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         <シニアのロング・ウオーキング>

        
最上三十三観音(前編) 巡拝

       期   間:平成4年10月24日~28日 (5日間)
               
      参加人員:単独         記:飯星宏徳


      
          26日・山寺駅から立石寺

 

 1 はじめに 

 6月に予定していた<最上三十三観音>巡拝は、猛暑続きで10月下旬まで延期した。連泊歩行は5月の会津三十三観音以来で気が引き締まるが、負荷を軽くするために夜行バス便から新幹線利用に変更。
 また、本巡拝の全長は約300kmもあるので区切打ちとし、期間は5日間にして公共交通機関の利用も考慮し、ムリせず<身の丈歩行>をモット―にした旅にしたい。
 前回から採用した舎営泊(ユースホステル&ゲストハウス)により、荷物の軽減及びテント設営の手間を省いて旅寿命の延長を期待したい。



 2 トピック&スケッチ  

第1日目  10月24日(快晴):10番・上ノ山観音から12番・長谷堂観音
                     実歩行:6時間40分・距離 27km 

 始発の新幹線で山形・上ノ山駅に到着。駅前の10番をスタートして11番へ、更に距離6km程北上して12番を参拝する。5km程戻り最寄駅・蔵王駅から電車で山形駅に下車してゲストハウスに投宿した。
 
 最上川沿いに点在する<最上三十三観音>は山々囲まれた東北を代表する霊場と云われている。


  みちのくの 路をたどりて 
   プチ出家  
    安寧念じつ 寺から寺へ
  





第2日目 10月25日(天気 快晴):14番・岡観音から17番・長登観音
                 実歩行:6時間40分・距離  26,6km

 北山形駅からJR左沢(あてらざわ)線で羽前高松駅に下車。17番を目指たが復路電車の時間切れで、途中から引き返す(便数が少ない)。西寒河江駅に下車して15番16番。そして、再度寒河江駅から羽前長崎駅まで電車利用。14番を往復して今度はバスで寒河江駅まで。駅で電車に乗り換えて山形駅に戻った。

 今の時期は、夜間の最低気温は3度くらいになる。すると早朝には一面の霧が発生する。その霧が晴れると名残の霧が山裾を隠す。


  遠山の 裾野をかくす
   霞湧き 
    秋の味覚の リンゴたわわに






第3日目 10月26日(晴):1番・若松観音~3番・千手堂
              実歩行:7時間10分・距離 29km 
 
 北山形駅からJR仙山線で芭蕉で有名な立石寺の山寺駅に下車。1km離れた2番を往復して電車で羽前千歳駅乗換えで南出羽駅へ。3番から最寄りの志村バス停から天童温泉まで乗車。1番を往復して天童駅から山形駅に戻り宿・ミンタロハツトに到着。今日も便数が少く乗換えに苦労した。

 1番・若松観音へは1時間以上もダラダラとした登路が続く。ムリは禁物!と疲労が蓄積する前に大休止をとる。


  横になり 腰を休めて
   眼を閉じて
    呼吸ととのえ  動悸沈める

  




第4日目 10月27日(快晴):22番・延沢観音から25番・尾花沢観音
                        実歩行:7時間30分・距離31,6km

 大石田駅に下車して近くの29番28番を参拝し大石田駅に戻る。駅発銀山温泉行きのバスで24番・上柳戸寺バス停下車した。そこから23番22番を経て尾花沢まで引返した。市内の25番を参拝して今朝下車太田石駅から電車で神町駅まで移動。駅近くのユースホステル・ベアフットに投宿した。

 日本三大急流のひとつに数えられる最上川は、縄文の時代から人々を育んできたとのこと。古代人も山形訛りで暮らしていたのだろうか。


   どこまでも 天は高くて 
    地は広し 
     田畑潤す 最上の流れ 






第5日目 10月28日(快晴):4番・高吉観音から33番・御池観音・新庄駅経由帰宅
                     実歩行:7時間10分・距離28,4km

 最終日は、新庄駅からJR陸羽東線で赤倉温泉駅まで乗車。路線を引返しながら31番、32番の順に巡拝して大掘駅から電車で新庄駅に戻る。今度は奥羽本線の羽前豊里駅下車。駅から33番を往復して新庄駅から新幹線で大宮駅経由で帰宅した。

 地元の人の親切は有難い。話の内容は1/3位しか判らないが、笑顔の優しさに元気ずけられる。


   バアチャンの お国ことばに 
    励まされ 
     運気賜る 笑顔のお布施 



  3 あとがき(所感

1)室町時代に設定されたと云われる本巡拝は、歴史を感じさせる本堂及び観音堂が多かつた。特に今年は14年振りの御開帳で、威厳と風格を感じさせられた。
2)全コースの歩き巡拝は峠越えの山道が多くて現在は人も通らず廃路になっているとのこと。従って、山裾を廻るか街道沿いに迂回になり距離は更に長くなる。

3)観音堂の最寄り駅まで電車やバスを利用するのが一般的だが、電車は便数が少なく乗換えが不便。バスは時世がら廃止路線が多く、歩き遍路にとっては厳しい環境だ。当然現地の案内表示も皆無で、土地勘がないので厳しい試練となった。
4)実歩行時間・Aと拘束時間・B(出発時間から宿着迄の時間―A)の割合を調べると、前回の会津観音時は、A対Bは83%対18%、今回の最上観音は67%対33%で明らかな差が判った。

