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<首都圏自然歩道・神奈川・千葉・茨城県>
神奈川 編 ・・三浦海岸駅から東京都・高尾山口駅
期 間:平成19年1月31日から2月6日
     
剣崎灯台とダイコン畑               大磯・高来神社
   

1 はじめに

 神奈川県厚生福利振興会のガイドブックによると、県内の自然歩道は、三浦半島先端部の海岸を起点に相模湾沿いに北上。逗子から湘南海岸を江ノ島、辻堂、平塚の磯沿いに西進し、大磯から内陸に北上して高尾山口駅で東京都の自然歩道に接続する。
 神奈川のモデルコースは全般的に標高差が少なく標示板も完備され、又穏やかな気候地域だから「2月上旬でも大丈夫だろう・・」と今年最初の「足慣らしの旅」に出た。 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


2 行動の記録  
     総距離151Km―総行動43時間50分(実績値)


第1日目 1月31日(天気 快晴):三浦海岸・松輪バス停から歌舞公園
                 (距離13Km)行動3時間10分
 天気予報によると「今日は穏やかな日」らしいので1日早く出発。1番コース<三浦岩礁のみち>の起点・松輪バス停で下車すると、浦賀水道越しに房総半島の遠望と心地良い海風が出迎える。一面のダイコン畑は今が出荷の最盛期でダイコンを満載した軽トラックが目立つ。大根の洗浄は満載したトラックの上から放水して一度に土を落とすユニークな方法に感心する。
 大浦港から磯沿いの岩礁帯トレイルは満潮で、オバサンの「磯歩きはムリよ!」の助言を得て県道にエスケープ。剣崎灯台を往復して宮川バス停から連絡路を進み2番コース<油壷入江のみち>の三崎漁港へ。三崎漁港付近は「マグロ」の看板が林立して国内有数のマグロ漁港の風景だ。中には「スイカ・メロン・マグロ」とこの地ならではの看板が面白い。今日は初日だから、早目の野営をするために、漁港外れの歌舞公園内の休憩舎()に荷を降ろす。

 1)毘沙門湾先の宮川公園に休憩舎と水場・トイレがあり野営適地。
 2)歌舞公園内の休憩舎に水場はあるがトイレ無し。
 タイム:岩槻駅(05:37)-三浦海岸(08:15-20)-松輪バス停(08:30)-大浦港(9:00)-毘沙門湾(10:15)-宮川公園(10:40)-三崎港(11:20)-歌舞公園(11:40)テント設営。


 第2日目 2月1日(天気 快晴):歌舞公園から三ツ岡山緑地
                 (距離22Km)行動6時間50分
 いつもの事ながら野営初日は睡眠不足。ボーツとして、ライトを灯して県道を進むと早出のオジサンがストックを釣竿と勘違いして「釣れたかネ」と挨拶があり戸惑う。県道・油壷線から国道134号線に出て更に北上。
 京浜急行線の始発駅・三崎口駅付近では忙しげに通勤者が行き交う、熱い<駅ソバ>で元気をつけて3番コース<荒崎潮騒のみち>の起点・矢作入口バス停へ向かう。今日も風が強いので「磯沿いのコースはムリか?」と案じて和田浜海岸に着いたが、白波の磯は予想通りで()荒埼コースは避けて国道に戻り北上。
 広大な敷地の少年工科学校と自衛隊武山駐屯地の脇を通り今日の野営予定地・立石公園に着く。しかし、強風に煽られ海岸縁の立石公園はテントを張る場所がない。しかたなく県立公園がある4km先の葉山町へ進む。
 葉山公園も葉山御用邸脇のしおさい公園も共に夜間は閉鎖するので利用不可。「公園の外なら良いだろう」と公園脇の空き地にテントを張っていたら、パトロールの巡査が来て「何をしているの?」と誰何された。「自然歩道を歩いていて今晩野営・・」と云ったら「明日御用邸に陛下がみえるので、ダメ!」と断られた。今夜から大勢の警官がパトロールするらしいので長居は無用と退散する。
  2km程進んで大峰山へのハイキングコース・三ツ岡山緑地へ入り100m急登ると平坦地になり、風当たりも弱い適地を見つけホッと一息、日暮れにせかされてテントを張った()。

