土佐漆喰を訪ねて

写真1 写真2 写真3 写真4
写真5
 土佐漆喰の本場、四国高知県へ行ってきました。
左官松本組の代表、松本氏と連絡をとり前日から高知入りしており当日朝、車でホテルまで迎えに来てもらいました。
小雨模様の天気でしたが外部の土佐漆喰仕上げをやってるとのことで見学用の為に養生して段取りしてくれた事を
感謝しながら仕事場へ向かった。

木造2階建ての建物の外部はラス下地の上、モルタル下塗り、乾燥後、半田土メッシュ貼り込みまで終えており今日は
砂漆喰を塗り追っかけ土佐漆喰の上塗り作業です。
土佐漆喰はこちらでは6社位の会社で作っておりそれぞれ特徴があるので仕上げ別、工程別に使い分けているとの事で
砂漆喰用と上塗用とではメーカーが違ったものを使っていた。
土佐の地元では漆喰仕上げと言えば土佐漆喰の事で関東で使っている白漆喰はこちらでは使った事がないとの事でした。
又、関東の職人がモルタル刷毛引きをきれいに仕上げるのに感心しておりました。
黄色っぽい半田土に細かなメッシュが貼り込まれた下地に砂漆喰を塗り、少し間をおいてから追っかけて上塗りを塗っていく。
(写真1)(写真2)
上塗りの漆喰には藁ツタの茎の硬いところが入っており、又、石灰の未消化塊もあるので鏝で手早く除きながら塗って行かな
ければなりません。
又、土佐漆喰は麻ツタ入りの普通の糊漆喰と違い薄塗りは困難である。
実際塗ってみると糊が入ってない為か以外に水引が早いので作業は手早くやらなければならない。
雨やその他のストレスに強く地元では外部仕上げに多く使われているとの事でした。

次に案内された現場は土佐漆喰の盛り付け彫刻で入母屋千鳥破風を漆喰仕上げしてありその内側に龍の彫刻が施され
戸袋には鯉の滝登り、竹に虎、鳳凰などが施されその見事さに目を見張った。(写真3)(写真4)
又、何段もの水切り瓦とそれを押さえる飾り漆喰、壁の鎧仕上げ等も手間がかかっており職人の鏝塗仕上げにしては信じがたい
ような出来栄えである。(写真5)
平らな壁を磨くのと違い漆喰を盛り付けるだけでも相当な技術とセンスと手間がかかってる上に、すべてノロ掛け雲母磨きで完全に
磨かれて見事な光沢を放っている。
施主様に頼まれなければ出来ない仕事なので一年に一回あるかないか、と名人松本さんが言っておりました。

次は県立植物園内展示室の壁を見せてもらい地元で採取した赤土と土佐漆喰とのハンダで塗ってあり室内の照明に
小豆色ににぶく光っている様子は神秘的に見えました。

鏝仕事は角鏝等で鏝圧をかけて薄塗り仕上げするのと造形が伴う仕上げでは職人の技術とセンスに雲泥の差が出てくる事を
痛切に感じ、神業を見たような感じがした旅でした。