英国フットパス

    2015年6月(英国・長距離フットパス
・・ オックスフォードシヤー・ウエイ ・・


牧草地脇のトレイル

       

期  間:平成27年6月29日から7月9日(11日間)
  参 加者: 飯星宏徳(単独) 

                                     
 
1 はじめに
 
 コッツウオルズ丘稜の東端から南東に広がるチルターン丘陵を経てテムズ川湖畔に至る長距離フットパス・オックスフォード・ウエイがある。州名を冠したこのパスは、点在する石造りの集落と美しい田園風景を辿り、カントリーサイドの魅力が満喫出来ると云う。
 トレイルの起点はコッツウオルズで人気のスポット<バートン・オン・ザ・ウオーター>から終点・テムズ川湖畔の町<ヘンリー・オン・テムズ>まで全長108kmの距離だ。
 一般的には風向を考慮して上記が起点だがバートン・オン・ザ・ウオーターには数回訪れて土地勘があるのと読図が容易になる逆方向を採用し今回はヘンリー・オン・テムズを起点にする。
 コッツウオルズ地方の長距離フットパスについては11年前に初めてコッツウオルズ・ウエイを歩き、その素晴らしさに魅せられ今回で9度目の訪問になる。しかし「もう充分!」と云う気にならず次々と新たなテーマ浮かんでくるから不思議だ。もしかすると先祖に英国と縁があるのかも知れない。

 歩行時のタイムやポイント等、歩行者の参考用として「資料編」を作成する。

 
 
日   程

6月29日 羽田空港から英国・Heathrow空港・・London市内 (Earl’s Court YHA)
6月30日
 London/ Paddington 駅からHenley-on-ThamesVally End Farm野営泊)
7月 1日 
Vally End FarmからWatlingtonWhite Mark Caravanキャンプ場泊)
7月 2日 
WatlingtonからWaterperryCommon Leys Farm Caravanキャンプ場泊)
7月 3日 WaterperryからKirtlington (Diamond
Farm Caravanキャンプ場)
7月 4日  KirtlingtonからCharlbury (Cotswold
Caravanキャンプ場)
7月 5日  CharlburyからStow-on-the-wold 
(Stow-on-the-wold YHA泊)

7月 6日 休養日 
(Stow-on-the-wold YHA泊)
7月 7日 StowからMarsh経由
London市内 (St Pauls YHA)
7月 8日 Heathrow空港から羽田空港(機中泊)
7月 9日 羽田空港着


 2 トピックス&スケッチ
    概略総距離=118km(トレイルから離れて迂回と宿泊地までの距離を含む)
    実歩行時間=35時間20分(休憩時間を除く)

第1日目 6月29日(天気 晴):羽田空港から英国・Heathrow空港
                 
London市内 (Earl’s Court YHA)
 
初めて羽田空港発の便を利用する。成田空港に比べて時間も費用も節約出来て助かるがフライト時間・12時間は疲れた。定刻にヒュースロー空港に到着しロンドンの
YHA(ユースホステル)に投宿。

 ウインブルドン・テニス開催中や月曜日のためかフライトは満席。出来れば通路側の座席にしたかったが得れず、隣席の乗客に迷惑をかける。


  運悪く 通路の座席
  とれなくて
  トイレの度に 手間を取らせる 








第2日目 6月30日(天気 快晴):LondonからHenley-on-Thames
                  (
Vally End Farmキャンプ泊)
     
                             距離:6km。行動時間:2時10間分
 予定していた町外れのキャンプ場が最盛期のせいか「最低2泊・¥6、500−」とのこと。しかたなく先へ2時間ほど進み農家のオジサンに許可を得て朽ちた教会の空地に設営。


