「高層住居」(つまりマンション)を「誘導」する「地区」である。どこに、誘導するかというと「都心部」である。つまり、都心部にマンションを誘導し、職住近接を図ろうとする地区である。 【問 18】 開発許可に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1 市街化調整区域における農産物の加工に必要な建築物の建築を目的とした500㎡の土地の区画形質の変更には、常に開発許可が不要である。 2 市街化区域における市街地再開発事業の施行として行う3,000㎡の土地の区画形質の変更には、常に開発許可が不要である。 3 都市計画区域でも準都市計画区域でもない区域内における住宅団地の建設を目的とした6,000㎡の土地の区画形質の変更には、常に開発許可が不要である。 4 準都市計画区域における図書館の建築を目的とした5,000㎡の土地の区画形質の変更には、常に開発許可が不要である。 【解答及び解説】 【問 18】 正解 1 1 誤り。市街化調整区域内において生産される農産物の加工に必要な建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は、市街化調整区域内の開発許可基準の一つとされているが、開発許可基準は開発許可を必要とすることを前提に、開発許可をおろすかどうかを決める基準である。したがって、本肢の行為は開発許可が不要とされるわけではない。 *都市計画法34条4号 2 正しい。市街地再開発事業の施行として行う開発行為は、その適用される区域を問わず、開発許可が不要とされている。 *都市計画法29条1項6号 3 正しい。都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、1ha規模以上の開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。本肢では、6,000㎡の土地であるから、開発許可は不要である。 *都市計画法29条1項1号 4 正しい。図書館などの公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は、その区域・規模を問わず、開発許可は不要である。 *都市計画法29条1項3号 【解法のポイント】肢2・肢4などは、区域・規模を問わず開発許可が不要とされるものであるから、何とか区域とか、何平方メートルなどの言葉に惑わされないように。 【問 19】 開発許可に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法の指定都市等にあっては、それぞれの指定都市等の長をいうものとする。 1 開発許可を受けた開発区域内において、開発行為に関する工事が完了した旨の公告があるまでの間は、開発許可を受けた者は、工事用の仮設建築物を建築するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき以外は、建築物を建築してはならない。 2 開発許可を受けた用途地域の定めのない開発区域内において、開発行為に関する工事が完了した旨の公告があった後は、民間事業者は、都道府県知事が許可したときを除けば、予定建築物以外の建築物を新築してはならない。 3 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域において、民間事業者は、都道府県知事の許可を受けて、又は都市計画事業の施行としてでなければ、建築物を新築してはならない。 4 都市計画法の規定に違反する建築物を、それと知って譲り受けた者に対して、国土交通大臣又は都道府県知事は、都市計画上必要な限度において、建築物の除却など違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。 【解答及び解説】 【問 19】 正解 3 1 正しい。開発許可を受けた開発区域内の土地においては、工事完了の公告があるまでの間は、原則として建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、工事用の仮設建築物又は特定工作物を建築し、又は建設するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたときは、建築物を建築することができる。 *都市計画法37条 2 正しい。何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、工事完了の公告があった後は、原則として予定建築物等以外の建築物を新築してはならない。ただし、都道府県知事が許可したとき、又は用途地域等が定められているときは、この限りでない。本肢では、「用途地域の定めのない」地域であるから、都道府県知事が許可したとき以外は、予定建築物以外の建築物を新築できない。 *都市計画法42条1項 3 誤り。何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物を新築してはならない。ただし、これについては農林漁業用の建築物、公益上必要な建築物の建築目的の場合など、問題文以外にも建築物を新築できる場合がある。 *都市計画法43条1項 4 正しい。国土交通大臣、都道府県知事又は指定都市等の長は、都市計画法の規定に基づく処分に違反した者又は当該違反の事実を知って、当該違反に係る土地若しくは工作物等を譲り受けた者に対して、都市計画上必要な限度において、建築物の改築、移転若しくは除却その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。 *都市計画法81条1項1号 【解法のポイント】肢1については、「開発行為に同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき」には、建築物が建築できるではないかと、考えた人もいるかと思います。しかし、問題文をよく読んで下さい。問題文の主語は、「開発許可を受けた者」です。つまり、「開発行為に同意をしていない者」は、この問題では関係ありません。「開発許可を受けた者」が建築物を建築できるという例外は、問題文の「工事用の仮設建築物」と「都道府県知事の許可」があった2つの場合に限ります。よく考えられたというか、いやらしい問題ですね。肢2も問題文をよく読むこと。「用途地域の定めのない」という部分に注意。肢4は、初出題の問題だと思います。 【問 20】 防火地域内において、地階を除く階数が5(高さ25m)、延べ面積が800㎡で共同住宅の用途に供する鉄筋コンクリート造の建築物で、その外壁が耐火構造であるものを建築しようとする場合に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 当該建築物は、防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画しなければならない。 2 当該建築物について確認をする場合は、建築主事は、建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長へ通知しなければならない。 3 当該建築物には、安全上支障がない場合を除き、非常用の昇降機を設けなければならない。 4 当該建築物は、外壁を隣地境界線に接して設けることができる。 【解答及び解説】 【問 20】 正解 4 1 誤り。延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならない。また、本問は鉄筋コンクリート造の建物であるから、耐火建築物にあたり、その意味でも防火壁で区画する必要はない。 *建築基準法26条 2 誤り。建築主事は、建築基準法の規定による許可又は確認をする場合においては、当該許可又は確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可又は確認をすることができない。通知をするわけではない。 *建築基準法93条1項 3 誤り。高さ31mをこえる建築物には、非常用の昇降機を設けなければならない。本問の建築物は、高さ25mであるから、非常用の昇降機は不要である。 *建築基準法34条2項 4 正しい。防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。本問は、防火地域内の建築物であるから、外壁を隣地境界線に接して設けることができる。 *建築基準法65条 【解法のポイント】現実にある建物を建てようとするときは、建築基準法など各種の法令上の制限がかかってきます。その意味で、本問のように具体的な建築物を挙げ、それに関する法規制を問うという問題は実務的な問題といえると思います。 【問 21】 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1 市町村は地区計画の地区整備計画が定められている区域内において、条例で、建築基準法第48条の建築物の用途制限を強化又は緩和することができる。 2 建築協定においては、建築協定区域内における建築物の用途に関する基準を定めることができない。 3 都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内において、地方公共団体は、建築物の用途に関する制限を条例で定めることはできない。 4 第一種低層住居専用地域において建築することができる用途の建築物については、第二種低層住居専用地域においても建築することができる。 【解答及び解説】 【問 21】 正解 2 1 正しい。市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画等が定められている区域に限る。)内において、用途に関する事項等で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。また、国土交通大臣の承認を得て、前記の条例で、用途制限を緩和することができる。 *建築基準法68条の2第1項・5項 2 誤り。建築協定において、その区域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準についての協定を締結することができる。 *建築基準法69条 3 正しい。都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内においては、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域であっても、地方公共団体は、必要と認めるときは、条例で、建築物又はその敷地と道路との関係、建築物の容積率、建築物の高さその他の建築物の敷地又は構造に関して必要な制限を定めることができる。しかし、建築物の用途に関する制限を定めることはできない。 *建築基準法68条の9第1項 4 正しい。第一種低層住居専用地域は、第二種低層住居専用地域より良好な住居の環境を守らなければならない地域である。