<東北自然歩道・福島から青森へ>
岩 手 編 ・・・岩手県・一関駅から青森県・八戸駅
期 間:平成17年10月2日から10月13日


盛岡・志波古代城の遠景

 
第10日目 10月11日(天気 晴):金田一温泉から名川町・チェリーセンター
                 (距離26Km)行動7時間。
 今日は、青森県に入り最初のモデルコース<南部藩発祥の地を訪ねるみち>を歩く。相変わらず大型車が疾走する国道4号を北上する。歩道はあるが所々段差がない白線の歩道歩きに緊張する。
 青岩橋の手前から馬淵川沿いの旧奥州街道に入り難所のひとつ蓑が坂に向う。しかし、現地では「明治天皇が籠を降りて徒歩で越えた坂」と説明の標識はあるが10m進むとガケで道は消えてしまった。引き返して近所のオジサンに聞いたが「今は誰も通っていない」との返事。しかたなく青岩橋まで戻り作業道を北上して三戸町へ向う。
 広いリンゴ畑を通り三戸城堀公園(休憩舎有り)で水分を補給して三戸町モデルコースに合流する。この町に南部馬を育成した一戸家の庭園に「関根の松」がある。見事な老松とのことで行って見ると、高さ6m、長い枝は16m、樹齢400年との事であたかも竜が地を這うような枝ぶりは見事だ。
 次のモデルコースは霊峰・名久井岳を越える。地図上で山頂付近がシングルトレイルだから、荒れている懸念がありパスして下の公道を進む。
 青い森鉄道(旧JR東北本線)は複線だが客車は2両連結で殆んど乗客の姿はない。その反面頻繁に貨物車が通るので、主流は貨物の運搬路線のようだ。線路沿いの公道を進んで諏訪の平駅先の物産センター・チェリーセンターに着く。
 明日は帰京するので「テントが濡れても支障がない」ので屋外に設営する。暗くなって「今夜車内で泊まる」と云う大型トラックの運チャンが「暇だったら車内で一杯どう?」と誘ってくれたので、車に行き旅の雑談をした。明日で歩きが終わると思うとホッとして舌の滑りが良くなり楽しい時間を過せた。


 第11日目 10月12日(天気 晴):名川町・チェリーセンターから八戸駅経由帰京
               (距離23Km)行動5時間30分。
 今日も星座を仰ぎ出発。入山初日の雨天で「先が思いやられた」が天候に恵まれ幸いだった。
 昨日まで歩いた国道4号線は剣吉集落から十和田湖方面へ北上し、八戸市のゴールまでモデルコース<櫛引八幡と古戦場をめぐるみち>をトレースすべく苫米地集落まで国道104号線を進む。
 1時間半ほど歩いてコースの起点・ふれあい広場を通る。ここは馬淵川の河原を利用した広場で休憩舎やトイレが数ケ所あり野営地に適している。
 分岐路が多い里山のコースを標示板に従って北上して再び104号線に出る。川幅が広く流れも緩やかになった馬淵川を櫛引橋で渡ると櫛引八幡の森に入る。宝物殿には国宝の兜があるそうで由緒ある神社とのこと。
 八戸市はこの付近では大きな都市で市街地になってから2時間近く歩いてラピア・バスターミナルに到着。1日早く乗車するので乗車券を変更。
 待ち時間を図書館と風呂(極楽湯・ターナルから10分)へ行って発車を待つ。
 

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 3 あとがき(教訓と所感)

 1)モデルコースの一部の廃道を迂回したので、1日早くゴールした。モデルコースは岩手県内に42ケ所(各10km前後の距離)設立され、10年近く経てコースの整備にもバラツキがあり、人気がないコースは朽ちるようだ。しかし、自然歩道の主旨をコース自体の景観にするか史跡や名所を観ることにするかで状況が違うようだ。両方が理想だが、自然歩道の内、東海道と首都圏以外は後者優先の様に思えた。従って現状のように道が荒れても仕方がないだろう。前者優先で歩くなら、モデルコースに拘らず地図を頼りに自己流でルート選定することだろう。登山で云えば「パリエーション・ルート」の開拓となる。

 2)今回の岩手県と青森の一部を歩いて、同じ東北自然歩道でも福島、宮城と雰囲気が違い「遠くに来た・・」と云った感じを受けた。この感じは東海道は勿論、九州や中国、近畿地方にはなかった。この国の歴史上で云えば今回は縄文時代の雰囲気であり、他の地方は古墳時代以降現代までの継続した文化だ。次の青森、秋田、山形及び岩手・遠野地方へと期待が膨らむ。

