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   ・・シニアのロング・ウオーキングに乾杯・・

  
古稀グループで四国八十八寺巡拝

                       

                     青少年国際野外旅行研究会・事例発表資料
                       飯星宏徳(ロングウオーカー・さいたま市


§1ロングウオーキングの魅力を求めて

 日帰りウオーキングでは味わえない「連泊・ロングウオーキング」の面白さ。特に、シニア世代ならではの特性を生かしたロングウオーキングの魅力を求めて、同好の仲間達(注1)と四国八十八寺巡拝を思いたちました。
 なぜ四国遍路かと云えば、私が最初に訪れた10年前に比べると「歩き遍路」の人気が高まり、コース上には民宿や食堂も増え。加えて、トレイルや道路標示も整備され、国内では数少ないロングウオークの優良トレイルであること。
 又、たそがれ世代としては、お寺に参拝して懺悔や感謝の機会にも恵まれます。ともあれ、連泊・ロングウオーキングの魅力を体験する入門編としては格好のフイルドと考えた訳です。

 連泊・ロングウオーキングの魅力は、一般的な日帰りウオーキングと比べて以下のような点と思われます。
 *アプローチ時間の割合が短いので、行動にゆとりが出来て身体の故障を防ぐ歩行が可能(注2)。*メンバーの体力差や体調に合わせて、比較的自由な行動が可能になり対象者が広がる(注3)。
 *遠距離へ行けるので行動範囲が広がり、思わぬハプニングの可能性を期待。*宿泊を含めて同行時間が長いので、メンバー間のコミニケーションが深まる。
 *自然界との交流(早朝、夜間含む)が広がり濃密な触れ合いを期待。そうした環境下で、身体からの信号を実感するチャンスが増す。

 これらの要素から魅力を一枚の紙としてイメージすると、表面は低負荷のスポーツ的魅力、裏面は非日常的な旅による「面白さ」のようです。他方、懸念事項としては数日間の外泊、宿泊費用の負担、また、天候の影響を受け易いが、仕事から解放されたシニア世代には大きな障害ではないのでは。

 (注1)今回のメンバーは古稀世代の男性3名、市内のジョギングクラブに所属する十数年の仲間で日帰りウオーキングでも交流。
 (注2)日帰りペースよりも「ユックリと歩き」身体に優しいスキルを身につける(マメの防止、体力消耗最小限、フラット歩行等)。
 行動の目安(試案)として、歩行ピッチ:約2時間ピッチ(疲れて休むのでなく補食&給水で小休憩)。1日の歩行実働時間:6時間〜7時間(中間で60〜90分の休憩)。
 (注3)ゴルフのハンデイキャップ方式を採用。自己申請により道中の一部を交通機関など利用してエスケープする。特にシニアにおいては「ゴール優先でなく経過を大切」にする。従って、今回の企画もゴール出来れば幸いだが、それ以上に「道中の時間」に重点をおいた。

§2 シニアのロングウオーキング現状
 中高年者の登山ブームも一段落し、それにともないウオーキング人口も頭打ちの傾向にあると聞きます。その理由は、足腰の故障でムリが出来ないことが主原因のひとつのようです。
 主流の日帰りウオーキングは、疲れても一日限りのためにムリしがちで、気がついた時はムリが蓄積してウオーキングを諦めるパターンが一般的ではないのでしょうか。
 書店を覗くとウオーキング関連の書籍が平積されていますが、ロングウオーキングに関したスペースは少なく、市民権を得ていないのが実情ではないでしょうか。特に、シニア向けのロングウーオキング資料はほとんど眼にしません。
 日帰りウオーキングの3日間では味わえない、3日間連泊のロングウオーキングを愉しむためにも、足や腰にやさしい歩行スキルを習得して歩行寿命を延ばし「健康のために歩く」ではなく、「歩くために健康」でいたいもの。そして、シニア世代から歩行者先進国の仲間入をしたいものです。




§3 ロングウオーキングとしての四国歩き遍路の事例

 四国歩き遍路は、ゴールまで約50日間(約1200km)と途方もない日数を要しますが、シニア・ウオーキングの趣旨に沿うべく「道中を愉しみ、ムリなく結願」を重点に考えて、今回は期間を1週間程度にしました。
 今回を参考に次回を考えますが、一応10回の区切り打ち(年2回x5年)をメドに計画しました。初回の概要は以下の通り。
 *今年10月21日の夜行バスで出発、5日間歩行して1番寺から19番寺まで巡拝して26日夜行バスで帰宅しました。歩行距離は約110km。実働歩行時間36時間でした。
 *宿泊については、シーズン中でも単独であれば、前日予約で宿泊可能ですが、グループの場合は満室を懸念して1ケ月前に予約、夜行バスも人気便のため1ケ月前に予約をした。
 *コースの概略状況は、1番寺から11番寺までは平坦で寺の間隔は短いが、11番寺から12番寺間は「遍路ころがし」と呼ばれる難所のアップダウン(約800m)のシングルトレイル。以降19番寺までは、舗装の平坦路。
 *民宿ベースの連泊ウオーキングの次のステップとしてユースホステル等利用して自炊を取り込み、最終的にはテント利用による野営泊まで進みたいものです。それには、体力及び気力の充実が求められますが、古稀世代でも加齢にあったロングウオーキングの模索が今後の課題と云えます。
 例えば、荷物の負荷を軽減するために、荷物だけ宿の送迎サービスを利用するとか公共交通機関を利用してピストン移動も考えられます。
 
*使用した地図:へんろ保存協会編「四国遍路ひとり歩き同行二人(地図)」
*結願まで7ステージの区切打ちの記録を<四国遍路・民宿泊りに掲載。
 


§4 プロフイル
  飯星宏徳(いいほし ひろのり) 1940年満州生まれ。20代から登山に親しみ定年後は単独歩行に専念。
 足跡:北アルプス・明神岳5峰中央稜厳冬期初登攀、同・赤沢山左俣厳冬期初登攀。ペルーアンデス・ウルフ峰(5,495m)等に単独登頂。英国、ニュージーランド及び日本長距離自然歩道をテント泊で歩行中。
             http://www5b.biglobe.ne.jp/~iihoshi/

                                      作成:2013年5月