1)和田浜海岸から荒埼への磯づたいコースは、海が荒れている時は不適。
2)葉山の県立公園は有料で管理上夜間は閉鎖するので野営不可。
 タイム:テント発(5:30)-油壷バス停(6:05)-三崎口駅(7:00)-少年工科学校(8:30)-市民病院(9:00-10)-大楠芦戸バス停(9:55)-立石公園(10:10)-葉山しおさい公園(11:30)-移動(16:00)-三ツ岡山緑地(16:50)・ テント設営。


 第3日目 2月2日(天気 快晴/最低気温+2度):三ツ岡山緑地から辻堂海岸公園
                 (距離22Km)行動7時間
 今日は野営予定の辻堂公園で山登りの先輩と逢うことになっているので楽しみだ。それにしても、噂通り湘南海岸はカラフルな住居が多く生活感がない町並が続く。少なくともテント泊の雰囲気ではないので、今夜の公園でも無事適地が見つかるか不安になる。
 5番コース<稲村ケ埼磯づたいのみち>の起点・由比ケ浜から、夏の海水シーズンの大賑わいが伺える鎌倉、江ノ島と進み今夜の泊地・辻堂公園に着く。公園脇の交番で「付近に銭湯はあませんか?」と訪ねて駅近くの銭湯を紹介してもらう。昨年の南・北アルプス縦走の後遺症の左アキレス腱付近に違和感があり出来れば温泉に入りたい。辻堂駅で予定通り先輩と逢い差し入れと元気を貰い、又入浴も出来て充実した1日だった。

 1)逗子と鎌倉間の国道134号線・トンネルは車道だけで歩行者禁止。トンネル入口から右手の私道に入り鎌倉市へ進む。
 2)辻堂駅・商店街に銭湯有り(開店は3時からだが常連客は2時半から入浴)。
 タイム:テント発(5:20)-登山口(5:40)-葉山マリーナー(6:05)-滑川橋(7:25)-小動岬(9:00)-湘南海岸公園(9:35)-辻堂海岸公園(10:20-10:40)-辻堂駅(11:00)。銭湯(14:40-15:10)後公園へテント設営。


 第4日目 2月3日(天気 快晴/最低気温+1度):辻堂海岸公園から鷹取山・傍休憩所
                 (距離20Km)行動6時間40分
 辻堂海岸公園から磯沿いの自転車専用路に出と、夜明け前だと云うのに大勢の早朝ウオーカーが黙々と歩いている。犬がライト入りの首輪をつけた散歩姿を初めて見たが「人も犬も寒いのに・・ご苦労さま」と声を掛けたくなる。
 自転車専用路を2時間歩いて朝日が背中を照らす頃ようやく専用道路から開放され花水川を渡り7番コース<大磯高麗山のみち>の高麗山へ進む。この付近は、奈良時代に国を追われた高麗人が移り住んだ土地との事。山頂から湘南平まで関東平野は勿論、丹沢、箱根の山なみや相模湾は朝日に照らされて穏やかな陽射しを浴びている。昨夜も底冷えで睡眠不足の身体に朝日がありがたい。
 山を下り大磯の線路を越えると8番コース<鷹取山里のみち>の起点・月京バス停へ向かう。鷹取山まで路地毎に標示板があるが、今迄のような独立杭でなく石垣に標示板を埋め込んだ物で要領が判るまで最初は見逃してウロウロした。富士山や丹沢連峰、そして一段と高い大山()の見晴らしの路傍休憩地を野営地(←)にする。道を挟んでレイクウッドCCからゴルファーの声か時折り聞こえ長閑な1日である。

