TOP  英国フットパス

    2014年6月(英国・長距離フットパス
・・ グロスターシヤー・ウエイ ・・


荒れたトレイル

       

期  間:平成26年6月24日から7月7日(14日間)
  参 加者: 飯星宏徳(単独) 

                                     

 
1 はじめに
 
 コッツウオルズ地方はロンドンの西北部のグロスターシヤー州内にある。その州名を冠したグロスターシヤー・ウエイは全長160kmで、国内で最も人気がある長距離フツトパス・コッツウオルズ・ウエイと並んで典型的なカントリー風景が広がるそうだ。さらに、先史時代からの歴史を伝える遺跡探訪のウオーキングが期待出来ると云う。

 別の案内書によると、スタート地点のチップストウはセブン河の河口で、ウエールズとイングランド間の境界にあり、終点のテユクスベリはセブン河とアボン河の合流点でいずれも重要なローマ軍の要塞として栄えて来た町とのこと。2ケ月前に、トレイル途中の町・ストウ・オン・ザ・ウオルドを下見してトレイルの状況を把握した。

 歩行時のタイムやポイント等、歩行者の参考用として「資料編」を作成する。


日   程

6月24日 成田空港から英国・Heathrow空港・・London市内 (Central YHA)
6月25日 London/Victoria St.からChepstowBeeches Farmキャンプ泊)
6月26日 ChepstowからParkendWhitemead forest parkキャンプ泊)
6月27日 ParkendからHuntleyForest Gateキャンプ
6月28日 Huntley からCheltenhamYMCA泊)
6月29日 CheltenhamからA435線経由CheltenhamYMCA泊)
6月30日 CheltenhamからHampen・・バス・・Stow (Stow-on-the-wold YHA泊)

7月 1日 StowからHampen・・バス・・Stow (Stow-on-the-wold YHA泊)
7月 2日 休養日 (Stow-on-the-wold YHA泊)
7月 3日 StowからHailes (Fruit Farmキャンプ)
7月 4日  Hailes からTewkesbury(テユクスベリ)・・バス・・Cheltenham (YMCA)

7月 5日  Cheltenham・・バス・・London市内 ( Central YHA)
7月 6日 Heathrow空港から成田空港(機中泊)
7月 7日 成田空港着

 2 トピックス&スケッチ
    概略総距離=177Km(トレイルから離れて迂回と宿泊地までの距離を含む)
   実歩行時間=52時間20分(休憩時間を除く)

第1日目 6月24日(天気 晴):成田空港から英国・Heathrow空港
                 
London市内 (Central YHA)
 ハイシーズンでないので成田空港は20分程で搭乗手続完了。前日にインターネットでチェック・インして通路側の座席を確保出来た。


 2ケ月前に同地区を訪れたので緊張が薄れ、その為か成田へ向かう電車内で体がだるく感じられ「扁桃腺が腫れては大変!」と薬局を探す。


   油断して 大口開けて
   寝たせいか
   喉の違和感 先ずは養生






第2日目 6月25日(天気 快晴):LondonからChepstpwBeeches Farmキャンプ泊)
                  距離:7km。行動時間:2時間20分
 
Londonからバスでトレイルの起点・Chepstowへ。この町は古くから要塞都市として幾多の戦火に耐え、現在も古城と城跡が一部残されていた。

 移動日には勿体ない快晴だ。予定していた町内のキャンプ場が閉鎖中で7km北方の営業中のキャンプ場へ進む。


   雨土の 恵みを受け 
   今さかり
   草原の芝 その先のみどり







第3日目 6月26日(天気 曇):ChepstowからParkend 
                      (Whitemead forest parkキャンプ
泊)
                                  距離:20km。行動時間:5時間30分。
 トレイルに戻り、
severn河の谷間と国立公園のDeanの森を進む。期待に反してトレイルは荒れ踏跡のないヤブに遭遇。更に標識も不備で、しかたなく遠回りになるが公道を迂回した