したがって、第一種低層住居専用地域で建築できる建築物は、第二種低層住居専用地域でも建築できる。 *建築基準法48条 【解法のポイント】本問は、建築基準法のいろいろな場面で出てくる用途制限について、総合的に問う問題でいい問題だと思います。肢3は、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域において、定めることができる制限を正確に覚えていた人は少なかったのではないかと思います。そういう人は、とりあえず正誤は保留にすることですね。そして、肢2はできないといけない問題です。肢4は、落ち着いて考えれば自ずと「正しい」と分かるでしょう。 【問 22】 土地区画整理事業の換地処分に関する次の記述のうち、土地区画整理法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 換地処分は、施行者が換地計画において定められた関係事項を公告してするものとされている。 2 施行地区内の宅地について存する地役権は、行使する利益がなくなった場合を除き、換地処分に係る公告があった日の翌日以後においても、なお従前の宅地の上に存する。 3 換地処分に係る公告後、従前の宅地について存した抵当権は消滅するので、換地に移行することはない。 4 土地区画整理事業の施行により生じた公共施設の用に供する土地は、換地処分に係る公告があった日の翌日において、すべて市町村の管轄に属する。 【解答及び解説】 【問 22】 正解 2 1 誤り。換地処分は、関係権利者に換地計画において定められた関係事項を通知してするものとする。 *土地区画整理法103条1項 2 正しい。施行地区内の宅地について存する地役権は、土地区画整理事業の施行により行使する利益がなくなった地役権を除いて、換地処分の公告があった日の翌日以後においても、なお従前の宅地の上に存する。 *土地区画整理法104条4項 3 誤り。換地処分の公告があった場合においては、従前の宅地について存した所有権及び地役権以外の権利について、従前の宅地について存したこれらの権利は換地に移行する。 *土地区画整理法104条2項 4 誤り。土地区画整理事業の施行により生じた公共施設の用に供する土地は、換地処分の公告があった日の翌日において、その公共施設を管理すべき者に帰属する。そして、その公共施設は、換地処分の公告があった日の翌日において、原則としてその公共施設の所在する市町村の管理に属するが、例外もあるので、本肢は「すべて」という部分が「誤り」である。 *土地区画整理法105条3項 【解法のポイント】肢2と肢3は要注意。何度でも出題されます。ポイントは、換地処分により、従前の宅地の上に存する権利は、換地に移行するのが原則です。ところが、地役権はその性質上、従前の宅地の上に存します。肢3が原則形態、肢2が例外という関係になります。 【問 23】 農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 市町村が農地を農地以外のものにするため所有権を取得する場合、農地法第5条の許可を得る必要はない。 2 市街化調整区域内の農地を宅地に転用する目的で所有権を取得する場合、あらかじめ農業委員会に届け出れば農地法第5条の許可を得る必要はない。 3 農地の所有者がその農地のうち2アールを自らの養畜の事業のための畜舎の敷地に転用しようとする場合、農地法第4条の許可を得る必要はない。 4 遣産の分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条の許可を得る必要はない。 【解答及び解説】 【問 23】 正解 4 1 誤り。農地を取得する者が国又は都道府県である場合には、農地法5条の許可は不要であるが、市町村の場合は、原則的には許可が必要である。 *農地法5条1項1号 2 誤り。市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、あらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合には、農地法5条の許可は不要であるが、市街化調整区域については、このような特例はなく、許可が必要となる。 *農地法5条1項3号 3 誤り。耕作の事業を行なう者が、その農地(2アール未満のものに限る。)をその者の農作物の育成若しくは養畜の事業のための農業用施設に供する場合には、農地法4条の許可は不要である。しかし、本肢では2アールなので、許可が必要となる。 *農地法施行規則5条1号 4 正しい。遺産の分割により農地の所有権を取得する場合には、農地法3条の許可は不要である。 *農地法3条1項7号 【解法のポイント】肢3は、細かいようですが、また、出題されますよ。 【問 24】 宅地造成等規制法に規定する宅地造成工事規制区域(以下この問において「規制区域」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法の指定都市等にあっては、それぞれの指定都市等の長をいうものとする。 1 規制区域内で過去に宅地造成に関する工事が行われ、現在は造成主とは異なる者がその工事が行われた宅地を所有している場合、当該宅地の所有者は災害が生じないようその宅地を常時安全な状態に維持するよう努める必要はない。 2 規制区域内の宅地において行われる切土による土地の形質の変更に関する工事で、当該宅地に高さ1.5mのがけが生じ、かつ、その面積が600㎡のときには、造成主は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならない。 3 新たに指定された規制区域内において、指定の前にすでに着手されていた宅地造成に閲する工事については、その造成主はその指定があった日から21日以内に、都道府県知事の許可を受けなければならない。 4 規制区域内の宅地造成に関する工事の検査済証が交付された後、宅地造成に伴う災害防止上の必要性が認められるときは、都道府県知事は宅地の所有者に対して、当該宅地の使用を禁止又は制限をすることができる。 【解答及び解説】 【問 24】 正解 2 1 誤り。宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成(宅地造成工事規制区域の指定前に行なわれたものを含む。)に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。したがって、宅地造成が行われたときには造成主ではなかった者でも、現在の宅地の所有者は、宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。 *宅地造成等規制法16条1項 2 正しい。高さが2mをこえるがけを生じない切土であっても、切土又は盛土をする土地の面積が500㎡をこえるものは、宅地造成にあたり、都道府県知事の許可を受けなければならない。 *宅地造成等規制法施行令3条4項 3 誤り。宅地造成工事規制区域の指定の際、当該宅地造成工事規制区域内において行なわれている宅地造成に関する工事の造成主は、その指定があつた日から21日以内に、当該工事について都道府県知事に届け出なければならない。 *宅地造成等規制法15条1項 4 誤り。宅地造成工事完了後の検査の結果、工事が技術的基準等に適合していると認めた場合において、検査済証が交付されたときは、監督処分を受けることはない。 *宅地造成等規制法14条 【解法のポイント】肢1は、よく理解しておいて下さい。肢3の届出制は、よく出題されます。 【問 25】 次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 地すべり等防止法によれば、ぼた山崩壊防止区域内において、土石の採取を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 2 港湾法によれば、港湾区域内において、港湾の開発に著しく支障を与えるおそれのある一定の行為をしようとする者は、原則として国土交通大臣の許可を受けなければならない。 3 文化財保護法によれば、史跡名勝天然記念物の保存に重大な影響を及ぼす行為をしようとする者は、原則として市町村長の許可を受けなければならない。 4 自然公園法によれば、環境大臣が締結した風景地保護協定は、当該協定の公告がなされた後に当該協定の区域内の土地の所有者となった者に対しては、その効力は及ばない。 【解答及び解説】 【問 25】 正解 1 1 正しい。ぼた山崩壊防止区域内において、土石の採取又は集積をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。 *地すべり等防止法42条1項4号 2 誤り。港湾区域内において、港湾の開発、利用又は保全に著しく支障を与えるおそれのある行為をしようとする者は、港湾管理者の許可を受けなければならない。 *港湾法37条1項4号 3 誤り。史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。 *文化財保護法125条1項 4 誤り。風景地保護協定は、その公告のあった後において当該風景地保護協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力があるものとする。 *自然公園法36条 【解法のポイント】肢1から肢3までは、通常の「その他の法令上の制限」の問題です。肢4は初めての出題だと思いますが、建築協定などから類推できる問題だと思います。 【問 26】 居住用財産を譲渡した場合における所得税の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 譲渡した年の1月1日において所有期間が10年以下の居住用財産を譲渡した場合には、居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用することはできない。 2 譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合において、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例を適用するときには、居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用することはできない。 3 居住用財産を配偶者に譲渡した場合には、居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用することはできない。 4 居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用については、居住用財産をその譲渡する時において自己の居住の用に供している場合に限り適用することができる。 【解答及び解説】 【問 26】 正解 3 1 誤り。