 1)江ノ島から平塚まで海岸の自転車専用道を通る。
 2)高来神社へのコースは大磯町の路地で遊歩道と交差して迷い易い。
 タイム:テント発(5:00)-平塚駅入口(7:20)-花水川橋(8:00)-高来神社(8:30)-高麗山(8:45)-湘南平(9:15)-大磯小学校(9:50)-鷹取山(11:55)-路傍休憩所(12:30)・テント設営。


 第5日目 2月4日(天気 快晴):鷹取山・傍休憩所から順礼峠
                 (距離27Km)行動8時間
 休日のせいか弘法山と吾妻山間のハイキングコースで数人と行き交う。吾妻山の案内板によると、山名の由来は、日本武尊が東国征伐時に海が荒れて難儀している時、妻の弟橘比売が海に身を投じ荒海を鎮め無事役目を終え、その帰路当地で海を望んで「あずま、はや・・」と妻を偲んだ山とのこと。周囲は展望も良く冬枯れの散策コースとしては最適なトレイルで鶴巻温泉へも下山出来るがモデルコースは反対側の10番コース<太田道灌・日向薬師のみち>へ続く。
 日向薬師の手前の白髪神社は珍しいワラ葺き屋根()の神社で初めて見た。3km先の七沢温泉で入浴後、巡礼峠の地蔵裏の平地に野営する(←)

1)巡礼峠登口の七沢温泉・山峰荘の日帰り温泉に入浴(¥800−)。
2)巡礼峠の給水は100m下の駐車場にある。
 タイム:テント発(5:00)-土屋一族の墓(6:00)-南平橋(6:15)-権現山(7:15)-弘法山(7:30)-吾妻山(8:15)-坪内バス停(8:30)-三ノ宮神社(9:1)-よろい塚(10:30)-白髪神社(11:05)-日向薬師(11:20)-七沢温泉(11:50-12:30)-順礼峠(13:10)テント設営。


 第6日目 2月5日(天気 快晴/最低気温+2度):順礼峠から半原・あいかわ公園
                 (距離22Km)行動5時間50分

 順礼峠から雑木林の中を物見峠、むじな峠と小さな峠を越えて御門集落に出る。ここから県道を北上して12番コース<丹沢山魂東辺のみち>の起点・坂尻バス停に着く。集団通学の子供達の元気な挨拶に心が和む。
 バス停から林道に入って谷筋を詰めて半原峠から仏果山への山道になる。この付近の最高峰・仏果山からは素晴らしい展望を満喫後、北面を下山して今夜の野営地・半原集落へ着く。予定では「愛川ふれいあいの村」のキャンプ場だったがその先のあいかわ公園(造成中)にした()。

 1)仏果山へは高度差600mで今回の最大登りで山頂は展望良好。
 2)宮ケ瀬ダムに隣接した県立あいかわ公園は広大な敷地に遊具類を設置中で夜間は閉鎖。キャンプ施設はないので、野営は手前の「愛川ふれいあいの村」が適地。
 タイム:テント発(5:20)-物見峠(6:10)-御門橋バス停(6:50)-坂尻バス停(7:50)-半原峠越(9:05)-仏果山(10:20)-半原バス停(11:45-)あいかわ公園(12:40)テント設営。