 真夏の直射日光で気温はグングン上昇し頭がボーツとしてくる。そんな時の日陰は砂漠でオアシスに出会った気分になる。


  夏日和 日陰にいれば
  ヒンヤリと
  森の涼風 汗を拭き取る 








第3日目 7月1日(天気 快晴):Vally End FarmからWatlington
                  (White Mark
Caravanキャンプ場泊)
                                  距離:14km。行動時間:4時間20分。
 昨日歩いた距離だけ短縮するので今日は半日行動
。加えて宿泊地はトレイルから1kmはずれるが数年前に利用したキャンプ場だから様子も判りルンルンだ。設営後近くの町へ食料の買出しをした。

 トレイルは明瞭だが多くのフット・パスが重複している。特に集落の出口に案内板がないと大きな道を進んでしまう。


  地図にない 野道の交叉
  幾たびも
  読図に疲れ あげくに迷う。










 真夏の太陽がジリジリと脳天を焼く。そん日はキャンプ場でのシャワーは汗と共に魂をも癒してくれる。


  生きかえる ほてった肌に
  冷水の
  シャワーに打たれ オンチも唄う









第4日目 
7月2日(天気 快晴):WatlingtonからWaterperry
                 (Common Leys
Farm Caravanキャンプ場泊)
                               距離:23km。行動時間:6時間40分
 似たような集落名の農村を通りトレイルはチルターン丘陵を北西へ進む。終日、出会う人もなく牧草地と耕作畑を縫うように宿泊予定地へ向かった


 天候の変化を示す朝焼けが空一面に広がりやがて紺碧の空に変わる。ひと気のない集落に小鳥の声が飛び交う。


  音もなく 名残の雲に
  朝日染め
  早起き鳥と 挨拶交わす

  




第5日目 7月3日(天気  快晴):WaterperryからKirtlington 
                  (Diamond
Farm Caravanキャンプ場) 
                                距離:23km。行動時間:6時間40分

 昨日と同様に
チルターン丘陵を進む。主に耕作地が多く、作付けは麦と菜種で時折ピーナツ。今日は集落間のトレイルが荒れていて、地図とコンパスを頼りに悪戦苦闘を強いられた。

 案内板の先は腰高のヒースに覆われ歩行意欲を失う。人が通った跡はないが「これもトレイル」と観念して一歩踏み出す。



  ヤブこぎに 不安とイラ立ち
  耐え偲び
  歩道求めて ひたすら進む








 広々としたキャンプ場の夜は深い眠りにつき昼間の猛暑はウソのようだ。


  静かさや 夜はシンシン
  満月の
  ひかりと共に 万物眠る 








第6日目 7月4日(天気 晴):KirtlingtonからCharlbury
               (Cotswold
Caravanキャンプ場)
                             距離:25km。行動時間:7時間30分
 
今日からトレイルはゴールまで西方へ進む。途中ローマン・ロードと呼ばれる古道は10kmほど直線路になり古都チャリーブリーへ到着した。


 キャンプ場は夏休みで多勢の家族連が長期滞在で愉しんでいる。この国の年中行事になっているようだ。そんな中に枯れた雰囲気の老カップルの姿が印象的だ。


  老夫婦 ウッドデッキに
  身を任せ
  言葉少なく 夕日眺める






第7日目 
7月5日(天気 晴):CharlburyからStow-on-the-wold
                
(Stow-on-the-wold YHA泊)
                              距離:27km。行動時間:8時間 
 最終日は距離が長くスタミナを要求されるが明日は休養日だから<体力・気力の前借り>をして前進。いつの間にか州境を越えてコッツウオルズのグロースター州になってゴールも間近になり勇気が湧いてきた


 早朝の古都・チャリーブリーは人影もなく静かに一日を迎える。数百年を刻んだチャペルから告げる鐘の音を聴く。


  おだやかな 古都にしみ込む
  教会の
  音に送られ 歩きはじめる 







 ゴールに近づくと珍しく羊を見る。昨日までは土壌が豊で収益上も麦などの農作物が主流らしい。
 

  数頭の 羊草食む
  牧場の
  ひと丘越えて ゴール迎える










第8日目 7月6日(天気 曇後小雨):休養日 (Stow-on-the-wold YHA泊)
 昨年投宿したユースホステルに2連泊して疲労を回復させた。特に街中を見物することもなく終日宿で休養した。