居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、所有期間の長短を問わす適用され、所有期間が10年以下の場合でも適用できる。 *租税特別措置法35条1項 2 誤り。「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」と「居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は重複して適用される。 *租税特別措置法35条1項 3 正しい。居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、当該個人の配偶者その他の当該個人と政令で定める特別の関係がある者に対してするものについては、適用されない。 *租税特別措置法35条1項 4 誤り。居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、居住用財産で当該個人の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした場合には適用することができる。したがって、必ずしも譲渡時点において、自己の居住の用に供している必要はない。 *租税特別措置法35条1項 【解法のポイント】肢1の所有期間の長短を問わないという点はよく出題されます。肢2の重複適用か、選択適用化は定番の問題です。肢3と肢4の適用要件もしっかり押さえておいて下さい。 【問 27】 住宅用家屋の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率の軽滅措置の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 この税率の軽減措置は、木造の住宅用家屋で建築後24年を経過したものを取得した場合において受ける所有権の移転の登記に適用されることはない。 2 この税率の軽減措置は、個人が自己の経営する会社の従業員の社宅として取得した住宅用家屋について受ける所有権の移転の登記にも適用される。 3 この税率の軽減措置は、贈与により取得した住宅用家屋について受ける所有権の移転の登記にも適用される。 4 この税率の軽減措置は、以前にこの措置の適用を受けたことのある者が新たに取得した住宅用家屋について受ける所有権の移転の登記にも適用される。 【解答及び解説】 【問 27】 正解 4 1 誤り。この軽減税率は、木造の住宅用家屋の場合、家屋がその取得の日以前20年以内に建築されたものであるか、当該家屋が一定の耐震基準に適合するものであれば適用される。したがって、建築後24年を経過したものであっても、一定の耐震基準に適合すれば適用される。 *租税特別措置法施行令42条1項 2 誤り。この軽減税率は、個人が、一定の住宅用家屋を取得した場合に適用されるのであり、会社のような法人には適用されない。 *租税特別措置法73条 3 誤り。この軽減税率は、個人が、一定の住宅用家屋を売買又は競落により取得した場合に適用されるので、贈与により取得した場合には、適用されない。 *租税特別措置法施行令42条3項 4 正しい。この軽減税率は、以前にこの措置の適用を受けたことのある者に対して、特に適用除外とされる規定はなく、一定の要件を満たせば、以前にこの措置の適用を受けた者に対しても適用される。 *租税特別措置法73条 【解法のポイント】登録免許税の軽減税率の問題は、この所有権移転登記の場合だけでなく、保存登記などの場合もよく出題されます。必ず要件をまとめておいて下さい。 【問 28】 固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 年度の途中において土地の売買があった場合の当該年度の固定資産税は、売主と買主がそれぞれその所有していた日数に応じて納付しなければならない。 2 固定資産税における土地の価格は、地目の変換がない限り、必ず基準年度の価格を3年間据え置くこととされている。 3 固定資産税の納税義務者は、常に固定資産課税台帳に記載されている当該納税義務者の固定資産に係る事項の証明を求めることができる。 4 固定資産税の徴収方法は、申告納付によるので、納税義務者は、固定資産を登記した際に、その事実を市町村長に申告又は報告しなければならない。 【解答及び解説】 【問 28】 正解 3 1 誤り。固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする。したがって、年度の途中に所有者の変更があっても、1月1日現在の登記、登録上の所有者に対して固定資産税は課せられる。 *地方税法359条 2 誤り。固定資産税の課税標準は、基準年度の価格を3年間据え置くのが原則であるが、地目の変換があった場合だけでなく、地目の変換に類する特別の事情があった場合や、市町村の廃置分合又は境界変更によっても変更されることがある。 *地方税法349条2項3項 3 正しい。市町村長は、固定資産税の納税義務者の請求があったときは、固定資産課税台帳に記載をされている事項のうち政令で定めるものについての証明書を交付しなければならない。 *地方税法382条の3 4 誤り。固定資産税の徴収については、普通徴収の方法によらなければならない。申告納付ではない。 *地方税法364条1項 【解法のポイント】肢3は、「常に」という言葉に騙されそうな問題ですね。肢1・肢2・肢4が明らかに、「誤り」ですから、消去法で、「エイッ」と肢3でいくという感じでしょうか。 【問 29】 地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 土地鑑定委員会は、公示区域内の標準地について、毎年1回、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、公示する。 2 土地鑑定委員が、標準地の選定のために他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合は、必ず土地の占有者の承諾を得なければならない。 3 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格と実際の取引価格のうちいずれか適切なものを規準としなければならない。 4 公示価格を規準とするとは、対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地に最も近い位置に存する標準地との比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう。 【解答及び解説】 【問 29】 正解 1 1 正しい。土地鑑定委員会は、公示区域内の標準地について、毎年1回、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとする。 *地価公示法2条1項 2 誤り。土地鑑定委員等は、鑑定評価若しくは価格の判定又は標準地の選定を行なうために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行なう必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入ることができる。このときは、立ち入ろうとする日の3日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。占有者の承諾までは不要である。 *地価公示法22条2項 3 誤り。不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない。 *地価公示法8条 4 誤り。公示価格を規準とするとは、対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる一又は二以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行ない、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう。「対象土地に最も近い位置に存する標準地」との比較を行うわけではない。 *地価公示法11条 【解法のポイント】肢2と肢4は、初出題ではないかと思いますが、肢1が正解であることはすぐに分かると思います。 【問 30】 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 建設会社Aが、所有宅地を10区画に分割し、宅地建物取引業者Bの代理により、不特定多数に継続して販売する場合、Aは免許を受ける必要はない。 2 農業協同組合Cが、所有宅地を10区画に分割し、倉庫の用に供する目的で、不特定多数に継続して販売する場合、Cは免許を受ける必要はない。 3 甲県住宅供給公社Dが、住宅を不特定多数に継続して販売する場合、Dは免許を受ける必要はない。 4 宅地建物取引主任者Eが、E名義で賃貸物件の媒介を反復継続して行う場合、Eが宅地建物取引業者Fに勤務していれば、Eは免許を受ける必要はない。 【解答及び解説】 【問 30】 正解 3 1 誤り。宅地を自ら売主として不特定多数の者に反復継続して売却する場合には、宅地建物取引業に該当し免許を受ける必要がある。これは、宅地建物取引業者に代理を依頼した場合でも同様である。 *宅地建物取引業法2条2号 2 誤り。まず、農業共同組合は、国又は地方公共団体ではない以上、宅地建物取引業法が適用される。そして、倉庫も「建物」に該当するので、本肢の土地は「宅地」に該当する。したがって、それを不特定多数の者に反復継続して販売する以上、免許を受ける必要がある。 *宅地建物取引業法2条2号 3 正しい。地方住宅供給公社は、地方公共団体とみなされるので、宅地建物取引業法は適用されない。したがって、Dは住宅を不特定多数の者に反復継続して販売する場合でも、免許を受ける必要はない。 *宅地建物取引業法78条1項 4 誤り。貸借の媒介を反復継続して行う場合は、免許が必要となる。たとえEが宅地建物取引業者に勤務している場合でも同じである。 *宅地建物取引業法2条2号 【解法のポイント】これは、基本的な免許の問題です。毎年のように出題されるところですので、しっかり確認しておいて下さい。 平成15年 宅地建物取引主任者 本試験 【問 31】 【問 31】 宅地建物取引業法に規定する免許の基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 法人の役員のうちに刑法第159条(私文書偽造等)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、刑の執行後5年を経過すれば、免許を受けることができる。 2 法人の役員のうちに刑法第211条(業務上過失致死傷等)の罪により3年間の懲役の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、判決に執行猶予がついていれば、直ちに免許を受けることができる。 