定吉とん
2001年1月28日(日):八尾プリズムホール 2001年2月2日(金)/3日(土) /4日(日):神戸アートビレッジセンター 作・演出:蟷螂襲 出演(登場順): 野呂----や乃えいじ 吾助----エディ・B・アッチャマン (ガバメント・オブ・ドッグス) おじい---桂雀三郎 しのぶ---足利智実 アケミ---田中亜紗子 春雄----白井哲也 千帆----山藤貴子 珠子----福井玲子 警備員1--蟷螂襲 おじいの衣装のニッカボッカはチラシと同じようにきれいな赤!派手な「幽霊」です〜〜 |
ビルの建築現場で働くトビ職のおじいが転落死してから49日目の夜中、夜が明けるまでの何時間かを描いている。夜が明けたら極楽へ旅立つおじいは、同僚や、通ったバーの女性たちや、女房へお別れの挨拶をするために、自分の仕事場であった足場へやってきた。 舞台いっぱいに組まれた足場は天井まで届きそうなほど高く、立体的な舞台設営になっていた。 舞台から突き出た狭い通路は夜明けと共に西方浄土へ旅立って行った場所である。そこでチラシに書いてあったセリフが語られた。 「星になるのがよかったら星になる。 珠子。 おじい、もうおまえの言いなりや。 星がええんやったら星になる。 カツオ節削りがよかったらカツオ節削りになる。 おまえのあの、ボロボロの自転車にでも おじいなれる。 珠子。 おじいは、もうなんにでもなれる。」 |
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♪芝居の間には「ダニーボーイ」のメロディがいろいろなアレンジで静かに流れる。♪ | |
おじいとみんながお別れの杯を交わしたガラスのコップと一升瓶、おじいの女房・珠子が作ったお重の包みが置かれ、暗い舞台の中、おじいの象徴のようにライトに照らされて終わる。 お芝居が終わって、最後にはクラプトンの「ダニーボーイ」がギターで流れていた。 |
セリフ一言一言を全部覚えていたいほど、蟷螂さんからのメッセージが多く、私の記憶力では大切な言葉にもかかわらず、脳みそから「抜け」落ちてしまっている・・・(@_@)
以下、言葉の端々の誤りは大目に見ていただくとして、覚えている言葉の数々を書いてみます。--------------------------------------- 野 呂「おじいが落ちたーって聞いて見に行ったら、グチャグチャになっとった・・・。 そやのに、なんで今はそんなにきれいな顔してんねん?」 おじい「さあ、誰かがちゃんとしてくれたんやろな。」 --------------------------------------- 千 帆「生きてるのも死んでるのも同じことや。」 --------------------------------------- おじい「野呂、どもり、治りたいか?おじいは今一つだけ魔法が使えるねん。」 野 呂「そんならおじい、生き返ってくれや。」 おじい「さあ、それは無理や。魔法がつかえるのんは、なんかと引き替えになる。 なにとか、わかるか?」 千 帆「命や!」 おじい「野呂、握手しよ。・・・・・これで魔法のおまじないは済んだ。」 --------------------------------------- しのぶ「こんだけいっぱいしゃべった人が死んだんて、私、初めてやねん。」 --------------------------------------- おじい「アケミもええ男探しや。つまらん男にひっかかるんやないで。 おじいみたいな男にし。」 アケミ「早死にされるのはかなわん!!!!」 --------------------------------------- 春 雄「トビ、やめるねん。」 おじい「こわいんか?」 春 雄「おじいが落ちてからこわなった。」 おじい「これ(白の地下足袋)おじいやと思て腹に巻いとけ。」 (地下足袋を脱ぐ。) --------------------------------------- 千 帆「お葬式のときにお別れして、せっかく整理できたとこやのに、 今日会うたら、またはじめっからやり直しやんか。」 --------------------------------------- 千 帆「触ってもええか・・・?」 千帆、おじいに抱きつく。夫の吾助それを見てオロオロ。 --------------------------------------- 珠 子「カツオ節はまだ20本くらい流しの下にいっぱいあるわ。」 おじい「珠子が削ったらええやん。」 珠 子「・・・ちょっときついねん・・・。」 --------------------------------------- おじい「珠子、寒むないか。・・・(意識朦朧となりつつ、工事現場での今までの出来事を 思い出しているセリフが続く)・・珠子、さむないか?・・珠子、さむ・・ない・・・か?」 --------------------------------------- そして、狭い通路(本当は浮いていることを表現している)での 「おじいはなんにでもなれる」というセリフになる。そしておじいの姿が消える。 珠 子「おじいぃぃぃーーーーっ!!」足場を乗り越えかけているところを 千帆と吾助に押さえられる。
演技としての圧巻は、どもりの野呂さんが治るところ。
お芝居が始まってからずっとどもりのセリフが続くのですが、握手した後は
治っている。しかし、治っているのに気がつかずにしゃべっているところ。
役者としての見せ場ですね。あんなこと、誰でもできるもんやないと思いました。
吾助がおじいとお別れして言うセリフがあったかどうか全然覚えてないのです。 吾助は雰囲気の緩和役としていい味を出していました。丸い身体から出る雰囲気が柔らかく、暖かく、ボケ役でいつもほんわかと笑わせてくれて、ほっとしました。 私の勝手な解釈だけど、「おじいはなんにでもなれる」という意味は、生きている者が 何でもいいから「ある物」に想い出を重ね合わせたら、いつでも一緒にいられるよ、 という意味ではないかと思いました。 |