英国フットパス 2016年6月(英国・長距離フットパス) |
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期 間:平成28年6月7日から6月17日(11日間) 参 加 者: 飯星宏徳(単独) 1 はじめに 昨年の反省として、12時間のフライトは体力的に過負荷と思っていたが、英国のフットパスの素晴らしさを忘れ難く今シーズンも再訪する。 今回はイングランド北部のヨークシャー・デイルズとレイク・デストリクト両国立公園を通るデイルズ・ウエイを選んだ。このロング・ウエイは起点のイリキリーから終点のボーネスまで約130km、国内でも人気の高い中級レベルの長距離フツトパスで、カントリーサイドの集落を結んだ起伏の比較的少ないルートらしい。途中、5日目に以前トレースしたペナイン・ウエイと交差するので、その時の記憶が蘇るか興味深い。 歩行時のタイムやポイント等、歩行者の参考用として「資料編」を作成する。 |
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2 トピックス&スケッチ 概略総距離=130km(トレイルから離れて迂回と宿泊地までの距離を含む) 実歩行時間=37時間50分(休憩時間を除く) 第1日目 6月7日(天気 曇):羽田空港から英国・Heathrow空港 |
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第2日目 6月8日(天気 曇時々雨):London/ king’s Cross 駅からIlkley駅 - Appletreewick(Howgill Caravan 泊) 距離:18km。行動時間:4時間50分 ロンドンから鉄道で3時間、起点のイリキリーへ向かう。今日はワーフ川沿いにハイカーに混じって上流へ進む。予定していた自炊小屋が団体で満員のため更に上流のキャンプ場まで移動した。 イリキリーは17世紀の面影を残した町並みが川沿いに続く。その中心地の古い石橋からトレイルはスタート。 フットパス 憧れ続けて 今日からは 野生に戻り 石橋渡る |
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第3日目 6月9日(天気 曇時々雨): AppletreewickからKettlewell (Kettlewell YHA泊) 距離:20km。行動時間:6時間30分。 2時間程歩いて川から離れ丘陵地帯へ。広大な原野は羊の放牧地で石柵を幾つも越えて今夜の宿へ到着。予約なしでYHA(ユースホステル)に投宿出来た。 河沿いの散策路は観光客で賑わっている。最盛期の上高地から横尾間を思い出す。 長旅の 古い記憶に 新しい 出会いを加えて 疲れまぎらす |
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第4日目 6月10日(天気曇):KettlewellからOughtershaw (Swarthgill Farm Camp泊) 距離:19km。行動時間:5時間40分 トレイルは北西の湖水地方へ向かって進む。数か所の集落以外に人家はなく終日踏み跡を辿りキャンプ場に設営。 牧草地は黄色の小さな草花が満開。足元から彼方まで広がる花の絨毯に解放感深まる。 ありがたや 野に咲く花に 迎えられ 今日も旅いく 極楽浄土 |
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第5日目 6月11日(天気 曇時々雨):OughtershawからDentdale (Conder Farm Camp泊) 距離:22km。行動時間:5時間40分 雨具を着て出発。視界の悪い原野を慎重に進み以前通ったペナイン・ウエイと合流した。2km程で別れて現在地を確認しながら広い谷沿いに進みキャンプ場に到着。 川沿いには立派な遊歩道と標識が完備していたが丘稜地帯になると不明瞭に、加えて視界が悪くなり右往左往する。 霧深く 踏み跡薄く 道探し 頼りの綱は 歩速と直感 |
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第6日目 6月12日(天気 曇時々雨):DentdaleからLambrigg (Wythmoor Bunkhouse泊) 距離:23km。行動時間:6時間20分 レイク・デストリックト国立公園になってもトレイルの状態は変わらす、所々踏み跡が不明になる。無理に探さずに公道を迂回して西進し、宿泊予定のバンクハウス(自炊小屋)に到着。20数名収容だが他に宿泊者はなく貸切となる。 農家の朝は早く、夜明けと共に作業の準備に忙しそう。早起き者同志の親近感が「ハロー」の一声で湧いてくる。 笑顔には 笑顔で返す 挨拶に 今日一日の 幸運託す |