3 法人の役員のうちに宅地建物取引業法の規定に違反して、懲役の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、罰金の刑であれば、直ちに免許を受けることができる。 4 法人の役員のうちに刑法第204条(傷害)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、刑の執行後5年を経過すれば、免許を受けることができる。 【解答及び解説】 【問 31】 正解 4 1 誤り。法人の役員が、一定の犯罪により罰金刑に処せられた場合は、当該法人は免許を受けることができないが、私文書偽造罪により罰金刑に処せられても、免許を受けることができる。 *宅地建物取引業法5条1項7号・3号の2 2 誤り。法人の役員が、懲役刑に処せられた場合は、当該法人は免許を受けることができない。判決に執行猶予がついている場合は、執行猶予期間中は免許を受けることができないのであり、直ちに免許を受けることができるわけではない。 *宅地建物取引業法5条1項7号・3号 3 誤り。法人の役員が、懲役刑に処せられている場合は、それがどんな犯罪によるものであれ、免許を受けることができない。また、法人の役員が宅地建物取引業法違反により罰金刑に処せられている場合は、免許を受けることができない。 *宅地建物取引業法5条1項7号・3号・3号の2 4 正しい。法人の役員が、傷害罪により罰金刑に処せられている場合、免許を受けることができない。しかし、刑の執行後5年を経過すれば免許を受けることができる。 *宅地建物取引業法5条1項7号・3号の2 【解法のポイント】肢2は、刑の執行猶予期間中は免許を受けることはできないが、執行猶予期間が満了すれば直ちに免許を受けることができるという点をしっかり押さえて下さい。 【問 32】 甲県に本店、乙県にa支店を置き国土交通大臣の免許を受けている宅地建物取引業者A(個人)は、a支店の専任の取引主任者Bが不在になり、宅地建物取引業法第15条の要件を欠くこととなった。この場合、Aの手続きに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 本店のみで宅地建物取引業を行う場合、Aは、a支店が所在する乙県知事を経由して国土交通大臣にa支店の廃止の届出を行う必要がある。 2 a支店に専任の取引主任者Cを置き、宅地建物取引業を行う場合、Aは、Cを置いた日から2週間以内に専任の取引主任者の変更の届出を行う必要がある。 3 宅地建物取引業を廃止した場合、Aは、甲県知事を経由して国土交通大臣に30日以内に廃業の届出を行う必要がある。 4 Aは、Bが2ヵ月間の入院をしたため、この期間、宅地建物取引業は行わないこととした場合、Aは宅地建物取引業を休止する旨の届出を行う必要がある。 【解答及び解説】 【問 32】 正解 3 1 誤り。本店のみで宅地建物取引業を行う場合、免許権者が甲県知事になるので、免許換えの手続が必要となる。 *宅地建物取引業法7条 2 誤り。専任の取引主任者の氏名は、宅地建物取引業者名簿の記載事項であるから、宅地建物取引業者は、30日以内に、その旨を免許権者に届け出なければならない。 *宅地建物取引業法8条2項6号、9条 3 正しい。宅地建物取引業者が、廃業した場合、その日から30日以内に、その旨を免許権者に届け出なければならない。この場合、国土交通大臣に提出すべきときは、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない。 *宅地建物取引業法11条1項5号、78条の3第1項 4 誤り。宅地建物取引業者は、専任の取引主任者が一時的に事務が行えなくなったからといって宅地建物取引業を休止する必要はなく、休止の届出が必要ということはない。 *宅地建物取引業法11条1項 【解法のポイント】肢4が、何か分かりにくいですが、そんな規定はないので「誤り」でいいと思います。そもそも、専任の取引主任者が2ヵ月入院するという場合には、宅地建物取引業を行わないとする必要はなく、重要事項の説明などは専任の取引主任者でなくてもよいので、取引主任者としての事務は誰か別の人に頼めばいいだけです。 【問 33】 甲県知事の宅地建物取引主任者登録(以下この問において「登録」という。)を受けている取引主任者Aに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 Aが破産者で復権を得ないものに該当することとなったときは、破産宣告を受けた日から30日以内にAの破産管財人が甲県知事にその旨を届け出なければならない。 2 Aは、乙県知事から事務の禁止処分を受けたが、乙県内に所在する宅地建物取引業者Bの事務所の業務に従事しているため、その禁止の期間が満了すれば、甲県知事を経由して、乙県知事に登録の移転の申請をすることができる。 3 Aが無免許営業等の禁止に関する宅地建物取引業法に違反して宅地建物取引業を営み、懲役1年、執行猶予3年及び罰金10万円の刑に処せられ、登録を消除されたとき、執行猶予期間が満了すれば、その翌日から登録を受けることができる。 4 Aが役員をしているC社が宅地建物取引業の免許を受けたにもかかわらず、営業保証金を供託せず免許が取り消された場合には、Aの登録は消除される。 【解答及び解説】 【問 33】 正解 2 1 誤り。取引主任者が破産者で復権を得ないものに該当することになったときは、取引主任者本人は、その日から30日以内に、その旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。破産管財人に届出義務があるわけではない。 *宅地建物取引業法21条2号 2 正しい。事務禁止の処分を受け、その禁止の期間が満了していないときは、登録の移転ができないが、事務禁止処分の期間が満了すれば、登録の移転をすることができる。 *宅地建物取引業法19条の2 3 誤り。本肢では、懲役には執行猶予がついているが、罰金刑には執行猶予はついていないので、「宅地建物取引業法に違反し罰金刑に処せられた」場合に該当するので、刑の執行が終了してから5年間は登録を受けることができない。 【じっくり解説】 この問題は、間違えた方が非常に多いと思います。 問題文中に「執行猶予」という言葉があるので、「執行猶予期間の満了→翌日から免許可能」という流れで考えた人(ほとんどがそう考えたと思いますが…)は、「正しい」と判断したでしょう。しかし、この問題には、一ひねりがありました。 その執行猶予の部分の問題文を抜き取ってみますと、「懲役1年、執行猶予3年及び罰金10万円」となっています。ここにワナがあるわけです。 この文章は、「懲役1年、執行猶予3年」プラス「罰金10万円」と読みます。つまり、懲役1年には執行猶予が付いているが、罰金10万円には執行猶予はついていません。 そして、この罰金は、無免許営業等の禁止に関する宅地建物取引業法に違反したものであり、「宅地建物取引業法に違反して罰金」というのは、5年間免許を受けることができなくなります。 「執行猶予期間が満了すれば、その翌日から登録を受けることができる」のではなく、罰金について執行が終わってから(罰金を支払ってから)5年間は免許を受けることができなくなります。 この問題は、行きつくところ、「懲役1年、執行猶予3年」プラス「罰金10万円」というふうに問題文を読めたかどうかに尽きますが、初めてこの問題を見てそれに気が付くというのは、事実上難しかったでしょう。しかし、一度出題されていますので、今後は気を付けて下さい。 *宅地建物取引業法18条1項5号の2 4 誤り。不正の手段により免許を取得した、業務停止処分事由に該当し情状が重い、業務停止処分に違反したことを理由に宅地建物取引業の免許を取り消された法人の役員であったものは、登録を消除される。しかし、営業保証金を供託しなかったことを理由に免許を取り消されても、その法人の役員の登録が消除されることはない。 *宅地建物取引業法68条の2第1項1号 【問 34】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお、本店と支店とは、もよりの供託所を異にする。 1 Aは、1棟50戸のマンションの分譲を行う案内所を甲県内に設置し、その旨を甲県知事に届け出た後、営業保証金を追加して供託せずに当該案内所において分譲を開始した。 2 Aは、甲県内に1つの支店を新設したので、1週間後に営業保証金として500万円を当該支店のもよりの供託所に供託した。 3 Aは、甲県内に2つの支店を新設し、本店のもよりの供託所に1,000万円を供託し、営業を開始した後、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出た。 4 Aは、支店を廃止したため、Aの営業保証金につき、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は3ヵ月以内に申し出るべき旨の公告をしたが、申出がなかったので、営業保証金を取り戻した。 【解答及び解説】 【問 34】 正解 1 1 違反しない。営業保証金は、主たる事務所及びその他の事務所の数により、その額が決まるので、案内所を設置しても、営業保証金の額は変わらない。したがって、本肢では営業保証金の追加は不要である。 *宅地建物取引業法25条2項 2 違反する。宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。これは支店についての営業保証金についても同様である。 *宅地建物取引業法25条1項 3 違反する。宅地建物取引業者は、営業保証金を供託したときは、その旨を免許権者に届け出なければならず、この届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。 *宅地建物取引業法25条5項 4 違反する。宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止した場合、その超過額について、還付の権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかった場合でなければ、これをすることができない。 *宅地建物取引業法30条2項 【解法のポイント】この問題は、基本的なものだと思います。肢4の「6月」という期間自体が問われることは珍しいと思いますが、覚えておいて下さい。 【問 35】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 1 信託会社Aは、国土交通大臣に対し事務所を設置して宅地建物取引業を営む旨の届出をした後、営業保証金の供託又は宅地建物取引業保証協会への加入をせず宅地建物取引業の業務を開始した。 2 宅地建物取引業者Bは、自ら売主として宅地建物取引業者でないCと4,000万円の宅地の割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えた。残代金1,000万円が未払であったため、Cは代金債務を保証する保証人を立てたが、Bは、宅地の所有権の登記をB名義のままにしておいた。 