 3)冬期の季節風を防ぐのに、屋敷の北西面を屋敷林(えぐね)で囲まれた散居集落は日本の原風景と云われている。自然生態系に配慮した暮らしに逞しさを覚えた。屋根は何処もトタン葺きで瓦葺きは1軒もなかった。その理由を聴こうと思ったが機会がなかった。次回の宿題としよう。

 4)楽しみにしていた温泉は、4回(花巻、紫波、金田一、八戸)入浴出来た。心身の疲労回復には不可欠の要因だから、夏以外なら行動中の立ち寄り入浴も実行したい。

 5)入山時に予定していた「入出力熱量のチェック」ついては以下の通り。結論から云えばカロリー不足による体脂肪の減少量は680g(6140Kcal)程度。
今回の行動の特徴は、発汗少ないこと、標高差少ないことで消費エネルギーを節減出来た。
 1:消費熱量(E Kcal)
   E=E1+E2=31、338Kcal
   E1= 9、884Kcal・・・総基礎代謝熱量(2日から13日)
   E2=21、454Kcal・・・総行動時の熱量(78時間50分)
 条件:エネルギー代謝率(4)、性年齢補正係数(0.0162)、体重(57kg)、
     平均荷物重量(13kg)
   
 2:摂取熱量(Q Kcal)
  Q=Q1+Q2=25、200Kcal  
  Q1=17、710Kcal・・・持参食料分熱量  70%
  Q2= 7、490Kcal・・・現地購入分熱量  30%
 3:消耗体脂肪量(W g) 消費量の20%相当
  W=(E―Q)/9=682g  (脂肪燃焼カロリー=9kack/g)
  
 6)食料・装備について (入山時ザック重量=16kg)
−1)夕食・米飯の半分を翌朝と行動食に利用した(洗米200g/回分)。
−2)昼食は野営地到着後にラーメン+餅1ケ。
−3)行動食はビスケット類、ソーセージ、干しナツト(整腸食)、小魚。
−4)ガスは約180g(10日分)使用。
−5)新規作成した保護ザックカバーを忘れた(防水用のビニールだけで使用)。
−6)トランジスターラジオは小型を購入(既存の半分の重量)。

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 4 行動タイムとトレイルの要点

 1日目10月2日(天気 雨):一関駅から平泉・瀬原:池袋駅東口(23:10)-JR一関駅(04:50-5:40)-宝竜(7:50-55)-達谷窟(09:00-10)-毛越寺(10:40)-中尊寺(11:00)-瀬原・安部一族鎮魂碑(11:30)・テント設営。
 1)前夜、池袋駅発の夜行バスは西口ではなく東口から発車。西武系は西口で国際興業系は東口の公園が乗車ターミナルになる。
 2)平泉の観光スポット・達谷窟、毛越寺、及び中尊寺等は、ガッチリ観覧料を取る。施設の維持上避けられない事情があるのだろう。
 3)中尊寺の裏に金鶏山麓キャンプ場は閉鎖中で利用出来ず。

 2日目10月3日(天気 晴):平泉・瀬原から上鹿合集落:テント発(04:30)-野田集落(5:15)-雲際寺(05:50)-国見平温泉(8:40-9:00)-増沢ダム(10:00)-上萱刈窪(10:50)-山城鹿合館跡公園(11:30)・テント設営。
 1) 昨日と同様に終日公道(舗装道)を歩く。朝の通勤時間帯以外は殆んど車は通らない。
 2) 国見平温泉から1km先の小学校脇・公園に休憩舎とトイレ有り野営可能。
 3) 上鹿合集落の鹿合山城跡公園は静かなテントサイト。100mほど登って山頂の休憩所に設営。

 3日目10月4日(天気 雨):上鹿合集落から横川目町:テント発(04:30)-細野(06:15-20)-おしい観音(09:00-15)-千貫石溜池口(09:30)-林道分岐(10:00)-千貫石溜池口(10:30)-鍋割(11:15)-北上リゾート(12:05)-横川目橋(13:20)・テント設営。
 1)千貫石溜池の北岸沿いに林道を2km進んだが、金ケ崎牧場跡への分岐路から先は廃道。モデルコースだから歩けると思ったがダメだった。
 2)水神温泉から先1kmほどの山道も避けて東面の公道37号線を進む。
 3) 和賀川に架る数ケ所の橋のうち、横川目駅に近い橋の下に乾燥した平地があり農機具等の保管されていたので、断ってテント設営。

