雀三郎・雀々二人会

怪しい番頭さん

1999年10月30日(土)

雀三郎・雀々二人会(東京・国立演芸場)に行ってきました。
雀三郎さんの一席めは「天王寺詣り」。
雀々さんが「猿後家」で派手に沸かせたあとを受けて、ほとんどマクラもなくすっと噺に入らはりました。CDに入っているのとほとんど同じアレンジやったと思いますが、とても落ち着いて悠々と演ってはるようでした。境内の物売りとかアホダラ経とか、生で観られてよかったです。満足まんぞく。

中入り後の「おもしろ音楽ショウ」は大受け!
まず雀さんと雀々さんが二人だけで出てきてマクラふうに「音楽ショウ」の言い訳(?)をしたあと、一度ひっこんでからゲスト(?)のリピートさんと三人ですっかり“ボーイズ”になりきって登場。
雀さんとリピートさんはギター。雀々さん は鳴り物をいろいろぶらさげてます。うまく面白さを伝えられないのがもどかしいですが……「雀ブラザーズのテーマ」(?)でおにぎやかに始まり、まずは雀々さんがツカミに一曲。
それから……
「あの“宇多田ヒカルが出してる”EMIからCDも出してまっせ、 宇多田ヒカルは800万枚、あんたは?」
「800枚、一字違いですな!」ということで
  ●「ヨーデル食べ放題」を1コーラスお披露目
  ●ボロの「大阪で生まれた女」の替え歌2連発(笑たわろた)
  ●「遠野物語」
  ●締めはしんみりと(どこが!)「最後の一葉」
雀三郎さんをようご存じらしいファンはもちろん、国立演芸場の常連らしいおじいさん達まで大喜びでした。「落語やのうてこっちで来よか」という台詞もありましたが、ぜひ歌でも来てください!

雀々さんの「さくらんぼ」(なかなかよかったですよ)を挟んで、お待ちかねのトリ「らくだ」。期待にたがわぬ一席でした。紙屑屋がだんだん酔っていって兄貴分と立場が逆転していく例の聞かせどころはもちろん、もう大満足。

「天王寺詣り」にしても「らくだ」にしても、六代目松鶴師匠と比べてもしようがないのですが(師匠のほうはああいう雰囲気をいくらかは実際に知っているでしょうから)比べたくなります。これ、ほとんど最大級の賛辞です。松鶴師匠の演る兄貴分は本格的に怖そうだし、紙屑屋はもっとしたたかです。でも、これは現代ではもう誰も演れませんもんねえ。いろんな意味で松鶴師匠でないと無理がある。 現代の紙屑屋は雀三郎さんで決まりと言いたい。 いやあ、行ってよかった!


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