3 一の宅地建物取引業保証協会の社員である宅地建物取引業者Dは、自らが取引の相手方に対し損害を与えたときに備え、相手方の損害を確実に補填できるよう、他の宅地建物取引業保証協会に加入した。 4 宅地建物取引業者Eは、Fの所有する宅地を取得することを停止条件として、宅地建物取引業者Gとの間で自ら売主として当該宅地の売買契約を締結した。 【解答及び解説】 【問 35】 正解 4 1 違反する。信託会社は、宅地建物取引業の免許に関する規定は適用されないが、それ以外の規定は適用される。したがって、営業保証金の供託又は保証協会へ加入する必要がある。 *宅地建物取引業法77条2項 2 違反する。宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なった場合には、宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の10分の3をこえる額の金銭の支払を受けていない場合や、保証人を立てる見込みがないとき等以外には、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。本肢は、代金の10分の3以上の代金の支払を受け、保証人も立てているので、登記をC名義に移転しなければならない。 *宅地建物取引業法43条1項 3 違反する。一の宅地建物取引業保証協会の社員である者は、他の宅地建物取引業保証協会の社員となることができない。 *宅地建物取引業法64条の4第1項 4 違反しない。宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約を締結してはならないが、買主も宅地建物取引業者である場合は、この規定は適用されない。 *宅地建物取引業法33条の2、78条2項 【解法のポイント】肢1は、勘違いしないで下さい。信託会社は、免許以外の宅地建物取引業法の規定は適用されます。国や地方公共団体は、免許以外の規定も含めて、全面的に宅地建物取引業法の規定が適用されないことと比較して押さえておいて下さい。 【問 36】 宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業法第35条の規定に基づき重要事項の説明を行う場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1 対象物件が、建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である場合、Aは、同条第4項に規定する共用部分に関する規約の定めがあるときはその内容を説明する必要があるが、当該規約が未だ案であるときはその内容を説明する必要はない。 2 売買契約の対象となる宅地が、建築基準法に基づき、地方公共団体が条例で指定した災害危険区域内にある場合、Aは、条例で定められている制限に関する事項の概要を説明しなければならない。 3 賃貸借契約の対象となる建物について、高齢者の居住の安定確保に関する法律第56条で定める終身建物賃貸借の媒介をしようとする場合、Aは、その旨を説明しなければならない。 4 売買契約の対象となる宅地が、土壌汚染対策法で規定する指定区域内にある場合、Aは、当該宅地の形質の変更を行おうとするときは、原則として、都道府県知事への届出が必要である旨を説明しなければならない。 【解答及び解説】 【問 36】 正解 1 1 誤り。建物の区分所有等に関する法律第2条第4項に規定する共用部分(規約共用部分)に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容を重要事項として説明しなければならない。 *宅地建物取引業法施行規則16条の2第2号 2 正しい。都市計画法 、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の概要を重要事項として説明しなければならない。本肢の災害危険区域内にある場合もこれに該当する。 *宅地建物取引業法施行令3条1項2号 3 正しい。建物の賃貸借については、高齢者の居住の安定確保に関する法律第56条の終身建物賃貸借である場合は、その旨を重要事項として説明しなければならない。 *宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第8号 4 正しい。売買契約の対象の土地が、土壌汚染対策法第9条の指定区域にある場合は、その土地の形質の変更には、都道府県知事への届出が必要である旨を重要事項として説明しなければならない。 *宅地建物取引業法施行令3条1項32号 【解法のポイント】重要事項の説明対象が何かは、宅地建物取引業法、同胞施行規則・同法施行令に詳細に規定がありますが、現実的にはそんなに詳細に覚えることはできないと思います。本問でいえば、肢1はよく出題されるので必ず覚える。肢3はそんなに出題されるわけではないが、定期借地権・定期建物賃貸借と同じ条文に規定にされているので、ついでに覚える。肢2と肢4は、売買契約の場合は、たいていの条文は説明しなければならない、という感じで覚えておけばいいと思います。 【問 37】 宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第35条に規定する重要事項の説明又は法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 取引主任者が、法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面を作成した場合は、自ら署名をすれば押印は省略できる。 2 建物の賃貸借契約において、宅地建物取引業者(管理業務受託)が貸主代理として借主と契約締結した場合、法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面は、借主にのみ交付すれば足りる。 3 宅地の売買について、売主A、Aの媒介業者B及び買主の媒介業者Cの三者がいずれも宅地建物取引業者である場合は、B及びCのみならず、Aも、買主に対して法第35条に規定する重要事項の説明をすべき義務を負う。 4 宅地建物取引業者は、抵当権に基づく差押えの登記がされている建物の賃貸借を媒介するに当たり、貸主から当該建物の差押えを告げられなかった場合は、法第35条に基づき借主に対して当該建物の上に存する登記の内容を説明する義務はない。 【解答及び解説】 【問 37】 正解 3 1 誤り。宅地建物取引業者は、37条書面を作成したときは、取引主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。自ら署名した場合でも、押印を省略することはできない。 *宅地建物取引業法37条3項 2 誤り。37条書面は、契約の各当事者に交付しなければならず、借主にのみ交付するだけでは足りない。 *宅地建物取引業法37条1項 3 正しい。1つの取引に複数の宅地建物取引業者が関与する場合には、当該取引に関与した宅地建物取引業者すべてが売主、媒介人等の立場からそれぞれ重要事項説明の義務を負う。Aも自ら売主で宅建業者である以上、買主に対して重要事項の説明をすべき義務を負う。 *宅地建物取引業法35条1項 4 誤り。建物の賃貸借の媒介においても、「建物の上に存する登記された権利の種類」は重要事項として説明しなければならない。 *宅地建物取引業法35条1項1号 【解法のポイント】肢1の記名押印についてですが、記名押印とは、文字通り「記名+押印」を意味しています。「記名」は自署に限らず、ワープロ、ゴム印などでもかまいません。ただ、自署をしたからといって、押印が不要になるというわけではありません。 【問 38】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 1 Aは、Bとの間で3,000万円の宅地の売買契約を締結したが、契約前に当該宅地の周辺の価格が値上がりしているので、2年後には、当該宅地の価格が上昇し、Bが転売によって利益を得ることが確実である旨の説明を行った。 2 Aは、Bとの間で建築工事が完了した1億円の新築マンションの売買契約を締結し、宅地建物取引業法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じたうえで、当該マンションの引渡し前に2,000万円を手付金として受領した。 3 Aは、Bとの間で3,000万円の宅地の売買契約を締結したが、契約当日、Bが手付金を一部しか用意できなかったため、残りの手付金をAが貸し付け、契約の締結を誘引した。 4 Aは、Bとの間で3,000万円の宅地の売買契約を締結したが、特約の定めにより、Bの債務不履行を理由とする契約解除に伴い、500万円の損害賠償及び同額の違約金をそれぞれ請求した。 【解答及び解説】 【問 38】 正解 2 1 違反する。宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。 *宅地建物取引業法47条の2第1項 2 違反しない。宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手附を受領することができない。また、宅地建物取引業者は、代金の額の10分の1を超えるか、または1,000万円を超える手付金等を受領することは、手付金等の保全措置を講じなければ手付金等を受領することができない。 *宅地建物取引業法39条1項 3 違反する。宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、手附について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない。 *宅地建物取引業法47条3号 4 違反する。宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2をこえることとなる定めをしてはならない。500万円の損害賠償及び同額の違約金を合計すると1,000万円になり、代金の額の10分の2をこえる。 *宅地建物取引業法38条 【解法のポイント】本問は特にひねったところもなく、基本的な問題ですので、特にコメントもありません。 【問 39】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主との間で締結した宅地の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき売買契約の解除(以下この問において「クーリング・オフ」という。)をする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 買主Bは、20区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けを申し込み、契約を締結して、手付金を支払った。