 4日目10月5日(天気 晴):横川目町から花巻温泉:テント発(04:20)-古代村口(06:26)- キャンプ村(07:45-8:10)-高村山荘(08:20-30)-円万寺(09:55)-平塚・花巻交流の森(11:20)・テント設営。
 1)八方山経由のモデルコースもシングルトレイルだから、昨日の状況から廃道が懸念されるので省略。
 2)平塚・花巻交流の森は、床板張りでフライ付きの無料・キャンプ場(オートキャンプ場ではない)。11月から4月までは閉鎖されるが、裏隣りには金矢温泉があり最上クラスのキャンプ場。

 5日目10月6日(天気 雨)花巻温泉から紫波町・ラフランス温泉館:テント発(04:40)-花巻温泉バス停(05:40)-13号線合流(06:20)-長谷観音(07:00)-葛丸ダム(09:25)-山王ダム(12:00)-志和温泉(12:45)-ラ・フランス温泉館(13:20)・テント設営。
 1)葛丸渓谷のたしろ滝駐車場にトイレと休憩舎があり野営可。
 2)葛丸ダム橋から山王ダム堰堤まで公道で25kmの表示がある。これは山王ダムの上流を一回りするためで、途中から堰堤へ直接下ると10km程度に短縮出来る。但し、一般車は通れないダム管理路だから、管理事務所の許可要。
 3)志和稲荷温泉は廃業していた。
 4)紫波町立・ラフランス温泉館は、温泉プールやウオータースライダー及び多目的グラウンドを備えた温泉利用型健康増進施設で町民の憩いの場として賑わっていた。

 6日目10月7日(天気 快晴):紫波町・ラフランス温泉館から盛岡市・東黒石公園:テント発(04:30)-百万石(05:35)-志波古代公園(08:30-09:00)-盛岡市岩手大(10:05)-高松ノ池(10:34)-東黒石・幼児公園(11:30)・テント設営。
 1)志和稲荷から盛岡市内まで交通量が多い稲荷街道を進むが歩道がない。朝の通勤時間帯は車の切れる時がないので湯沢団地から脇道に入る。
 2)煙山ダムの公園にはトイレと休憩舎があるので野営可。
 3)盛岡市街に野営地はなく北上して東黒石町の市立・幼児公園の休憩舎に設営。

 7日目10月8日(天気 小雨):盛岡市・東黒石公園から石神の丘・道の駅:テント発(04:40)-春日大明神(06:00)-柏木平(07:30)-愛宕バス停(08:00)-好魔駅(09:00)-沼宮内・石神の丘道の駅(12:50)・テント設営。
 1)滝沢駅からのモデルコースは連絡コースの交通量が多い国道4号(陸羽街道)を通るので、北上川沿いの県道を選び北上。
 2)石神の丘公園には休憩舎はないが「道の駅」脇の工作棟の端が屋根付きのオープンスペースになっている。

 8日目 10月9日(天気 快晴):石神の丘・道の駅から一戸町・産直センター:テント発(4:30)-御堂(06:40)-摺糖(07:50)-旧中山(08:45)-小繋(10:00)-一戸町・産直センター(11:30)・テント設営。
 1) 御堂集落から終点・小繋までのモデルコース「旧奥州街道のみち」は数ケ所の一里塚を残し未舗装道の自然歩道の名前にふさわしい数少ないコース。
 2)御堂観音前はトイレと休憩舎付きの公園で野営可。
 3)一戸町の物産センター「サラダボウル・こずや」は国道4号線沿いにあり、端の空きスペースの休憩舎に野営。名物の手打ち田舎ソバは人気があり、夕方には「売り切れ」で店仕舞いをした。

 9日目 10月10日(天気 曇後小雨):一戸町・産直センターから金田一温泉:テント発(04:50)-浪打峠(07:45)-五日町(08:25)-中長嶺(09:15)-長瀬橋(09:45)-金田一温泉(10:50)。
 1)鳥越集落から終点・長嶺までのモデルコース「末の松山のみち」も旧奥州街道で往時を偲ぶ風景が続く。
 2)金田一温泉「ゆうゆうゆーらく」は日帰り湯で、畳の休憩室で休息出来る。隣接した公園の休憩舎に設営。

