TOP   2013年7月(英国・長距離フットパス
ノース・ダウンズ・ウエイ

麦畑のトレイルを行く
       

期  間:平成25年7月4日から7月15日(10日間)
  参 加者: 飯星宏徳(単独) 




 
1 はじめに

 今回のトレイルは、以前にトレースしたサウス・ダウンズ・ウエイの兄弟トレイルとも云える。英国南部の比較的穏やかな気候と地形で初級クラスのロング・フットパスと紹介されている。 
 トレイルは丘陵地帯の森・畑や牧場を通り北部の湿地帯にはない陽気さが期待出来るナショナル・トレイルのひとつ。そして、ロンドンからも近いこともあり人気が高いらしい。前半はジョギングの仲間4名と湖水地方とコッツウオルズを訪れ、ユースホステル泊で自炊しながらこの国の自然を探索する。その後半となるので、難易度と場所から本トレイルが適当と判断した。
 
歩行時のタイムやポイント等、歩行者の参考用として「資料編」を作成する。

日   程
7月4日 Waterloo・・Farnham駅からPuttenham(小屋泊)
7月5日 PuttenhamからDorking・・Puttenham(小屋泊)
7月6日 Puttenham・・Dorking /Reigate駅から
MersthamCaravan Park キャンプ
7月7日 
MersthamからBrasted Hill Farm(牧場キャンプ)
7月8日 Brasted Hill Farm からWrothamCaravan Park キャンプ
7月9日 
WrothamからDetlingCaravan Park キャンプ

7月10日 
DetlingからCharing (Caravan Park キャンプ
7月11日 
CharingからWye・・CanterburyYHA泊)荷物デポ
7月12日 Canterbury・・WyeからEtchinghill・・Dover (
Backpackers)
7月13日 Dover・・EtchinghillからDover (
Backpackers)
7月14日 Dover・・Canterbury・休養日(
YHA)
7月15日 Canterbury・・・Heathrow空港から成田空港(機中泊)
7月16日 成田空港着

 
2 トピックス&スケッチ


 概略総距離=204Km(トレイルから離れて宿泊地までの距離を含む)。
 総歩行時間=57時間10分(休憩時間を除く)。

第1日目7月4日(天気 曇後晴):London Waterloo・・FarnhamからPuttenham(小屋泊)                                距離:10km。行動時間:2時間30分
 Heathrow空港で仲間達を見送り、Londonに引返してトレイル起点のFarnhamへ移動。半日行動してPuttenhamのキャンピング・バーン(寝具持参要)に投宿

 
 ファンナムの町を過ぎると耕作地帯になり丘陵全体が見事なジャガイモ畑。


   広大な ジャガイモ畑は
   花盛り
   慎ましやかな 色は紫

 







 小さな集落が丘陵の一部の森に囲まれるように点在。トレイルに平行して高速道があり時々車音が聞こえてきた。


    いくつもの 集落過ぎて
    草原の
    畑横切り 東へ向かう


第2日目 7月5日天気晴):PuttenhamからDorking・・Puttenham(小屋泊)
             距離:29km。行動時間:8時間10分
 宿に連泊して今日は空身で距離を稼ぐ。宿の最寄り駅まで3kmあるのが難点だが適切なキャンプ場がないため往復鉄道を利用とした。

 
 
 第二次大戦時の遺物が数ケ所保存されていた。古くはローマ時代から国防の要として重要な地域だったとのこと。


  トーチカの 小さな窓は
  今もなお
  眼下の敵を 捜し続ける
 
 
 





 昨夜、管理人さん夫婦から夕食を招待された。そのお礼に折り紙の「鶴」を贈ったら大喜びされ日英親善が出来た。


  折り紙に 感謝託せば
  ハグされて
  小さな縁で 旅は豊かに




第3日目 
7月6日(天気 快晴):Puttenham・・Reigate駅からMerstham
                      (Caravan Park
キャンプ
                距離:17km。行動時間:4時間30分
 昨日歩いた駅まで鉄道で戻る。ジョギングやマウンテンバイクでトレイルは大賑わいだが荷物を担いだ歩行者は皆無。宿泊地の都合で今日は軽い歩行となった。

 
 土曜日の為かゴルフ場にも人影が目立つトレイルはゴルフ場の中を通るのでプレイヤーもギャラリーを意識していた。


  さりげなく ボールの行方
  眼で追えば
  ナイスショットに 我を見返る

 
 




第4日目 7月7日(天気快晴):MersthamからBrasted Hill Farm(牧場キャンプ)
               距離:25km。行動時間:7時間20分
 この先40km近くキャンプ場がないので中間位の所で牧場主に設営の許可を得る。一般的には大きな町まで下り民宿に泊まるが、今回は日曜日で案内所も閉まり当日宿を捜すのも難しい。
 
 
 今日の好天気を暗示するようにヒバリが広大な畑のあちこちから囀る。


   早起きの ヒバリさえずる
   麦畑
   朝日を受けて 我が影映す




 


 


5日目 7月8日(天気 快晴):Brasted Hill Farm からWrotham
                (Thriftwood Holiday Park
キャンプ
                距離:16km。行動時間:4時間30分
 食料補給のためにトレイルから南方へ3km離れた大きな町・
Sevenoaksへ出る。合わせて案内所でキャンプ場の情報を入手した。

 
 朝方、テント近くで馬の鼻息に目を覚ます。まさか踏みつぶす事はないだろうが大声をあげて追い払った。


  夜明け前 馬の気配に
  飛び起きて
  想定外に 共に驚く

 


 




6日目 
7月9日(天気 曇後快晴):WrothamからDetlingCaravan Park キャンプ
                  距離:24km。行動7時間20分
 これまで東進して来たトレイルは
Gillinghamへ向けて北上する。超大型の橋・Medway Bridgeを渡るとゴールのDoverまで南下する。