 湿地の雑種地で細かく曲がり、時々思い出したようにヤブ間から標識があるのでトレイルだと確認。


   標識板 ブッシュ間から 
   顔を出し
   路はこちらと 我を導く








第4日目 
6月27日(天気 雨):ParkendからHuntleyForest Gateキャンプ
                  
 距離:24km。行動時間:7時間50分
 
今日も
Deanの森を進む。雨具姿でもヤブのシングル・トレイルは水中ウオーク並に全身濡れるので並行している自転車道を進んだ。何度か道を間違え苦労した一日だった。

 テント場に着く頃、雨は止み陽が射す。急いでテントを干し、芝生も乾き「自然のパワー」に感謝する。


   一日の 疲れを癒す
   キャンプ場
   晴れて天国 雨では惨め








第5日目 6月28日(天気 雨):HuntleyからCheltenhamYMCA泊)
                                距離:25km。行動時間:8時間40分
 
地図上からシングル・トレイルは敬遠して3kmほど公道を選択。その先はトレイル沿いに
Gloucesterへ。Gloucesterからバスで宿泊地のCheltenhamへ行った。


 標識があるのでトレイルには違いないが、今まで経験したことのない悪路に気持ちが萎えるばかり。


   標識の 先に広がる
   トレイルは
   ヤブまたヤブの 湿地帯









第6日目 
6月29日(天気 晴):CheltenhamからA435線経由CheltenhamYMCA泊)
                               距離:21km。行動時間:6時間10分
 
日曜日はバスの便が極端に少なく、初発は10時になるので
Cheltenhamから歩て南下してトレイルに合流。コッツウオルズ台地に入ってトレイルも良くなり、町の南部を東進して明日の合流点・A435線まで進みCheltenhamへ戻った。

 荷物を宿へ預けて空身で行動する。町並みを散策しながらラクチンなウオーキングを楽しむ。


    屋敷より 巨木が主の 
    チェルトナム
    威風堂々 役目を果たす 








第7日目 
6月30日(天気 晴):CheltenhaからHampen・・バス・・Stow(Stow-on-the-wold YHA泊)
                            距離:17km。行動時間:4時間40分
 昨日の場所まで戻り東進して37km先の
Stowへ向かう。途中のHampenからバスに乗り明日引き返すことにした。

 10年前、最初のロングトレイルで訪れたコッツウオルズ・ウエイと合流。トレイルの記憶はないが標識の文字が懐かしい。


   再会の コッツウオルズ
   懐かしく
   空の青さに 想い出深し








第8日目 7月1日(天気 晴):StowからHampen・・バス・・Stow (Stow-on-the-wold YHA泊)
                                      距離:20km。行動時間:5時間50分
 この間のバスは1日3便と少なく始発は9時25分と遅い。そのため往路を歩き帰路にバスを利用した。畑地が増えてトレイルは判りやすいが踏み跡は弱い。


 前半のヤブコギがウソのようなフットパスが続き、景色を眺める余裕が出来る。


   絵のような パッチワークの
   組み合わせ
   みどりに黄色 青の縁どり 







  早朝で人影はなく、静かな村の風景は歴史を漂わせている。




   ロースロター 村の水車を
   守り継ぐ
   自然と寄り添う 知恵を教わる








第9日目 7月2日(天気 晴):休養日 (Stow-on-the-wold YHA泊)
 靴を脱いでスリツパで観光案内所や図書館で休養した。以前であれば「近くの日帰りハイクでも・・」と意気込むところだ。


 当街は4月に5日間滞在したので店も見物済。穏やかな日だまりで疲れを癒す。


   店先の ガラスに映る
   我が姿 
   腰を落として かかと重心






第10日目 7月3日(天気 晴):StowからHailes (Fruit Farmキャンプ)
                                距離:20km。行動時間:5時間
 
今日からトレイルは西方へ折り返して
Winchcombeを経て終点・Tewkesburyへ向かう。途中で再度北上して来たコッツウオルズ・ウエイと交差し、前回利用したキャンプ地に設営した。


 朝焼けで夜が明けると一面の麦畑の早生は茶色に変わり収穫の時期に来ているようだ。


   やわらかな 朝日を迎え
   麦の穂は
   ゆらりゆらりと 風に首振る








第11日目 7月4日(天気 晴):Hailes からTewkesbury・・バス・・Cheltenham (YMCA)
                                     