Bは、Aからクーリング・オフについて書面で告げられていなくても、その翌日に契約の解除をすることができる。 2 買主Cは、喫茶店で買受けの申込みをした際に、Aからクーリング・オフについて書面で告げられ、その4日後にAの事務所で契約を締結した場合、契約締結日から起算して8日が経過するまでは契約の解除をすることができる。 3 買主Dは、ホテルのロビーで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に手付金を支払った。その3日後、Dから、クーリング・オフの書面が送付されてきた場合、Aは、契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することができる。 4 買主Eは、自ら指定したレストランで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に代金の全部を支払った。その6日後、Eは、土地の引渡しを受ける前にクーリング・オフの書面を送付したが、Aは、代金の全部が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。 【解答及び解説】 【問 39】 正解 1 1 正しい。案内所で契約した場合でも、テント張りのような土地に定着していない案内所で契約を締結した場合には、契約の解除をすることができる。なお、クーリング・オフは、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げられた日から起算して8日を経過するまでは、行うことができる。したがって、書面で告げられていない場合でも、解除することができる。 *宅地建物取引業法37条の2第1項1号 2 誤り。事務所等以外の場所で買受けの申込みをし、事務所で契約をした場合でもクーリング・オフをすることができるが、クーリング・オフについて書面で告げられた日から8日を経過すればクーリング・オフをすることはできない。契約締結日から8日間を起算するわけではない。 *宅地建物取引業法37条の2第1項1号 3 誤り。宅地建物取引業者は、クーリング・オフできる場合、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。また、申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。したがって、Aは契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することはできない。 *宅地建物取引業法37条の2第1項・3項 4 誤り。申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つたときはクーリング・オフできないが、代金の全部は支払われたが、引渡しがまだなされていない場合には、クーリング・オフをすることができる。 *宅地建物取引業法37条の2第1項2号 【解法のポイント】本問を解くのに必要な知識は、基本的なものだと思いますが、クーリング・オフの場合、いろいろな論点が出てきますので、それが組み合わされた場合でも、しっかり解答できるようにしておいて下さい。 【問 40】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 宅地建物取引業者は、その業務に関して、国土交通省令に定める事頂を記載した帳簿を一括して主たる事務所に備え付ければよい。 2 宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて宅地建物取引主任者証を提示すればよい。 3 宅地建物取引業者は、国土交通省令に定める事項を記載した従業者名簿を、最終の記載をした日から5年間保存すればよい。 4 宅地建物取引業者は、その主たる事務所に宅地建物取引業者免許証を掲げなくとも、国土交通省令に定める標識を掲げればよい。 【解答及び解説】 【問 40】 正解 4 1 誤り。宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備えなければならない。一括して主たる事務所に備え付けるのでは不十分である。 *宅地建物取引業法49条 2 誤り。従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならない。従業者証明書に代えて取引主任者証を提示することは認められない。 *宅地建物取引業法48条2項 3 誤り。宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。 *宅地建物取引業法施行規則17条の2第4項 4 正しい。宅地建物取引業者は、事務所等及び事務所等以外の国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならない。しかし、免許証について掲示義務は定められていない。 *宅地建物取引業法50条1項 【解法のポイント】従業者証明書、従業者名簿、帳簿などは、たいしたことがない部分のように思えますが、試験にはちょくちょく出題されていて、バカにできない部分です。そんなに覚えることは多くないので、しっかりできるようにしておいて下さい。 【問 41】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、中古住宅及びその敷地である土地を、代金3,500万円、うち手付金500万円で売買契約を締結しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 相手方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付金のうち250万円を放棄して、また、Aは1,000万円を償還して、契約を解除することができる旨の定めをすることができる。 2 債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の定めがない場合、損害賠償の請求額は、売買代金の額の2割である700万円が上限である。 3 Aは、契約締締日に手付金を受領する場合、その全額について受領後直ちに、宅地建物取引業法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を行わなければならない。 4 Aが瑕疵担保責任を負うべき期間について定める場合、「引渡しの日から1年」とする特約は無効であり、当該期間は「引渡しの日から2年」となる。 【解答及び解説】 【問 41】 正解 1 1 正しい。宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであっても、解約手付とされ、これに反する特約で、買主に不利なものは、無効とされる。本肢の特約は、買主は手付の半額を放棄し、売主は手付の倍額を償還して解除できるとするものであり、買主に有利なものであるから有効である。 *宅地建物取引業法39条2項・3項 2 誤り。宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定した場合は、その額は売買代金の2割が限界であるが、損害賠償額の予定をしない場合は、損害賠償の請求額は、実損額であり、売買代金の2割に限定されない。 *宅地建物取引業法38条 3 誤り。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買に関しては、手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。したがって、保全措置が先行し、その後手付金等の授受がなされるのであり、手付金等を受領したのちに保全措置を講じても遅い。 *宅地建物取引業法41条の2 4 誤り。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、瑕疵担保責任に関し、責任を負うべき期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法より買主に不利となる特約をしてはならず、これに反する特約は、無効となる。そして、特約が無効となる場合は、特約がない状態になり、民法の原則に戻り、瑕疵を発見してから1年間は瑕疵担保責任を追及することができる。 *宅地建物取引業法40条 【解法のポイント】肢1は、買主に有利・不利の判断が確実にできるようにして下さい。肢2は、「損害賠償額の予定等の制限」はあくまで、損害賠償額の予定をした場合の規定というところがポイントです。肢3は、保全措置→手付金等の受領、という手順を確認して下さい。肢4は、特約が無効になる場合の典型的な問題です。 【問 42】 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入している宅地建物取引業者Aに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 Aは、自己所有の宅地を宅地建物取引業者Bに売却する場合、売買契約が成立するまでの間に、Aが保証協会の社員である旨の説明は行わなくてもよい。 2 Aと宅地建物取引業に関し取引をした者が、その取引により生じた債権に関し、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を実行するときは、保証協会の認証を受けるとともに、必ず保証協会に対し還付請求をしなければならない。 3 Aが、支店を廃止し、Aの弁済業務保証金分担金の額が政令で定める額を超えることとなった場合で、保証協会が弁済業務保証金分担金をAに返還するときは、弁済業務保証金に係る還付請求権者に対し、一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告をする必要はない。 4 Aは、保証協会の祉員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から2週間以内に、営業保証金を本店のもよりの供託所に供託しなければならない。 【解答及び解説】 【問 42】 正解 3 1 誤り。供託所等に関する説明は、宅地建物取引業者相互間の取引についても必要とされる。 *宅地建物取引業法35条の2、78条2項 2 誤り。宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、弁済業務保証金について、弁済を受ける権利を有する。この権利を有する者がその権利を実行しようとするときは、宅地建物取引業保証協会の認証を受けなければならない。そして、この還付請求は、保証協会ではなく、供託所に対して行う。 *宅地建物取引業法64条の8、弁済業務保証金規則2条1項 3 正しい。宅地建物取引業保証協会は、社員が社員の地位を失ったときと、社員がその一部の事務所を廃止したため納付した弁済業務保証金分担金の額が政令で定める額を超えることになったときは、弁済業務保証金の取戻しが認められるが、事務所の一部廃止の場合は、認証を受けるため申し出るべき旨を公告は不要である。 *宅地建物取引業法64条の11第4項 4 誤り。宅地建物取引業者は、宅地建物取引業保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を供託しなければならない。 *宅地建物取引業法64条の15 【解法のポイント】肢3は、社員の地位を失った場合の弁済業務保証金の取り戻しには公告が必要であるという点と、「営業保証金」の場合の事務所の一部廃止の場合には、その取戻しには公告が必要であるという点の2点ともしっかり覚えておいて下さい。 【問 43】 宅地建物取引業者Aが、B所有の宅地の売却の媒介の依頼を受け、Bと専任媒介契約(以下この問において「媒介契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 Aは、媒介により、売買契約を成立させたが、Bから媒介報酬を受領するまでは、指定流通機構への当該契約成立の通知をしなくてもよい。 2 Bから指定流通機構には登録しなくてもよい旨の承諾を得ていれば、Aは当該宅地に関する所定の事項について、指定流通機構に登録しなくてもよい。 3 Aは契約の相手方を探索するため、当該宅地に関する所定の事項を媒介契約締結日から7日(休業日を含む。)以内に指定流通機構に登録する必要がある。 4 媒介契約の有効期間の満了に際して、BからAに更新の申出があった場合(その後の更新についても同様)、3月を限度として更新することができる。 【解答及び解説】 【問 43】 正解 4 1 誤り。宅地建物取引業者は、指定流通機構への登録に係る宅地又は建物の売買又は交換の契約が成立したときは、遅滞なく、その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。 *宅地建物取引業法34条の2第7項 2 誤り。宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、一定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。登録しなくてもよい旨の依頼者の承諾があったとしても登録は必要である。 *宅地建物取引業法34条の2第5項 3 誤り。宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、専任媒介契約の締結の日から7日(休業日数は算入しない)以内に、一定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。 *宅地建物取引業法施行規則15条の8 4 正しい。専任媒介契約の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から3月を超えることができない。 *宅地建物取引業法34条の2第4項 【解法のポイント】肢3については、契約締結日と休業日は含まないというのは覚えておいて下さい。契約締結日を含まないというのは、民法で勉強する通常の初日不算入の原則の話です。 【問 44】 宅地建物取引業者Aが、単独で又は宅地建物取引業者Bと共同して店舗用建物の賃貸借契約の代理又は媒介業務を行う際の報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、消費税及び地方消費税に関しては考慮しないものとする。 1 Aが、単独で貸主と借主双方から媒介を依頼され契約を成立させた場合、双方から受けることができる報酬額の合計は借賃の1ヵ月分以内である。 2 Aが、単独で貸主と借主双方から媒介を依頼され1ヵ月当たり借賃50万円、権利金1,000万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもの)の契約を成立させた場合、双方から受けることのできる報酬額の合計は50万円以内である。 3 Aが貸主から代理を依頼され、Bが借主から媒介を依頼され、共同して契約を成立させた場合、Aは貸主から、Bは借主からそれぞれ借賃の1ヵ月分の報酬額を受けることができる。 4 Aが貸主から、Bが借主からそれぞれ媒介を依頼され、共同して契約を成立させた場合、Aは貸主から、Bは借主からそれぞれ借賃の、1ヵ月分の報酬額を受けることができる。 【解答及び解説】 【問 44】 正解 1 1 正しい。宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の1月分の金額以内とする。 *宅地建物取引業法46条、告示第4 2 誤り。建物(居住の用に供する建物を除く)の賃貸借で権利金(権利金その他いかなる名義をもってするかを問わず、権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう)の授受があるものの代理又は媒介に関して依頼者から受ける報酬の額については、当該権利金の額を売買に係る代金の額とみなして、計算することができる。したがって、本肢の権利金1,000万円を売買代金とみなすと、依頼者の一方から受領することができる報酬額は、 1,000万円×3%+6万円=36万円、となる。 この金額を貸主・借主双方が受領すると、36万円×2=72万円となる。 *宅地建物取引業法46条、告示第6 3 誤り。肢1で述べたように、宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の1月分の金額以内となる。そして、複数の業者が取引に関与した場合でも、すべての業者が受領する報酬額の合計は、借賃の1月分の金額以内となる。 *宅地建物取引業法46条、告示第4 4 誤り。肢3の解説参照。 *宅地建物取引業法46条、告示第4 【解法のポイント】この問題は、肢1がいきなり正解で、そんなに難しい肢ではないので、ちょっとビックリしますが、こういうときでも、時間的に余裕があれば、肢2以下も確認のため解くようにして下さい。 【問 45】 宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。 1 Aは、マンションの一室の賃貸借を媒介するに当たり、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途について、管理規約で「ペット飼育禁止」の制限があったが、借主に対し、そのことに関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 2 Aは、自ら売主となり、土地付建物の売買契約を締結したが、買主Bが当該建物の隣に住んでいるので、都市ガスが供給されることを知っているとして、Bに対し、ガスの供給に関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 3 Aは、オフィスビルの所有者Cから賃貸借の媒介を依頼されたが、過去数次にわたってCの物件について賃貸借の媒介をしていたことから、当該依頼に係る媒介契約を締結したとき、Cに対し、書面の作成及び交付を行わなかった。 4 Aは、売主Dと買主Eとの間における中古マンションの売買を媒介するに当たり、管理規約に定めのある修繕積立金をDが滞納していたが、Eに対し、そのことに関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。 【解答及び解説】 【問 45】 正解 3 1 違反する。「区分所有法第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容」は、区分所有建物の売買及び貸借において、重要事項として説明しなければならない。 *宅地建物取引業法施行規則16条の2第3号 2 違反する。飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況は、重要事項の説明の対象であり、買主が知っていたとしても説明しなければならない。 *宅地建物取引業法35条1項4号 3 違反しない。宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。貸借の場合には、媒介契約書の交付は義務付けられていない。 *宅地建物取引業法34条の2第1項 4 違反する。一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額を重要事項として説明しなければならないが、この修繕積立金等についての滞納があるときはその額を告げることとされている。 *宅地建物取引業法施行規則16条の2第6号 【解法のポイント】重要事項の説明が3肢と媒介契約が1肢という変わった組み合わせの問題ですね。宅地建物取引業法では、貸借については特別の扱いがなされていることも多いので、気を付けて下さい。 【問 46】 住宅金融公庫の業務に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1 住宅金融公庫は、貸付けを受けた者が災害により元利金の返済が著しく困難となった場合は、原則として、主務大臣の認可を受けて、貸付けの条件の変更又は延滞元利金の支払方法の変更をすることができる。 2 住宅金融公庫は、高齢者が自ら居住するための新築マンションの購入に必要な資金の貸付けに係る償還については、死亡時に一括償還する方法によることができる。 3 住宅金融公庫は、貸付けを受けた者のうち当初期間経過後において所得が低額であり、かつ、特に居住の安定を図る必要がある者として住宅金融公庫法施行令で定めるものに対する貸付金の利率については、当初期間後の期間の全部又は一部につき、その利率を当初期間の利率と同一の利率とすることができる。 4 住宅金融公庫は、大部分が住宅部分であるマンションの共用部分の改良を行う管理組合法人に対して、その改良に必要な資金の貸付けを行うことができる。 【解答及び解説】 【問 46】 正解 2 1 正しい。貸付けを受けた者が、災害その他特殊の事由により、元利金の支払が著しく困難となった場合においては、公庫は、主務大臣の認可を受けて、貸付けの条件の変更又は延滞元利金の支払方法の変更をすることができる。 *住宅金融公庫法22条 2 誤り。高齢者が自ら居住する住宅に係る一定の建築物(建替えに係るものに限る。)の住宅部分に係るものの償還は、当該高齢者の死亡時に一括償還をする方法によることができる。したがって、新築マンションの購入に必要な資金の貸付けに係る償還については、死亡時に一括償還する方法によることはできない。 *住宅金融公庫法21条の5 3 正しい。公庫は、貸付けを受けた者で自ら居住するため住宅を必要とするもの等のうち、当初期間経過後においてその者の所得が低額であり、かつ、特に居住の安定を図る必要がある者として政令で定めるものに対する貸付金の利率については、当初期間後の期間の全部又は一部につき、その利率を当初期間の利率と同一の率とすることができる。 *住宅金融公庫法21条3項 4 正しい。