5)そんな中で、地元の人々の親切には元気ずけられた。歩き遍路が珍しいようで、路を聴いたら細かく教えてくれ、更に「どこから来たの?」「どこまで行くの?」等と質問が続き離してくれず閉口した。

6)最上川周辺には古墳や縄文土器が発掘される。これも川を遡上する鮭や川の幸のおかげで古くから人々が暮らしていた証になる。この地だけに限らず東北地方や北海道にも遺跡があり、この国の豊かさを感じた。
7)加齢に伴い食も細くなっているので、食材や量を自分流に選択出来る自炊方式の宿泊施設(ゲストハウス等)は利用しやすい。

8)今回は好天気に恵まれた。山里の秋の景色を眺めて歩けば自然を満喫出来て、座禅ならぬ歩禅?とも思える心持ちがした。
9)今流行のエンデング・ノートではないが<終活・10年計画>に従えば今回の最上遍路も大きなイベントになった。残り半数の観音巡拝を次シーズンに叶えれば幸いだ。


    
    25日 17番手前の長福寺
             

   
4 概略タイム&概略距離 
  
   実働時間: 32時間40分・距離132km (スマホ・歩数アプリによる)
第1日目 10月24日(月):10番・上ノ山観音から12番・長谷堂観音 
                 実歩行:6時間40分・距離 27km
 岩槻駅(5:49)・・・大宮駅(6:00/37)・・新幹線・・上ノ山駅(8:40)-10番寺(9:00)(↓)-11番寺(10:00)(↓)-春雨庵(11:00)(↓)-12番寺(12:00)-蔵王駅(14:20/15:17)-山形駅(15:25)-ミンタロハツト(15:40)  

        
    10番・上ノ山観音     11番・高松観音    春雨庵


第2日目10月25日(火):14番・岡観音から17番・長登観音 
                実歩行:6時間40分・距離  26,6km

 発(6:40)-北山形駅(7:00/07)・・・羽前高松駅(7:45)-17番寺手前・福沢(9:00)-羽前高松駅(9:50/10:19)・・・西寒河江駅(10:22)-15番寺(11:00)(↓)-16番寺(11:40)(↓)-寒河江駅(12:09/45)・・・長崎駅(13:00)-14番寺(13:50)(↓)-長崎駅(14:30/15:14)・バス・・寒河江駅(16:10)・・・山形駅(16:56)-ミンタロハツト(17:20)  
       
    14番・岡観音   15番・落とも観音   16番・長岡観音

第3日目 10月26日(水):1番・若松観音~3番・千手堂
                 実歩行:7時間10分・距離 29km
 発(5:20)- 北山形駅(5:30/47)・・・山寺駅(6:00)-2番寺(6:30)(↓)-山寺駅(6:50/7:16)・・・羽前千歳駅(7:25/8:16)・・・南出羽駅(8:22)-3番寺(8:55)-志村バス停(9:10/36)・・・バス・・天童温泉(10:39)-1番寺(11:55)(↓)-元町交差点(12:50)-天童駅(13:30/35)・・バス・・・山形駅(14:20/40)-ミンタロハツト(15:00) 

          
        2番・千手観音  1番・若松観音


 
 第4日目 10月27日(天気 木):22番・延沢観音から25番・尾花沢観音
                     実歩行:7時間30分・距離31,6km
 発(6:00)-北山形駅(6:20/7:09)・・・大石田駅(8:07)-29番寺(8:34)(↓)-28番寺(9:55) (↓)-大石田駅(9:20/50)・・・上柳寺前(10:20/25)・24番(↓)-23番(11:20)(↓)-22番(11:50/12:20)(↓)-25番(14:15)(↓)- 大石田駅(15:50/16:39)・・神町駅(16:50)-東根YH(17:00)
      
     22番・観音       23番・観音      25番・観音 

     
     28番・観音     29番・観音

  

第5日目 10月28日(金):4番・高吉観音から33番・御池観音・会津若松駅経由帰宅
                実歩行:7時間10分・距離28,4km

 発(5:45)-神町駅(6:00/6:21)・・・・新庄駅(7:09/17)・・・赤倉駅(7:59)-31番寺(8:17)-番外寺(9:20)-32番寺(10:00)-大掘駅(10:20/42)・・・新庄駅(11:11/22)・・・豊里駅(11;34)-33番寺(12:30)-豊里駅(13:40/16:15)・・・・新庄駅(16:27/17:12)・・新幹線・・・大宮駅(20:23)
       
  31番・観音      32番・観音              33番・観音

           
1)資料・地図類
   *山形県・道路地図  *最上観音巡礼 満願寺教化部刊
   *最上三十三観音・巡礼案内図   *バス時刻表 山交バス編 
2)宿泊所 24日~26日:ゲストハウス・ミンタロ ハツト
              山形市大手町5-13  電話:090-2797-1687
       27日:東根ユースホステル 神町南1-3-39 
                    電話:0273-47-00573)

3)食料品:シリアル(ミックス)、バナナ、カット野菜、パツク白米、アンパン、おにぎり、ちくわ、ソーセイジ、リンゴ、ドーナツ、コロツケ、

4)装備品:雨具、箸、常備薬、紐、メンタム、眼薬、ヒゲそり、チル紙、スマホ(含む充電器)、魔法瓶(300cc)、パンダナ、パルスオキシメータ、安全ピン、現金、資料、スケッチ用具、ペン、ポシエツト、軽ナツプザック、ライト、帽子 、ストック、保険証コピー、マスク、着替え 

     
        
28日・大掘駅

    

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