水嶋さんのストライキ

怪番さんと定吉とん

東京:1999.11月5/6/7日 下北沢駅前劇場
大阪:1999.11月12/13/14日 扇町ミュージアムスクエア

今日は怪番さんと定吉とんのリレーほうこくです!


舞台のセット:
舞台に35席くらいの映画館の座席が、客席に向けて置いてある。舞台に向かって左奥に映画館の入り口がある。舞台正面に映写室。客席側に映画のスクリーンがあるという設定。

ストーリー:
25年間続いた映画館・ストライク座はボロボロで雨が降ると雨漏りがするため、廃館にし取り壊すという。その話を聞いてなかった映写技師の水嶋さんが「最後の上映はせえへん!」とストライキを起こす。その最後の日の情景が主なストーリー。それまでのいきさつを回想シーンではさみこむ。このセットのまま約2時間5分くらいのお芝居が上演される。途中休憩なし。舞台転換なし。

演出:
どうやってストーリーを展開するのだろうかと思っていたが、さすが、演出がうまい。暗転だけで時間を超越してしまう、部分的に照明を当てて舞台を2つに使うなど、巧みさを感じる。

水嶋さん:
実年齢に近い映写技師の役なので雀さんと水嶋さんが完全にオーバーラップする。おじさんのくせして、20代の若い女性に淡い恋心を抱いたりして、さわやかなイメージ。雀さんがやけにかわいく、色っぽい。青年のような若さが感じられる。千変万化、自由自在の役作り。


§怪番さんの報告§

『水嶋さんのストライキ』東京公演、11月7日のラク、泣かせてもらいに行ったのですが、泣けました。

勤続25年、廃館の決まった小さな映画館の映写技師“水嶋さん”、演じるというより、なりきってはります。口をへの字に結んだ子供みたいに不器用に、 つらさをぐっとこらえてるとこが何とも言えません。それに大阪弁、それも雀さんの大阪弁が効いてます。この役、東京弁でやったら喋り過ぎになって どないもこないもならんかったでしょう。終盤に近いクライマックス、こっちもボロボロですが、雀さんを含めた役者はんも泣いてるの、実にじつに、ホンマに素直に伝わってきます。ええもん観せていただきました。

とにかく一人で飲みたくなって手近の店で一杯、帰ってしみじみ、飲んでました。雀さんが「ええ芝居でっせ」と言うてはったの、ほんまに正直な、謙虚なお気持ちやったと思います。ありがとさんでした。


§定吉とんの報告§

特派員ほうこく、書きにくいなあ。言葉にならないです。なにせ、雀さんがかわいい。おこっても照れても泣いてもかわいい。我が子の舞台を見る母親のような気分で眺めておりました。(怪番さん:「ストライク座のテケツの女のコ達も母親か娘みたいな気持ちで“水嶋さん”を見ていたんでしょう……」)
*テケツ:ticketもぎりの仕事

涙こそ出ないけど、なんというか、ジーンといった感動があって、誰ともしゃべりたくない、動きたくないそんな気持ちでした。幸い、アンケートを書く人がたくさん座席に座っておられたので、私は紙テープをグルグル巻きながら座っていました。紙テープはスクリーンへの感謝の気持ちを込めて役者一人一人が投げたもの。一つは私にあたった緑のテープ。あと一つはたぶん雀さんが投げた黄色のテープ。上手い具合にクラプトンの「Tears in Heaven」「Layla」がかかっていました。(16日にライブ行くの!!ヽ(^o^)丿)

紙テープを巻き終わらないうちにみんなが出て行ったので、仕方なく私も外 へ。手に紙テープを持ち、歩きながらグルグル巻いていましたら、道行く人が変な顔で私をジロリと見て行きました。でも、そんなことはおかまいなし。ひたすらグルグル。なんか、グルグル巻いている時間がお芝居の余韻だったりして。巻き終わるまで電車には乗らないぞと、ずっと扇町公園で巻いていました。 (怪番さん:「ほんま、紙テープ巻いたり、一人で飲むのが似合いですもんね……」)

雀さんが「ええ芝居やと思いますで」と言われた言葉の意味がようやくわかりました。自分の演技がええと言うてはるのではなく、本や演出がええのですね。雀さんもそう思ってはるのですね。それがわかりました。東京で5ステージ。大阪でも5ステージ。たぶん観客の拍手はどの舞台でも熱く感動的だったろと思います。


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