公庫は、区分所有に係る建築物でその大部分が住宅部分である住宅の改良を行う者に対し、その改良に必要な資金を貸し付けることができる。 *住宅金融公庫法17条5項 【解法のポイント】この問題は、肢2と肢3が難しいので、ダウンした人も多かったのではないかと思います。住宅金融公庫法の結構ややこしいので、こういう年もあります。 【問 47】 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。 1 未完成建売住宅を販売する場合、建築確認を受けていなくても、現に確認を申請中であれば、「建築条件付き宅地分譲」と表示して広告することができる。 2 各種施設までの徒歩による所要時間を表示する場合は、直線距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示し、また、1分未満の端数が生じたときは1分間として計算して表示しなければならない。 3 中古住宅を販売する場合、当該住宅が建築後1年未満のものであれば、実際に販売する価格よりも高い新築時の販売価格を、実際に販売する価格に併記して表示することができる。 4 広告においてLDK(リビング・ダイニング・キッチン)という文言を用いる場合は、その部屋が居間、食事室兼台所として使用するために必要な広さ及び機能を有しているという意味で用いなければならない。 【解答及び解説】 【問 47】 正解 4 1 誤り。事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。現に確認申請中であっても表示できない。 *不動産の表示に関する公正競争規約5条 2 誤り。徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。直線距離で算出するわけではない。 *不動産の表示に関する公正競争規約施行規則11条10号 3 誤り。事業者は、原則として二重価格表示をすることはできない。ただ、一定の要件を満たせば、中古住宅でも二重価格表示は可能であり、「建築後1年未満のもの」というような制限はない。 【じっくり解説】 二重価格表示というのは、過去の販売価格を比較対照価格とする価格の表示方法です。「旧価格4,000万円→新価格3,000万円」というような表示です。これは過去の販売価格(高い価格、4,000万円)を表示しておくことにより、同じ値段でも安く見えるわけです。このような二重価格表示は基本的に禁止されます。 しかし、一定の場合には、例外が認められ、二重価格表示が認められます。試験では、この二重価格表示が認められる「一定の要件」については、それほど細かいことはまでは問われていません。この点について「土地」や「中古住宅」について、一定の要件があれば、二重価格表示も認められる、と覚えておいて下さい。 一応先ほどの過去問の解説を行うと、正解は「誤り」で、「事業者は、原則として二重価格表示をすることはできない。ただ、一定の要件を満たせば、中古住宅でも二重価格表示は可能であり、「建築後1年未満のもの」というような制限はない。」ということになります。 宅建試験の勉強をされている方は、ここまでで十分だと思います。 念のため、以下に法改正の内容に触れながら、解説を追加しておきますので、どうしても気になる方のみ読んでみて下さい。 従来の二重価格表示の規定は、 (旧価格を比較対照価格とする二重価格表示) 第14条 旧価格(値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売していた価格)を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。 (1) 旧価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。 (2) 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。 (3) 建築後2年以内の建物であって、居住の用に供されたことがない建物について行う表示であること。 というものでした。しかし、新規定は、細かい点は除いて、最後の(3)の部分に変更が加えられ、 「土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。」となりました。 つまり、従来は「建築後2年以内の建物であって、居住の用に供されたことがない建物」が二重価格表示の要件であったので、「居住の用に供されたことがない建物」すなわち新築住宅のみ二重価格表示が可能でした。しかし、新規定は「土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)」となっていますので、「土地」も一定の要件を満たせば二重価格表示が可能となりました。それだけでなく、新規定は、「建物」としか書かれていないので、「中古住宅」についても一定の要件を満たせば、二重価格表示が可能となったわけです。 最後に、改正後の新規定を紹介して終わります。 (過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示) 第13条 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。 (1) 過去の販売価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。 (2) 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。 (3) 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。 ただし、6か月以内であっても災害その他の事情により物件の価値に同一性が認められなくなった場合には、同一性が認められる時点までに限る。 (4) 土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。 *不動産の表示に関する公正競争規約施行規則13条3号 4 正しい。リビング・ダイニング・キッチン(LDK)は、居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋をいい、住宅の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するものをいう。 *不動産の表示に関する公正競争規約18条1項4号 【解法のポイント】肢2は、ひっかけ問題っぽいですが、気を付けて下さい。 【問 48】 宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1 平成22年地価公示(平成22年3月公表)によれば,平成21年における全国の地価の概況は、住宅地で下落したものの,商業地では上昇した。 2 データなし 3 平成20年度法人企業統計年報によれば、平成20年度における不動産業の経常利益は、約2兆9,000億円であり、2年連続の増益になった。 4 平成22年建築着工統計によれば,平成21年の新設住宅着工戸数は約79万戸であったが、2年ぶりの減少となった。 【解答及び解説】 【問 48】 正解 4 1 誤り。平成22年1月1日時点の地価公示によると、平成21年1月以降の1年間の地価は、前年と同様、ほぼ全ての地点及びすべての用途において年間で下落となっている。 2 誤り。データなし 3 誤り。平成20年度法人企業統計年報によれば、平成20年度における不動産業の経常利益は、約2兆9,000億円であるという点は正しいが、これは2年連続の減益である。 4 正しい。平成21年の新設住宅着工戸数は788,410戸であり、前年比では27.9%減となり,2年ぶりの減少となった。年集計であることに注意。 【問 49】 土地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1 地形図の上では斜面の等高線の間隔が不ぞろいで大きく乱れているような場所では、過去に崩壊が発生した可能性があることから、注意が必要である。 2 断層は、ある面を境にして地層が上下又は水平方向にくい違っているものであるが、その周辺では地盤の強度が安定しているため、断層に沿った崩壊、地すべりが発生する危険性は低い。 3 がけ崩れは、梅雨の時期や台風時の豪雨によって発生することが多く、がけに近接する住宅では日頃から降雨に対する注意が必要である。 4 地形図で見ると、急傾斜地では等高線の間隔は密になり、傾斜が緩やかな土地では等高線の間隔は疎になっている。 【解答及び解説】 【問 49】 正解 2 1 正しい。地形図で斜面の等高線の間隔が不ぞろいで大きく乱れているということは、過去に崩壊が生じ、地形が変わった可能性がある。 2 誤り。断層は、地層に一定の力がかかったためにずれが生じたということであり、その周辺では地盤のずれが生じやすく、断層に沿った崩壊、地すべりが発生する危険性が高い。 3 正しい。がけ崩れは、雨などにより土に水がしみ込んで起こるものであり、梅雨の時期や台風時の豪雨によって発生することが多い。 4 正しい。等高線は、高さの等しい地点を結んだ線であるから、急傾斜地では等高線の間隔は密になり、傾斜が緩やかな土地では等高線の間隔は疎になる。 【解法のポイント】「土地」の問題は、ある程度常識を働かせれば、正解が導ける問題も多いので、知らないからといってあきらめずに、ダメもとで自分の勘を信じて解いてみて下さい。 【問 50】 建築物の材料に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1 集成材は、単板等を積層したもので、伸縮・変形・割れなどが生じにくくなるため、大規模な木造建築物の骨組みにも使用される。 2 木材の強度は、含水率が大きい状態の方が大きくなるため、建築物に使用する際には、その含水率を確認することが好ましい。 3 鉄筋コンクリート造に使用される骨材、水及び混和材料は、鉄筋をさびさせ、又はコンクリートの凝結及び硬化を妨げるような酸、塩、有機物又は泥土を含んではならない。 4 鉄は、炭素含有量が多いほど、引張強さ及び硬さが増大し、伸びが減少するため、鉄骨造には、一般に炭素含有量が少ない鋼が用いられる。 【解答及び解説】 【問 50】 正解 2 1 正しい。集成材は、単板を、繊維方向を平行に組み合わせ、接着剤で積層させることにより欠陥のない均一な材にしたものである。特徴は木材の欠点を除去し、大断面かつ長大材をつくることが可能であり、主として柱・梁や造作の板材等に使用される。 2 誤り。木材の強度は、含水率が小さい状態の方が大きくなる。 3 正しい。鉄筋コンクリート造に使用されるコンクリートの骨材に、酸、塩、有機物又は泥土を含んでいると、コンクリートが中性化し鉄筋がさびることになる。 4 正しい。鉄は炭素含有量が多いと、引張強さ及び硬さが増大し、伸びが減少するので、鉄骨造には、一般に炭素含有量が少ない鋼が用いられる。 【解法のポイント】「建物」では、たまに本問のような建築材料に関する問題が出ます |