 雨が降っても気にならず屋根のありがたさやベットの寝心地に忘れていた文明の快適さに浸る。


  
賑やかな 寝言にイビキ
  ものとせず
  幾日振りかの 天国泊り









第9日目 7月7日(天気 曇後小雨):StowからMash経由London市内 (St PaulsYHA)
 交通費や食品等の現金が必要な世界へ戻った。円安レートで物価高を感じつつ帰国へ向けて移動した。

 車窓から流れる丘陵風景を眺めていると、ついフットパッスを探してしまう。無数にあるフットパスはこの国の文化と云える。


  踏み跡は 年月を経て
  道となる
  と苦労を強いた ヤブこぎで知る








第10日目 7月8日(天気 曇):Heathrow空港から羽田空港(機中泊)
 最寄りの地下鉄・
St.paul駅からHolborn駅で乗換え空港に着いた。翌朝、定刻に羽田空港に到着
 
 最後の難関「狭い座席で長時間のフライト」が待っている。このアプローチは避けられないが半分程度が身の丈のようだ。


  年重ね 強気と弱気
  歩みより
  愉しみ求め 旅を夢みる





 




        
                   畑の中央部を直進するトレイル



 3 あとがき(所感)

1)期待通り観光ズレしていな普段着の長閑な田園風景を愉しむことが出来た。
 大きな要因としては連日天気に恵まれ、野営容易、トレイルの視界良好、そして雨中の行動を免れたことに尽きる。と云うのも、これまでに悪天候で痛めつけられた苦しい思が多々あるので幸運を感謝したい。

2)しかし、良いことだけではなくマイナス面もあった。昨年のトレイルと同様に、今回もマイナーコースのために人気トレイルに比べて歩行者が少なくトレイルは荒れていた。
 例えば、踏跡が消えてヤブに覆われていたり標示板が不完全のため読図で判断を強いられた。
 トレイル状況を概略云えば、ヤブこぎ10%、シングル路で踏跡はないがルートは予測可能20%、他は明瞭。宿泊地はトレイル上になくキャンプ場も歩行向けでない。

3)これはトレイルに文句を云うのではなく、自分の能力低下が原因であって実力以上の難易度だと反省したい。
 このような過負荷は目標としている「面白さ」から乖離するのでハードルを下げよう。それはトレイルに限らずフライト時間(12時間)も過負荷の領域のようだから短縮出来る地域に変更して加齢にマッチさせたい。
 過負荷と思ったのは、初日の設営後就寝時に脈拍が94/分あり高過ぎる(5日YHAでは72/分で通常値に戻っていた)。

4)上記に関連して、昨年に比べて記憶容量の低下により頻繁に地図を読み、トレイルを確認するためにペースが乱れ疲れた。ムリのない範囲で等身大の行動を常に心がけたい。

5)ともあれ、自然を満喫してのロング・ウオークは心身のリラックに最適だ。年を重ねてもこうしたテントを担いでのショートステイが出来ることに感謝したい。

6)荷物軽減の一環として体重軽減(1kg減・3日分食料相当)した。年々荷物軽減が行動範囲に影響するので今後も検討したい。

7)11時ごろから気温は30度近く上昇するので、暑さ対策として3時前起床、出発4時(夜明け3時半)にして午前の行動とした。

)食料について(2kg)
・朝食:ラーメン、または少し歩いてパン+練乳。
・行動食:パン+練乳、ビスケット類。
・夕食:飯(塩コンブ入り)、コンソメスープ、ウイスキー(500cc/10日 水割)。     無洗米を150g毎に小分

9)装備について(7kg)
・コンロ用ガス:小形(100g/10日分)。
・寝袋をグレードアップして重量軽減(防寒衣類の削減可)。


    

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