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第7日目 6月13日(天気晴後曇):LambriggからBowness・・・Windermere経由Kendal (Kendal YHA泊) 距離:28km。行動時間:8時間50分 予定ではゴールまで2日間の行程だが、宿泊予定のケンダルYHAがトレイルから3km離れているのでムリして今日ゴールを目指し出発。昨日と同様に不明瞭なトレイルは遠回りでも公道を選択して終点のボーネスに到着。観光客で賑わうウンダミア経由でケンダルYHAに投宿。 昨夜来の降雨で牧草は水を含み5分も歩けば下半身ビショ濡れ。加えて不鮮明なトレイルで心身の意欲低下は甚だしい。 条柵に 行く手阻まれ 立ち往生 興味半減 逃げ道探す ゴール地点のボーネスは、湖水地方のメッカで大賑わい。ザックを担いだジーサンは早々にバスで退散。 無事終わる 年に一度の カーニバル 脚は痛むも こころ晴々 |
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第8日目 6月14日(天気 快晴):休養日 Kendal (Kendal YHA泊) 初めての町は新鮮味があり興味深い。案内所で資料を調べて代表的なケンダル城、パリッシュ教会等を訪れ終日休養した。 3階建ての古い家屋は坂道沿いに少し傾斜しているが、古民家の風格が漂う。 木賃宿 屋根裏の床 傾いて 太い梁には 精霊宿る |
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第9日目 6月15日(天気 快晴):KendalからLondon (Earl’s Court YHA泊) 帰国のためにロンドンに戻る。電車の時間帯で乗車料金が大幅(半値以下)に違うので昼間の最安チケットにした。 下山して2日間は好天気に恵まれ、しばらく続そうだ。電車を待ちながら夏模様の風景に酔う。 穏やかな 湖水地方の 風が吹き 深く吸い込む みどりの香り 第10日目 6月16日(天気 晴)Heathrow空港から羽田空港(機中泊) 天災、人災が多発する時代だから何事もなく空港を離陸してホッとひと安心。長いフライト時間もフットパスで愉しんだ代償と観念して羽田空港へ向かった。 窓の上部から急ぎ足の通勤者の足音が聞こえてくる。この部屋が道路より低いことに気付く。 半地下の 窓から届く 往来の サラリーマンの 急ぐ靴音 |
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10日:Buckden付近・一面の花 |
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3 あとがき(所感) 1)前半は川沿いで立派なトレイルと完備した道標があり「これでも中級のトレイルか?」と疑問を持って歩いていたが、後半の丘陵地帯になってトレイルの不明瞭さと雨天およびガス発生による視界の悪さにグレードの正しさを納得した。 2)以前は、少々のトラブルなら「回避にも面白さ」を感じる余裕があったが、今回は心身共にその余裕がなく、年々年を重ねて低下&劣化しているのを実感した。 3)しかし、トラベルはトラブルと云われているように、問題(失敗)を避けるのは至難で、それを予知して避けるか、発生した時には如何に最小限で解決するかだろう。その基本は心身の余裕は当然。さらに、非日常の行動だから体験から生まれる「直感」が心身以上に重要になる。即ち、直感は心(メンタル)と身体(フィジカル)の上位にあり両者をコントロールしているようだ。子供のころ、大人たちが「腹の虫の知らせ」とか「虫が好かん」と云っていたのを思い出すが、その虫とは直感を意味するのではあるまいか。 4)「腹の虫」と云えば子供頃の回虫駆除を思い出すが、虫=無私と置き換えれば私=心身と無=魂(私の上位)とも考えられる。従って、腹の虫=魂が「満足または面白い」状態であることが行動指針になる。 5)具体的には、3月のロングウオーク記録でも書いたが、フライト12時間、歩行負荷3.5km/時間、および実働6時間/日はいずれも今後軽減して適正値を探したい。そして、「虫のいどころ良い」状態で旅を続けたいものだ。 6)今回は航空券が無料(マイレージ利用)になったので余裕が出来て、座席指定、地図及びガイド書など予定外の出費をした。 7)年金者には日常生活でも予定外の出費はつきものだが、今後もロングウオークで修得した知恵は日常生活でも活用したい。同類の趣旨に関して、近年再読した佐藤一斎著の言志録(川上正光全訳)に年配者の養生指針があり参考になった(節制に始まり謙譲まで13項の徳目)。 8)食料について ・現地でパック白飯を購入し持参のスパゲテイーソース(たらこ)混ぜ夕食。 ・缶詰は小さな食品店でも取り扱い。 9)装備について ・防寒用長タイツの効果良好(キルチング製より少し重い)。 ・足指の養生テープ:持参忘れ。 11日:Dentdal谷の鉄道高架石橋 |
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