 早朝からガスが発生し雲行きが怪しい。今日まで雨に遭わなかったので「降られても仕方がないか」と観念しつつ歩いた。


   曇天の 空を仰いで
   懸念する
   晴りゃルンルン 降られりゃみじめ

 



  

 


第7日目 
7月10日(天気 曇):DetlingからCharing (Caravan Park キャンプ
                距離:22km。行動時間:6時間30分
 行程の半分が過ぎると余裕が生まれて周囲が見えてくる。古道をナショナルトレイルにしたようで住民の日常生活に溶け込だコースと思えた。

 
 町に近いせいか早朝ジョガーや犬の散歩者が多い。生活習慣の一部として人々に受け入れら歩行文化を感じた。


   重そうに 身体ふり振り
   オバサンは
   香り残して 追い越して行く

 




第8日目 
7月11日(天気 曇後快晴):CharingからWye・・CanterburyYHA泊)荷物デポ
                    距離:20km。行動5時間
 今日から4日間は舎営泊になるので初日のCanterbury YHAへ設営装備をデポして空身で行動する。その為に、Wyeでトレイルから離れてCanterburyへ行き明日戻って継続。


 案じていた天候も当分は大丈夫らしい。仮に降ってもテント泊でないので気が楽になる。


   空高く 短い夏は
   今盛り
   貪るように 草花開く

 


9日目 7月12日(天気 晴):Canterbury・・WyeからEtchinghill・・Dover
     
                      (
Backpackers)
                距離:19km。行動時間:5時間
 ゴールとの中間地点・Etchinghill集落からバスでゴールのDoverへ行き、明日引き返して完歩する

 
 落葉樹の森は降雨量が少ないせいか生育が遅い、畑も小石混じりの白色土で肥えた状態でない。そうした自然と上手に共生いている。


  来た道も 行く道も又
  麦畑

   畑過ぎれば 森と牧場 
 


第10日目 
7月13日(天気 曇):Dover・・Etchinghill からDover (Backpackers)
                 距離:22km。行動時間:6時間20分
 10日間歩行の最終日、南下して来たトレイルは終点のDoverへ向けて海岸線沿いに東進。Dover付近の海岸線は十数キロ渡ってWhite Cliftsと呼ばれ100m程の絶壁で有名。トレイルはその縁を海風を受けて進む。

 
 ドーバー海峡を越えたトンネルのターミナルが十数キロ離れた当地に設置されてた。


   トンネルを 抜けた車や
   入る車
   順番待ちの 巨大なインター

 




  


第11日目 
7月14日(天気 快晴):Dover・・Canterbury・休養日(YHA)
 Dover城に代表される当地は天然の要塞として4千年の歴史があり、Canterburyも大聖堂に代表される宗教都市でいずれも世界遺産になっている。


 町のどこからもDover城が見える。それだけ城の存在が大きいと思えた。


   城壁の 門は閉ざされ
   その奥の
   要塞照らす ドーバーの朝


 



第12日目
 7月15日(天気 快晴):Canterbury・・・Heathrow空港から成田空港
 
 国土の70%が平地と云われる通り、バスは同じ様な丘稜風景の中を走る。


 登降の少ないトレイルはシニア向けでナショナル・トレイルとして期待に答えてくれた。  


   あの辺か 車窓に映る
   フットパス
   今年の夏は 過ぎて行く
 
  


13日目 
7月16日(天気 晴):成田空港着

  ジェット気流の関係か予定時刻より早目に成田空港に到着。ムッとした高湿度の日本の夏に迎えられトレイルの爽やかさが懐かしくなった。

          
               
  New Land Corner付近の遠景

3 あとがき(所感


1)昨年の長距離フットパスは、悪天候のせいもあって「今後は200km・10日間以上の歩行は止そう」と反省した。にも拘わらず再度「南部地方なら大丈夫だろう」と難易度の低いノース・ダウンズ・ウエイをトレースすることにした。

2)結果、下記の要因で何とか完歩出来たことは幸いであったが今回が限度と思えた。その理由として@連日好天気で雨に遭わずAトレイルは登降量が少なく整備されB道標完備で道幅も広く初級グレードCテント泊のため体調に合わせた歩行が出来たこと。

3)半面、地図上に表示されたキャンプ場(Caravan Park)が数ケ所廃業して設営地を捜すのに苦労した。又、荷物は10kg程度だが体力低下で長時間の行動は厳しかった。加齢条件を考慮すると、1週間以内が許容範囲のようだ。

4)ロンドンの南部の東西に伸びる台地をノース・ダウンズと呼ばれている。従って、本トレイルも台地沿いに東方へ向かう。幾日も朝日に向かって進むうちに旅の方角でモチベーンが変わるような気がした。
 旅の方角として、哀しい時は北へ、嬉しい時は南へ、夢ある時は東へ、そして、そこそこに叶えたら日没に従い西へ消えよう。

5)食料について
・白米に鳥ガラダシやこぶ茶をいれた炊込飯(オジヤ)はオカズ不要で便利。
・前半組から良質の塩をもらったのでカット野菜や殺菌用に活用。
・行動食は全て現地購入(価格も安く旨い)。

6)装備について
・ガスはキャンプ6泊で半分残した(100g容量の小型で十分)。
・衣類の予備は不要(アプローチ用と行動用のみ)。
・雨具はビニール製の軽量品として防寒用は別途考量する(荷物用は大き目のビニールシートで特製要)。
・長ズボンを捲り半ズボンの代行。
・軽量化を計り全体重量を7kg程度にしたい。

            
                      Gotton Park付近の牧草地


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