 第7日目 2月6日(天気 晴):半原・あいかわ公園から梅の木平経由・高尾口駅下山
                (距離24Km)行動6時間20分
 
 今日は2つのモデルコース<13番山里から津久井湖と14番峰の薬師へのみち>約20kmを歩く。野営地から国道412号線に戻り北上し、起点の韮尾根バス停に向かうが未明のためバス停を見過して串川橋まで行き、雨乞山をパスして城山へ向かう。途中春日神社で現在地を把握して根小屋小学校裏から城山公園内を通り城山・飯縄神社と山頂を往復して津久井湖に下る。
 この山城は鎌倉時代の三浦氏、戦国時代の内藤氏の山城で山全体に設えた縦横堀割は往時を今に偲ばせる。
城山高校前バス停から武州相模の4大薬師のひとつ峰ノ薬師へ向かう。振り返ると津久井湖を挟んで城山が樹間に眺められる。峰ノ薬師も奥の院もコンクリート建で趣きはイマイチ。標示板に導かれて電波塔、三沢峠を通り国道20号線に出た。国道の手前で、数年前に所属山岳会・雪嶺会の創立50周年記念を催した「うかい鳥山」の近くを通り思わぬ所に出て驚いた。梅ノ木平バス停からゴール地点の高尾山口駅に着き1週間の山旅を終えた。

1)城山の山麓公園は遊歩道の造成中で完成っすれば良い散歩コースになりそうだ。
2)三沢峠から梅ノ木平バス停コースは工事中で迂回指示の注記板があったが通過出来た。
 タイム:テント発(5:00)-串川箸(6:00)-春日神社(6:30)-城山公園(7:00)-城山津久城址(7:20-25)-城山高校バス停(8:25)-峰ノ薬師(9:15)-梅の木平(10:36)-高尾口駅(11:00-11:09)・・・岩槻駅13:20。





3 あとがき(教訓と所感)

 1)首都圏自然歩道(通称:関東ふれあいの道)は関東地方の一都六県をぐるりと一周するコースでモデルコースだけで総延長1、665km(144の日帰りコース)。それに連絡コースを加算するとウンザリする距離になるが、今回の神奈川県のトレースで残りは茨城県だけとなった<塵も積もれば・・>の思いが深まる。これを国内に広げると総延長21、300kmになり、これに平成25年完成予定の北海道コースが加わる。いずれもテクテク歩くには格好の対象と云える。更に、国外の徒歩コースを考えると、完歩の前に寿命が尽きるほうが早いようだ。

 2)暖冬で湘南地方だから「寒くはないだろう・・」と思って入山したが、折り悪く寒波到来で夜間は厳しかった。その分日中の穏かな陽射しはありがたかった。
 便利な世の中になり、日常生活は快適が当たり前になって「楽(ラク)=楽しいこと」を求めて「もっともっと・・」と際限なく欲望は増すばかり。他方、生活を思い切り下げた野宿の場合、陽射が「嬉しいこと」になりその後は感謝の気持ちが湧いてくる。そして「嬉しいこと」は求めるのではなく与えられるような気がした。

 3)昨年の南・北アルプス縦走(www5b.biglobe.ne.jp/~iihoshi/alpus/alptop.htm)の後遺症の足首・アキレス腱付近の違和感が今回も2日目から発症。1日平均行動を6時間程度にし、硬い舗装道は神経を使って出来るだけ衝撃を和らげて歩いた。

 4)神奈川県のコースは、訪れる人が多いせいか標示板もトレイルも整備され全般的に容易なコースであった。コースには市街地が多く入下山は容易だが、屋根付休憩舎が少ないので野営地として制限される。

 5)公道を頻繁に通るので1/10万の道路地図を持参したが市街地は不十分だった(1/5万縮尺要)。

 6)食料・装備について(入山時=13Kg)
1:夏寝袋+インナーだけでは気温+5度以下では寒い(テント・フライ要)。
2:夕食はコッフェル1ケでミソ汁と米飯を炊事。
3:朝食はお湯を沸かし(沸騰前迄)身体を暖めた。
4:ガス消費量=150g/6泊(約30分間使用/日)。
5:食パンにマヨネーズを付けて行動食にした(食パンは現地で入手容易)。
6:日数が少ないのと、装備の軽量化で肩・腰への負担がなく楽に歩けた。食料等は出来るだけ現地調達にして更に軽量化に努めたい(目標=12kg)。


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