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カウンセリング(クライエント中心療法)

 

21世紀は「心の時代」だそうで、巷では何かと「カウンセリング」の語が乱用されています。でもその多くは、忠告や指示や説得にすぎないのが実情です。忠告や指示や説得でないカウンセリングこそが心理療法として意味があるのだ、ということは、アメリカの心理学者カール・ロジャースによって、1940年代以降、「非指示的心理療法」→「クライエント中心療法」として、はじめて科学的に体系化されてきたものです。

忠告や指示や説得に頼るということは、ちょうどその分だけカウンセラーが高みに立っていて、クライエントが自分の力で解決を見出し、治ってゆく可能性を尊重していないことになります。ところがロジャースによれば、すべての有機体は「自己実現」への先天的な傾向をもっており、よくなる力が内在しているのです。そしてそれを「体験過程」として、頭でなくまさに身体で、知ることができるのです。それに従っているかぎり、私たちはいつも、あるがままの自分でいるわけです。ところが、愚かなことに人間は、他者や社会から取り入れた、「ねばならぬ」自分にとらわれて、「自己不一致」をおこしやすい。多くの悩みがここから生じています。そこで、この「ねばならぬ」自分へのとらわれを少しずつはずし、「自己一致」を取り戻してゆく作業がカウンセリングなのです。

そのために、クライエントは体験について話し、それをセラピストは、何の解釈も指示もせず、「共感」をもってただひたすらに聞くのです。セラピストがそれをできるためには、セラピスト自身の「自己一致」、クライエントに対する「無条件の肯定的関心」、そして「共感的理解」という、有名な3つの条件が必要とされます。これが満たされているとき、信頼関係のなかでクライエントは安心して話すことができ、話すなかで自分から自己概念を変え、おのずと自己一致にむかって治癒してゆくというのです。

このロジャースの考え方は今なお、カウンセリングの原点を示すものでしょう。自然堂でも、典型的なロジャース的スタイルをとることこそないものの、その基本精神はやはり重視しています。ただその基本精神を生かすのは、クライエント中心療法」よりも「今・ここ」中心療法ではないかと思いますが。興味深いことに、ロジャースはクライエントの変容に必要な基盤として、老子の英訳“The way to do is to be.” をあげています(その原文は、”道可道非常道“つまり「道の道とすべきは、常の道にあらず」か?)。他の多くの流派もそうですが、心理療法の原理を突きつめてゆくと、どれも東洋思想に行き着くのです。そしてその思想は、ありのままにあること、自然(じねん)にあることなのです。

 

<もっと知りたい人のブックガイド>

カール・ロジャース ロジャース全集』岩崎学術出版社。

 

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