 10日目10月11日(天気 晴):金田一温泉から名川町・チェリーセンター:テント発(04:30)-蓑ガ坂(6:20 )-青岩橋(07:00-10)-金洗公園(08:00)-関根の松(08:50)-諏訪の平駅口(10:25)-名川チェリーセンター(11:30)・テント設営。
 1)金田一温泉から青森県最初のモデルコース「南部藩発祥の地を訪ねるみち」の始点・上目時集落までは、交通量が多い国道4号を歩くも歩道が不完全で危ない。
 2)同上のコースで、蓑が坂から先は旧奥州街道にも拘わらず看板のみ廃道で通れない。公道まで引き返して北上。
 3)名久井岳への登山路も林道から先が不明で廃道が懸念されるので、迂回して国道を進んだ。
4)名川町・チェリーセンターは国道沿いで駐車場は騒音に悩ませるが野営は可。5km先の苫米地・ふれあい広場は設営適地。

 11日目10月12日(天気 晴):名川町・チェリーセンターから八戸駅経由帰京:テント発(04:50)-ふれあい公園(06:25)-北高岩(07:45)-櫛引八幡(8:45)-本八戸駅(10:25) -ラピアBT(10:50-21:20)(夜行バスで帰京)。
 1)モデルコース「櫛引八幡宮と古戦場をめぐるみち」の始点・苫米地バス停までは歩道完備の国道104号を歩く。
 2)苫米地バス停から新興団地内の公道と作業道を進むが、各分岐路には標識あり。
 3)八戸市内のラピア・バスターミナルは、市街地を通過し東方の港寄りにある。

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 5 会  計

 
1)交通費:\18,050-
       岩槻駅からJR池袋駅往復(\1,140)
       池袋駅から一関駅・高速バス(\7,330)
       八戸駅から池袋駅・高速バス(\9,580)
 2)食料費:\9,010-
       持込分(\2,650)、現地購入分(\4,730)、酒類(\1,630)
 3)装備費:\1,110-
       ブタンガス(\460)、電池(\200-)、資料(\200)、フイルム(\250)
 4)その他:\3,320-
       写真代(\1,050)、温泉入浴4回分(\2,020)、電話・郵便(\250)、

       合計金額=¥31、490−


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6 資 料 関 連

 
1 食 料
 洗 米       1,8Kg     梅 酢        80cc
 ソーセージ       4本     味噌        8回分
 ラーメン(チャルメラ等)  5袋      醤 油       60cc
 餅            5ケ     サラダ油       適量
 平ビスケット      1袋     煎り大豆        1袋
 食べるイリコ      1袋     コショウと七味     適量
 柿の種+ピ−ナツ    1袋     梅干入りフリカケ   1袋
  飴           1袋    乾燥ワカメ      1袋
 切干ダイコン      1袋      ウドン・スープ    2ケ
 切コンブ         1袋     塩         適量
 干 ナットー      1袋  
 オニギリ        3本     焼酎        200cc

◇ 不足分は現地購入:ビール、焼酎、オニギリ、鳥唐揚げ、チクワ、納豆、細巻、飴、ソーセージ、豆腐、餅、リンゴ、浅漬物、トマト、五穀ラーメン、トロロソバ 

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  2 装 備 (約10kg)
1 テント、ポール、ペグ(新1人用)
2 シュラーフ (薄形) 
3 マットレス     
4 荷雨具カバー   
5 ガスバーナ      
6 コッフェル       
7 靴下(厚手) 予備     
8 傘            
9 地図類            
10 帽 子            
11 スプーン      
12 鍵             
13 白色高輝度ライト    
14 ローソク(予備)     
15 ナイフ (プラ)    
16 下着            
17 シャンプー      
18 ナイロンひも 10m 
19 爪 切と バンドエイト   
20 電気ひげ剃り      
21 背負子          
22 マッチ        
23 網 袋 (小) 
24 目 薬       
25 安全ピン・6本位
26 チリ紙 (6ケ) 
27 酒 ボトル(500CC)
28 腕時計      
29 カメラ(フイルム25枚)
30 パンダナ  
31 ガス(CR270)
32 箸      
33 行動シャツ     
34 水筒 2L入
35 タオル         
36 タイツ         
37 メンタム      
38 クリーム     
39 櫛            
40 洗面具(ハブラシ歯みがき粉、)
41 サンダル   
42 ペン・手帳         
43 現金・カード        
44 ラジオ         
45 コンパス          
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 3 資 料 関 連

  
A) 地 図(国土地理院:1/5万)一関、
  B) ガイド資料「東北自然歩道・岩手県コース」1/2、5&5万 地図付
           No.3〜9,15〜17,19〜21,24〜26
  C) ガイド資料「東北自然歩道・青森県コース」1/2、5万 地図付
           No.20〜22
  D) ガイドブック:東北自然歩道を歩く・田嶋直樹 著(無明舎出版)
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