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   *** 北アの積雪期・初登攀** 1968(昭和43年)1月***

明神岳五峰・中央中央稜ルート

  
  期日:1968(昭和43年)1月2日(天気:快晴)
   パーテイー:飯星宏徳、他2名

 昨日と同様に宮川のコルで偵察してデルタ状の台地の雪面を進む。中央部基部でサポート隊と別れ中央ルンゼに入る。無雪期にトレースした取付点は、雪の状態が悪く雪崩が出そうなので、上部から取り付くことにする。
 中央ルンゼのF1、F2をラッセルして小さな雪崩がルンゼに発生しているので一刻も早く稜上へ出たい。F3から中央稜へバンド状の雪段がり、古いフイックスザイルは見える。我々もこのルートを伝って稜上へ出ることにする。
 アンザイレンして上り気味にトラバースすると中央稜下部の小さなピークのコルに出た。時計を見ると16時である、好天気のせいかそんな時間とは思えないが、中央ルンゼで時間を費やしたようだ。
 稜から上のルートは、中央ルンゼ側の稜脊をとり、傾斜の緩い所を選びながら登ることにする。実際に踏みいれると急斜面も緩い斜面もラツセルは同じである。今日はガスも出ずルートを探すには楽であるが、いずれのルートを取っても大差ないことをやがて痛感させられる。
 夜になってライトをつけて行動するも、月明かりで山容が判る。1時間かけても50〜100m進だけで嫌気がさしてくる。
午前2時に疲れも溜まったのでカン木の根元でビバーク。3人並んで座りツエルトを被るだけで眠れるものではない。午前4時ごろから風が出て来て30分もすると風雪になった。

 1月3日(天気:風雪)

 夜明けを待って、再びラッセルを開始。風雪で視界は閉ざされるが、雪の具合で頂上に近ずいたことがわかる。中央稜の頭に出ると、風は一段と強まりクラストしたワサビ沢側の稜伝たいに山頂に到着。開始から2時間費やした。
 前回のアタック時にビバークした所で小休止後下山を始める。小石を交えた風は顔面を襲う。ワサビ沢へ入り高度を下げると雪の状態は悪くなり、途中小さな表層雪崩に遭うがたいしたこともなく、逃げるようにカン木帯へ下る。ようやく、ワサビ沢の深雪から解放されて仲間が待つ養魚場のBCへ着いた。 

  

 



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