INDEX  News

テント担いで四国遍路・5巡目 (愛媛・香川編)

期 間:令和2年10月2日から10月9日(8日間) 


4日・70番寺(本山寺)への道

   はじめに

 区切り打ちの第4ステージは結願編として、愛媛駅・64番寺(前神寺)から香川県・88番寺(大窪寺)までとする。当初は4月初旬を予定したが、新型コロナと夏場の猛暑で延期を余儀なくされ、10月にようやく機会を得た。

 従って、1年振りの遍路行に心身の老化程度が案じられるが、これまでの実績に拘らず現状にあわせて「身の丈にあった遍路」を心がけたい。 残念ながら、四国へ直行する夜行バスが運休で岡山経由となり、初日の行動時間が少なくなる。
 その影響で行動予定も見直が必要になるようだ。野営者向け歩き遍路の参考用としてタイム及び設営地の記録を作成した。 
               
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 §1 行動の記録  
  実総歩行時間(除く休憩)=52時間40分(6,6時間/日)、総徒歩距離=148km(18,5Km/日)


第1日目 10月2日(天気 快晴) JR伊予三島駅から西方バス停
                     実歩行時間:3時間40分 (距離9Km) 
 夜行バスで岡山駅に下車して特急電車で四国へ渡る。しかし、大橋が事故で2時間遅れ昼に伊予三島駅に到着。64番寺(前神寺)へ電車での往復は中止して65番寺(三角寺)へ向かう。参拝も早々に下山して3km先の西方集落近くの県道脇のスペースに設営した。

 久し振りの野営で緊張する。それを慰めるような、虫の声に励まされて夜は更けてゆく。 


    天幕の まわりを囲む 
     虫の声  
      眠りを誘う 自然のリズム









 
第2日目 10月3日(天気 快晴) 西方バス停から66番寺ロープウエイ山麓駅
                      実歩行時間:7時間30分 (距離18Km)
 椿堂から車が多い国道192号線に出て、境目トンネルを通り佐野集落を過ぎた所から<遍路ころがし>で名高い66番寺(雲辺寺)への急坂になる。下山は初めて雲辺寺ロープウエイを利用して山麓駅に設営した。


 境目トンネルは古いせいか側道幅か狭い。大型トラックが通ると風圧でグラッとする魔の時間だ。


   国道の 長いトンネル
    用心に 
     用心重ね 緊張の時 







 第3日目 10月4日(天気 晴) 66番寺ケーブル山麓駅からJRみの駅
                    実歩行時間:7時間20分(距離23Km)
 出発して6km程進み徒歩の下山路と合流。四国特有の溜池を過ぎて67番寺(大興寺)を参拝する。観音寺市街方面へ県道6号線を西進してJR予讃線の踏切をわたると市街地の先に68・69番寺(神恵院・観音寺)が見えて来た。寺から財田川に沿って上流へ5km進み70番寺(本山寺)を参拝。最寄りの駅・本山駅からJR土讃線で<みの駅>で下車し構内の駐輪場に設営した。

 67番寺への道中は集落毎に小さな石地蔵が祀られている。いずれも地元民の生活に密着して親しまれているようで微笑ましい。


   彼岸過ぎ 花いっぱいの 
    地蔵おり 
        道行くひとに 笑顔ほどこし






 第4日目 10月5日(天気 曇) JRみの駅からJR宇多津駅
                     実歩行時間:7時間30分(距離22Km) 
  出発して3km程旧遍路道を辿り<天然いやだに温泉>に着く。ここから長い参拝階段を経て71番寺(弥谷寺)本堂に到着。
 階段の登り口から未舗装の遍路道を3km程南下して72番寺(曼荼羅寺)と73番寺(出釈迦寺)に参拝。善通寺市内は地図を頼りに74番寺(甲山寺)・75番寺(善通寺本堂)そして4km先の76番寺(金蔵寺)に参拝。次の77番寺(道隆寺)から最寄駅・多度津駅へ行き電車で宇多津駅まで移動し設営した。


 幾日も好天気が続くと雨の惨めさ忘れてしまう。でも、地球温暖化は避けて通れず災害の恐ろしさを忘れまい。 


  暑くなく 寒くもなしや 
   秋の日の 
    讃岐の野辺は 遍路天国






 第5日目 10月6日(天気 快晴) JR宇多津駅から中山休憩所 
                      実歩行時間:8時間40分  (距離20Km)
 予定よりも電車で多く移動したので早く結願できそうだ。宇多津駅前から県道33号線の遍路に出て78番寺(郷照寺)から大東川を渡り、JR線路と並行して5km程東進むと79番寺(高照院)に到着。最寄駅・八十場駅から電車で国分寺駅へ移動して80番寺(国分寺)に参拝。北方に登路の遍路道を進み一本松から十九丁の分岐点へ。ここに荷物をデポして81番寺(白峯寺)へ下る。途中道を間違えて十九丁のデポ地まで引き返す。設営予定の中山休憩所に設営後に82番寺(根香寺)を往復した。

 繁栄を思わせた立派なアーケイド商店街も、今は寂れて人の姿はない。代わりに大型スーパーが隣りに営業して時代の趨勢を感じる。  


   うす暗い 商店街の 
    アーケイド 
     やたらと派手な 看板色あせ






 第6日目 10月7日(天気 快晴) 中山休憩所から高松市内・ゲストハウス
                       実歩行時間:6時間40分 (距離20Km)    
 五色台みかん園の分岐点から鬼無集落に向けて下降。駅踏切を渡り南東方向に民家の路地や不鮮明な旧遍路道を辿り83番寺(一宮寺)に到着。その後は北方へ高松市街を進み花園駅近くのゲストハウス若葉屋に投宿した。明日から天候も悪いので3泊して88番寺の結願まで空身遍路とする

