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テント担いで四国遍路・5巡目 (徳島・高知編)

期 間:平成31年3月21日から4月2日(13日間) 


30日・室戸岬を越えて


   はじめに
 最初に四国歩き遍路に出かけてから18年が過ぎた。当初、停年直後の自由時間を生かし、44日間かけて四国遍路の世界を味わうことが出来た。
 今回、縁あって5巡目(仲間達と民宿泊の巡拝を含む)の再訪。心身に不安はあるが<今しか出来ない体験>を通して、等身大の自分を発見出来たら幸いだ。

 2年前と同じく今回も道中のウオーキングに重点をおいて 各寺院では参拝だけにして納経は省略した。
 野営者向け歩き遍路の参考用として
タイム及び設営地の記録を作成した。

                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 §1 行動の記録  
  実働総時間=94時間50分(7時間18分/日)、総徒歩距離=298km(23Km/日)

第1日目 3月21日(天気 晴):徳島駅から9番寺(法輪寺)
                実歩行時間:7時間(距離25Km)
 夜行バスの移動で睡眠不足だが、徳島は雨が止んでおり安心して1番寺から9番寺まで巡拝。強風が当らない寺裏手の農道に設営した。

 昨夜来の雨もあがり、初夏を思わせる日射しは、初日の緊張感を和らげてくれる。先を急がず<ゆとりが大切>と自戒しつつ各寺を巡拝。


  春うらら 白雲ひとつ 
   ゆらゆらと
    どこで生まれて どこまで行くの


 




 第2日目 3月22日(天気 曇)9番寺(法輪寺)から柳水庵 
               実歩行時間:7時間20分(距離20Km) 
 今日の後半は、12番・焼山寺へ難所の急坂になる。前回と同じく休憩ハウス(無人宿)がある中間地点の柳水庵まで進んだ。ハウスは基本的には、宿泊禁止だが緊急時は許可されている。


  四国山地の大河・吉野川を渡り<遍路ころがし>と云われる山道に入る。集落から離れた柳水庵は、まさに桃源郷のようだ。


  夜が明けて 若葉色した
   風が吹き  
    今日もおだやか 遍路里山 






 第3日目 3月23日(天気 曇後雨)柳水庵から梁田橋 
                実歩行時間:7時間20分(距離23Km)
 昨日の残りの急登を経て12番・焼山寺に到着。下山路は、これまでの尾根コースを避て遠回りだが食料店がある鮎喰川沿いの平坦路を選択。広野集落で従来コースと合流してその先の入田集落に設営した。

 12番寺への急登は6ケ所あり、中間地点の柳水庵で1泊して負担軽減。早朝、ライトを灯し腹のムシと相談しつつ慎重に進む。


  不整脈 なだめすかせて 
   歩一歩と 
    大師と越える 遍路ころがし







 第4日目 3月24日(天気 快晴)梁田橋から地蔵橋駅 
               実歩行時間:7時間10分(距離21Km)
 鮎喰川沿いに県道21号線を13番寺へ。13番寺から17番寺までは遍路道を辿り市街地を進む。昨日マイカーの接待を受け予定より先に進んだ。で、今日も4km先のJR牟岐線・地蔵橋駅に荷におろした。

 昨夜の寒気も一段落して、名残の北風も弱まりホッと一息。今日は楽な平坦路の行程で助かる。


  お帰りと 遍路の野辺に
   迎えられ
    脚の痛みも しばし忘れる 



 





 第5日目 3月25日(天気 曇)地蔵橋駅から鶴峠 
              実歩行時間:7時間50分( 距離22Km) 
 今日は平坦な国道・55&28号線を進み18・19番寺を参拝。そして、2つ目の<遍路ころがし>の20番寺・鶴林寺を目指し、ひと汗かいて中腹の鶴峠に設営した。