 距離:23km。行動時間:6時間20分
 最終日は展望が良いキャンプ場から麓の町・
Winchcombe<写真18>へ下る。この街も歴史がありスードリー城<写真19>や人気の高い観光スポットで1時間ほど見学。再度西方のトレイルを進みゴールのTewkesbury・大聖堂に到着。バスで往路に泊まったCheltenham YMACへ戻った。

 夜が明けて30分ほどで日の出の朝焼けを迎える。遠方の町がトレイルの行き先を伝える。


 
  ふり向けば いま陽は昇る
   精霊の 
   光の中に 羊草はむ 








第12日目  7月5日(天気 小雨):Cheltenham・・バス・・London市内 ( Central YHA)
 車窓から眺めるコッツウオルズは小雨に濡れて草木は一段と勢いを増したようだ。12日間の歩行顛末を振り返りながらCheltenhamを後にした。
 
 ロンドンは週末とあって大勢の若者達や家族連が歩道にあふれ。久しぶりの人の波にドット疲れる。


    トレイルで ヤブをかきわけ
    
ロンドンで
    人をかきわけ 道をさまよう
  

 


    3 あとがき(所感)

 1)ウオーキング大国と云われる英国には、国立長距離フットパス(ナショナル・トレイル)と自治体や有志団体が設定した長距離フットパス(パブリツク・トレイル)がある。これまで前者を主体にトレースして来たが、後者のクリーブランド・ウエイやウオルズ・ウエイもトレースして、両者の整備状況は同じレベルだと思っていた。

 2)そんな認識で今回も長距離フットパスを訪れだが、ほとんど歩かれてなく前半のシングルトレイルの「荒れ放題」にはウンザリした。加えて連日の雨天気で歩行意欲を萎えさせた。

 3)登山で云えば一般登山道と岩登り等のバリエーシヨン登行があるように、歩道でも一般道とバリエーシヨン道に分けると今回のトレイルは後者に区分出来るようだ。又、両者は2極化しているように思えた。

 4)国内においても長距離自然歩道の2極化は顕著で廃道トレイルの割合が増えているように思える。国内の場合、トレイルに限らず限界集落の廃村化が進んで社会問題になっているが、英国にはその傾向はないようだ。トレイルを歩くと小さな集落に出会う。
 これは石造家屋で建屋寿命が長いことも理由のひとつだが、カントリー志向の国民性も大きな要因と思える。即ち、休暇用のロッジや定年後の田舎暮らしとしての需要が多い。その裏ずけとして町街に不動産店が目立つ(例えば、ストウには40軒程の目抜き通りに8軒の不動産店あり活気があった)。

 5)トレイル中の宿泊はキャンプ場4泊、自炊舎営5泊とした。舎営日はトレイル途中からバスを利用してその間は空身で行動して身体の負担軽減、及びリスク回避に備えた。シニアウオークとして今後も採用したい。

 6)シニアウオークの目安として行動量を1日に20km程度(時間5時間±1時間)、荷物量8kg±1kg(食料は2日分程度で後は現地調達)、そして休養日設定(4日毎程度に1日)。数年前から比べると軽い基準になるが<老化は自然現象>と捉えてムリしないことが歩行寿命を伸ばす要因だと思う。これは歩行時だけなく日常の暮らしでも養生が大事とか。先人曰く「養生とは快食、快便、快眠」らしがこれを守るのは意外と難しい。

 7)成田空港で出国手続を済ませて搭乗ゲートで待っていたら、キャビンアテンダントから「もし宜しかったら早目に搭乗されますか?」と案内を受けた。「エ??ア・・一般と同じで・・」と返事したが、白髪頭のジーサンが杖(ストック)を持ってボーツとしていれば声をかけられても不思議ない。「これから160km歩くのです」と云っても信じてくれないだろうと苦笑した。

 8)食料について
・朝食:ラーメン、または行動中はコンロを使わず少し歩いてパン+ハチミツ。
・行動食:パン+ハチミツ、ビスケット、ナッツ類。
・夕食:飯(塩コンブ入り)、コンソメスープ、ウイスキー(500cc/10日 水割)。  無洗米を150g毎に小分にした。

 9)装備について
・コンロ用ガス:小形(100g/10日分)。
・テント損傷:乾燥のために仮張をして干していた時に突風で転倒して天井部にピンホール損傷(テープで仮補修)。

       
 TOP      資 料 編