 しばらく続いた好天気も明日から下り坂の予報。朝焼けの空の見事な雲姿はその予感がする。


   夜が明けて 空いちめんの 
    イワシ雲 
      イワシ捕れたか サンマはダメか
 








 
第7日目 10月8日(天気 雨) ゲストハウスから87番寺・長尾寺往復(空身)
                     実歩行時間:6時間50分   (距離20Km) 
 宿の最寄駅・松島二丁目駅から琴電で屋島駅へ。本降りでシャトルバスを利用したかったが、始発まで2時間もあるので徒歩で参道を往復した。85番寺(八栗寺)へは八栗登山口駅からケーブルを利用し、下山は県道145号線を南下して八栗新道駅に出る。本降りの雨に歩く意欲も萎えこの駅から志度駅まで車中の人となる。86番寺(志度寺)から県道3号線を7km南下して87番寺(長尾寺)へ。琴電で長尾駅から花園駅へ戻り帰宿した


 雨のなか石畳の急坂を屋島寺へ。源平合戦の歴史を刻んだ名刹を偲びながら歩を進める。


  急登の 参道進む
   屋島寺 
    息を整え ジグザク登る 












 第8日目 10月9日(天気 雨) ゲストハウスから88番寺・大窪寺往復(空身)
                       実歩行時間:4時間30分 (距離17Km)
 昨日乗車した長尾駅から88番寺(大窪寺)へ向かう。片道17kmの県道3号線を南下して<おへんろ交流サロン>で小休止。多和集落から国道377号線に入り登り坂に嫌気がした頃ようやく88番寺の山門に到着。無事の結願に感謝の参拝をしてコミュニテイーバスで長尾駅に戻る。駅から電車で花園駅へ出て帰宿した。


 昨日と今日は荷物を宿に預けて空身で行動。雨で視界が悪いが88番寺で無事に結願。御礼の参拝をする。


   つつがなく 5度目の遍路 
    打ち終えて 
     次の御縁は 有りや無しかも









      
  第9日目 10月10日(天気 晴) ゲストハウスから岡山駅経由・帰宅

 予定より1日早く結願したので今日は自由時間になる。岡山駅発20時の夜行バスまで岡山後楽園を見学、県立図書館で資料の整理及び市内を見物して時間を費やした。
 夜行バスにはトイレ設備がなく2時間毎にサービスエリアでトイレ休憩となる。幾度目かの休憩でバスの停車場所を探している間に発車時刻を過ぎ乗り遅れた。しかたなく他の東京行きのバスに便乗させてもらい次の停車エリアで合流することが出来て一安心。

            
                  
 4日・69番寺(観音寺)


 
§2あとがき

 区切り打ちの最終回を無事に結願出来てホッとしている。久しぶりの野営歩行に加えて新型コロナ騒動の影響が不安要因だったが、体調を最優先に交通量か多い幹線道路は最寄りの駅から電車を利用した。また、後半は台風14号の影響で悪天が予想されたので高松市内のゲストハウスに連泊して空身で行動。その結果、予定より1日早く結願したが、これまでにない柔軟な予定変更は歩行寿命をのばすためには参考になった。

◇野営装備(約8kg)を担いで、平坦路の歩行は歩速2・5〜3km/時間、坂道になると2km/時間程度だった。特記は、未舗装路で浮石等でバランスをくずした時の復旧力の低下が著しい。これは重心の変動に対応した修正反応力の源である腹筋と背筋の低下が原因と思われる。従ってジョギングでの足腰の強化と共に前記筋力の保持が大事と思えた。

◇筋力保持に関して、今夏は日中気温が30度を超えて長時間のウオーキングは困難だった。そのため、6時間程度の長距離試行はできなかった。対策として次シーズンの夏場は夜間歩行(オーバナイト・ウオーク)を考えたい。

◇今回は、体調把握の為に心拍計を持参した。主観的な判断に加えて心拍数を計り負荷の判断資料とした。以下の数値を目安に行動した(カルボーネン法による)。 
  予備心拍数:220−年齢(80)=140拍  安静時の心拍数=76 
  65%負荷時の心拍数=(140−76)X0.65+76=118・・・120 
  50%  々    =(140―76)x0.5 +76=108・・・110 
 歩き始めと終了時30分位は50%負荷程度で通常は65%負荷程度を目安にした。

◇新型コロナ騒動の影響は遍路にも影響があり、道中は勿論のこと各寺にもバス巡拝の姿も皆無で急回復はムリとの由、間連の民宿や宿坊も開店休業が続いており、Go to トラベルの効果も薄いようだ。
◇高松市内で宿泊したゲストハウスも新型コロナ対策として1日1組予約限定で営業しているが、外国人も皆無で今後の予測が出来ない様子だった。

◇ノルデックスキーと同様に2本トックを試用した。結果、バランスの補助及び坂道の下降では膝と足首の負荷軽減に効果があった。腕力の強化で更に効果が期待出来そうだ。しかし、過信は禁物で補助の範囲に止めないと全負荷をかけるのは危険。

◇マメ防止のために新しく遍路用靴?を試用したが成功した(資料は歩き遍路9巡目の先達からで、汎用スニーカー(通常より2cm大サイズ)に親指と小指の位置の両サイドに2cm程の切り込みを入れる(足のムレ防止)靴紐は2本独立結び。中敷き使用。
◇ 食料について
・夕食はスーパーで入手したウドン、白飯。朝兼昼食は干バナナとシリアル混合、いずれも現地調達食。
◇装備について 
・携帯電話の充電は6日目実施。
・燃料使用量:60cc(4日使用分)。
             
               
     10日・岡山後楽園

◇略  図
     



        
     

  INDEX     資料編へ続く