 2日前の長い下降路で、痛めた足小指が回復せず苦慮。痛めた爪とマメ部は靴ヒモを極端に緩めて一度結び、足首部はしっかり再結びする。


  靴ひもを 2ケ所で結び 
   マメ治療 
    先はゆるゆる 元はしっかり 







 第6日目 3月26日(天気 晴)鶴峠から大根休憩所 
              実歩行時間:6時間10分(距離19Km)
 昨日通り、20番寺へは車道を選択。20番寺から水井橋まで下降して再度21番寺へ登り返し、舎心ケ嶽から阿瀬比集落・大根峠を経て22番寺手前の大根休憩所に設営した。 

 22番寺までの遍路道は比較的ゆるやかで、幹線国道もない静かなシニア向けコース


  心地よく 燃えてる感じ 
   体脂肪 
    呼吸おだやか 脈も正常







 第7日目 3月27日(天気 曇)大根休憩所から日和佐駅 
              実歩行時間:7時間20分(距離23Km) 
 22番寺から23km先の23番寺までは、途中の月夜御水庵先から海岸沿の県道25号線を選択。日和佐で先着の歩き遍路者と駅広場の休憩舎に設営した。

 23番寺・日和佐での愉しみは温泉だ。歩き疲れた心身に、湯治は何よりの御馳走。


  小さくて 見過ごしそうな
   楽しみを 
    拾い集めて 老いは豊かに 








 第8日目 3月28日(天気 快晴)日和佐駅から甲浦 
               実歩行時間:5時間10分
(距離14Km)  
 歩き始めて1週間が過ぎた。疲労もだいぶ蓄積してきたので、今日は休養日にして半日行動とする。途中の牟岐駅から設営予定地甲浦駅まで電車を利用し白浜キャンプ場に設営した。

 日和佐駅から次の24番寺・室戸岬まで90km。この区間を歩いた日々を思い出し、気が遠くなる距離にウンザリする。


  雨の日の つらい想いが 
   よみがえる 
    それにも増して 今日のつらさよ 







  第9日目 3月29日(天気 曇)甲浦から八坂神社 
               実歩行時間:8時間(距離28Km) 
 国道55号線を室戸岬目指し南下、高知県の海岸線沿いに東洋大師、佛海庵、佐喜浜集落を通り椎名集落の八坂神社に設営。 

 <笑う門には福来る>の諺通り、笑いは人間だけの能力で幸せの源とも。が、女性に比べて男衆は残念ながら笑顔が少ない。老いて更にその傾向が強いので自戒したい。


  後から 追い越しながら
   バーチャンは 
    ご苦労さまと 笑顔の接待






 第10日目 3月30日(天気 晴): 八坂神社から道の駅・キラメッセ 
                実歩行時間:7時間(距離23Km)
 3日間南下して青年大師像に迎えられ室戸岬に到着。40分程急坂を登り24番寺に参拝。再び海岸線まで下降して55号線に出る。そして25・26番寺を経て道の駅キラメッセ室戸に設営した。

 三津集落付近の比較的平坦地に数枚の水田がある。代掻きが済んで田植も間近いようだ。この時とばかりにカエルの声が賑やかだ。 


  水田の カエル鳴く声 
   たくましく 
    つられて唄う 愛の合唱








 第11日目 3月31日(天気 晴)道の駅・キラメッセから唐の浜駅
               実歩行時間:7時間50分(距離24Km)   
 旧街道の面影が残る吉川、羽根の集落を経てくろしお鉄道の終点・奈半利駅に到着。安田集落から27番寺へ向かうが、下降時の膝の負担を考えて参道の途中で参拝して引き返し、唐の浜駅に設営した。

 海岸沿いの国道を太平洋からの突風に向かって進む。かって、嵐の山稜をさまよった仲間達はもういない。


  友逝きて 無常の浮世
   身にしみる 
    でも越え難し 老いも病も









12日目 4月1日(天気 晴)唐の浜駅から香我美駅 
             実歩行時間:8時間(距離27Km) 
 ゴールの高知駅めざして、国道55号線と防波堤歩道を進み道の駅やすの先の民宿・かがみ宿に投宿。今回初めての舎営で心身をねぎらった。

 安芸付近は堤防脇の自転車専用道を進む。海と空の単調な風景に加えて潮騒とトンビの姿に時を忘れる。


  寒気去り 朝陽背に受け
   うとうとと 
    薄眼ひらいて 睡魔と遊ぶ 









13日目 4月2日(天気 快晴)香我美駅から31番寺・高知駅(帰宅)
                  実歩行時間:8時間40分(距離29Km) 
 最終日は、高知駅発の夜行バスまで時間に余裕がある。予定の30番寺・善楽寺の先31番寺・竹林寺まで進み、隣の牧野植物園前からバスで高知駅に出た

  
 旧街道沿いに栄えた商店街は、どこもシャツター通になり無人の民家が多い。世代交代で若者は去り人口は減るばかりだ。146年歴史を持つ室戸岬小学校も一昨日(31日)に閉校なった由。 


  朽ちた家 見ればいやでも
   思い出す  
    父母と暮らした 茅葺の家








 
§2あとがき

◇ 久し振りに13日間のロングウオークを試みた。現状では<最長でも10間が限度だろう>と思っていた。が、これを逸脱して今回トライしてみた。結果、好天気もあって何とか無事に完歩して帰宅出来たことは大きな収穫だった。
◇その主要因として、従来の判断基準からシニア向け基準に変更したことだ。若い時から当たり前と考えていた「距離基準」を改め「時間基準」に変更。前者はA地点からB地点までCkmの移動量を目標にした(走行であれば10m走、ハーフ、フルマラソン等)それに伴う時間は参考値になる。これに対し後者は、移動時のD時間を目標にする(歩行であれば1時間、3時間歩行等)。

◇この基準の違いは、傾向として身体へ負担が前者は大きく、後者は軽くなると思える。即ち、身体への過負荷を避けて時間を優先した有酸素運動が容易。結果、体調次第で歩速を変えて疲労度を軽減し事故防止にもなる。
◇具体的には今回、実歩行時間:6〜7時間+休憩時間:2時間位として、2時間毎に大休止を取り疲労回復に努めた。
◇休憩時は、靴下を脱ぎ足の回復をはかる。且つ、シーツを敷き横になり腰等も重力からの影響を低減した。
◇歩速については2年前の数値(100歩/分=約3km/時間)とほぼ同じだった。しかし、坂道の登降は10%位低下したようだ。これは筋力だけでなく平衡感覚力の低下が原因で、今後この傾向は進むようだ。従って、浮石や山道のバランス歩行は避けた方が賢明。
◇シニア歩行では荷物の軽減が特に重要。初回の18年前は、驚くことに19kgであったが、今回は8,2kg(水を含む)で、前回(2年前)でも9kgだった。両者の違いは、食料と飲料水の差のようだ。今回の食料は現地調達を9割(前回は3割)。持参水は200CC(焼酎ボトル1本)だけにして寺院や公園の水道で頻繁に補水した。

◇ 食料について
・夕食は2回だけ持参食のもち米を使用し、他はすべて現地調達した(カップメシ、赤飯、白米、ウドン)。特にカップメシはカレーメシ等数種類ありカップラーメンと同様にインスタント食だが旨い。
・朝食は2時間ほど歩いてコンビニでカップラーメン又は、カップそば、パンを食べた。

◇装備について
・新靴との馴染みが悪く3日目から小指にダメージ発生。処置が遅れて悪化した(国内製靴はEEEサイズだが外国製は普通サイズで指先の余裕不足)。
・燃料使用量:100g(コンビニ食が主流でガス消費少)。
・予備品:膝サポーター。

・携帯電話用の充電器を忘れてチャージが出来ず30日以降写真撮影出来ず。

   概 略 図 
  


  INDEX     資料編へ続く